マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜   作:我島甲太郎

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第60話 迷宮都市ジャスティン

 泊まっていたホテルを引き払った俺達は、オフロードカーに乗って王都ラブオデッサから北東へ続く国道を走っていた。

 

「クロ、本当にオレ達についてきていいのか?」

 

 ファルコが後部座席の後ろの荷物置きにごろりと横になっているクロに尋ねる。

 どうやら隠密スキルを使っているらしく、彼の姿はまるで見えない。

 

「例え王命に背いてジャイアントオーブが失われようとも、その結果死罪になろうとも……俺はサクレアの為ならばこの命を捧げる覚悟はできている」

 

 そこは嘘でもティアラキングダムの為と言って欲しかった。

 流石はナンバーズのオリジン、覚悟決まってんな。

 

「クロ……」

「すべての責任は俺が取る、お前達は好きに暴れてくれ。……とはいえ無策では何だ、俺に腹案がある」

「腹案?」

「俺達もこの1年間遊んでいたわけではない。迷宮都市ジャスティンの抵抗勢力(レジスタンス)に繋ぎを取ろうじゃないか」

 

 暗い闇の中で、クロがにやりと笑ったような気がした。

 

 

 深夜に王都ラブオデッサを出発してから半日後の昼過ぎ、ようやく俺達の乗るオフロードカーは迷宮都市ジャスティンの近くまで辿り着いていた。

 

 オフロードカーが走る二車線の国道は高い高架(こうか)になっており、その下には深いジャングルが生い茂っている。

 

 ここは王都ラブオデッサから北東にあるアマゾン地方の奥地。

 この地にあるBランク迷宮ジャスティンこそ、ミン・ノルとその仲間達が長い旅の果てに発見した特別なダンジョンだった。

 

 長い直線の道路の先に見える小さな赤褐色の城塞が段々と大きくなっていく。

 あれはここのダンジョンの外周を示すブロンズラインだ。

 

 アクアマリン市のレッドラインと同等のものだが、魔獣(さか)えるジャングルの只中(ただなか)にあるこの迷宮都市には街を守る城塞が必要不可欠なのだろう。

 

「ようやく見えてきたぜ! 迷宮都市ジャスティンがよぉ!」

 

 徹夜明けでハイになっているファルコが高いテンションで叫んだ。

 

「ファルコ、そろそろじゃないか?」

「おっと、忘れていたな! 一度停車するぞ!」

 

 ファルコが路肩に車を止めると、全員がオフロードカーから降車した。

 そしてアンバーが後部座席の下を引き上げると、そこに小さな空間が現れる。

 

 探知スキル対策が施された抜け荷用の隠しスペースだ。

 その中に猫耳フードを被ったミュールが潜り込んで丸くなった。

 

「ほどよく狭くて落ち着くにゃー」

「酸欠になりたくなかったらちゃんと渡した空気マスクを着けておけよ!」

「分かってるにゃ」

 

 ミュールが潜水用の酸素マスク型魔道具を身に着けたのを確認すると、アンバーが後部座席を元に戻した。

 

「先に行っているからな、例の場所で合流しよう」

 

 そう言い残すとクロは高架(こうか)の下に飛び降りてジャングルの中に消えていった。

 彼は一部の者にのみ伝えられている隠し通路から中に潜入するらしい。

 

「よし、まずは検問を突破しよう」

「そうじゃのう、頼んだぞファルコ」

「おう! オレも早く寝たいからな!」

 

 ファルコは徹夜明けだった。

 

 

 俺達の乗るオフロードカーが城門の前で停車すると、城壁の上から獣人の男達が双眼鏡を片手にこちらをじっと見つめていた。

 そしてそのうちの一人が、こちらに大声で誰何(すいか)してきた。

 

「何者だ! 名を名乗れ!」

「俺はファルコ! 運び屋ファルコだ! アクアマリンから探索者を連れてきた!」

「ファルコだぁー? 知らねえ名だな! 全員降りてギルドカードを提示しろ!」

 

 俺達3人が車から降りてギルドカードを掲げると、しばらくしてから門扉(もんぴ)が左右にガラガラと開き、数人の武装した獣人の男達がこちらにやってきた。

 そのうちの一人、ガラの悪いワータイガーの男がこちらに話し掛けてくる。

 

「アクアマリンのBランク探索者がこのジャスティンに何の用だ?」

「お主もステータスを見たなら分かっておるじゃろう。わしらはドフス鋼を掘りにきたのじゃ」

「悪いが、今は外部の探索者の立ち入りを制限しているからよ。王都に引き返しな」

「そうは問屋が(おろ)さぬのう?」

 

 アンバーがポーチからギルド本部の紋章が押された封筒を取り出した。

 ワータイガーの男が封筒を取り上げようとするが、アンバーはサッと(かわ)した。

 

「チッ、ギルド本部の承認を受けてやがるのか。仕方ねぇから入れてやるが、監視はつけさせて貰うからな」

「ええじゃろう。好きに見張るがよい」

 

 アンバーがポーチに封筒を仕舞うと、ワータイガーの男が城壁に向かって大きな声で叫んだ。

 

「てめぇら、開門だ!」

『おう!』

 

 獣人の男達が大声で(こた)えると、ガラガラと音を立てて城門の奥にある二つ目の門扉(もんぴ)が開いていく。

 

「あんがとよ!」

「フン、さっさと仕事を終えてアクアマリンに帰れ、探索者ども」

「分かってるって!」

 

 ファルコがハイテンションに礼を言うと、ワータイガーの男が鼻を鳴らして城門の中に帰っていったので俺達はすぐにオフロードカーに乗り込んだ。

 

「効果覿面(てきめん)だな」

「あやつらもギルド本部は怖いと見える。ボディーチェックもなしとは、守衛の風上にも置けんやつらよのう」

所詮(しょせん)はごろつきさ。行くぞファルコ」

「出発するぜ!」

 

 俺達は城門を(くぐ)って、ついに迷宮都市ジャスティンに到着したのだった。

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