それは、初代CRYCHICが事実上の解散になった直後の話。
椎名未希は妹の椎名立希が所属する、初代CRYCHICの大ファンだった。
(たった、一回のライブで、大ファンになったらしいが)
「バンド、解散しちゃったの!?」
と、立希の発言に未希は、驚きを隠せなかった。
「うん。祥子が無責任に何も言わずに辞めたから、
身勝手に。それに、睦も」
「ライブすごくよかったのに…」
と、後ろめたさを、未希は感じた。
「でも!お姉ちゃん、出来ること以上の事をしたいから!」
「いらないから」
「うぅ…そんなこと言われても…」
たった数ヶ月で解散してしまった、初代CRYCHIC。
こうして、未希はCRYCHICを復活させたい気持ちで、
自ら、二代目のCRYCHICを結成することになった。
(私が、お姉ちゃんが助けてあげないと!
可能性と才能があるって、私は信じているから!)
と、未希は感じるのだった。
自分はドラムだとして、ライブハウスで、
メンバーを集めていた。
そして、ボーカル不在の中、二代目のCRYCHICを
結成するのだった。
「私達、結成したのは良いけど、
でも、曲が無いからな…」
「ボーカル不在のバンドからな…」
と、練習だけする日々を送りつつ、
白宮円香が見つかるまでは、ボーカルを探していた。
「見つけた!この子なら!みんなを幸せな気持ちになって、
笑顔になれる!」
と、未希は一目惚れに近い感情になっていた。
こうして、白宮円香は椎名未希からのスカウトを受けて、
バンドに加入。二代目CRYCHICが稼働した。
椎名未希は、22歳ではあるが、夜間定時制高校の一年生である。
公立の中学卒業したが、精神的な病気に侵されており、
成績の悪さもあってか、全日制高校に進学が出来なかった。
決めつけとして、妹の真希や立希が優秀であることに、
密かなコンプレックスを抱きつつ、憧れを抱いていた。
その後、精神的な病気を治すべく、大学の進学を目的に、
学力の低さもあって、夜間定時制高校に仕方がなく、進学した。
知的や勉強、さらには運動神経も、
下の下と言ってもいいくらいである。
能力の異常な低さと、努力が出来ない自分に、
苛立ちが隠しきれなかった。
そして、未希の悩みの種は、他にもあった。
それは、妹達との、すれ違いで不仲になってしまい、
姉は妹達との関係を修復したい気持ちでたくさんだった。
手初めてに、6歳年下の妹である、椎名立希から、
ドラムを教わる日々を送っているが、
立希の教え方は…立希自体が、満更なく、愛想も無いようだ。