ー異世界への侵略者ー地球を侵略しにきたエスパー宇宙人、死して異世界へと転生する。超能力?何それ?強すぎ!!   作:ゼリアサイ8世

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2-7.「冒険者になろう」

 

 色々と話し合ったあの日から一日が経ち、今現在朝である。

 あの後、王様とは王女様と会うパーティーの日時とその場所を明確にし、詫びとしての異世界関連の情報について教えてもらうと割とすぐに帰っていった。

 それに合わせるようにして、セコンドもタラバも帰っていった。

 セコンドは出て行く際に改めて俺に謝罪してきた。

 

「誠に申し訳ございませんでした。騎士としてではなく、一人の人間として謝らせていただきます」

 

 元より丁寧な口調ではあったものの、ここまで仰々しい口調は正直戦っていた時との違和感を強く感じた。なのでやめてくれと頼んだら、

 

「マジで?、、そりゃ良かった良かった。まぁまたいつか会ったときは仲良くしような。じゃね〜」

 

 と、あっさりと騎士らしい口調をやめた。戦ってるとき以上の丁寧さであったから違和感を感じた訳だが、今度は戦っているとき以上にラフなので違和感を感じる。しかし堅苦しいよりかはよく思うし、また苦言を呈するのも申し訳ない。俺はそれ以上何ということはなかった。

 

 対するタラバはというと、特に何があったわけでもなく、

 

「クリュー、また鍋食べに行こうな。約束やで」

 

 などと宣う。勝手に約束するなと言いつつも結局俺たちはその約束をした。友達と約束するなど今世では初めてのことであり、前世も含めて考えるなら懐かしいことであった。

 そんなわけで俺はそのことが少しばかり嬉しかったのだ。

 

「ところで、またやるのは鍋食べることだけでいいん?クリューは」

 

 鍋を食べる以外にもまたしたいことがあると言うことか?また一緒に旅したいとかそういう意味だろうか?俺はタラバの発言の真意をそれなりに真剣に考えてもわからず、どう言うことだと尋ねると、

 

「もう一回僕と戦わへん?今度こそ負けへんで」

 

 そう言うタラバに対して俺は一言、帰れ!とだけ言って帰らせた。

 

 

 ーーーーーー

 

 

 

 そんなわけで星騎士二人と王様は帰ったわけだが、1日経っても一人残っている奴がいる。

 お分かりだと思うが、

 

「起〜〜き〜〜ろ〜〜!!!!全人類の国民的大スターミリタリアちゃんが起こしてるんだから起きんかい!」

 

 そう言い、俺がベッドの上で寝ている中ジャンプして俺の体の更に上に乗ってくる。何回も何回もだ。

 

「痛って〜〜!!馬鹿かてめぇまじ、殺すぞ」

 

「お〜お〜やってみんしゃい、寄ってらっしゃい、そして最後に見てらっしゃい。クリューごとき一歩も動かずに叩きのめせるんだから!」

 

 このやかましい少女の名は言うまでもなくミリタリアだ。なぜこいつだけ帰らずにここにいるのかといえばそれは俺にも分からない。

 ミリタリアはここに泊まっていくといきなり言い出したが、クライア達は特に否定することもなく受け入れてしまっていた。王様相手の俺の付き添いをしてくれたことにクライアは恩義を感じているのだろう。そしてクライアが一度そのように了承してしまったために、こいつがあと何日ここにいるのかは分かったものではない。

 ちなみにだがミリタリアもタラバ同様に俺のことをクリューと呼ぶようになった。まぁクリューソスって名前はちょっと長いもんな。

 

「もう起きたから飛ぶのをやめろ!ったく」

 

 そう言うとミリタリアは指示に従って、ベットから降りる。俺はベットから降りたそいつを睨め付けながら起き上がると、口を開く。

 

「それで、なんで起こしたんだよ」

 

 言っておくが俺とミリタリアは特に何かを約束していたわけでもなんでもない。なのにせっかく気持ちよく寝ていた俺を叩き起こしたこいつは正直許せない。しかし事情次第では許してやろうと思い、話ぐらいは聞いてやろうとする態度で臨む。

 

「ふっふっふ!答えは単純明快。例えるならクリューが()に勝てないと言うぐらい単純明快なのだ」

 

 そんな相変わらず自信満々なミリタリアに腹を立てながらも、俺は何とか会話を続ける。

 

