ー異世界への侵略者ー地球を侵略しにきたエスパー宇宙人、死して異世界へと転生する。超能力?何それ?強すぎ!! 作:ゼリアサイ8世
ミリタリアの名乗りからあまり時間は置かず、俺とミリタリアの二人ですんなりと部屋を出る。クライア達へあれこれ聞くのをやめてそうするのは、ミリタリアがリオレス王国最強の『
ミリタリアも俺を襲ってきた王道十二星騎士という枠組みの一人なのにクライアが妙に信用していたのは、先程までの王様達の扱いを鑑みてのことだろうな。
かくして俺とミリタリアは歩み始めたわけだ。王様達はミリタリアやクライア達と話している間に既に移動してしまっていたが、ミリタリアがどの部屋で待っているのかを知っているようで彼女の案内に従い、その部屋へと向かう。
「ちょっと気になるんだが、『
部屋までの道のりで俺はそうミリタリアに問いかける。
「ん〜そうね、、、まぁ他の王道十二星騎士が全員同時にかかって来ても勝てるぐらいには強いんじゃない」
何だって?俺はそれは幾ら何でも強すぎないか。 と思ってしまう。
正直嘘だと思いたい。事の真偽を確かめるためにテレパシーを使いたくなる。でもミリタリア相手には先程からテレパシー効かないんだよな。さっきから二、三回使ったけど一回も成功した試しがない。この特異性を鑑みるとミリタリアの強者っぷりに対する説得力が増しはするが。
「その顔、、嘘ついてんじゃねよガキ、殺すぞ!とか思ってるね。いや、この場合は嘘だと思いたいの方が正しいのかな。まぁでも残念ながら嘘じゃないんだな〜、、これが」
自信満々な表情のミリタリア。彼女の容姿は非常に愛くるしいのと同時にやはり何か引き寄せられるものがあった。そして一応訂正しておくが俺は別にミリタリアに対してそこまで酷いこと考えてないからな。
「わかったよ。とりあえず信じる。でもだとしたらミリタリアの魔法は何なんだよ?そこまで強いのは流石に魔法が理由なんだろ?」
俺がそう問うとミリタリアは少し顎に手を当て、考えを巡らすために立ち止まる。そして二秒ほど考えた後その口を開き始める。
「教えてあげてもいいにはいいんだけどね。
「ごめんね」
ミリタリアはは俺の方を向き、片目を閉じウィンクしながらそう口にした。その後再び歩き始めるので俺はそれに黙ってついていく。
ミリタリアの理由は尤もであるため、俺はこのこと納得し、特に反発することはない。
「でもまぁ、ほんの少し、雀の涙の千分の一程度なら教えてあげましょう」
「
魔法の概要すら分からない魔法の規模の話などをしてくれるミリタリア。だが俺はこの説明に少し違和感があった。魔法によって大陸を破壊する。
ここに対してもどれだけの威力だよ。と、そこだけでも十分ツッコミどころ満載なのだが、今回に限ってはそこは置いておく。
俺が気になったのは魔法によって魔力切れが起こらないという部分だ。通常魔法を使う事で魔力は消費される。なので魔法を使うことで魔力切れが起きないとはどう考えてもおかしい。
もしそれが本当だとするならの仮説はいくつかある。一つは魔法を行使することによって魔力が回復する可能性。例えば他の人から魔力を吸収するとかだな。もう一つ仮説はある。それは魔法による魔力消費が0あるいは限りなく0に近い場合だな。
0の場合はそもそも魔力消費しないので魔力切れは起きないということ。限りなく0とは魔力を消費する量が普段の魔力の自然回復の量より少ないため、結果として魔力を消費しないということだ。
正直この二つのどちらかだと思うが、これ以上の詮索はミリタリアを不快にさせる可能性もある。
そもそもこちらの答える必要もない疑問に仕方なく答えてもらった訳なのでこれ以上は良くないだろう。
そんなことを考えていると、
「
