ー異世界への侵略者ー地球を侵略しにきたエスパー宇宙人、死して異世界へと転生する。超能力?何それ?強すぎ!!   作:ゼリアサイ8世

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2-8.「任務決定」

 

 そんなこんなで俺たちはようやく受付の前にやって来たわけだが、普通に立ってたんじゃ俺とミリタリアの身長からして受付側から俺たちを見ることはできないだろう。

 それを理解してか、ミリタリアが理屈こそ不明なものの空中に浮いているため、俺もそれに倣うように『撥』で浮く。

 

「ミリタリアは良しとして、クリューソスも浮けるのであるか?」

 

 ホワイは俺が浮くのが予想外だったようで、体をのけぞらせるように驚く。そんなリアクションが大袈裟だと思うわけだが、

 

「あぁ俺の特殊な力でな」

 

 わざわざ超能力という名称こそ出さないものの、それが特殊な力であることを俺は説明する。これは王様と色々話し合った結果、超能力に関してはあまり隠し過ぎる必要はないと分かったからだ。

 

「なんと!それは素晴らしいではないか!是非とも今度儂と手合わせせんか!」

 

「嫌だよ。俺は戦うの嫌いってわけじゃないけど、別に好きでもないし。今回冒険者になって魔物達と戦うのだって自分の実力、その現在地をはっきりさせておくためだ」

 

 俺が国の最強格達である、王道十二星騎士に勝てるのはあくまで大人状態になった時だけだ。だから今タラバと戦っても負けるし、大人になれるのもあと四回だ。まだまだ余裕はあるように思えるが、まだ五歳かつこれがこの世界に来てから初めての遠出で一回目を使ってしまっているのだ。今後十年以上は元々の肉体の出力には戻らない以上、できれば残り四回は貴重に使いたい。そうなると当然子供の状態でどれだけ戦えるのかがキーになってくる。

 そして俺は今子供の時の力がどれくらいのものか、まだ測りきれてない。そんな状態なのは冒険者協会関連の魔物討伐の権限もそうだし、ガレスから家の外で戦うのは基本的に禁止されてたというのもある。まぁそれも俺が色々厄介ごと引き起こすせいだし、しょうがないとは思うが。

 

「む!そうなのか。ならば無理強いはせんが儂と戦いたくなったのならいつでも言いに来るが良い。儂は大体ギルドの本部に居る、、、訳ではないが、まぁとにかく会いに来て良い、、、というか絶対来い。アドバイスを貰うためでも良いぞ!」

 

「は〜いそこまで。とっとと受付しよう!ホントにホワイは無駄話が好きで困る」

 

 お前もだろと、むしろ中身の無いよくわからんこと言うお前の方が悪質だろと俺が思う中、それを聞いて心外だといった様子を見せるホワイは、

 

「お前さんほどではないぞ。大体儂の話は無駄ではない!」

 

 と言ってくれる。ホワイとはミリタリアに対する評価が同じなのかもしれない。まぁホワイはホワイで話が無駄に長かったりするけどな。

 

「はいはい。それでいいからいい加減受付するよ」

 

 ようやく少し大人な対応をするミリタリアはそう言うと、受付の人に声をかける。これは奇跡と言えるだろう。

 

「受付の方、世界一可愛い美少女ミリタリア・リオレス・サーナが冒険者登録したいんだけどできるかな〜?」

 

 自分で世界一とか言うか?と思いつつもそれを否定できない容姿を実際にしているからタチが悪い。

 

「あ、あの、その、、、、え〜っと、、わ、、かり、、まし、た」

 

 受付さんは男性だったが慌てふためいた様子でミリタリアを眺めている。まぁさっきからの話ぶりからこいつが異常者だと判断したのだろう。実際正しいしな。

 あるいはミリタリアが王道十二星騎士なことを知っているのかもしれない。それならこの様子も十分にありえる。他に考えられるのは、ホワイと言い合いするような人間ということだろう。

