バーダックみたいになりたくて!   作:レタスよりキャベツ派

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 思ったよりランチのヒロイン化?みたいなのに特に言われなくてホッとしてます、よかった…!
 まぁ二次創作ですし、好きにやってナンボかなと。他作品のターレスを見習って、こちらも好き勝手(但しアンチ等はなし)やりたいと思います。
ただ良い加減戦闘描写がないとドラゴンボールって感じがしないので、そろそろ戦闘挟みたいですね、ちゃんと書けるかどうかわからないけど。
 そんな訳で、初投稿です。
今回はランチさん視点と拙作ターレス(呼び名募集中)の二本立てになります。


漫画よりアニメ派

「はぁ……また上手くいかなかった」

 

 とあるバーにて、一人の女が俯いていた。

女の名前はランチ。

 惚れた男を追い、世話を焼こうとあの手この手を使うが毎回思ったような結果にならず、頭を抱える日々。

 なんでもかつて地球を征服しようとしたピッコロ大魔王のような、それ以上の強敵が二人も地球に迫っているらしく、仲間達とより強くなろうと修行に励んでいるらしい。

 言外に自分に構っている場合ではない、と仲間達から言われたようであった。

尤も、そんな事など自分には関係無いのだが。

 

「お〜い姉ちゃん、そんな所で一人で寂しく飲んでないでこっちで飲まねぇか?」

 

「そうそう、俺らならもっと楽しい気分にさせてあげるよ〜?」

 

「こっち来て隣で晩酌してくれな〜い?」

 

 自分に言い寄ってくるのはこんな所に寄り付く、低俗な品のない男達。

…あの男から見れば、自分も同じ穴の狢なのかもしれないが。

 

「…あ?」

 

「ひ、ヒィッ!すんませんしたっ!」

 

「い、行こうぜ!」

 

 尤も、大抵の男は自分が睨めばすぐ尻尾を巻いて何処かに行く。

怒りが一時は上回るが、やがて落ち着くとまた元の虚しい気持ちに戻るだけだ。

 そうして酒に逃げる。その悪循環だ。

そうやっている内にまた一人、此方に近づいて来るのが分かった。

 

「連れが失礼したな、一人飲んでるアンタがほっとけなかったんだとよ。ナンパのやり方としては下策も下策だったがな」

 

「……あぁ、ホントにな。高い酒の一杯でも奢……⁉︎ご、悟空‼︎お前死んだ筈じゃ⁉︎」

 

 声を掛けて来た男の連れを名乗ったのは、先の戦いで死んだと聞かされた男だった。

 いやよく見たら、肌が悟空より日焼けしていて悟空よりも髪も跳ねている様な気もするし、頬にある十字の傷が目を引く。

 そしてあの山吹色の道着じゃなくて、何やら見慣れない変なスーツのような物を着ている。腰に何やらベルトのような物も巻いている。

 驚きで目を白黒させていると、目の前の男はニヤリと笑っていた。

 

「カカロットの知り合いか、こうして何度も聞くと逆に面白くなってくるな」

 

「カカロット?…悟空の事か、何でそんなヘンテコな名前で呼んでるんだ?あだ名か?」

 

「違ぇよ、アイツの戦闘民族サイヤ人としての名前さ。俺達と一緒の、な」

 

「俺達…?お前もまさかブルマのヤツから聞かされた「バーダックさん、こっち来て飲みましょうよ!次の料理もう来ちゃいますよ!」…チッ」

 

「おう、今行く!…悪いな邪魔して、お前には関係の無い事だ。これで高ぇ酒の一つでも二つでも飲んでくれ」

 

 そう言って懐から札束を置いて去ろうとする。

去ろうとするこの男─バーダックとか呼ばれてた─の腕を掴む。

 何で掴んだか。自分でもよくわからなかった。ただ、一つ分かる。

この男は自分と同じだ。同じ悪徳を許容するタイプの人間だ。

 逃がしてはいけない。なんとなくそう思った。

それに仲間たちが知ってる事情をこの男は知っている。それを「関係ない」の一言で片付けられるのは少し腹が立つ。

 

「何だ?」

 

 掴まれた腕を見て怪訝そうな顔をしている。

やはり悟空とは違う。付き合いがそんなに長いわけではないが、悟空がこんな鋭い目付きをするとは思えない。

 まるで此方のことを何とも思っていないような目だ。

似ているのは見た目だけど、改めて感じる。

 

「オレも行く」

 

「は?」

 