ミリタリアの言っていることの意味するところはつまり俺の超能力のことを語れということだろうが、
「ん?あぁ〜あれか。まぁ俺の魔法なん「嘘」
俺は超能力のことは依然として明かす気はなかったので魔法という説明で切り抜けようとするつもりだった。何故明かさいのかといえばこれも今までと変わらず超能力に対するこの世界の対応が分かり切らないからだ。
だというのに俺の切り抜けるための嘘は『嘘』であると見破られてしまった。
「いや、嘘じゃ「嘘だよ」
そう強く断じるミリタリア。ここまで断言するということはそれなりに根拠があってのことだろう。しかしその根拠がわからない。俺の持ってる情報でそれを判断するのは難しそうだ。
「どうしてそこまで自信があるのかって〜?まぁそれは偏に
相変わらず意気揚々としているミラタリアは人差し指を立てた腕を前に出しながらそう口にする。
「
ようやく俺との会話にこの人も慣れてきたのか先ほどまで以上に気分が乗って意気揚々と発言をし続けるミリタリア。
どうやら俺の疑問は彼女に簡単に見破られてしまったみたいだった。
「いいのか?魔法に関しては隠してただろう」
「ふっ!魔法に関しては
そんなことをいちいち動きながら口にするミリタリア。その仕草に可愛らしい以上の意味があるのだろうか?あとワトソン使う時にちゃんで呼ぶやついないだろ。そんなことを考えながらも疑問を口にする。
「ってことは魔法については王様達もほとんど知らないのか?」
「いや、知ってることも多かったりするんだけど、知らない部分も多いって感じかな。まぁ隠してる理由に関しては正直
「とにかく、
ふむ、なるほど。つまりミリタリアが俺の魔法だという嘘を見抜いたのはその魔眼が俺の超能力を捉え、魔法ではない何かだと認識したからということか。
おそらく、俺が最初透視で見ていたのに気づいたのもこの魔眼のおかげなのだろう。ミリタリアの言う視野の広いとは特定の空間内を全て把握できるといった具合か?
「今の説明で何で嘘と見抜いたのかは分かった。そこまで言われたらこっちも話さざるおえないか」
流石に相手にここまで明かしてもらっておいて今更、残念でした言いませ〜んイェーイ超エキサイティングとかミリタリア節を効かせて言ったら流石に殺される。
まぁ仮に魔眼の内容を明かしてもらわなくても嘘がバレた時点でこの子が怖いから、言わないという選択肢はもうないようなものだったが。
「俺の力は「待って!」
俺が詳細を話そうとするとミリタリアは止めてきた。
「そこらへんの話は王様と一緒に説明して。部屋はもうここだから」
どうやらもう目的の部屋の前だったようで、ミリタリアは効率を考えてかそう口にする。俺としてはミリタリアはともかく王様達に超能力を話すつもりはなかったのだが。まぁミリタリアが一応王様の部下であるという関係性である以上、それがどれだけ意味のある行為なのかは怪しいところだが。
しかし思ったよりも王達が待っている部屋は遠くて時間がかかったが、そのおかげでミリタリアと長い間話せたのである意味幸運ではあった。俺の中で色々と整理がついたことがあった。
そして俺はミリタリアが扉を開けるのを待つ。少ししてついにその扉は開かれ、部屋の中の景色が視界に飛び込んでくる。
部屋の中はそこそこ広く、中央には大きめなテーブルがあり、その両サイドにソファがあった。
片方のソファには王様が座っていて、そのソファの両隣にタラバとセコンドが佇んでいる。彼らがいたのは扉がある方から遠い方のソファであり、ドアを開けると同時に目が合ってしまう。
「来たか。こちらが決めた会合とはいえ、俺をここまで待たせるとはな。不敬であると知れよ」
「そうやってすぐに偉そうな態度を取るから、王様が嫌われてるって分かってます?まぁやめろと言っても聞かないバカでしょうけど」
そう煽るのは誰か?
