マイマイダンジョン〜転生して魔力極振りチート魔導士になった俺は現代知識で世界を救う〜 作:我島甲太郎
シェルター付近にあるブルーアントの巣を
アザミが短杖の形をしたトーチの
周囲を見渡すとそこは深い紫色をした岩盤で構成された洞窟の
ここはAランク迷宮イーラ四層、
俺達がいるシェルターは洞窟の突き当たりに作られているようで、正面には道を塞ぐ赤銅色の壁が
「キャンプの跡がある。どうやら先客がいたようだ」
アザミがシェルターの一角を指差すと、その先の床の上にはゴミが散乱していた。
ミュールが落ちていた食べかけのチキンの骨を拾い上げて匂いを嗅ぐ。
「朝に食べたばっかりみたいにゃ。こんなに食べ残して
「ギザード、調べてみよ」
「探してみるね」
ギザードは目を閉じると、片翼を額の小刻印に添えてむんと念じた。
「……見つけた。
目を開いたギザードは懐からファイルを取り出してぺらぺらとめくる。
隣から覗き込んでみると、どうやらこれは迷宮塔イーラに滞在中の上級探索者のリストのようだった。
「Aランク探索者パーティー『獣の双牙』、
ギザードのその言葉を聞いた俺とアンバーは顔を見合わせた。
なんだか変なところで縁があるなぁ。
「のう、お主……」
「あのシーサーペントに返り
アンバーのポーチの中には討伐したシーサーペントの左目から抜き取った総パルマ銀製の大剣が入っている。
アクアマリンに帰る前に返そうと思っていたが、後回しにしておいて正解だった。
「恐らく帰りに彼らと相対することになる。注意をしておかないといけないね」
「うむ。わしらの目的はまだバレてはおらんようじゃが、いつダンジョンマスターの妨害が入るか分からぬからのう」
今日の昼から夕方に掛けて、テティスの手配したマーメイド達が出入口のダンジョンゲートを封鎖する予定になっている。
そうしておかなければ
そして昼にダンジョンゲートの封鎖を知ったダンジョンマスターが次に打つ手として考えられるのは、上級探索者に対するダンジョン内犯罪者の捕縛要請の発令だ。
これは救援要請と並ぶ、上級探索者が
彼らはまず間違いなく、ギザードを連れた俺達の前に立ちはだかるだろう。
「母上はこの時間帯はいつも妹達の訓練をしているからね。僕達の動きに気付くことは絶対にない……と思いたい」
「ギザード、変なことを言ってボクらを不安にさせないでくれる?」
「ごめん、アザミ」
俺達はポーチから取り出した魔道ランタンを腰に付けると、アンバーが引き上げた
先頭を歩くのはギザードとアンバーで、その間に俺とアザミが挟まり背後をミュールが警戒する。
大小様々な紫色の水晶があちこちに生えている広い洞窟の中をコツコツと足音を立てながら進んでいると不意にギザードが立ち止まって片翼で暗闇の一点を羽指した。
「あっちにジュエルセンチピードが1匹。その周囲にジュエルバットの群れだ」
「ハルト、さっきのよろしく」
「了解」
アザミがトーチの
「ブレイズノヴァ!」
俺がチャージしていたブレイズノヴァを発射すると、蒼炎球が直撃したジュエルセンチピードはドロドロに溶けて大きな水晶と一体化していった。
それと同時に宝石状の身体を持つ大きな
洞窟内にシャラシャラとした石の
これは、ずっと聞いていたら耳がおかしくなりそうだ。
「プロテクション。アンバー、後はお願い!」
「いかずち丸よ! 故郷で生まれ変わったお主の雄姿を見せてやるがよい!」
アザミが青い半透明の障壁を張ってその群れの襲撃をいなすと、アンバーがバリアの中からメツニウム銅合金製の
いかずち丸に使われているメツニウムはここ
この金属はまれに大きな水晶の中に琥珀の虫のように閉じ込められていて、これが結構な高値で取引されているらしい。
「右の空洞からジュエルスパイダーが4体!」
アザミがトーチの
穴から出てきたジュエルスパイダーがこちらに向かってカサカサと
「左は僕がやる! ペネトレイト!」
低空でホバリングしたギザードが、鳥足で構えた弓から射撃スキルで青く光る矢を放ち左側のジュエルスパイダーの頭部を一直線に貫いた。
「あちしは右にゃ! 鎧通し!」
ミュールが投擲スキルで青く光る棒手裏剣を投げると、カツンと音を立ててジュエルスパイダーの頭部に突き刺さった。
二人が4匹のジュエルスパイダーを確殺し、アンバーがバリアに
「……生体反応なし。よし、魔石を回収したら先に進もう」
俺達は手早く魔石を回収すると、再び水晶洞窟の中を歩き出したのだった。