「お前、人を煽ってんのか?昨日までよりいくら何でもはっちゃけすぎじゃない?」

 

「ふ、案ずるな少年。昨日は王の前というのと、初めて会う君に引かれないようにするためにだな。割と抑え気味だったのだよ」

 

「別にそう言うにしてしてはそこまで抑えきれてなかったし、危ない片鱗を散々見せてたぞ。BBAとか言われてセコンドぶっ飛ばしてたし」

 

 俺の脳内で蘇るのはあの時の光景。今思い返してもどうやってあれをやったのかが分からない。改めて最強というのが嘘ではないのだと感じはする。

 

「あぁあったね、そんなの。でもあれはセコンドが悪くない?セコンドは騎士らしくしなくてもいいと分かった相手にはいつもあんな感じだけどさ」

 

「少なくとも俺はあいつより今のお前の方がやばいと思うけどな。まぁあの時の発言については悪いのはセコンドの方だと思うけどさ、、、それとはっきり言っておくが俺は昨日の時点で引いてる部分あったからな。今日のでさらに引いたが」

 

 そう言ってやると驚いた表情を見せるミリタリアだったが、すぐさまその表情を正す。

 これを言えば絶対に騒ぐもんだと思ったんだが、そうならないということは俺を起こした理由に関することで何かしら面倒ごとを俺にさせたりするつもりだな。

 

「とにかく()の要件は一つ。()との二人で一緒に外に行くこと。何をするのかは出てから話すから。従わないと殺すよ」

 

「は?」

 

 マジでこいつ頭逝ってるな。そんなふうに思った俺の困惑と抗議と哀れみが入り混じった『は?』を無視し、それを言い放ったミリタリアは部屋を出ていった。

 

 あまりにもな事態にミリタリアが出て行ってからしばらくの間唖然とし続ける俺だった。もはや朝起きの眠気などとっくのとうに消し飛んでいた。

 とまぁそんなわけ(ミリタリアの脅し)で外に行かざるおえなくなった俺はいつまでも唖然とし続けているわけにもいかず、服を着替えてから外に出ようとする。

 途中昨日からしばらくの間泊まることになっていたクライアの屋敷の食堂に行き、朝食としてのパンを少々もらってからのことだった。その際その場にいたクライアにミリタリアと共に外出する(させられる)ことになった旨もついでに伝えておいた。

 しかしクライアは既にミリタリアから俺と一緒に行動することを朝早くから伝えていたようで、ミリタリアの中では俺と共に行動することは決定事項であったのだった。普通に勝手に決めるなっての。

 まぁそんな愚痴をいつまでも考えていても仕方ないので俺は急いでパンを食べて外に出てきたわけだが。

 

 そしてようやく外に出ると相変わらずの十二単を着ており、待っていましたとポーズを決めたミリタリアが立っていた。

 

「あぁやっと来たねクリュー。それでは本日の目的地を発表しま〜〜す!!パチパチパチパチ!」

 

 俺がやってきたことに気づいた途端にそんなことを口にし、一人自分で手を叩いてるだけの姿は実に滑稽だったが笑うのを我慢しきった俺は偉いと思う。

 

「拍手はいいから早く教えてくんないか?」

 

「はぁ〜せっかちだな〜。まぁいいでしょう。今回()が連れて行っちゃうのはここです」

 

 ミリタリアがその台詞を言い終わるときにはすでに俺の目の前の景色は変わっていた。

 目の前には巨大な建物があり、その大きさはレーベン領の屋敷よりも大きかった。正面から見える屋根には大きな看板のような物があり、剣が交差するようなエンブレムがあった。

 

「は?」

 

 突然の景色の変化に俺は間のぬけた声を出してしまう。

 

「はいここ。冒険者協会ね」

 

 平然と話を進めようとするミリタリアに待ったをかけるのは俺だ。

 

「待て待て待て!どうやってやったの!?こんなの!?」

 

「なんかおかしなところあった?逆になんでそんなに驚いてるの?」

 

「いや、え?」

 

 俺がおかしいのか。いや、そんなことない。

 俺もテレポートを使えるのだから、別に瞬間移動そのものがおかしいというつもりはない。だが、なんの予備動作も俺に対する相談も無しにこうなったことが疑問や困惑を生じさせているのだ。

 

「まぁ、冗談は置いといて、魔法を使っただけだよ。あんまり気にしないでよ」

 

