マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜   作:我島甲太郎

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第85話 温泉回

 前回までのあらすじ、旅館鬼瓦……改めパイレーツオブギース亭に泊まることになった俺達はモモちゃんの母親のサクラさんに1泊10万メルする部屋へと案内された。

 

 仕事に戻っていくサクラさんを見送った俺は、踏込(部屋の入口)で脱ぎ捨てられていたスリッパを並べてから部屋に上がり二人の待つ脱衣所へと向かった。

 

 どうやら二人はお風呂に入っているらしく脱衣所には探索者服が脱ぎ捨てられており、露天風呂へと続く(くも)りガラスのガラス戸の向こうからはバシャバシャとした水音が聞こえている。

 

「二人とも、話は終わったよ!」

「おお、ハルトも早くくるのじゃ!」

「そうにゃ! 早くくるのにゃ!」

 

 それってつまり混浴ってことですか。

 今日はミュールがいるのに一緒に入っちゃっていいんですかね。

 

「いいの?」

「わしが許す!」

 

 許してくれるらしいので、俺は意気揚々と服を脱ぎ捨ててガラス戸を引き開いた。

 

 竹壁で周囲を囲われた露天風呂の床は石敷きになっていて、20人くらいは同時に入れそうな石造りの大きな浴槽には竹でできた湯口(ゆぐち)からお湯が注がれていた。

 源泉掛け流しの贅沢(ぜいたく)な温泉だ。

 

 外は既に日が落ちており、青白い月明かりだけが露天風呂を照らしている。

 一応魔道行燈(あんどん)はあちらこちらに設置されてはいるが、今は必要ないだろう。

 

「これが貸し切りか……流石は1泊10万メルの部屋だ。文字通り桁が違うな」

 

 アンバーとミュールは木製の風呂椅子に座りながら洗いっこしていた。

 二人とも泡だらけで際どいところが見えそうで見えないのがエッチだ……。

 

 俺は床に転がっていた木桶で浴槽からお湯をすくって頭から浴びると、手ぬぐいでエレクチオンした股間を隠しながら彼女達の隣の風呂椅子に座った。

 

 高そうな備え付けのシャンプーで髪の毛をわしゃわしゃしつつ、二人のサービスシーンをチラチラと横目に見る。

 

「アンバー、くすぐったいにゃ」

「ここもきちんと綺麗にせんといかんぞ。ほれほれ」

「ふにゃっ!」

 

 いやー、つたない文章でしか表現できないのが残念ですね。

 ファンアート希望。

 

「よし、これでええじゃろう」

 

 バシャーとお湯がかけられて泡で隠されていたミュールの裸体が露わになった。

 うーん、並みだと思っていたけど思っていたよりも乳があるな。

 どうやら彼女は着やせするタイプだったようだ。

 

 身体を洗い終えた二人がこちらに背中を向けてに温泉に浸かると、ざばりと音を立てて並々と注がれていたお湯が浴槽から(あふ)れ出した。

 

「おお、これは効くのう……長旅の疲れが溶け出すようじゃ」

「温かいにゃあ~」

 

 俺は木桶でお湯をすくうのが面倒だったので、いつもみたいに魔道スキルでお湯を作ってシャンプーを流すと身体をちゃっちゃと洗って泡を流した。

 

 そして俺は混浴への期待に胸を膨らませつつお湯を()き分けアンバーの隣に腰掛けたのだが、俺の膨らんだ胸(それと股間)はすぐに(しぼ)んでいくことになる。

 

「ふんふんふーん……」

 

 俺の目の前ではミュールが小さな波を起こしながら広い湯舟を泳いでいた。

 それくらいならまあ、彼女らしくていいと思う。

 

 だがミュールはおもむろに温泉の水面に両手を付けると、忍術スキルの水蜘蛛(みずぐも)を使ってザバッと逆立ちした。

 

「にゃ!」

 

 そのまま水面を逆立ちしながらペタペタと歩き回る。

 当然その間ずっと大事なところが丸見えになっているのだが、恥じらいの欠片もないその姿を見て、俺の心は湯で温まる身体とは対照的に冷え込んでいった。

 

「アンバー、俺は混浴に夢を見過ぎていたのかもしれない……」

 

 どうして一緒にお風呂に入っているのがエクレアやカウリン、あるいはアルメリアではなくミュールなのだろうか。

 

 思えば、牧場(まきば)亭でカウルーに乱入された時はちゃんとお仕置きされたものな。

 アンバーが今日、俺に混浴を許可したのは優しさなどではなかったのだ。

 

「落ち込むでない。お主にはわしがおるからのう」

 

 混浴という名の家族風呂で俺のミュールへの好感度を劇的に下げた策士アンバーは俺の(ひざ)に座ると両腕を掴んで自分のお腹に回した。

 

「ごめんねアンバー、俺が悪かったよ」

 

 俺はアンバーに謝ると、ぎゅっとその小さな身体を抱きしめた。

 その目前ではミュールが水面の上で頭倒立しながらあぐらをかいている……。

 

「……ミュール、化身スキル使ってみて」

「にゃ!」

 

 ミュールが化身スキルでケモ化すると、彼女の全身が赤い毛で(おお)われた。

 

「これなら目のやり場に困ることはなさそうだな……」

「なるほどのう、考えたなハルト」

 

 アンバーが()めてくれたが、俺はちょっと化身中に服の下がどうなっているか気になっただけなので特に意味はない。

 

 ミュールはケモ化したまま背中からバシャンと湯舟に倒れ込んだ。

 そして水中を泳いでこちらまでやってくると、俺の隣で水面から顔を出した。

 

「たった数日で化身スキルがこんなにも上達するなんてにゃ。あちしは自分の才能が恐ろしいにゃ」

「でもミュールは化身しながらスキルを使えないでしょ。それじゃあ戦闘には活かせないよ」

「二つのことを一緒にするのはちょっと難しいにゃ」

「俺だって最初は全然できなかったさ、それこそ練習あるのみだ」

 

 俺は日夜ハムマンフィギュアを作りながら努力した結果、三つくらいのスキルまでなら同時に行使できるようになった。

 

 実戦で言うと石で作った壁の操作権を保留しつつ、別に作り出した石の流体を操作しながら咄嗟(とっさ)にプロテクションを張ったりできる。

 

 マルチタスクは魔導士(ウィザード)として上を目指すなら必須スキルだからな。

 これを極めた者がなれるのが魔道具職人で、アイリスに(いた)っては同時に10以上のスキルを行使できるらしい。

 

「むーん、もう少しだけ頑張ってみるかにゃー」

 

 俺とアンバーはスキルで青く光らせた毛深い手でペタペタ水面に触れているミュールを眺めながら、ゆっくりと露天風呂を楽しむのだった。

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