待ち人来たりて【完結】   作:焦げうさぎ

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神戸新聞杯のお祝いをする暇もなく、次のレースが迫っていた

今、京都新聞杯は別の月に開催されてるんですが、この世界線では変わらなかったということで...
短いです


束の間の休息

「まずは神戸新聞杯の勝利おめでとう!」

 

「ありがとうございます!」

 

 トレセン学園でトレーナーとフクキタルに割り当てられたミーティングルーム、そこで二人は勝利を祝っていた。夏合宿でつけた力をすべて出し切り、これまで一度も追いつくことのできなかったサイレンススズカを追い抜いての勝利だ。

 

「最後の末脚はすごかった。あれだけ外に膨らんだのに10馬身以上離れていたサイレンススズカを追い抜かして。フクキタルがこの夏合宿で頑張ってトレーニングをした結果を示すことが出来たよ」

 

「いえいえ、私はトレーナーさんの考えた作戦通りに走っただけです。スズカさんや他の人のペースに焦らずに自分のペースで走ればいいって。トレーナーさんがいたからこその勝利です!」

 

「いやいや、フクキタルが少しも焦らずに走ってこその作戦だったから、フクキタルが頑張ったからだよ」

 

 トレーナーとフクキタル、お互いに謙遜しあっているが、この勝利はトレーナーの立てた作戦とフクキタルの走り、その二つがうまくかみ合ってこその勝利だった。

 

「さてと、この勝利をもっと祝いたいんだけど、次のレースの話をしよう」

 

 だが、祝ってばかりもいられない。次の京都新聞杯が一カ月もたたないうちに開催される。

 

「京都新聞杯、今回も強豪のそろったレースになりそうだ。今のところ出走が有力視されているのはG2初挑戦のプルスシンキ、神戸新聞杯で戦ったキヌノセイギ、阿寒湖特別を勝ち抜いたキンイロリョテイ、それに名門メジロ家のメジロブライト」

 

「うぅ、強い方たちが出走するんですね...」

 

 菊花賞のトライアルレースとして神戸新聞杯よりも優位なこのレースには菊花賞への出走を目指す強豪たちが多く集まる。

 

「確かに強いウマ娘たちが出走する。だけど、フクキタル、それは君もだ。フクキタルの今の実力は他に劣らない。これからも変わらず、しっかりとトレーニングをしていけばこのレースも勝てる!」

 

 神戸新聞杯でフクキタルの実力は証明された。あとは、この調子のままレースに挑むだけだ。

 

「そうですね、今の私は運気急上昇中なんです。このままトレーニングも頑張って京都新聞杯も勝ってみせますよ!」

 

 また、フクキタル自身のやる気も十分なようである。

 

「よし、残り一月もないけど、京都新聞杯、そして菊花賞を目指してトレーニング頑張ろう!」

 

「はい!」

 

 そして、京都新聞杯へ向けてのトレーニングが始まった。トレーニングは夏合宿の時と同じようにスタミナと最大の武器の末脚を鍛えるトレーニングを繰り返す。

 

 

 

 

「神戸新聞杯の後、次は負けないようにってトレーナーさんと何度も話し合って私だけのトレーニングメニューを作ったの。そのトレーニングで私はあの時よりも速くなった。だから、今日は私があなたに勝ってみせるから」

 

「私もこれからのレースに向けてトレーナーさんと頑張ってトレーニングをしてるんです。今日もスズカさんに追いついてみせますよ!」

 

 そして、京都新聞杯に支障が出てはいけないからと一度だけではあるが、サイレンススズカとのレースを行った。スズカが次に目指す天皇賞秋も10月の開催であり、目標に向けて体力を使いすぎることがないようにとレースを断られるのではないかとトレーナーは考えていた。だが、スズカはレースの提案を快く受け入れた。そこには、神戸新聞杯でのフクキタルへのリベンジの意味もあったのかもしれない。

 

 

 

「...同着だ。少しのずれもなく二人同時にゴールしている」

 

 2000メートルのレース結果は同着。本番のレースではないとはいえ、二人の実力は神戸新聞杯から成長したうえで差がないものになっている。

 

「引き分けね。私も神戸新聞杯の時に比べて速くなってるけど、フクキタルも同じみたい。本当は勝負がつくまでレースがしたいんだけど、トレーナーさんに怒られちゃうから...次にレースをするときに決着をつけましょう」

 

「はい!次のスズカさんとのレース、楽しみにしていますね!」

 

 レース後、次の勝負の約束をして二人はそれぞれのトレーナーの元へ別れて歩き始めた。

 

 

 

 

「私の明日の運勢は大吉です!それに、見てくださいこの壺!勝利を引き寄せる壺だって紹介されてて買ったばかりなんです。明日も勝ってみせますよ~!」

 

 そして迎えた京都新聞杯の前日、自作のおみくじで良い結果を引いたフクキタルはご機嫌な様子だった。

 

「うん、レース前のやる気はばっちりだね。この調子で明日も頑張ろう!」

 

 そんなフクキタルの様子につられてトレーナーも微笑んだ。フクキタルの見せた壺はウソだと気づいたが、フクキタルの調子が下がってはいけないと言わなかったのは秘密である。

 

 




続きます
次も更新が遅くなると思います。
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