 ミリタリアは自分の魔法をあまり言いたがらないのは昨日のことで分かっている。だからといってこれは、、、いや、これ以上聞くのはやめた方がいいだろう。ミリタリアが本気で怒った場合どうなるのかは知れたものではない。

 軽い悪口の言い合いによる怒りならともかく、個人の深いところに関わってくる内容の怒りとなれば水に流されなくなる可能性が高くなる。俺はそこら辺の見極めは上手いつもりだ。

 俺は釈然としないまま何とかミリタリアに話を進めるよう急かすことにする。

 

「はぁ、じゃあなんでここに連れてきたんだよ?せめてこれぐらいは答えてくれ」

 

「そんなの決まってるでしょ。冒険者になろう。だよ!」

 

 そんな某小説投稿サイトみたいな言い回しがあるか!というツッコミを抱くのと同時に、その内心でのツッコミに多自分でも少し笑ってしまう。

 地球にいるときに一時期ハマったサイトだったからだろうか?

 

「どうしたのクリュー?一般に突然ニヤけると気持ち悪いからやめな」

 

 ミリタリアは俺のそんな一人で笑う様を見て助言をするようにそんなことを言ってくる。それはガレスに俺が散々思っていたことだから共感しかないが、よりにもよってミリタリアに言われるとなんか腹が立つ。

 それに俺のはガレスの犯罪者染みたそれに比べれば全然健全だろう。

 

「お前にだけは常識を語られたくないんだがな」

「ってかそれならそれでまた疑問はあるぞ!なんで俺を冒険者にさせるんだよ!」

 

 俺は元々冒険者には興味がないわけではない。だからといっていきなりこんなところに連れてこられて、『さぁ、なれ』なんて言われたらゲームの勇者でも出来んぞ。

 

「質問が多いから嫌んなるよホント。まぁ海よりも広い心を持つもの三百人が束になっても叶わない心と言われた()が答えてあげましょうかね」

 

「そんなに心の広いやつは心が広いって言われたことなんて覚えてないし、自慢しないから」

 

「はい黙って〜。とにかく疑問に答えましょう。単純な話だよ単純な。冒険者になっていろんなクエストこなして強くなろうっていう単純な話」

 

 なるほどね今ので大体言いたいことは分かったけど、

 

「要は実戦経験を積むってことだろ。それなら別にやりようはいくらでもあるだろ。例えば最強と謳われるミリタリア様直々にとかさ」

 

「前者に関してはそういう認識でいいよ。後の方に関しては特に魔物相手への実戦という意味でのこと。だってクリューも気にならない?自分が魔物達に対してどれくらい強いのか。クリューが昔変異種のオークを倒したレベルだってのは知ってるよ。でもあの時よりも強くなった今のクリューならどれくらい強いのか()はそれが気になったんだ」

 

「昔って程前ではないが、、、なるほど」

 

 俺はミリタリアのその提案に多少の納得を示す。確かにミリタリアの語った内容は俺自身気になっていたことだ。

 実のところ俺はあのオーク野郎以外との魔物との戦闘経験がない。それ故に魔物と呼ばれる生き物相手の普遍的な力量を実戦的な意味では測りかねていたのだ。

 だって魔物達があれ以降俺が魔術の使用を許可された平原近くまで現れなかったんだから仕方ないだろう?

 現れないなら直に魔物を倒しに行けば良いのでは?とも思ったがそれは良くないらしい。俺のお目付役兼

 専属メイドのマサリ曰く、魔物を許可なく倒すことは犯罪なんだとか。自衛のためならいざ知らず、故意に倒しにいくのはダメなんだと。もし討伐したいのなら冒険者協会が出す依頼をこなす形、あるいは特別に許可をもらうといった手法を取る必要があるそう。魔物達の死体や生み出す品々は何かと金になるそうで、無闇矢鱈に討伐されると困るらしい。故にそういった行為を規制するために現在の形になっているそうだ。

 だから多くの腕利は冒険者になって魔物を狩り、それで日銭を稼いでいくとマサリには聞いたことがある。

 そしてこれを踏まえればミリタリアが冒険者になろうなどと言い出した理由にも察しがつくというものだ。ミリタリアが俺を冒険者にさせようとしたのは、俺に魔物を倒す許可、というよりかは魔物を倒す依頼を受け取ってもらうことがだろう。

 