「オレも連れてけ!詫びる気持ちがあるなら、誠意ってモンを見せて貰おうじゃないか!」

 

 咄嗟の理由としては苦しいかもしれない。

そう思ったが、逃したくなかった。

 何となく、ここで引いては負けた気がした。

 

「……それもそうか。テメェら喜べ!女一人追加だ!」

 

「ヒューッ!流石バーダックさんだ!」

「俺たちに出来ない事を平然とやってのけるッ!」

「そこに痺れる憧れるゥ!」

 

 そう言い、腕を掴んで自分達のテーブルの方に連れて行ったと思ったら肩に手を回したきた。

 思ってもない行動に思わず、肘打ちをしてしまったが特段効いている様子も無く、肩を抱く力が強くなり益々身を寄せられた。

 吃驚した半面、バランスを崩してしまいそうになり驚いたが、彼方は特に気にした様子もなく腹が立つ。

 

「オイ!」

 

「こうでもしないと変だろ?」

 

…確かにそうかもしれない。

 声を掛けて来た女を連れてきたと思ったらそういう風になるか。

そう自分に言い聞かせ、連れ立ってきたテーブルを見た再び驚くことになった。

 そこにあった料理の量にだ。

確かに悟空の食欲も凄かったが、此奴も相当食べるのか。

 そう思ってると、席に座るなり黙々と食べ始めた。

呆気に取られるこっちを他所に、奴は気にした様子も無く食べ続ける。

 

「あー…姉ちゃん着いてきて貰って悪いが、バーダックさん基本的にこんな感じなんだ。多分面白い話とかはしてくれないぞ?……それよりこっちで俺らと話したほうが「五月蝿ぇ」はい?」

 

 そう話しかけてきたら此奴の連れのチンピラに一言言い放つと、目の前にあった肉料理を手に取り、齧り付く。

 

「丁度オレも腹減ってたんだ、付き合ってやろうじゃねぇか!」

 

 男─バーダックは少し目を丸くしていたが、すぐに笑みを浮かべて近くにいた店員に話しかけた。

 

「…面白ェ。そういうの、嫌いじゃないぜ。オイ、もっと持って来い!」

 

「は、はい!」

 

 ウチは飯屋じゃないんだけどなぁとボヤきながら慌ただしく動く店員を尻目に食べ続ける(その間も話しかけてくる取り巻き達には無視を貫いていた)。

 取り巻き達が言うには、なんでもバーダックはこの辺りのスロットマシーン系列の店を荒らしに荒らして出禁になり、ストリートファイター達も一撃で倒してしまう実力者らしい。だからこの街からもそろそろ移動しようかなと思っているとの事だ。

 一心不乱に料理を食べ続けていたが、元々そんなに大食漢という訳でもなく早々限界になり、食い切れなくなった此方の様子も気にも留めずバーダックは食べ続けていたし、飲み続けていた。

 どのくらい経ったのだろうか。やがて満腹感が薄れてきた頃には、取り巻き達も他の客もいなくなっていた。

──バーダック以外は。

 

「他のヤツらは?」

 

「帰ったさ、お前がおっかないんでな」

 

「んだと…?」

 

「冗談だ、ほらよ」

 

 そう言いながら、水の入ったペットボトルを渡して来た。その受け取った水を飲んでいるともう店仕舞いするらしいから場所を変えるぞ、と移動する様子を見せたので慌てて動こうとすると横抱きにして来た。

所謂お姫様抱っこである。此方が水を落とすのも気にした様子は無く、抱えたまま移動する。急な展開に照れ臭いやら何やらで暴れるが、無視したまま動き始める。

 

「オ、オイ!」

 

「いいから口閉じとけ、舌噛むぞ」

 

「…!」

 

気が付けば、空を浮いていた。

分かっていたが、コイツも空を飛ぶ事が出来るらしい。

 思わず身体に掴まる力が強くなったが、こっちの様子などお構い無しだ。

やがて飛ぶ勢いも弱まり、何処かに降り立った。

 そこは少し寂れたバーの前だった。

抱いていた自分を降ろすと、その中に入って行こうとしていた。

 どうするか悩むこっちも見ずに、奴は言った。

 

「とりあえずまだ付き合えよ、食べれなくても飲めるだろ?」

 

「……わかったよ、とことん付き合ってやらァ」

 

