私の心に光を当てたなら   作:アッシュクフォルダー

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第五話 菜月の父親

あるアパートの一室。

203号室 市津家にて、

そこには、父である、市津彰と菜月自身の、

二人暮らし。父子家庭である。

 

菜月の両親は六歳の時に離婚している。

 

市津家は、生活貧困層である。

 

今日は日曜日。毎週の父と子の会話は欠かせない。

 

「菜月、友達出来たか?

最近、笑うようになって、お父さんは、嬉しいよ」

 

「そうですか。

友達…って言うよりは、話し相手です」

 

「そうか、話せているか」

 

「話せています」

 

「変わったことは?」

 

「ありません」

 

「そうか。

じゃあ、困ったことは?」

 

「クラスメイトがうるさいくらいです。

でも、不思議と嫌になったこと、

最近、ありません」

 

「そうか」

 

「菜月、学校を卒業したら、どうするんだ?」

 

「就職がしたいです」

 

「そうか、じゃあ、お父さんも、

就職先を探すから、頑張るんだぞ」

 

「あるんです、就職先が」

 

「菜月、自分で見つけたのか?」

 

「というよりは、うるさい友達…

こころって奴が、メイドとして、

雇うって、言い出して…」

 

「菜月は、家事手伝いをしてくれるからな」

 

「はい」

 

「お父さんは嬉しいよ。

菜月が、立派に、育ってくれて」

 

「そう…ですか」

 

「ごめんな、菜月。

お父さんは、何もしてくれなくて」

 

「そんなことありません。

お父さんは、私に愛情を注いでくれましたから」

 

「そう言ってくれると、嬉しいよ」

 

「お父さんは、私の事を第一に思ってくれるから。

それに、嫌な時でも、優しく接してくれて、

ありがとう」

 

と、菜月は、微笑んだ。

 

「菜月…まさか、菜月の口から、

そんな言葉が出てくるなんて…」

 

「こころって奴に、笑顔の意味を、

教わって…」

 

「そうか、こころって子には、感謝しないとな」

 

「はい」

 

「菜月、もう、そろそろ、夕ご飯だ。

お父さんが作ってやる」

 

「ご飯と味噌汁、たくあんがいい」

 

「わかった、作ってやる。

菜月の好物だからな」

 

「はい」

 

父の彰と娘の菜月は、

ちゃぶ台に、食卓を並べて、夕ご飯を食べた。

 

その後。

 

「菜月、お父さんは、喜びに満ち溢れているよ。

菜月に友達や話せる相手がいて、

それに、立派に育って、嬉しいよ」

 

「ありがとう、父さん」

 

と、菜月は少し照れながら、そう言った。

 

「お父さんも、頑張るよ」

 

市津彰は、現在、45歳。

神奈川県出身。

菜月が2歳の時に、妻と離婚して、

菜月と共に、東京に上京した。

 

上京後、公営住宅で、娘の菜月と二人暮らしている。

 

菜月曰く

 

(私のことを思って接してくれる父親にして、唯一、信頼できる人)

 

 

職業は、イタリアンレストランで、

アルバイトしながら、風俗ライターをしている。

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