 そこまで分かった上で俺は改めてミラタリアの提案について考える。そしてその答えが出るのは一瞬だった。元々俺も冒険者になって魔物たちを討伐してお金を得れるようにしておきたいとは常々考えていたことなのだ。故にここでミリタリアの提案を断る気は完全に失せた。

 

「目的は分かったし、冒険者になることも賛同する。でも一つだけ言っておくぞ、もっと前の段階でそこら辺は説明してくれ」

 

 俺はミリタリアにそう切実に願う。ミリタリアは俺のそれを聞き少々不服気に口を開く。

 

「でもそれじゃあ面白くないっしょ。サプライズが欲しいでしょ?」

 

「いや普通にいらないから」

 

 俺はミリタリアの同意を求めるような問いをしっかりと否定したところで、これ以上こいつにそれを言ったところで時間の無駄と判断し、口を開く。

 

「はぁ、んじゃとっとと入ろう。冒険者になるためにはどうせ登録が必要なんだろ」

 

 そう言って入り口のドアに向かって歩き始める俺。そしてその後ろからついてくるミリタリアは衝撃的なことを耳元で囁くように口にする。

 

「うんそうだよ。ちなみに()も初めてだから少し緊張してるんだよね」

 

 それを聞いて道からドアまでのわずかな階段のスペースで俺は止まる。

 

「え?」

 

 再び間の抜けた声を出す俺に対し、俺に合わせて動きを止めたミリタリアが声をかけてくる。

 

「え?何?急に止まってどうしたの?」

 

「お前も、、初めて?」

 

「うん。そうだけど」

 

 さも当たり前といった様子のこいつに俺は今日一体何度目の苛立ちを覚えただろうか。

 

「いや、お前は既に登録してあれよ!」

 

「はぁ!?なんでクリューにそんなこと決められないといけないわけ!?」

 

 意味わからないといった様子でそう口にするこいつを、俺は本当に頭が逝かれているのではないかと疑いたくなる。これは王様が言ってた嫌われてるって発言に信憑性が出てきたな。俺でさえそのきらいがあるし。

 

「いや、お前まるで修行場のような感覚で言っているような奴が未経験者なんて思うか?あぁ〜もう不安になってきた。ただでさえお前といるのは不安なのにその上、二人ともよく知らない場所に入るんだぞ!」

 

「クリューの無知を()にも適応させないでくれる!()はちゃんと事前に調べてるんだから!」

 

「調べてる調べてないじゃなくて行ったこともない二人ってのが不安なんだよ馬鹿!王様が言ってた通り本当にバカ!」

 

「あ!マ〜ジむかついたわ!流石にキレたわ!一度()に歯向かったらどうなるか教えようかな」

 

「そうやってすぐ力で解決しようとするから皆んなから嫌われてるとか言われるんじゃないんですか!?」

 

「あ!あ〜あ、()の広い心ももう限界迎えるわ」

 

「『あ』が多くて何言ってんのか分かんねぇんだよ!大体なんで一人称『()』なんだよ!?」

 

「それ今関係ないでしょ!」

 

「関係ねぇよ〜〜!!」

 

 長く醜い口論が続いたが、一旦ここで俺自身よく分からない嘆きをもって終わることになる。俺にしては珍しく意味がよく分からない発言だが勘弁して欲しい。ノリでついというやつだ。

 ここで俺は周りの様子がおかしなことに気づく。道行く人達皆が俺達を見て笑っているのだ。いや、正確には微笑んでいると表現するのが正しいのだろう。今の俺の体格は子供だし、ミリタリアも実年齢は知らないが容姿だけは子供だ。

 つまり、傍から見たら子供の可愛らしい口喧嘩に見えるのだ。それも大声になっていたのも周りの目を引いたのだろう。しかしミリタリアの見られ方から考えると王都でも星騎士は顔と名前が一致して覚えられてはいないのか?