 ホワイはS級冒険者らしいし、そうなると受付さんも流石にホワイのことをある程度把握しているだろうからな。まぁこれも理由として妥当だな。

 

「あ!受付さん、俺も登録してもらえますか?」

 

 俺はある程度礼儀正しくかつ優しく声をかける。どうやら彼は普通の人間もいることに安心したようで少しだけ落ち着く。

 

「はい!お待ちください」

 

 こう言う細かな気遣いもできるあたり俺ってやっぱり優秀だな。

 そして受付さんは俺がそう口にして直ぐに一回受付の裏へと行く。それから数十秒して戻ってくる。

 彼は謎の青白く光る球体を持っていた。その球体は一本の短めな柱に刺さるように立っておりその柱の下側は土台として広くなっている。上から順に球体、柱、土台だ。例えるなら地球儀の弓と呼ばれる部分の曲線になってるところだけ消して立てているような感じか。

 

「お待たせしました!まずは御二方のどちらかがこちらの刻人石(こくじんせき)にお触れください。」

 

 受付さんはだいぶ落ち着いたようで流暢に俺たちにそう指示してくる。俺とミリタリアはお互いを見て目を合わせる。そしてミリタリアが微笑む。

 

「まずは、()が行きましょ〜う。どうせクリューは怖がってるでしょ。そんなことないよと大人な()が証明してあげるから、、目の穴かっぽじって見ていな!」

 

 ムカつくが特に断りを入れない方が速く済みそうなので無言で了承する。そしてそれはそうとかっぽじるのは耳の穴だろ。目の穴かっぽじったら失明するわ。

 

 そんなツッコミは俺の内心に置いておきつつ、ついにミリタリアが刻人石(こくじんせき)と呼ばれた球体に触れる。

 球体はミリタリアに触れられた瞬間に何かしらの反応を見せると言ったことはなく、現状はただ手を置かれただけであった。そしてミリタリアが球体に触れたのを確認すると受付さんは、さらに細かい指示を出してくる。

 

「まずはお名前を言ってください」

 

 当然ミリタリアはその指示に従う。

 

「ミリタリア・リオレス・サーナ」

 

 その後はどんどんと続くように質疑応答が繰り返される。

 

「次に種族を言ってください」

 

「ハーフの場合は?」

 

「どちらの種族も言ったあと、それらのハーフと言えば問題ないです」

 

「んじゃ、人族とドワーフ族のハーフ」

 

 ここで俺にとっての新情報が出てくる。ミリタリアはドワーフのハーフだったのか。もしかして身長が小さいのってそれが理由か?

 ドワーフって言ったら身長の小さいおっさんみたいなイメージだけど、そういうこともあるのか。

 

「次に年齢を」

 

「言いたくない場合は?」

 

「その場合は言わないことも選択できます」

 

「じゃあそれでお願い」

 

 やっぱり年齢の話嫌なんだな〜、と一人納得する俺。今までもだいぶ年齢系についてはキレやすかったし、この回答は想像通りだ。

 

「それでは最後に犯罪歴の有無をお教えください。こればかりは後々嘘だとバレた場合即刻契約解除となりますのでご注意ください。またあるとおっしゃられた場合でも登録できないと言う訳ではありません。ただ護衛任務などの仕事で一部受理不可能になる場合などがございます」

 

 よくミリタリア相手に臆せずそれを聞けるものだと俺は思うが、慣れているのだろうか?確かに最初こそミリタリアにビビってたが、もう平気そうだし冒険者協会の職員はそういうのに慣れているのかもしれない。

 

「特にこれといったものはないはずだよ。そもそもその顔、()が何者か知ってるでしょ。じゃあ分かるんじゃない。()がやってる訳がないって」

 

 そう言うとそれに気づかれていることがバレたのが嫌だったのか受付さんは表情が歪んだが、少ししてそれを正すと口にする。分かるよ、面倒だもんねこいつ。目をつけられたくないもんね。

 

