【サンプル掲載】STARLIGHT FANTASY ーそしてアイドルへー   作:感満

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旅立ち

 

 凛ちゃんと加蓮ちゃんが準備をしている。

 

 灰が降ってきたその日から、世界が変わってしまった。

 

 人々はどんどんと消え、街が侵食されていった。

 

 魔物の進攻によって住める場所も減ってきて、護ってきたここももう保てなくなってしまっていました。

 

 

 

「だから、落ち着きなさい奈緒」

 

「落ち着けって!? 何を言ってるのかわかっているのか!」

 

 

 

 奈緒ちゃんが加蓮ちゃんに掴みかかりました。

 

 加蓮ちゃんが奈緒ちゃんに伝えたのは、凜ちゃんと二人でここに残って殿をするということでした。

 

 

 

「奈緒だって分かってるでしょう? 誰かがここに残らないと」

 

「だったら……、だったら私だってここに!」

 

「そうしたら、誰がこの世界を元に戻すの?」

 

 

 

 残ろうとする奈緒ちゃんに、凛ちゃんが語りかけています。

 

 奈緒ちゃんも本当は分かっているはずです。

 

 奈緒ちゃんは勇者。魔物と、城を占領した悪魔を倒せる存在。

 

 

 

「奈緒が戦うのはもっと後。ここは私たちに任せて」

 

 

 

 加蓮ちゃんが、奈緒ちゃんの両手を包んで胸へと持っていきます。

 

 凛ちゃんが、後ろから抱き締めました。

 

 

 

「大丈夫、奈緒ならやれるよ」

 

「けど……、二人がいないと私は」

 

 

 

 奈緒ちゃんの表情が歪み、瞳には一筋の涙が伝っていきました。

 

 なんで、離ればなれにならなくちゃいけないんでしょうか。

 

 外から大きな音が聞こえました。

 

 振動が、この建物まで伝わってきます。

 

 もう、この砦も灰にのみ込まれようとしています。

 

 

 

「奈緒はなぁ……」

 

 

 

 苦笑しながら加恋ちゃんは、握っていた手を離して、自分の耳に付いていたイヤリングを外しました。

 

 そして、それを奈緒ちゃんに着けてあげます。

 

 

 

「でも、奈緒だから任せられるんだよ」

 

 

 

 奈緒ちゃんは耐えきれず、加蓮ちゃんに抱きついて泣き初めてしまいました。

 

 後ろから凜ちゃんが、奈緒ちゃんの頭を撫でています。

 

 しばらくその様子を見守っていましたが、部屋のドアがノックされました。

 

 私がドアを開けに行くと、未央ちゃんが部屋に入ってきます。

 

 

 

「やっほーしまむー。そろそろいいかな?」

 

 

 

 笑顔で話しかけてくる未央ちゃん。

 

 私はちゃんと笑顔で返せているでしょうか。

 

 

 

「ごめんなさい未央ちゃん。もうちょっと、待ってくれませんか?」

 

「やっぱり? そうだよねー」

 

 

 

 今の状況でも、未央ちゃんは非常に軽い口調で返事をしてきます。

 

 軋むような大きな音が部屋に響き渡ります。それを聞いた未央ちゃんは、3人に向かって歩み寄りました。

 

 

 

「しぶりん、かれん。もうそろそろヤバそうだよ」

 

「そう? じゃあそろそろ行こうか」

 

 

 

 凜ちゃん、未央ちゃん、加蓮ちゃんが立ち上がります。

 

 これから、3人で魔物たちの足止めをしに行きます。

 

 これで……、お別れなんです。

 

 

 

「ほら、卯月。そんな顔しないで」

 

「そうだよしまむー。しまむーの笑顔が最後に見たいな」

 

 

 

 そうです。笑顔でお別れしなくちゃいけないのに。

 

 

 

「ほらー。奈緒が泣くから卯月ちゃんも泣いちゃったじゃない」

 

 

 

 凜ちゃんと未央ちゃんが抱きしめてくれました。

 

 2人のぬくもりが伝わってきます。

 

 そうです。最後には、笑顔で。

 

 

 

「行ってらっしゃい。凜ちゃん。未央ちゃん」

 

 

 

 今できる。最高の笑顔で。

 

 

 

「そう、そうだよしまむー。じゃあお二方、行きましょうか。今日だけのピンチヒッター未央ちゃんが最高のTriad Primusを更新しちゃいましょう!」

 

「行こう。未来を作りに」

 

「じゃあね、奈緒。……大好きだよ」

 

 

 

 3人が部屋を出ていきました。

 

 私は、脱出の準備をしていた荷物を纏めます。

 

 遅れて、窓の外に大きな、とても大きなトライアングルが立ち上ってきました。

 

 3人が使った魔法『TrinityField』が周りの魔物を一ヶ所に集中させます。

 

 魔物たちが群がって、三角錐になった魔法をのみこんでいきます。

 

 

 

「奈緒ちゃん。行きましょう」

 

 

 

 窓にしがみついてその様子を見ていた奈緒ちゃんに声をかけます。

 

 呼びかけられた奈緒ちゃんが、腕で涙をぬぐって剣と荷物を持ちました。

 

 振り返った奈緒ちゃんの目には、とても力強い光が宿っていました。

 

 

 

「行こう、卯月。仲間を探しに。あいつらを倒せる仲間を集めて、あいつらに自慢してやるんだ。こんなにいい世界になったって」

 

「はい!行きましょう奈緒ちゃん!」

 

 

 

 出来る限りの大きな声で返事をします。

 

 そして、私達の旅が始まりました。

 

 奈緒ちゃんは勇者として、魔物を倒しながら仲間を探します。

 

 私は、いつまでも笑顔を忘れずに歌って踊り続けます。

 

 皆のアイドルであるために。皆とアイドルであるために。 




アイマスエキスポに出展します。
12/15(日)DAY2 E-3a
販促サンプルとして掲載される小説の一部を載せております。
詳細は以下活動報告にて
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=320671&uid=9491
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