 まぁそこは兎も角、俺達は今現在周囲から注目されていた。

 

「おいそこのガキ二人。邪魔だどけ」

 

 そんな視線を集める俺たちの元へ強面(こわもて)のおっさん二人がやって来る。彼らは俺たちのことを睨みながらそのように声を掛ける。俺から言わせれば怖くはないが普通この年頃の子供に向ける視線ではなかった。

 俺たちが言い争っていたのは冒険者協会の入り口の正面であり、普通に考えて入る際の邪魔になる。言い方はともかく、言い分としてはどう考えてもあちらの方が正当だ。むしろ俺達がそののとを自ら謝罪したほうが良いくらいだろう。それでもやはり野蛮な言動と態度を少しは改善してもらいたくはあるが。

 とりあえず先に相手の要求を先に呑んだ方が良いだろう。そう思い俺はまず謝罪するよりも退こうと考え、動こうとした時だった。

 おっさん二人のそれぞれが俺とミリタリアに向けて蹴りを入れようとして来たのだ。

 俺の身長は今は子供故に当然だが小さい。そんな子供を蹴ろうとすれば腹辺りに当たるわけだ。いくらなんでもそれはライン越えだろう。

 

 そしてそんな蹴りが俺に当たるわけがないんだが。

 俺はすぐさまテレポートを発動すると、俺を蹴ろうとして来た方のおっさんの背後へと周り、

 

「『撥』」

 

 そう言い放ち、おっさんを地面に向かって『撥』で押し続ける。正面から倒れたおっさんは立ち上がることもできずにどんどん地に埋まっていく。

 俺は途中テレパシーで意識が切れたのを確認すると同時に『撥』を解除する。多分意識が切れるのにかかった時間は埋め始めてから七秒くらいだろう。

 

 さて、ミリタリアの方は、と思いそちらの方に目を向ける。

 ミリタリアは空中へ浮きながらもう一人の方のおっさんの顔面を、まるでりんごを一つ握るようにして持ち上げていた。

 そしておっさんの嘆願とミリタリアのカウントダウンが聞こえてくる。

 

おい!(38、)るって言ってるだろ!(37、36、35、)だから話せってお前!(34、33、32、)分かってんのか俺に喧(31、30、29、)嘩売るってことの意味(28、27、26、)が!分かった分かった(25、24、23、)謝るから謝るから!な(22、21、20、)んでだよ!なんで解い(19、18、17、)てくれないんだよ。分(16、15、14、)かったちゃんとごめん(13、12、11、)なさいって言ったら解(10、9、8、7、6)いてくれるんだな!!(、5、4、3、2、1)

「すみませんでした!!」

 

 おっさんがそう言うと顔から手を離すミリタリア。おっさんの顔には小さいけど確かに赤い手形がついていた。

 

「もう二度と?」

 

 そうミリタリアが恐ろしい笑みを浮かべながらおっさんに問いかけると、

 

「しません!!」

 

 そう言い、おっさんは俺が気絶させた方のおっさんを埋まってる地面から引っこ抜いて背負うと、颯爽と帰って行った。

 そしてこんなことをした俺達に周りの目が先ほどとは異なる理由で集まってしまう。その視線に耐えられずにどうしようかと悩んでいると、後ろがドアの開く音がする。

 俺たちは先ほどのおっさん達が去る姿を見ようとしたため道側を見ていた。なので必然的にドアの方は背後になっていたのだ。

 

 音のなった方を確認するように俺は振り向くと、これまた強面のおっさんが扉から出てきていた。といっても態度は威圧感があるというよりは猛々しい。あるいは勇敢な様とでも言い表そうか。まさしく勇猛果敢だ。

 そのおっさんは兜こそしていないものの、ほぼ全身を黄金の鎧で纏っており、体格もタラバ程ではないがそれなりの巨大であった。おそらく戦士としては最高級の肉体であろう。

 顔にはいくつかの傷があり歴戦の猛者であることを感じさせる。そんなおっさんがドアを開けてから、程なくして俺たちはその巨大な両手に掴まれ、冒険者協会内に入れられた。当然先程までの奇異の視線は消え去る。

 

「全く、お前さんはいつもその傍若無人っぷりを隠さんな!」

 

 そう言うとおっさんは俺達をその大きな手で掴んでいたのを止め、離してくれる。

 今の口ぶりからこのおっさんとミリタリアは知り合いなのだろう。

 

「おい!誰なんだよこの人?お前知ってるんだろ!?」

 

 おっさんが協会の扉を閉めている間に俺はミリタリアに紹介するように頼みこむ。

 

「むっ!儂の名を知らぬとは何と残念なことか。有り体に言うならば人生の十割損しておるぞ」

 

 俺のミリタリアへの発言に反応し、あまりにも過言なことを言ってのけるおっさん。そしてそんなおっさんの発言に対し反応を見せるのがミリタリアだ。まず先に俺の問いに答えてもらいたんだがな。

 

「十割じゃ全部なんだよ〜ホワイ。仮にホワイで十割だとしたら私じゃ千割になっちゃいますけど大丈夫そ?」

 