まぁ俺ではないのだから、どう考えてもミリタリアである。彼女と王様は水と油のようで、合うと必ず口喧嘩に発展するみたいだ。まだ二回目ぐらいだが既にそれを察せてしまうぐらいに彼らの性格の相性は悪そうだ。
それは置いておいて確かに随分と待たせてしまったのは事実だから謝ろうと思いながら、俺とミリタリアは王達の向かい合う位置になるソファに座る。早速謝ろうとしたとき、それよりも早く王様がミリタリアの先程の言葉に反応を示す。
「貴様の発言についてだが皆に嫌厭されるのも、阿呆と思われているのも全て貴様のことだ。自身のことを他に当てはめて愚弄するなど最も惨めな行為だと知るが良い。まぁ阿呆故にそれができるかは知らんがな」
うわ、中々にきついこと言うな。
言ったこと倍にして返してくるじゃん。俺でもここまで言わないぞ。
「あ〜むかつくむかつく。マジで死ね。まぁもう話進まなくなるしいいや。王様、さっさと話を始めよう」
怒るミリタリアは何とかその感情を抑え込み、話を進めようとするも、
「待て貴様。どこまで馬鹿なのだ。その横におる者が王に詫びようとしているのが分からんのか?」
俺が謝ろうとしていたことを見事に言い当てる王様。俺はちょうどいい前振りがやって来たと思い、謝罪を口にしようとする。
「あ!そうでございます王様。遅れてしまい誠に申し訳ございません」
敬意を示しながら謝る俺だったが、それを聞いてミリタリアが、
「そんなに畏まらなくていいのにクリューソス。元々悪いのはあっちなんだし。それに王道十二星騎士の中でもこの王様に気を使っている人なんていないんだから」
「それは貴様らが単純に不敬なだけで、しなくてよいとはならんぞ。とはいえ、俺は敬語の有無はさして気にせんのは事実だ。貴様も無理にしてまで行う必要はない。見たところそういった事が苦手な人間だろう?」
この人は本当に見る目がすごいな。これが王様というものか。ミューザリア星の王とは全然違うな。
「そう、、、か。それは正直助かる」
早速口調を変える俺を見て、特に何か反応も見せることもなく、王様は喋りだす。
「ふん。気にするな。別に無理にくだけろと言うつもりもない。貴様の好きなように話せという話だ。下手な敬いは其奴の人柄を隠す。それならば多少の不敬は許そう。俺は偽りの奴ではなく、本物の奴と語り合いたいのでな」
王様は敬語をやめろというわけでもないらしく、それは正直ありがたかった。どうしても王様に敬語を外すというのは気が気でなかったりするからな。
王様はそんなホッとする俺の様子を見てからさらに口を開く。
「それは、そうと先程の謝罪は不要だ。不敬であると知れとは言ったが大方そこの阿呆の仕業だろう。ここに連れてくるという任務すら簡単にこなせんとはいよいよ使い所が厳しいな」
またもやミリタリアを馬鹿にする王様だったが、まぁ確かに言ってる事自体は筋が通っている。しかし遅れたのには俺にも原因があるのでミリタリアには申し訳なく感じる。
「あの、流石にそろそろ進めへん、話。僕とセコンドはええとして、王様まだ名乗ってすらおらへんやろ」
そう進言するのはタラバだ。確かにずっと王様とミリタリアの口論になりそうな雰囲気すらあったのでこれは助かった。
「わかっておるガザラグドよ。では話をしようか」
王様はそこで一息つき、一拍置いてから話し始める。
「まずは奴の言う通り俺の事からだ。俺はこの国リオレス王国の四十代目の王、サルテンツ・リオレス・リオレスだ。今回話したいのは我々が何故貴様を襲ったのか。その説明と貴様のその特異性についてだ。魔法でも魔術でもましてや魔眼などでもないその特殊な力について詳しく知りたい」
「「分かりました」〜!答えちゃいなよS、T、
何故王の名前にリオレスが二つ?と思いつつも俺は了承の返事をする。重ねてミリタリアも勝手に返答した上にくだらん呼びかけをしたのは毎度の如く無視する。そうしているとミリタリアが声をかけてくる。何だ?文句か?