「まぁ、はいそうですね。ではないということで。それでは改めて『ない』と言ってもらっても?」

 

「ない!」

 

「ありがとうございます。それでは次のお方」

 

 そう言うと俺の方を向いてくる受付さん。既にミリタリアは手を離したので、今度は俺が代わりにそこに手を置くことになる。

 

「それではまず手を」

 

 俺はまず指示通りに手を球体に置く。ここからはミリタリア同様に質疑応答の時間だ。すでに何を聞かれるかはわかっているため俺は端的に素早くそれらに応える。

 

「それではお名前から」

 

「クリューソス・レーベン」

 

「次に種族を」

 

「人族」

 

「次に年齢を」

 

「五歳。、、思ったんだが月日は言わなくていいのか?いつ生まれのかの」

 

 もし冒険者登録に更新とかあるのならそれらの情報は必須だと思うが。

 

「あくまで登録時の年齢さえ知れればいいのです。秘密でもいいわけなので協会側としてはさほど重要な情報とも考えてはいません。正直なところ一応聞いておく程度なのです」

 

 これの意味するところは冒険者協会としては戦えさえすれば入るのは誰でもいいということなのだろう。実際五歳の俺でさえあれこれ言われることなく年齢制限とかにも引っかからず登録できる訳だし。

 

「そうなんだ」

 

「そうです。では最後に犯罪歴の有無を」

 

「ない」

 

 流石に今世において犯罪している訳がない。まだ五歳だぞ。前世なら実際に裁けるかは別として、それこそ数え切れないほどの数があるがな。

 まぁこの話は暗くなるので今考えるのはやめておこう。

 

「ありがとうございました。これでレーベン様のご登録は終わりになります」

 

 そう言われたので俺はこの球体から手を離す。離してから少しして受付さんは話しかけてくる。

 

「お二人は『黄金の煌牛(おうごんのこうぎゅう)』に所属されるのですか?」

 

 『黄金の煌牛(おうごんのこうぎゅう)』というのは先程ホワイが名乗りを上げる時についでに言っていたホワイの所属するギルドのことだ。それをわざわざ聞くのは当然後ろにホワイがいるからだろう。もちろん俺らは入るつもりなんてないので、俺は入らないと答えようと思うが、それよりも先に後ろからそのことへのアンサーが放たれる。

 

「残念ながら違うな受付の若僧。儂としては別に入ってくれても構わんが」

 

 直接そう言ってくれるのはホワイだ。ギルドに関する話故にホワイ自ら訂正してくれたようだ。やはりミリタリアとは異なりできる雰囲気がこの人にはある。

 

「そうですか。では、そのお二人で新しいギルドを発足したり致しますか?」

 

 そう言われると、ミリタリアはこちら。勢いよく向いてくる。

 

「どうする!?作っちゃう!?()が入ったら二人でもS級ギルド確定だけどやっちゃう!?」

 

「あ、いいです作りません」

 

 俺はミリタリアに相談することもなく、勝手に決める。

 何故かと言われればこいつとギルメンとか面倒くさいに決まってるからだ。それに俺の冒険者としての活動が今後どれくらいのものになるかがまだ決まっていないのだから、ギルドをを作るのも当然まだ早過ぎるという話になるだろう。

 

「なんで勝手に決めちゃうのかな、クリュー!それって酷く()()!信じらん()()!あり得()()!『()()』×3来ました!」

 

 マジでうるさいんだけどこいつ、誰かなんとかしてくれ。そろそろ薄ら寒くすら感じてきた。

 俺の返事に受付は特に何か聞き返すこともなく、頷く。ミリタリアの抗議らしきものは完全に無視されていた。正しい判断だと俺も思う。

 

「わかりました。ではお二人とも今回はギルドには加入せずの登録ということでよろしいでしょうか?」

 

 最後に念のための確認をされる。

 

「「はい(はいは〜い)」」

 

 ミリタリアは渋々としつつも、二人共確かに了承をしたことで完全に登録が完了したようで、再び受付さんは、

 

「それでは少々お待ちください」

 

 とだけ言ってまた裏に行ってしまう。しばらく時間がかかりそうなので俺達はここで今後の話をする。

 

「ミリタリア、登録が終わったら何からするんだ?」

 

 冒険者登録をして魔物を倒そうとは言われたがその具体的な予定は特に聞いていなかったのでそれを問う。

 そもそも魔物と言ってもどんな魔物を倒すことになるのだろう?やっぱ初めは異世界テンプレのゴブリンとかなのだろうか?