「ふん、よいではないか、、十割でも。人生の全てを損していると言っても儂の場合過言ではあるまい。逆にいえばお前さんのは過言であるがな一割で十分であろう『(モノ)』だけにな。わっはっは」

 

「わっはっはっはっは、、、ホワイちょっと表出ろや」

 

 ミリタリアは自身を下に見られるような発言に完全にキレたようで、再び外に出ようとドアに向かって指を刺す。うんやっぱこいつ怖いわ。

 そしてそんな昭和のヤンキー漫画の様なセリフを投げかけられたホワイと呼ばれるおっさんは困った様子で口を開く。

 

「待たんかミリタリア。お前さんが連れて来たこの幼子に儂の存在がまだ知れ渡っておらんだろう。それに、先のお前さんらの暴れっぷりによって今は人目が集まってあるぞ」

 

 そう言うとホワイと呼ばれてる人は既にしまっている扉を指差す。正確には扉の向こうにいるであろう人たがりを指しているのだろう。

 この人の言うとおり外には未だに人は集まっているだろうから、正直俺としてはまだ出るのは勘弁願いたい。

 

「あ〜それは確かにそうだね。ところでクリュー、こんなやつのこと知らなくていいからとっとと冒険者登録済ませよう」

 

「話を聞かんのも変わらずか。呆れももう尽きたわ。ミリタリア、頼むから儂に自己紹介をさせてはくれぬか」

 

 俺の話も聞かずにどんどんと話が進んでいくが、何やらこの人は今から俺に名乗りたいようだ。俺はミリタリアの言うことを無視して、ホワイさんに語りかける。

 

「いいですよホワイさん、、、ですよね。私はクリューソス・レーベンです」

 

 俺は当然の礼儀としてこちらから名乗り、ホワイさんの反応を伺う。ホワイさんはそんな俺の姿に感嘆したような様子を見せる。

 

「おぉ幼子とは思えぬその冷静な対応。この幼子どころか儂の数倍生きているそこの女にも習ってもらいたいものよ」

 

 俺はホワイさんの嘆きを聞いて少しだけ笑い声が漏れる。こいつに俺の冷静さの少しでもあればと思うのは同感だ。

 というか、え?、、あいつ見た感じ四十歳ぐらいだろうホワイさんよりそんなに歳とってるの?いやロリ体型そのままの年齢とは思っていなかったけどそこまでなの?びっくりなんだが。

 

「ホワイ〜、、、そう言う話がタブーだって以前体にフルコンボだドンしたはずなんだけどな〜」

 

 ホワイさんはミリタリアにそう言われると、先程までの様子が一変して恐怖の表情へと変わる。しかしホワイさんはそれを何とか正して謝罪し始める。てかフルコンボて。ずっと聞きそびれてたがやはりこいつは転生者なのだろうか?

 正直ミリタリアという人間が存在自体意味不明すぎて判断がつかなすぎる。

 

「悪かった悪かった。流石にこればかりは儂が悪かった。なのであれだけはよしてくれんか。頼むから」

 

 相当慌てた様子でホワイさんが謝罪すると、ミリタリアは許したのか許さなかったのか分からないけど顔を横に向けてただ突っ立ているようになる。それを見てホワイさんの発言から推察できる歳の割に子供っぽい拒絶の仕方すんなと思ったが、言ったら俺も変なことに巻き込まれるであろうことは想像に容易いため言わない。俺は年齢に関する話はミリタリアに対してはやめておこうと思った。気にはなるんだけど。

 

「あの〜、そろそろ名乗ってもらっても」

 

 いつまで経っても話が進まないのは王都に来てからしょっちゅうであるが、今回もそうなりそうなので急かす。

 

「おぉすまんな坊主。ではいよいよ名乗ろうか!」

 

 ホワイさんはここで豪快に一息吸うと、その続き語り始める。

 

「儂はS級ギルド黄金の煌牛(おうごんのこうぎゅう)の団長にして、王道十二星騎士の『七天秤(ヘプタ)』、異名は『不言実行明鏡止水百花繚乱一騎当千百戦錬磨疾風怒濤電光石火獅子奮迅黄金不屈戦士魑魅魍魎無意威風堂々心頭滅却唯我独尊天上天下震天動地画竜点睛強すぎ&長すぎワロタ最強王』、名をホワイ・ラックである」

 

 

 

 

 

 