「クリューソス、君がどれだけ不利な立場になっても
ミリタリアの話す内容は文句ではなく、俺を宥めるようなものだった。そう言ってくれて俺の心はどこかほぐれる。正直この
そして、そんなミリタリアの台詞から少しして王様が話し始める。
「貴様の特異性について話す前にこちらの話だ。まず俺は初め、貴様を娘に合わせようと貴様を王都に招待したわけだが、その時点ではそれは本心であった。決して貴様をはめるためではない。だが、その時だったのだ『予言者』が予言を告げてきた。正確に言えばガザラグドをそちらへ送り込む直前だな。予言の内容はこうだ【五つの周り、異世界への侵略なり】」
王様の話す内容は完全に俺の予想外で、予言なんて論理性のかけらもない話であった。
そしてその予言の【五つの周り】とは俺が五歳なことだろう。少なくとも王様はそう解釈したのだろう。そして続く【侵略】という部分は俺としては心当たりがないことはない。むしろ俺に関連深い語と言えるだろう。とはいえ、やはり思うところがある。
俺はミリタリアが言ってくれたように何も恐れることなく口にする。
「たったこれだけ!?たったこれだけであそこまでやったのか!?」
「そうだ。ガザラグドを送る直前に紡がれた予言であることと、五という数字の貴様との関連性。さらに言えば貴様の神童ぶりを鑑みて嫌な予感を俺も感じとってしまった。そして貴様には知る由もないが『予言者』の予言はこれまでに外れたことがない。事前に対応した場合を除いてな。俺としても事が確定する前に行動を起こすのは如何なものかと思わなくはないが、結果がものをいう世界でもある。そして奴は見事にそれを証明しているのでな。信じざるおえん。とはいえ、流石に殺すことはできん。ので、星騎士を二人送り込み確実に捕えるようにしたのだが、、、まさかそれを破るとはな。見事、、実に見事だが疑惑はさらに深まった。ただの少年が国最強の十二人とされる王道十二星騎士を二人だ。はっきり言うが偉業などだと言う前にあり得ないことだ」
そう言うと王様はまた一息つく。僅かな、それでいて奇妙な間ができる。そんな空気の中、睨みを効かせるような表情で王様は口にする。それは嘘は許さないと暗に伝えていた。
「改めて問おう、貴様は一体何者だ?」
王様は俺にそう言ってくる訳だが、、、
俺が何者か?
その問いは俺自身どう答えればいいか分からない。異世界からの転生者ですと言うのか?あるいはミューザリア星から来たとかいうのか。予言では俺は侵略者として扱われている。だとするなら地球にああしたことまで言うべきではないのだろうが、それを本当に隠していいのか。早々と結論は出ない。
「悩んでいるな」
そう投げかけてくるのは王様だ。
「大方想像はついている。貴様は転生者であろう」
転生者である事実すら見抜かれ、俺は驚きを隠せず目を見開く。そんな俺の様子を見て、王様はそのことについてさらに詳しく話し始める。
「何、転生者が生まれるのは初ではない。事例は確かに少ないがこの国の文献でもかつて二度ほど異世界人に関する記述がある」
王様はそのように説明してくれ、俺は特に何かそれに引っかかることはなかったが、タラバの方が引っかかりを覚えたようで口を開く。
「王様王様、転生者ってなんなん。
エーテライト?確かそれは、、、
「エーテライトの転生とは、大きく異なる。この場合の転生者とは予言での文字通り、異世界からの転生者のことを指す」
「その異世界っていうんが分からんねん」
「異世界というのは文字通りここルミナとは違う世界のことだ。聞く話によればその世界では太陽や月意外にも様々な星があるらしいが、貴様の世界はそんな世界で合っているか?」
この疑問は先程まで話していたタラバに対してではなく俺に対してだろう。俺がその疑問に答えようとするが、それよりも早くタラバが割り込んでくる。
「へぇクリューそんなおもろい世界におったんや。ますます面白なってきたな。クリューの世界のこともっと話してや」
まだ返事もしていないのに、さもそれが確定したかのように話すタラバ。勝手に割り込むな、と俺は僅かに腹を立てる。
「ラバダ、、それ以上の発言は慎め。ここは王とクリューソス様の話の場だ。お前が出る場は本来ない。私たちの役目は話に必要な情報を提供するのと、話を脱線しすぎないようにすることだ。お前が逸らしてどうする」