 

「ふ〜む、、何からにしようか。()の直感に尋ねてみよう。コンコンコン!誰か居ますか〜?う〜ん誰もいませんね。これの意味するところは〜、、、分からん、ですね!」

 

 一人で変なことをしているミリタリア。結論『分からん』だしまじでなんなんだコイツ。

 

「初めてならばやはりゴブリン討伐などからだろう」

 

 そんなミリタリアの一人芸を横目にホワイが助言をよこしてくれる。頼りにならないミリタリアに比べてホワイは的確な事を言ってくれるので本当に助かる。

 マジあいつが一番強いとか終わってんだろこの国。

 

「ゴブリンね〜。まぁ地味だけど仕方ないかな」

 

 やはりそうなるか。冒険者協会とかいう異世界のテンプレ通りならランクごとの依頼だが任務だか、ミッションだかは知らないがそんな感じのがあるはずだ。であれば俺はランク通りの依頼しか受けられず、初級であればそれはゴブリン討伐などだろう。

 

「クリューソスよ、少し勘違いしてはおらんか?ゴブリン討伐の任務はゴブリンを数体狩るような任務ではないぞ」

 

 俺が楽勝そうにしているのを察してか、叱責するような様子のホワイ。

 

「違うのか?」

 

「冒険者協会が発足された当初こそそのような任務もあったと聞くが、今となってはありえん話だ。その程度なら各領ごとの騎士達で討伐しきれる。むしろそんな時代を笑い話にするのが儂らの時代の冒険者よ」

 

 ふむ、なるほど。笑い話云々はともかく、その前の部分に関しては確かにそうだな。俺もレーベン領にいて一度だって魔物達が侵入した話なんて聞かない。まぁオーク野郎の事件や師匠の侵入だったりはあったがそれだけだ。

 そう考えると確かにわざわざ冒険者協会に金を出してまでやってもらう任務ではないのか。

 

「それじゃあ一体どんな任務なんですか?」

 

「それはズバリ、ゴブリンの集落を丸々一つ壊すことだ。言っておくがゴブリンの集落にはゴブリンは最低でも二百はいると考えた方がいい」

 

「二百!?それはちょっと想定外だったな」

 

 だってこれって最初の任務の話だろ。幾ら何でもその任務は俺たちの最初の冒険者ランクからは遠いのでは?この三人でやるなら余裕であろうが一般的な最初のランクの冒険者がそれをできるかは怪しいところだ。

 

「なんだ。妥当じゃん。むしろ簡単すぎて肩透かしって感じ」

 

 そう言うのはミリタリアだ。コイツは最強だから簡単なのかもしれないが、冷静に考えて二百体は体力的に厳しいだろう。まぁ俺も正直最悪一人でも何とかなるとは思うけどな。

 

「お前さんの尺度でものを語ればS級の任務でさえ、C級になってしまうわ馬鹿たれ」

 

 呆れたようにミリタリアに対して声をかけるホワイ。

 この人、声はでかいしときどき話長くて面倒くさいけど、言うことだけは正しいんだよな。

 

 こんな話をしていると冒険者登録が終わったのか受付さんが帰ってくる。

 

「お待たせいたしました。こちらが冒険者協会の一員であることを示すランクカードになります」

 