 

 

 長い。

 

 やべーよ。最初の方は良かったのに異名が長すぎて途中ぼーっとしてたら肝心の名前聞きそびれちゃったよ。えっとなんだっけホワイは確定だけど、、、、運みたいな印象受けたんだよな。えっと〜、、、ラッキーだったかな。

 ホワイ・ラッキーあるか!?、、、ないな。

 

「ホワイ、いつも言ってるけどその馬鹿らしい異名はやめた方が言いと思うよ。せめて、名前を名乗るのを先にして、じゃないと相手は困惑するんじゃない?」

「ねぇ、、クリュー?」

 

 珍しくまともなことを言うミリタリアは俺にそう尋ねてくる。お、そうだな。普段のお前の言動はそれ以上だが。

 

「えっと、まぁそうですね。ホワイさん、幾ら何でも長すぎだと俺も思います。失礼ですけど肝心の名前聞きそびれてしまいました」

 

 ありのままの事実と正直に思ったことを伝える俺。ミリタリアは俺がホワイさんに対しては敬語を使うことを訴えるような視線を向けてくる。いや、お前が敬語とか使うな的なのと言ったんだからな。建前の無礼講としての発言で俺がそうしたならともかく、脅しでの要求だからな。

 普通に初対面の相手には俺は敬語よ。身分があんまりにも開いてなければだけど。

 

「なんと!本当であるか!ならばまぁ仕方あるまい。儂もあり方を変えねばならぬか。では坊主改めて聞くが良い」

「儂はS級ギルド黄金の煌牛(おうごんのこうぎゅう)の団長にして、王道十二星騎士の『七天秤(ヘプタ)』、名をホワイ・ラック。異名は『不言「いいです!」

 

 またあの長ったらしい異名を聞かされてたまるかとハワイさんの発言に割り込む。どうやら名前を聞きそびれることがないように異名の前に名前を口にするようにしたようだ。『あり方を変える』ってその部分だけかよ。

 俺の静止を受けて不機嫌そうに俺を見つめてくるホワイさんだが、俺は全く悪びれない。こればかりは絶対に俺悪くないし。

 

「坊主、幼子とはいえ儂の名乗りを邪魔立てするとはそれ相応の理由があるのだろうな」

 

「うんあるわ!ある!あんたの異名長いんだよ!あんなのもう一度も聞かなくもないし、聞かされても覚えられんわ!」

 

 つい思ったことの全てを思う存分に言ってしまった俺は、その際に敬語でなくなってしまう。ミスった。

 

「ふむ、、儂の栄誉ある名乗りもまだ無知なる幼子ならば退屈と感じるのやも知れぬか。ならば今回ばかりはそれは諦めよう」

 

 無礼を働いたかもと少しだけ不安になって俺をよそに一人で勝手に納得して見せてるホワイさん。

 ホワイさんは俺が敬語を使い忘れたことに関して特に何かを言うことはなく、俺の主張に対しても少しズレて認識されたが一応の納得はしてくれたようで良かった。これがミリタリアみたいな性格の場合だったら完全に言い切るまで名乗るだろうからな。そうじゃなくて本当に良かった。もしかしたら意外と物分かりはいい人なのかも?

 

「ところで坊主、儂に臆すことなく己の意見を通そうとするその精神は価値あるモノだ。決して腐らすでないぞ。なかなかの迫力であったし、今の方が儂は気に入ったぞ」

 

 豪胆にして爽快なこの男はそう俺を褒めてくれる。それは素直に嬉しいが、今の発言にあった裏の要求に俺は辟易する。さっきの俺の方を気に入った、つまりは敬語とかなしで話したいってことだろう。まぁ肩肘張らずに済むから嬉しくはあるんだけどさ。思うところはあるよね。うん。

 だってレーベン領の屋敷で礼儀作法習った意味がずっとないんだもの。王様もタラバもミリタリアも全員敬語やめろって言ってくるし。せめて王女様相手には最低限活かしたいものだ。

 

「もういいんじゃないクリュー?そいつの話はいつまで経っても終わらないからね。とっとと身を引くのがおすすめだよ」

 

 そう言うのはミリタリアだ。彼女はかなり不機嫌そうにしている。まぁそれも当然だろう。ホワイに散々馬鹿にされた挙句、長時間待たされてるわけだし、

 

「わかったわかった。それじゃホワイには悪いけど、またね」

 