そうタラバを諌めることを口にするのはずっと黙り込んでいたセコンドだ。セコンドはその発言をすると再び黙り込む。
「まぁ確かにそりゃそやわ。悪かったなクリュー、王様。話し続けてくれや。もう口挟まんから」
そう言うとセコンド同様にタラバも黙り込む。ミリタリアとは異なり物分かりの良い二人と言える。
「ふむ、こいつらが静かになったところで話を戻そうか。改めて問おう貴様が転生者なのかを」
彼らが黙るのを待っていた王様は彼らが黙ると、すぐさまに王様は俺に今度は何者かではなく、転生者なのかを問う。王様の口ぶりからして既に半分以上、王様の中では俺が転生者であることは確定しているようだ。
まぁ予言に異世界というワードがある以上妥当ではあるか。
「はい、確かにその通りです」
敬語であってもなくてもいいと言われてはいたが、その雰囲気からか俺はかなり硬めな敬語を使ってしまう。
それはそうとなぜ俺が正直にそう答えたかと言えば、単純にどんな言い訳をしても覆すのが難しそうなこと。そしてそれ以上に、この異世界人という情報が俺が隠しておきたいことの全てである誤認させるためだ。
おそらく王様達は超能力について知らない。それどころかザリア人なんてものが存在することすら知らないだろう。今までこの世界で生きてきた知識の中で異世界らしくないものの全ては地球でのものだった。ミューザリア特有の文化や道具の話など一度も出たことがない。
転生したザリア人が超能力を使えなかったり、俺同様に隠そうとし隠し切った可能性は、と少し思案するがやはりないな。ザリア人は出力に差異はあれど、超能力を全員使用することはできる。そしてそんなザリア人が転生してきた中で超能力のことを全員が全員隠し切れる訳がない。
俺でさえ今隠そうとしていたのにバレそうになっているんだ。他のやつができるとは思えない。
ザリア人が俺以外に一人しか転生していないとかならワンチャン隠し切った可能性もあるにはあるが、それは低いように思える。
いずれにせよ超能力についてはまだしも、ミューザリアについてバレるのは面倒にすぎる。だから俺は転生者と言う情報だけで終わらせられるこの返答をした訳だ。
話を戻して、俺の返答を聞いた王様は少し時間を空けてから口にする。
「やはりな。まぁそれは想像通りだ。であれば次の問いへと移ろう」
「貴様の力、ガザラグドやセコンドに行使した力は何だ。魔術や魔法の類ではないのはミリタリアから事前に聞いている」
やはりその問いは来るか。しかし、、、事前に聞いている?ということはミリタリアが俺の力の特異性に気づいたのは先程の透視が原因ではないのか。透視が原因なら事前に言うというのは俺が透視で彼女を見てからその部屋に行くまでの数分だが、この段取りの良さやクライア達に部屋を移すことを決めていたことからして、それなりに前から決めていたことどろう。ということは、もしかしてミリタリア俺たちが戦っている場にいたのか?そういえば戦闘して気絶する最後に何か服のようなものが見えたような〜〜、、、ん〜分かんね。
「さっき話してくれる約束したよねクリューソス。その時の約束を今ここで果たしてもらうだけだよ」
ミリタリアがさっき俺に後で話してくれと言ったのは単に効率のみでなく、これが理由か。既にこの場でそのことを話すのは決定事項だったというわけか。まぁ、ここは下手な嘘は言わずに正直に話すべきだな。
超能力についてこの世界でどう扱われているのか不安だが、言うしかない。おそらくは超能力そのものをどう扱うかというより、未知の力に対してどう扱うかになりそうだけど、さてどうなるか。
「これは、俺が元々の世界に暮らしていたときに使っていた力でな。超能力という。超能力にはいくつか種類があって透視、テレポート、サイコキネシス、テレパシーとかかな。他にもいくつかあるけど、だいたいそんな感じ」
技名だけ言ってもどう言う意味かはわからないと思うが、ひとまずそう口にする。そう言うと王様は少し悩んでから口を開く。
「『撥』というのは何なのだ?」
「『撥』っていうのはサイコキネシスの一種で特定の方向に力を加える超能力のことです。俺を始点としかできないので、遠くにある物を引き寄せるために使うとかはできないって感じ」