 すると、受付さんは俺たちにカードを渡してくる。カードには顔写真などはなく、先ほど答えた情報と冒険者ランクのみが書かれていた。

 ちなみに俺のランクはCだった。さっきの『ミリタリアがやればどんな任務でも全部C級任務になってしまう』的な発言からして、最低ランクはCであろうと思ってはいたが、、、元の世界で見た小説や漫画の異世界系の冒険者協会の最初のランクとしてはかなり高いなと思う。大体はEとかだったイメージだ。

 

「既にお分かりかと思いますが、冒険者ギルドは例え任務中に命を落としても一切の責任は負わないため、あらかじめご了承ください」

 

 それを聞くならもっと前だろ。と思いうが、すぐにその考えは変わる。そもそも冒険者になろうという時点でこの世界ではそれは了承して然るべきものなのだろう。その証拠に異世界転生系の漫画とかで見て来た冒険者協会に比べるとここは人が少ない。それはこの世界では冒険者の任務内容が過酷すぎるからだろう。戦って稼ぎたいなら領の騎士をやっている方が安定した収入になり得るし、強すぎる敵に出会うこともないだろう。そんな中わざわざ冒険者になるような腕利きに今更命の危険性とかは問うまでもないのだろう。

 え?なろう系がまともに人の混雑状況とかきちんと想像して作品作れてるわけねーだろ?仮に現実に冒険者協会あったとしたら案外人の集まりなんてこんなもんだよ?、、、黙りなさい。

 

「任務ボードはあちらにありますので、あちらに貼ってある任務の中で自身に見合ったランクのものを選んでください。選んだらこちらに持ってきてもらい受け付けを完了させたなら正式な任務となります。もし、任務を受理せずに達成した場合、まだその依頼が誰にも受理されずに残っていれば正式に達成とし、依頼料を支払います。ただし既に他の方が受理されている場合はそうなりませんので必ず受理してから任務に臨むようにしてください。その際の責任もまた協会は負わないものとします」

 

 そう言いながら受付さんがある方向を指差しているので、俺はそっちの方へ促されるように顔を向ける。そうした視線の先にはボードがあり、まるで掲示板のようになっていた。掲示板には任務の書いてある紙が幾つも貼ってあった。

 掲示板の中でも任務ランクC、B、Aの枠ごとに分かれており、Sはなさそうだった。

 

 俺はそれら依頼の詳細を見に行こうとし動き出す。それについてこようとするミリタリアに受付さんが、

 

「あ!ミリタリア様のみお待ちいただけますか?お話したいことがありまして」

 

 受付さんからそう呼び止められたミリタリアはそれに従うように足を止める。再び受付さんとミリタリアは向かい合う。

 

「え〜わかった。クリューソスは先行ってて、()も後で行くから。、、、死ぬなよ」

 

「死なねーだろ絶対。、、、了解」

 

 ミリタリアのボケにツッコミをいれつつ、俺はホワイと二人でその任務ボードの掲示板を見に行く。

 背後からは『何々、内緒話〜?愛の告白なら残念ながら今は受け付けないよ〜』とか相も変わらず馬鹿なことを言っている声が聞こえるが無視して進む。

 

 任務ボードには割とすぐに着いた。

 

「S級任務はボードにないんだな」

 

 俺はシンプルな疑問をホワイに尋ねる。

 

「別にあるときはあるぞ。だが、S級に分類される様な任務は基本急務なのでな。協会の方から直々に頼まれることの方が多いのだ」

 

「じゃあS級冒険者は普段暇なの?」

 

「いや、そんなこともないぞ。儂は星騎士としての役割もあるし、冒険者ランクより一つ下の任務までは受けることも可能だからな。儂のギルドとしての仲間達はそれをこなしとることが多い」

 

 ホワイはそれを自慢げに話す。仲間の実績でもまるで自分の実績を語るように楽しいのだろう。

 

「へぇそうなんだ。それで結局なんだけど、、どれ受けるのが良いと思う?」

 

 俺が尋ねているのは何のC級任務を受けるかという話だ。さっき話していたようなゴブリンの集落の討伐任務もあるにはあったが、他の任務も幾つもあったので、俺は改めて尋ねた。

