拗らせ男のパルデア旅   作:わーい

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人気投票上位間違いなし、みんな大好きなあのポケモンが登場します。


第4話

「で」

「はい?」

「なんでお前はここにいる。先行ったはずだろうが」

「先生といた方が何かと楽そうだったから!」

「言い切ったなお前」

 

 ドヤ顔を晒すアオイの頬を引っ張ってやれば、なかなか弾力よく横に広がる。変顔のまま呂律も回らず、何やらセクハラだとか叫んでいるような気はするが、どうでもいい。これが周りに人がいる状態であれば即座にジュンサーの世話になっていたろうが、生憎周りに人はいない。

 離してやると、不満そうな顔でこちらを睨んでくる。改めて本題に戻ると、アオイ曰く。

 

「だって私、トレーナー一年生だし。他の子と違ってスクールの授業受けてたわけでもないしさぁ」

「あー……」

 

 正論だった。そもそも、どこの地方でも基本は旅立ち前にトレーナーとして、ポケモンとの関わり方であったりバトルの簡単な理論であったりを学んでから旅に放り出されるのだ。裸一貫、ポケモン一匹連れていざ、なんてやる輩はほとんどいない。シロガネ山の頂点で佇むあのバケモノは人間じゃないから除外。なんだあいつ、なんでピカチュウの10万ボルトでガブリアスを倒せるんだよ。

 

「ならまぁ、良い……のかこれ?」

「なんか言われたら私が庇うから大丈夫だよー。ソレよりほら、ポケモン捕まえよ!」

「流石に捕獲のやり方ぐらいは知ってるだろ?」

「なんの罪もない野生のポケモンにいきなり襲いかかって瀕死寸前まで追い込んで、無理やり眠らせたり麻痺させたりして硬いボールを体に思いっきりぶつけて、生息地から無理やり引き離す!」

「悪意マシマシじゃねえか。いや、実際そこまでしなくてもこの辺のポケモンなら簡単に捕まるぞ」

 

 まぁ、間違ってはないんだろうが。特に伝説のポケモンなんかを捕獲する場合には。この世で伝説のポケモンを捕獲する経験をする人間なんざそう居ないことを考えても、バトルで軽く弱らせてボールを当てる、ぐらいに覚えておけば良いし、実際スクールでもそのように教わる。

 状態異常もまぁ、場合によっては使うんだが。特に能力の高いポケモンを捕獲する時には。

 

「え、そうなの?」

「おう。ちなみに、何捕まえたいんだ?」

「ディアルガ! シンオウのチャンピオンが使ってるやつ!」

「今すぐテンガン山に行ってこい」

「うそうそ。うーん……あ、あの子に決めた!」

 

 そうしてアオイが走っていく後を追いかけると、そこに居たのは。六本の手足を器用に使って蜘蛛の糸をあやとりのようにいじっているポケモン。何処となく人間を苛立たせるそのフォルムは、以前入った森で何度か見かけたことがある。

 トラップポケモンワナイダー。それが、この個体の名称である。

 

「……あー、アオイ」

「ん?」

「ソイツは止めとけ、お前にはハードル高い」

「えー!? こんなイケメンなのに!!」

「イケメン…………?」

 

 一般的に。ルカリオやエルレイドのようなポケモンはイケメンポケモンとして男女問わず人気を博しているし、サーナイトやアマージョのようなポケモンは美女ポケモンとして人気を博しているわけなのだが。ワナイダーがイケメン?そんなわけないだろう。ワナイダーだぞ。

 

「…………」

「あれ、近づいて来た」

 

 いくらワナイダーとはいえポケモンはポケモン。人間を超える膂力、特殊な技を扱う存在であることに変わりはない。アオイの手持ちが何なのかはわからないが、流石にいきなり進化系の相手は荷が重いだろう。

 腰のボールに手をかけ、ベルトから引き抜き、投げようとする。が、ワナイダーが急激に加速する。加速したところでワナイダーはワナイダー、ポケモン基準では大した速度でない。しかし、人間からすると十分脅威になり得る。

 

 まずい、と。アオイの肩を掴み後ろに下げる。間に合うかどうかは微妙なライン。だが、ポケモンを出すよりかはこちらの方が早いし、確実──。

 

「……は?」

 

 ワナイダーはアオイの手にあるボールのスイッチ部分を押し、無抵抗でボールの中に吸い込まれ、収まった。意味がわからん。

 

「ライト先生」

「……なんだ」

「これがポケモン捕獲なんだね!」

「んなわけあるか」

 

 結論。人類がワナイダーを理解することは難しい。思考放棄の末、このような結論に辿り着いた日であった。




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