 俺はホワイの要求を飲んでタメ口気味にそう口にして離れようとする。しかしそこに待ったがかかる。

 

「待たんか坊主。ミリタリア共々、冒険者協会に用があるのだろう?であれば儂の力は必ず役に立つ。先程の店前での内容も実は聞き耳を立ててあったのでな。役に立つぞ」

 

「いらないから!ちゃんと調べてあるから!」

 

 そう拒絶の言葉を口にするのは当然俺ではなくミリタリアである。

 

「そう言うな、ミリタリアよ。お前さんがいくら調べとるといってもだ。それで不安が0になる訳ではあるまい?第一、坊主を不安にさせるぞ」

 

 正直俺としてはミリタリア一人では不安なので誰かがついてくれるというのはありがたいのだが、いかんせんホワイも面倒くさそうな人だと感じているのが現状だ。下手すれば労力は起きてからこの場に来るまでの倍以上になるやもしれん。

 そう考えると安易についてきて欲しいとは言えないが、、、、、まぁでも、

 

「俺としてはついて来てもらいたいな。ホワイの言う通りミリタリアだけじゃ俺も不安なんだ」

 

 俺はホワイの同行を受け入れたいとミリタリア、そしてホワイに伝える。それを聞いたホワイは笑みを浮かべ、ミリタリアは悔しげな表情を見せる。そんなミリタリアにホワイが改めて問う。

 

「これでクリューソスの許可も貰えたわけだが、どうするのだ、お前さん?」

 

 ミリタリアは俺の意思を尊重して仕方ないと考えてくれたのだろう、悔しいという感情をなんとか堪えてため息をついてから口を開く。

 

「はいはいわかりましたよ。じゃあ今回はついてくることを特別に許しましょう。で〜も、もし変なことしたらまたフルコンボするか殺すから」

 

「相変わらずすぐに殺そうとするのうお前さんは。人に説教垂れるよりも、するべきことがあるのではないか」

 

 そんなホワイの発言を受けてまたも不機嫌そうになるミリタリアだったが、もういい加減にして欲しいので、何とか俺が強引に話を戻そうとする。

 

「おっほん!それでホワイ。俺達は冒険者登録をしに来たんだけど、どうすればできるんだ?」

 

 ホワイは聞き耳を立てていたらしいから俺達の要件は既に知っているであろうが、一応改めて説明してから聞いてみる。その返答はすぐに返ってきた。

 

「何、お前さんの質問に答えるなら答えは単純である。受付に行って、登録したいと言うだけだ」

 

「そんなの()だけでも知ってたのに〜。まぁ仕方ないか。クリューの不安も分からなくはないし」

 

 潮らしくなるミリタリア。何度も言うようだがこの少女の容姿はとんでもなく可愛らしいからその姿もまた、目を引くものだった。

 

「ごめんな。ミリタリア泣くなって」

 

 別に泣いてはいないが、宥めるように少し揶揄ってみる。命知らず?俺も今更ながらにそう思うわ。

 

「おい、、、子供扱いすんじゃねぇ」

 

 ミリタリアの逆鱗に触れてしまったようで俺は睨まれる。さすがは最強というべきか、先程まで感じていなかった圧を感じる。それは今まで感じてきた何よりも重かったが、不思議と苦しくはなかった。意外とそこらへん気遣ってくれてるのか?

 

「やめんかミリタリア。そうやってすぐ相手を威圧するようだからお前さんは子供と言われるのだ」

 

 誰もが思っていたことを言ってくれるホワイには感謝しかないが、またキレられるのでは?

 

「ん〜〜まぁそれもそうだね。んじゃ、この気持ちは抑えてっと、、、よし!それじゃあそろそろ、冒険者になろう!」

 

 そう言い、ミリタリアは受付に向かい歩き出す。案外すんなりホワイの発言を受け入れたな。ちゃんとしたアドバイスとしての発言だったから許されたのか?なんやかんやこいつも理屈がちゃんと通じるやつなのかもしれない。

 俺はまた、某小説投稿サイト風だなと思いつつもミリタリアの後に続き、そして更にそれに続くような形でホワイもついてくる。

 

 

 

 

 

 ちなみにまたまたの言い争いで俺達は冒険者協会内でも人の目が集まっていた。

 そして俺は今日を境に王道十二星騎士と絡むというのはこういうことなのだろうと思い、こいつら共に行動するときに目立たずにいるということは不可能だと諦めた。

 

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