マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜   作:我島甲太郎

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第64話 ゴブリン・スパイラルホール

 その後、ゴブリンメイドに城の大浴場に案内された俺達はそこで身を清めてから城の客室で就寝することとなった。

 

 ちなみにクロはコンサートが終わってすぐに王都ラブオデッサに帰ってしまった。

 王命に背いたとはいえ、彼はジャイアントオーブを無事に取り戻したのだからきっとなあなあで済ませて貰えるだろう。

 

 翌日、俺達は城の食堂でゆっくりと朝食を取ってから残りの仕事を片付ける為に探索者ギルドへ向かうことになった。

 ゴブリン兵が警備する城壁の外に出て、徒歩1分。

 俺達は一般の探索者達に紛れて赤褐色の巨大な建物の中に入っていく。

 

 広いロビーの受付には額に小刻印が刻まれたゴブリンの女性が沢山並んでいた。

 俺達はミュールに案内されて、異界予約・昇格試験窓口と書かれた看板の下げられた受付に行くとアンバーがメンバーを代表して受付のゴブリンさんに話し掛けた。

 

弩伏(どふす)坑道でドフス鋼の採掘を行う為に異界の予約を行いたいのじゃが、今日は大丈夫かのう?」

弩伏(どふす)坑道の予約は現在ゼロですのデ、アンバー様でしたら問題なく利用できまス。後数日もするとジャスティレベリングが帰ってきますかラ、丁度良いタイミングでしたネ」

「念の為、こちらの書類を確認して貰えるかのう」

 

 アンバーがギルド本部の紋章が押された封筒を受付のゴブリンさんに渡すと、彼女は中から取り出した書類に目を通してからハンコを押してアンバーに返した。

 

「帰ってから向こうの探索者ギルドに提出してくださイ。それでハ、皆様の健闘をお祈りしていまス」

「うむ、助かる」

 

 俺達は礼を言ってその場を後にすると、ロビーを抜けてダンジョンのゲートがある広場に向かって歩き出した。

 

 道がドフスブロンズで舗装されているのがアクアマリンと違うところかな。

 俺達が広場のゲートの前に立つと、お忍び用のフードを被っているサクレアが興味深そうにゲートを覗き込んだ。

 

「これがダンジョンゲートですか。初めて見ます」

「サクレアはまだレベル1なんだっけ?」

「はい。私も一度はダンジョンに行ってみたかったのですが、プロデューサーが許してくれなかったのです」

 

 彼女は懐からギルドカードを取り出してステータスを見せてくれた。

 

 サクレア 28歳 ランクE 歌姫(ディーヴァ) Lv1

 魔力C 筋力D 生命力D 素早さB 器用さS

 

 レベル1なのに器用さが天元突破している……!

 流石はティアラキングダムが世界に誇る歌姫、とんでもない素質を持っている。

 

「ちなみにオレはこんな感じ」

 

 ファルコが見せてくれたステータスはこうだった。

 

 ファルコ 28歳 ランクE 運転手(ドライバー) Lv12

 魔力D 筋力D 生命力D 素早さB 器用さA

 

 ちょっとレベルが上がっているのはチューブ荒野の往復の途中で魔獣を()いたりしたからなのだろうか。

 いや、もしかしたらあの時にチューブニオンデスワームの経験値が入ったからかもしれない。

 

「ファルコの方は普通じゃのう」

「まあな。オレは探索者に向いていない自覚があるから、そういうのはナシさ」

 

 ファルコはカーター氏の忠告を固く守ったのだろう。

 そういうところがこの男の良いところだ。

 

「あちしのも見て欲しいにゃ!」

 

 今更だけどミュールのステータスも確認する。

 

 ミュール 17歳 ランクD 忍者(ニンジャ) Lv24

 魔力D 筋力C 生命力D 素早さB 器用さC

 

 魔力は低めだがステータスはまあまあだな。

 その中でも素早さが高いから(みが)けば少しは光りそうだ。

 

「お主、Dランクにしてはちょっとレベルが低くないかのう。ちゃんと仕事しておったんか?」

「そんなこと言わないで欲しいにゃ。あちしはこれでもジャスティンの星と言われていたこともあったくらいなんだからにゃ」

「ちなみにそれはいつの話だ?」

「10歳の時にゃ!」

 

 俺は彼女に対してどう声を掛けたらいいのか分からなくなった。

 

「そろそろ行くかのう。お主らも迷子にならぬよう、ちゃんとついてくるんじゃぞ」

「はいっ!」

 

 サクレアが笑顔で返事をすると、アンバーはゲートに飛び込んだ。

 俺とミュールもそれに続く。

 

 ゲートを潜ってダンジョン内広場に出た俺達の目の前に、巨大な赤褐色の大穴が姿を現した。

 追いついてきたサクレアが驚きに目を丸くすると、ミュールがこちらを向いてドヤ顔をした。

 

「ふふん、これがジャスティン名物、ゴブリン・スパイラルホールにゃ!」

 

 これはこのダンジョンの一層から三層までぶち抜いて作られた超巨大螺旋階段だ。

 管理されたダンジョンでは得てしてこういったショートカットが作られるものだが、その中でも特に規模の大きいものがこのゴブリン・スパイラルホールだった。

 

 アクアマリンのジャイアント・ステップや取水パイプと同じく、この大穴の壁と階段にはこのダンジョンで採取された宝珠が練り込まれた建材が使われている。

 

「ファルコ、これは素晴らしい光景ですね……」

「アクアマリンにあるジャイアント・ステップもいいもんだぜ。いつかお前にも見せてやりたいもんだ」

「私もファルコの過ごしたアクアマリンには行ってみたいと思っているのですが、私がティアラキングダムを離れることをプロデューサーは許してくれるでしょうか?」

「へっ、その時は(さら)ってでも連れて行ってやろう。サクレアにオレの荒野走りを見せてやるぜ」

「ファルコ……」

「サクレア……」

 

 二人の愛は情熱的なばかりに燃え上がっていた。

 

「ミュールよ、エレベーターはどこにあるのじゃ?」

「こっちにあるにゃ」

 

 ミュールに先導された俺達が大穴を回り込んで反対側に行くと、そこにはゴブリン兵に厳重に警備されているエレベーター施設があった。

 ドフスブロンズ製で、その一部には補強の為か銀色のドフス鋼が使われている。

 

 どうやら魔石が組み込まれた動力部は取り外せるようになっているようだ。

 まあ、そうでもしないとダンジョンに()まれてしまうか。

 

「アンバー様ですネ。どうぞこちらでス」

 

 ゴブリン兵に案内された俺達がジャイアントサイズの籠に乗り込むと、籠の扉が閉まりガラガラと音を立ててエレベーターが降下していく。

 籠の隙間からは螺旋階段を降りていく探索者達の姿が見えていた。

 

 二層を過ぎ、三層を過ぎ、そして深い闇の底でエレベーターは停止した。

 籠を閉じていた扉が開くと、パッと明かりが点いて先の様子が目に映る。

 俺達の目の前に広がっていたのは褐色の岩壁で構成された地下洞窟だった。

 

「Bランク迷宮ジャスティン四層、弩伏(どふす)坑道へようこソ」

 

 エレベーターから降りた俺達を、一人のゴブリン兵が笑顔で出迎えた。

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