「一種、、、ということは他にもあるのだろう?」
「えっと、それは『觸』と言って、体から見えない腕を伸ばすような感覚です。だから仮に遠くのものを引き寄せるなら『撥』ではなく『觸』を使うって感じかな」
「ふむ、おおよそ分かった。他のも順に詳細を語ってゆけ」
それから、俺は指示通りに全ての超能力の説明をした。喉が途中渇きそうになったので遠慮なくそう言ってみたら、王様がセコンドに向かって持ってくるように命じた。かくしてセコンドは出て行った訳だが、俺が超能力についてを全て説明しきる前に帰ってこれはしなかった。
「ふむ、、これで全てか?」
俺に改めて確認する王様に対して当然俺は、
「あぁ、これで間違いない」
随分長く話したのでもう敬語はほとんど出なくなっていた。しかし王様はその返答が不服な様子である。本当にもう何かを隠していることはないはずだが?少なくとも超能力に関しては。
「では一つ聞くが、貴様がセコンドと戦う際にのみ姿が僅かに変わったあれは何だ」
「あぁ!あれか、、すみません。あれは超能力としての一種ではなないので省いてました」
せっかく敬語を使わなくなってきたのに説明しなかったことへの責任感からか、つい敬語に戻ってしまった。
「あれは
今度は敬語をやめて説明する。王様は最初の方に言っていた通り、どちらの喋り方でも特に気にした様子はない。
「ようはサイコキネシスを発生させる粒子を血液の中に入れて体全体に散らばらせる。で、その粒子を使って内側から『撥』を発動する。そうすることでただ地面に力を加えて動く時よりさらに力を加えられるというわけ」
そう言うと、感心した様子を見せる王様。
「なるほどな。その応用の仕方は賞賛に値しよう。それでは重ねて問おう。初めラバダとやり合う際に貴様は体が大人のものになったと聞く。これは何だ?」
「正直な話、俺が一番興味のあるのはこれだ。体を大人にする力など聞いたこともないのでな。これも超能力に類する力ならば貴様固有なものなのだろうが、そうでなければ使えるようにしたいものが数名いる」
「して、、、答えは」
これをどう答えるかは悩みどころだ。この力をちゃんと説明するなら俺を転生させた神である
とはいえどう説明したものか?それを悩んでさっきから時間がかかっていたわけだが、、、これでいくしかないか。
「実はこれも超能力の一種で、、言い忘れてました」
我ながら安易な言い訳になってしまったが王様にとって否定する材料もないだろう。強いていうなら俺が
つまり問題なし。
「嘘だな」
そう強く断じる王様。それには一切の迷いがなく、確信している様子だ。なぜバレたのか?わからない。
まさか王様の魔法?あるいは魔眼?俺の知らない魔術の可能性もあるか。
そんな風な考え事をしているとそれは無意味だと王様は俺に知らせる。
「貴様が今考えていることは手に取るようにわかるが、それは断じて違うと言っておこう。俺が貴様の嘘を見抜いたのは貴様自身がそれを体現していたからだ」
一瞬何を言っているのかと思ったが、そういうことか。この王様が言いたいことを少ししてから理解した。ようは単純に俺の仕草が嘘っぽかったという話だろう。やはり確たる証拠とは足りえないが、それが確信の材料となるのは王たる経験故なのだろう。こうなってしまっては仕方ない。
「わかった。確かに違う。でも本当のことは言いたくない、分かって欲しい」
それを言うと王様は不機嫌になるかと思ったが以外にもそう言ったことはなく、次の発言をする。
「別に構わん。俺に力の詳細全てを語っている王道十二星騎士が少ないように貴様も秘密にしたければ一つぐらいは許そう。俺が知りえぬというのもいざという時の武器足りえる。例えば、俺が拷問されたり、俺がその能力について記載したものが盗まれる、あるいは見られるといったことだけでも世間に知れ渡られる可能性は秘めている。なればこそそれを不敬とはするまいよ」
これは本当に予想外だ。まさかここまでこちらに融通を利かせてくれる王様がいるとは。以前の世界では考えられないことだった。
「まぁ書類関連は知らんけど、拷問されるってことはないと思うで王様。なんてったって僕らがおるからな」
そう横から口を挟むのはタラバの奴だ。さっき口を挟むなと言われていたのに馬鹿なのか?