 

「そうであるな〜?」

 

 ホワイはしばらくの間、任務ボードを見つめる。相当な時間が経ってようやく結論が出たようで、左手の手のひらを右手をグーにしてポンと叩き、閃きましたと言った感じで話し出す。

 

「この任務なんてどうであるか?」

 

 そう言い、指差す先にある紙に書かれている任務は、

 

 ▽▲▽▲▽▲

 

 C級任務 依頼概要:討伐

 

 内容

 

 ここより、少し西にあるマメマート領のズンダ村に

 て、発見された大量のオークの群れを討伐してもら

 いたい。

 推定でもオークの量は百二十を超えているため、も

 しものことがあった場合自領の騎士のみでは対処し

 きれぬ可能性があるため、至急応援求む。

 

 ▽▲▽▲▽▲

 

 わかってはいたけどC級任務ですらやばいな。

 オーク百二十体は先程のゴブリン二百体よりも遥かに鬼畜だな。通説ではオーク一体がゴブリン五体分程度の脅威と言われているからな。これが最初のランクとかこの世界も中々に終わってんだろ。というかこれでC級ならB級とかはどんな任務なんだよ。

 しかしオークか。俺がミリタリアから急遽誘われた冒険者として活動することを良しとした理由は、以前戦ったことのあるオーク以外の魔物と戦えるという点だ。それを踏まえるとオーク討伐の依頼を受けるのは目的からずれているだろう。

 とはいえ他の依頼を見る限りCランクの中だったら難易度が一番高そうに見える依頼でもあった。これを経験するのは現在の実力を把握する上では良いかもしれない。今のところ王道十二星騎士というこの国の武力面における天井だったり、以前のオーク野郎事件だったり、あるいはどこぞの魔導王の召喚した魔獣であったりと普通とは言い難い存在としか戦っていないからな。魔物を普通と評するのは少々不謹慎なことかもしれないが、この世界においては普遍的に存在する奴らな以上間違いではないだろう。

 

 俺はその内容を読み終えた後、ホワイの方を向き、

 

「ホワイは着いて来てくれるんだよな?いざという時は助けてくれよ」

 

 正直オーク百二十体はそれなりに恐ろしいのでそれをちゃんと確認する。俺達は冒険者登録に関することは手伝ってくれと頼んだが、依頼に対する協力を頼んでいた訳ではなかったからだ。

 しかし依頼を受ける俺たちがまた別の依頼をするような形になるのは奇妙な話である。

 

 このオーク討伐の依頼に関しては一応ミリタリアとの二人でやるから大丈夫だろうけど、あいつだからこその不安があるんだよな〜。

 

「ふん、安心するが良い。元よりそのつもりである。お前さんらの初任務はぜひとも見届けたい。仮にお前さんが着いてくるなと言っていても儂は無理矢理にでも着いていくつもりだったので、むしろ助かるわい」

 

 それを聞き、俺は安心する。ホワイにも面倒な側面はあるがミリタリアほどではないし、多少は負担も緩和されるだろう。されるよね?すこしずつ判断ミスなのではと不安になりつつある俺だった。そしてその後ホワイに気になることを少しづつ聞いていると、ふと声がかかる。

 それは子供のようで可愛らしい声であり、そんな声を出す者で思い当たるのは一人だろう。

 

「クリュー決まった?この()に相応しい任務なんてCじゃ無いだろうけど」

 

 もちろんミリタリアだ。

 俺はコイツのその疑問に答えてやる。

 

「あぁこのオークの任務しようかなって。ホワイと話しててそうなった」

 

 そう言い俺はオークの任務の紙を指差す。すると、ミリタリアはそれを見ようとする。

 ミリタリアが読み始めてから数秒が経つ。すると、

 

「うん!いいんじゃないかな。()にとっては道端の雑草を引っこ抜くぐらいに簡単なことだけどやってあげましょう!」

 

