宇田川あこちゃん以外の友達がいない、
東雲千尋ちゃん。
あこちゃんがいないためか、
千尋ちゃんは、退屈そうに、空を見上げていた。
それを見ていた、藤咲七海ちゃん。
彼女から声を掛けた。
(千尋ちゃん、あこちゃんがいない時は、
元気を無くしているみたい…
でも、同じクラスメイトだし!
あたしも、千尋ちゃんを支えないと!)
東雲千尋はボーカル担当
藤咲七海はベース担当である。
七海は千尋に話しかけた。
「おーい!千尋ちゃーん!」
「藤咲さん…?」
「あたしのことは、七海とか、
七海ちゃんでいいよ?」
「う、うん…七海ちゃん…?
どうかしたの?」
「千尋ちゃん、あたしね、同じバンドの仲間として、
色々、知りたい!」
「そう言われても…」
「答えられる範囲でいいから、
質問していい?」
「うん、わかった」
「それじゃあ…最初の質問ね!
好きな食べ物は?」
「クレープやドーナツ」
「甘党だね!
それじゃあ、嫌いな食べ物は?」
「ピーマンが嫌い…」
「大人しい割には、やっぱり、幼い部分があるんだ~」
「ほっといてよ…」
「ごめんごめん!
聖歌隊に入ったきっかけとかある?」
「聖歌隊は、最初、お母さんの勧めで、
やってみて、あこちゃんからも、
褒められちゃって…それで、頑張ったんだ、お歌」
「天使の歌声って言われているんね!
実は毎回、癒されているんだ。
千尋ちゃんの歌声!」
「褒めすぎだよ…七海ちゃん…」
「う、うん…ごめんね?」
「…」
(ダメだ、もうネタ切れだ。
頭の中で、思いつくことは沢山あっても、
話のテンポが進まない…考えろ…考えるんだ…あたし…)
「えっと…千尋ちゃんって、カワイイね?」
(何言ってんだ、あたし)
「からかっているの…?」
(そりゃ、そーなるよね…あー中学の時まで不登校だった、あたしだから、
人との接し方や関りとか、ほとんど、忘れちゃった…)
「そ、そういう訳じゃなくて…
その…小柄で容姿も可愛らしくて、
可愛い声しているし…その…
羨ましいって言うか…」
「…」
「えっと…無理に、すぐ仲良くする事は…
ないのかな…?」
(焦るな…あたし…)
「…!」
「千尋ちゃん?
あっ、そうだ!クレープ奢ってあげる!」
「いいの?」
と、千尋が首を傾げる。
「ドーナツも、奢ってあげる!」
「本当に?」
「本当にホント!
だから、千尋ちゃんと打ち解けたいです!」
「うん…」
「じゃあ!また明日!学校で会おうね!バイバイ!」
と、千尋は小さく手を振った。
千尋に手を振った、
あたしは、奢るための用意をするべく、自宅に帰っていくのだった。