「ラバダ」
案の定、セコンドがそれを注意する。タラバもそれに『しまった』と思ったのかすぐに引き下がる。
王様はそんなタラバに呆れながらも話を進めようとする。
「貴様のこの場での黙秘を許可する以上、貴様には新たな誓約ができる。今後この国を守る立場になるのならその秘した力を惜しむことなく使え。もちろん必要な場面になればで良い。それまでは立場がどうなっていようと詳細を語る必要もない。だが、いざという時それをしないということは許されないと知れ」
それは王としての器を確かに感じる発言だった。
なるほど、、こりゃ王の素質あるわ。カリスマ性があるというのかな。俺はその王の発言に対して誠意を持って答える。
「分かりました」
それだけ返事して本当の意味で今回の超能力に対する問答は終わったのだ。
「しかしまぁこれで貴様の超能力という謎もおおよそ解けた。では次がこの場での最後の質問だ」
「貴様はこの世界を侵略するつもりがあるのか?」
超能力に関しては終わったが最後の最後、俺からすれば決して軽くない質問がされる。
この問いは先の予言からして当然なものだが、俺はこれに即答出来ずにいた。出来るはずもない。俺の中でそこに対する答えは明白とは言い切れていないからだ。
だがおそらく、、、俺はここを侵略してしまうだろう。地球のときもそうだ。俺はいつだって裏切ってきたのだから。今回だってそうならないはずがなく、それが俺という人間の本性だ。でもそれを正直に答えるなど、、、
数秒の沈黙、、、ようやく俺は答える。
「する気はない。俺は家族を悲しませるような真似はしない」
俺はそう平然と嘘をつく。地球で何度もついた無害な男のフリをした上での嘘は、いくら王様でも簡単に見抜けまい。かつて地球では大切に思っていながらも捨ててしまった家族関係。それを今世もまた俺は大切に思い始めしまっている。
でも裏切る。裏切るしかない。今更裏切らない選択肢は取れない。それはあの日を、あの日々を、あの選択を否定することだ。
それをすればきっと俺は正気を保てない。
『どこまで自己中なんだよ』
そんな自責の言葉が脳の中で鳴り響き続ける。
「それが貴様の答えか。であれば、その結論を経た上でこの国の王たる俺が貴様に正式に謝罪しよう」
王様はそういうとソファから立ち上がり、横にずれて、障害物になり得る物がないところをへと移動する。
すると王様は俺の方を向いて正座する。そしてすぐに頭を下げ手を地面に置く。それは土下座の体制であった。
「安易に予言を信じ、いまだ行動を起こしてもいない貴様を捕える命令を下したこと非を今ここで認め、謝罪しよう」
「すまなかった」
テレパシーを使うまでもなく、それが紛れもない確かな謝罪であると分かった。それはその所作か、あるいは王たる器によるものか、定かではないが俺は確かにそう認識させられたのだ。
そんな賞賛に値する王様に対して俺は、なんて惨めなのだろうな。
王様はまだ頭を下げ続けている。これは必要なことは全て説明したから今ここで王様を許すか許さないかはお前が判断しろということだろう。
王様がしでかしたことは正直に言えば到底許せる物ではない。相当痛い思いした訳だし、でも許してもいいと思えるだけの誠意がこの王にはあったし、その予言は正しい。実際に俺クズだし、殺されるべき人間だ。
それにやっぱり許さないって言った時が普通に怖い。
「わかった。許すよ許す。だから顔を上げてくれ」
心が沈み続ける中、なんとか平静を取り繕いそう宣う。それを聞き王様はすぐに顔を上げ立ち上がると、先程まで座っていた位置に戻り座る。
「おそらく分かってはいようが、今回の件は公にはせぬ、、、いや、公にはできぬ。すまんな。予言に従うのでもないただの加害行為を成したなどと公言するなどどうやってできよう?故に、あまりに多額の賠償金など大々的なものは用意はできないが、詫びとして望むのもはあるか?可能な限りで善処しよう」
王様がそのように言ってくれ、俺は思案する。先程までは色々な可能性を考えそういったお詫びは受け取らない方針でいたが、今王様の人柄を知った身としてはさして受け取ることにデメリットはなく感じてる。となると、なるべく受け取りたいが中々望むものなど思い浮かぶものじゃない。でも一つ答えを出し、それを答える。
「もしよければ、転生者や元の世界に関する情報を教えてもらえませんか?」
俺が求めたのはそれらの情報だった。元々王都に出向こうと考えた理由の一つがこれだ。おそらく王都の図書館でも持っていない情報を持っている可能性がこの人にはあるし、俺としてはお金以上に価値のある話だった。
「なるほど。それで釣り合いきるとも思えんが、貴様がそういうのであればそうなのであろう。承知した。あとでそこら辺は話そう」
「これで此度の件は終わりだ」
それを言われ、どこか今まで思い雰囲気だったのから解放される。肩が軽くなったが、心は船を留める錨の如く沈み込んでいた。
「では次の話に移ろう。これより二日後に俺の
は!?
