私の心に光を当てたなら   作:アッシュクフォルダー

12 / 12
第十二話 笑顔の意味を教えてください

市津菜月は、奥沢美咲に対して、こういう言葉を投げ掛ける。

 

「美咲さん」

 

「どーかしたの?菜月?」

 

「笑顔の意味を教えてください」

 

「はぁ?」

 

「あれだけ、こころやこころに笑え、笑えで、

本当にうるさいのです」

 

「それでか…うーん。でも、こころやはぐみは、

間違った使い方をしていないと思っている」

 

「そうですか」

 

「変な意味で変な時に使ったら、誰かを傷つける可能性もある」

 

「思っていた通りだ…」

 

「菜月は、どう思っているの?」

 

「笑って誰かが傷つける傾向を、どこかで見たことがあって」

 

「えっ?」

 

「笑って、笑顔になって、それも何も考えず。

或いは逆撫でして。嫌気を感じたことが何度もあった。

人の事を何も考えずに、これだから…」

 

「こころやはぐみのことを言っているの?」

 

「いえ、昔、会っていた人が、そういう人で、それを思い出したから。

それも、4人いた」

 

「4人!?」

 

「喋り過ぎた」

 

「…わかった。無理に言わなくてもいいからね…」

 

「…ありがとう」

 

「菜月の口から、その言葉が出るなんて、珍しいな…」

 

「お前。からかっているのか?」

 

「あーごめん。ごめん…」

 

「私は、どこで間違えた?」

 

「えっ?ひょっとして、悩んでいるとか?」

 

「いくら、悩んでも解決は出来ない。

答えを探すだけだ。解決しがたい時もあるが」

 

「意外と行動派…!」

 

「こころやはぐみに影響を受け過ぎたか」

 

「アハハ…あの二人と、薫さんもだけど、

あの三人はね…うん」

 

「こころやはぐみに、同じことを言ったら、

伝えたら、承知しない」

 

「わかった。今の事は絶対に言わないから」

 

菜月は若干、笑った。

 

(今、菜月、一瞬、笑った…?)

 

 

どういう訳か、菜月は花音に出会う。

 

「菜月ちゃん。どうかしたの?」

 

「笑顔の意味を教えてください」

 

「えっ?うーん、そうだね…」

 

と、花音が考え込む。

 

「菜月ちゃんは、何をした時に笑う?」

 

「考えたことはありませんし、感じたこともありません」

 

「私はね、千聖ちゃんと一緒に暮らしているけど、

その時が一番幸せ。私は千聖ちゃんとケッコンする約束をしているの」

 

「はぁ?」

 

と、菜月は唖然する。

 

「菜月ちゃんも、誰かといて、笑える人がいると思う。

美咲ちゃんとか!」

 

「美咲…まさかな…」

 

「美咲ちゃんが聞いたら、泣いちゃうよ?」

 

「美咲…笑顔…じゃあ、私は一体…」

 

「すぐには、答えは出てこないし、解決は出来ないから、

菜月ちゃんも、そこまで深く考えなくても、

いいんじゃないかな?」

 

「そうか…まさかな…」

 

「ごめんね…何か変なこと言っちゃって…」

 

「私も十分に変だと感じました…」

 

「菜月ちゃんは変じゃない」

 

「それなら、良いが…」

 

菜月は、その場を立ち去った。

結局、笑顔の意味は分からず仕舞いである。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。