 そう言い、中に入る。

そして注文を頼んでいると、奴は告げた。

 自分達サイヤ人の事。既に住んでいた星は滅んでいて、残りは自分を入れて四人しかいない事。宇宙の中でも屈指の悪の親玉に仕えている事。

 そのうち二人が、約一年後に来る事。

そこまで言った所で、頼んだ酒を飲みながらヤツはふと思い出したように言った。

 

「ちなみにバーダックってのは偽名だ。俺の名前はターレスって言うんだ」

 

「…はぁ⁉︎お前今まで偽名で生活してたのかよ!信じらんねーな!」

 

「悪いか?生憎、侵略する星で本名を名乗ったことの方が少ないんでね。自然と名乗るのも本名以外になるもんさ」

 

「けっ、そんなんだから一人でくる羽目になったんだろ。いい気味だぜ、お仲間から嫌われてんじゃねーのか?」

 

「……ソリが合わなかっただけさ。それにこの名前はな、俺の憧れた男の名前なんだ。誇り高い一族の戦士のな」

 

「憧れた男の名前?んな事なんざ関係ねーな。オメーが臆病なだけだろ、自分の名前なんざ価値がないと勝手に思ってるだけでよ」

 

 そう言うとターレスは虚を突かれたような顔をしたあと大笑いし始めた。

 

「何がおかしいんだ?」

 

「…かもな。けど俺の全部なんだよ、誰に理解されなくても。少しでもこの名前に相応しい生き方をしたい、っていう俺の独りよがりの我儘かもしれないけどな」

 

 その横顔は誰からの理解を諦めているようにも、誰とも分かり合えない様な、寂しい顔をしていた。

今分かった。なんでコイツと別れずそのまま着いてきてしまったか。同じなんだ、オレ達は。

 決して手に入れることが出来ない、届かない者に、焦がれた似た者同士なんだ。

オレは天津飯に、コイツはそのバーダックって奴に。

 届かない星に無我夢中で手を伸ばしてるんだ。

 

「なぁターレス、じゃあお前は自分の全部が否定されたらどうするんだ?」

 

「さぁな。そん時ゃ最期まで抵抗するさ、この名に懸けても」

 

 そういって自分のバンダナを触るコイツに少し腹が立って来た。

目の前のジョッキを一気飲みする。

 呆れ顔を浮かべるターレスに向かって俺は笑い掛ける。

 

「…何やってんだ」

 

「五月蝿ぇ!…食べ比べはしたけど、飲み比べはしてなかったよな?一つ勝負といこうじゃねぇか?」

 

 ニヤリと笑いかけると向こうもつられてニヤリと笑うが、それは宛ら肉食獣が獲物を見つけた時に牙を見せるような表情に似ていた。

 

「…つくづくお前は面白い女だな、で?なんか勝ったら景品でも貰えるのか?」

 

「……そうだな、なんか欲しいもんでもあるか?金なら有るぞ」

 

「生憎、俺も金ならあるんでな。特に困ってない……そうだ」

 

 そういうと奴は何か思いついたように此方を指差した。

 

「じゃあ、俺が勝ったらお前を貰おうかな。お前、名前は?」

 

「へっ、言ったな!オレの名前はランチだ!よく覚えておけ!」

 

 この時のオレは気付いてなかった。

自分が最初から負ける気でこの男に挑んでいたこと。

 そして、自分が勝った時の場合の条件を決めていなかった事に。

今にして思うと、最初から勝つ気がなかったのかもしれない。

 それが天津飯以外の男に抱かれて浮かれてた、なんて事はない。ないったらない。

 結果は言うまでもないだろう。

朝起きて目が覚めたら、私をモノにした男の横で目が覚めたのだから。

そこに何となく優越感の様なものを感じた。

……余談だがこの男、呑み過ぎた所為でオレと会った時から記憶が無いとか余りにも巫山戯た事を宣ったのでマシンガンで蜂の巣にしてやった。

 それでくたばるようなタマでは無いことも知ってはいるが、少しばかり痛い目を見てもらってもバチは当たらないだろう。

 

 

 

──不意に目が覚めたら、其処は地獄もかくやという光景だった。

 

『またこの景色か……』

 

 神殿の床で寝て以来、見る悪夢だ。

原因は分かってる。あの怨霊カナッサ星人の拳の影響だろう。

 元は自然豊かな星だったのだろうが、今やそんな面影はまるでない。ひび割れた大地、干上がった海、独特な形をしているが枯れ果てた木々。

 そして、夥しい数の倒れ伏す緑色の肌を持った触覚のある宇宙人。

 

『ここは…ナメック星、なんだよな?』

 

 アニメで散々観たけど、ここまで荒廃した様子はなかった筈。

悟空とフリーザが戦って最終的に滅びたけど、過去にこんな出来事があったのか?