 自信満々に指パッチンをしながらそう言うと、ミリタリアはそれが書いてある紙を取る。

 

「ホワイもついてくるんでしょ!まぁいらないけど」

 

 余計な一言を言うやつだな。と思いながらも俺は特に何も言わない。話が拗れるからだ。

 

「そうに決まっておろう!儂が着いていかずに誰が着いていくというのか?お前さんもそれで良いと決まったのなら速く受け付けてくるが良い」

 

 そう言われ、俺達は紙を手にしたまま受付へと向かう。

 

「受付さん。俺とミリタリア、それとホワイの三人で早速この任務受けたいんだけど、行ける?」

 

 複数人での任務はできないと言うことはないだろう。ギルドというものがある以上な。とはいえもしギルドメンバー内でないと同じ任務を受けれないと言われたら問題だ。だから俺は『行ける?』と聞いたわけだ。ホワイに事前に聞いてもよかったが、ミリタリアが受付前に突っ走っていったのに急いでついて行ったためにホワイとの距離が離れてしまい、わざわざ戻って聞くのも面倒なので直接受付さんに聞いたのだ。

 

「はい。可能です」

 

 そう返事をもらえて良かったと安堵している俺に対し、そんなのわかりきっていたのかミリタリアはすぐさま、紙を受付に置く。どうやら本当に色々調べていたようだ。

 

「じゃあ早く受理しちゃって!」

 

「確認ですが、ラック様はギルドとしてではなく、個人としての任務でよろしいでしょうか?」

 

 ホワイは自分に対する問答があると思っていなかったのか、少し離れた位置にいたため、俺が呼び出す。

 

「ホワイ!ちょっとこっち来てくれない!」

 

 俺が大声でそう呼ぶとすぐに気づいてこちらへと向かってくる。

 何用か?といった様子の顔をしているのでその説明をする。

 

「いや、ホワイがギルドとしての任務ではなく、個人として受けるっていうことで良い?って話」

 

 それを言われてようやく合点がいったようで、受付さんに向かってホワイに言う。

 

「おぉ、それはすまんかったな!儂個人としてのもので問題ない」

 

 相変わらずの大きい声で答えるが、今回は真横にいる形になってしまったため余計大きく感じた。

 耳鳴りしそうなほどの大声で嫌になる。

 

 そんなホワイの返答を聞き、正式に受理するためか任務の紙を持ってまたまた裏に行ってしまう受付さん。それを見届けた後、俺はホワイの大声を正さんとする。

 

「ホワイさ、、もう少し声小さめにできない?結構デカくて耳痛くなるんだよ」

 

「良いではないか!儂の声が大きければ大きいほど皆が儂の声を聞けて、皆が幸せを感受できるのだから!」

 

 自分の声のボリュームを下げろというのは気に食わなかったのか否定される。それに対して俺は、

 

「だから!その大声で耳痛いつってんだろ!俺が痛くて不幸になってんだわ」

 

 みんなが幸せになれるという先の発言を俺は矛盾してるぞと否定する。

 

「む!それは確かにそうであるな。ならばまぁ致し方ない。坊主の前でだけは声のボリュームをちと抑えよう」

 

 俺のそんな指摘を受け入れて変わろうとしてくれるホワイ。やっぱこの人はミリタリアと違って話のわかる人だな〜と、しみじみ思っているとついに正式に依頼の受付が完了したようで、裏から帰ってきた受付さんは俺たちに一枚の紙を差し出してくる。

 

「それでは受理致しましたので、依頼開始となります。3日以内に村に到達しない場合は強制的に依頼失敗となりますのでお気をつけください」

 

 だからそういうのは先に言えよとも思うが、ホワイがそれを言わないということはこれが当たり前なのだろう。冒険者という仕事は俺が元の世界の知識で想像していたいたよりも過酷そうだ。

 

 俺たちは受理完了の紙を受け取り、外に出る。冒険者協会にいた時間は三十分もないが随分と長く感じた。

 

 間違いなくあの二人のせいだろう。

 

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