いやいやこの王様正気か!?許してもらったとはいえ、まだ俺と王女を会わせる気があったのか!?
俺は先程までの暗い気持ちを吹き飛ばして反応する。沈んでいた錨は霊長類最強のレスリング選手によって急転直上で対圏外に突入した。
「いやいや!王様!本気で言ってる!?王様は偶に馬鹿なことを言うなとは前から思ってたけど、ここまで馬鹿とは思ってなかったよ
そこに驚いたのは流石に俺だけじゃなかったようでミリタリアがまず王様に対しておかしいだろと言う。
さらに後に続くようにして、
「さすがに僕も信じられへんわ。王様それはいくらなんでもないて。それは。」
「私も王に仕える身ではあるものの言わせてもらいますが、頭イカれてんのかお前!」
タラバとセコンドも同様のことを言ってくれる。それはそうとセコンドのたまにある方が悪くなるのはなんなのだろう?
「うん、流石にそれはない。まじで引く。本当に引く」
俺は他三人ほど声を荒げないが、落ち着いてそれを否定する。
割とマジで予想外だった。てっきりその話は有耶無耶になるものだとばかりに思ってたからな。だって普通おかしいんじゃん。自分が殺そうとして、殺し切れなかった相手と自分の娘を合わせるなんてさ。下手したら復讐で娘を殺るなんてこともあり得る訳だし。
流石にやらんし、そこら辺については王様も俺と話していて分かったんだろうけど。それでもやっぱり普通に考えてあり得ないよ。
王様は俺たちがそう言うと先ほどまでの唯我独尊といった顔を崩し悲しそうな表情へと変わる。
「え、、、そんなに言う」
否定されすぎたショックからか、口調が変わっているが、ここまで言われて当たり前である。
「当たり前でしょ。貴方許されたとはいえ、俺のことを捕まえようとしたんだよ。それも武力で無理矢理。そんな人主催のパーティーに参加しろって。ふざけてんのかって話だろ」
そう言われると確かにといった顔になる王様。
「そう言われると確かに!」
予想が当たってしまう訳だが、先程までとのあまりの変わりように驚く俺。慌てるとこうなるのか。ギャップ萌えと言いたいところだが、今回ばかりはそれどころではない。
でも改めて考えてみるとだ。正直なところ王女に会いたくないわけではない。というか正直会ってみたい気持ちの方が強い。話に聞いた当初はあまりそそられない話だったが一回半ば強制的と言えど予定になってしまった以上は少なからず興味は湧くというものだ。加えて言うならせっかく習った礼儀作法を今の今までほぼ活かせてないし。
いや本当にまさか、まだ王女に会う話が生きているとは思っていなかったので驚いたが、嬉しい気持ちもある。故に俺は王様へ向けて口を開く。
「はぁ、、王様、俺会うこと自体は全然良いですよ。正直王女様には興味が会ったしね」
俺がそう口にすると王様は嬉しそうな顔をした後、見慣れた唯我独尊顔に戻る。
「ふん、であろう。俺の愛娘は非常に愛い奴だからな。とはいえ、娘に会うなら絶対にやってはならぬことがある。」
何だろうか?王様が今から口にするであろう内容を予想する間にその答えは発せられた。
「もし娘に触れたら死ぬと思え」
うん、この王様間違いない。
めっちゃ親バカだ。