 視点は俺の意思と反してどんどん移動していく。

そしてこの荒廃の原因を知った。

 目の前に鎮座した巨大な樹木。その枝に揺れる怪しげな魅力を放つ熟れた果実。間違いない。

 

『神精樹の木が何であるんだ…。実は俺が持っていたはずなのに……』

 

 動揺する俺を他所に場面は更に切り替わる。

視界が砂嵐で一寸先も見えない。どうやら此処は違う星らしい。

 そして視界が一定のままである事から、今回は俺が自由に動けるタイプのようだ。移動しようとしたら足に何かが当たった。

 視界を凝らしてみると何か人が倒れているようだ。全体的に赤み掛かった体色の宇宙人で、ポニーテールみたいな髪型の大型の筋骨隆々の男だ。

その人物を見て俺は驚愕した。

 

『お、お前はクラッシャー軍団のアモンド⁉︎…まさか!』

 

 そう思い周りを見ると、更に似た様に倒れた奴等が転がっているのが見えた。

 全員誰か分かる。

其処に倒れていたのはクラッシャー軍団の面々だった。

 

『ど、どういう事だ。何が起きたんだ⁉︎』

 

 全員白目を剥いて生き絶えている。

着ている戦闘スーツが見るも無惨な状態になってる様子から、それをやってのけるとてつもない相手が居たのだろう。

 

『フフフフ……』

 

『⁉︎その声は!』

 

不意に響いてきた笑い声、砂嵐の奥に何かが見えた。丸みを帯びた恐竜を人型にしたようなそのシルエットに見覚えがあった。

 

『フリーザァァァァ!』

 

 ここでヤツとやり合うのか。環境が良くないとか贅沢は言ってられない。

やるしかない。

 構えようとした俺の視界がフラッシュバックし、轟音と共に辺り一面が崩壊していく。星の崩壊は止まらない。

それから逃れられるはずも無く、俺も名を知りもしない星と運命を共にするのか。

 その時ふと、視点がどんどんと上がっていき、俯瞰した物の見方になり、第三者の視点で自分の姿を自分で見ることになる。

惑星崩壊を前に俺の顔は充足感に満ちた表情を浮かべていた──

 

「……夢か」

 

 と言うところで、目が覚めた。

もう何度目かになる最悪の寝起きに溜め息が出る。自身の死亡オチの夢なんて誰が見ても最悪に決まってるがな。

 ナメック星に神精樹の木が植えられているのは何故か分からないがまぁとりあえず理解はできる、ただ最後の星は一体何処なんだ。

 アニメでも観たことあるような、ないような。

そこで俺とフリーザがやり合うのか。

 …けど今の俺は地球から出る気ないんだけど?

勝てる見込みもまだ付いてないのに。

 

「寝起きに何難しい顔してるんだ、ターレス?ほらよ、水だ」

 

「……あぁ悪いな」

 

 夢見が悪く寝起きも最悪な所に、ランチが持ってきてくれた水を受け取る。

……あれから数ヵ月。ホテルから一軒家に居を移した。一箇所に留まった方がいいと考えるようになった。理由と言ってはなんだが、生活を共にするものができたからだ。なんやかんやでランチと過ごし一緒に飲んだりヤったりして、このままずっと一緒になる流れになってきてる。勿論鍛錬も怠ってないし、Z戦士の面々と関係者とも顔合わせを果たした(天津飯と顔を合わせるのがなんとなく気不味かった)。

 各人一回は「悟空⁉︎し、死んだ筈じゃ⁉︎」みたいなリアクションをしてくれるのが面白かったな。意外にもチチが言わなかったのが驚きだったが。

 ランチとこのまま別々になる事もできた。だがしなかった。

というのも、ランチがくしゃみをして黒髪ランチに戻った時があったのだが…

 

『あら、私一体何を?』

 

『ラ、ランチ?』

 

『?あら、悟空さん?イメチェンされました?』

 

 二重人格なのは知ってはいたが、本当に目の前で見ると信じられないな。

改めて自己紹介して、これまでの経緯を説明した。

黙って素直に聞いていたランチだったが話が終わると荷物をまとめ始めて、そのまま出て行こうとした。

 

『それじゃ、お世話になりました』

 

 鞄一つ程度の荷物を持って、お辞儀をして出て行こうとした。

 少し理解が遅れて、そのまま見送りそうになってしまったが慌てて止めた。

本人はキョトンとした顔をして訳が分からなさそうだったが、それはこちらもだ。

 

『おい待て、何で出て行こうとしてるんだ⁉︎』

 

『いえ、ワタシの都合でご迷惑をお掛けしたみたいですし、カメハウスに行こうかなと』

 

 確かに黒髪ランチからしたら、俺なんて今日初めましてで出会った他人なのだろう。

だが、一緒にいた期間が僅かとはいえ、情が移ってしまったのだろう。その時の俺は【バーダック】とも【ターレス】とも取れぬ、我ながららしくないことをしたと思っている。

 出て行こうとするランチを抱き寄せて、俺は言った。

 

『いいか!お前の居場所はこれから死ぬまで俺の隣だけだ、嫌だと言っても絶対放してやらないからな』

 

 そういうと耳元で小さく『へくちっ』と聞こえたかと思うと、金髪ランチに戻った。

そのままニヤリと笑って此方に鯖折りとをせんとばかりに抱き返してきた。

 

『……死んでも放すかよ。逃げられると思うな、オレから逃げたらどこへ行こうが、それこそたとえ地獄の底まで着いていってやるからな』

 

…後で聞いて知ったのだが、入れ替わる数秒前迄の記憶が稀に共有される事もあるらしい。確かに自分の名前とか大事な事知らないと生きていけないもんな、と納得した。

 ベジータや悟空、そしてバーダックにも相手が居たように俺もいつか相手が出来るのかなまぁ無理かな、とは思っていたがまさかその相手がランチとは。結局気の強い女に惹かれるのか、サイヤ人の血というのは恐ろしい。宇宙を流離っていた頃から考えてこんな風になるなんて思わなかったけどな。

 そう思っていると、ふと上の方向から強い気を感じた。

俺も感じたことのない強大な気だ。もうハゲ(ナッパ)チビ(ベジータ)が来たのか?否いくらなんでも早過ぎる、まだ一年も経ってないのに。俺というイレギュラーの所為でバタフライエフェクトがあるにしても、ここまで大幅な変化があるのか?

 感じる強大な気は一つ。それこそフリーザに匹敵するくらいの悪の気だ。

言い忘れていたがこの体がターレス由来なのかは知らないが、邪悪なモノに対する気配の察知は一級品なのだ。センサーに外れはない。

 悟空の死も変わらなかったし、結局ラディッツも死んだ。今の所は原作通りなんだ。…待てよ?

 

 

「なぁランチ、お前って地震が嫌いか?」

 

「?なんでオレが地震嫌いって知ってるんだ?」

 

──この反応でわかった。

俺がいるこのドラゴンボールワールドは、漫画原作じゃなくてアニメの方だ。

 漫画だと割とすぐに地球にサイヤ人二人が来たように感じるが、アニメだと何週か修行パートがあった。今は完結済みだが、当時は連載中でそのまま放送してたらすぐ追い付いてしまう。その為に何話か尺伸ばしでアニメオリジナルエピソードを挟む必要があった。

 その中でもピッコロや天津飯といった二人の地球人とは思えない(ピッコロはナメック星人だから当たり前だが)規格外の修行の中で、ランチが天津飯のもとに押しかけた時にピッコロの修行の余波で天津飯の拠点が崩れるエピソードがあった。その時の衝撃にランチが怯えてる描写があったから、試しに聞いてみた。漫画原作にはない。だから試しに聞いてみたのだが、俺の推測通りならこの時期に宇宙からやってくる敵は一人、いや一団体と言うべきか。

 今から来る奴らはアニメの番外編、または()()()の敵だ。

そこまで考えた俺は、着ていた寝巻きから急いで戦闘スーツに着替える。

 

「おい、どうしたんだよそんな慌てて着替え始めて。まだ出掛ける時間じゃないぞ?」

 

「ランチ、今すぐカメハウスに向かえ。数人分のコートとかあったかい物を持ってな。もっとも、そこも無事か分からんが。迎えに行く時知らん場所に居られるよりはマシだ」

 

 迎えに行く、と言うのは方便でドラゴンボールを見張って欲しいのが本音だ。

 おそらく今の時期的にドラゴンボールが集中しているのはカメハウスで、敵の狙いは十中八九ドラゴンボールだ。それにブルマがいた場合、レーダーもまとめて奪われることになる。それは避けたい。

 

「ハァ⁉︎何だよ急に、どうしたってんだ⁉︎」

 

「敵だ」

 

「!ってことはサイヤ人か、思ってより早いな!」

 

「いや違う、二人より明らかに多い気配だ…それに強い気配は一人だけだから違う」

 

「んだとぉ?じゃあ誰なんだよ、ソイツは?」

 

「こういうのは大体相場が決まってるだろ?惑星侵略を企む、邪悪な宇宙人さ」

 

 空を飛んで行こうとする俺の腕を掴んで止めるランチ。

 

「なんだよ?」

 

「……オレの事放さないって言ったのに自分からは離れていくのかよ。んなの勝手すぎ─んむぅ⁉︎」

 

 グチグチ文句を連ねるランチの口に、俺自身の唇を重ねて塞ぐ。

頭を掴んで逃げられないようにして、舌も突っ込んでいく。

 最初は急にされて脱れようと踠いていたが、やがて観念したように受け入れた。

 どのくらいしただろうか。

俺の気が済んだので、離れると唾液が糸を引いて二人の間に橋のように架かる。途中で切れて、ランチの胸元に落ちていく。

その光景に少し性欲が掻き立てられるが、その様な場合ではないので自重。

息継ぎ出来なくて呼吸を荒げていたランチだったが、落ち着くと此方をキッと睨み付ける。

 

「何しやがる!」

 

「五月蝿い口を塞いでやったのさ、美味しかったぜランチ」

 

「〜〜〜〜っ!」

 

 そう言って自身の唇を舌で舐める。

最初は恥辱に震えていたランチだったが、暫くするとそれも収まる。

 

「……どうしても行くんだな?」

 

「あぁ、今の地球で戦えるのは俺しかいない」

 

 これは事実だ。

恐らく神とか界王とか上の連中は気づくかもしれないが、基本戦ってどうにかしようとするのは地上の連中だけだ。どうしても、という状況にならないと出張はないというのもあるかもしれないが。

 Z戦士は修行中で怪我をされる訳にも行かない、悟空も同様だ。

悟飯もピッコロと修行中。ならやれるのは俺しかいない。

 死ぬかもしれない。

けど、この状況はまさしく、バーダックRPにもってこいの状況だ。

 援軍もなく、単身で軍勢に挑む。勝てるかどうか…初めから敗色濃厚だったフリーザとフリーザ軍に挑んだ。

 なら俺もそれに倣って、心行くまで暴れてやるだけだ。

今までにない逆境に少し心が踊る俺がいる。

 悟空のよくいう「ワクワクする」とはこういう心境なのだろう。

ニヤリと笑って決意を固める俺を前に、ランチが近付いてきてもう一度キスをする。

 舌を入れないソフトなタイプのキスだ。そしてすぐ離れた。

 

「必ず帰って来いよ、ターレス!死んだら許さねえからな!」

 

 不意打ちのキスに面食らった俺を他所に叱咤激励してくる。

やっぱりお前はいい女だよ、俺には勿体無いくらいな。

 

「…そしたら地獄で一緒に暴れようや」

 

「言ってろ!オレの執念を舐めるなよ!」

 

 ランチに背中を押され俺は助走を取り、飛び立った。

かつてない状況に逸る心を抑えつつ、超スピードで向かう。

 今の自身の実力を測るいい機会だ。

どんな奴でも負ける気がしない。

 

━━この時の俺は知らなかった。

俺という異物が起こしたイレギュラーが、巡り巡ってやがて自身に牙を剥くことに。




 恋愛描写なくランチさん攻略したの納得いかなくて前半パートほぼランチさん描写だったけど感想見るにいらなかったかもなぁ、書きたいこと書けたので個人的には満足ですが。チョロイン化し過ぎたかな?ぶっちゃけ恋愛経験とかないんでこれが限界でした。こうした方が良いよってあるなら何方かアドバイス下さい。
 前話更新してからお気に入りが倍になってて、作者本人はめっちゃビビってました。あと二次創作日間ランキングの方にも入ってましたね、吃驚です。…いや本当にすごいな、何が起きてるんだ(トランクス並感)。
これも一重に読んでくださってる皆様のおかげです。ありがとうございます。次回は本作初めての戦闘パートです。頑張ります。
評価・感想よろしくお願いします。

各話にサブタイトルを付けようかと思ったんですが、この作品のタイトルからして作者にその手のセンスがありません。あった方がいいか無い方がいいか聞きたいと思います。

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