ー異世界への侵略者ー地球を侵略しにきたエスパー宇宙人、死して異世界へと転生する。超能力?何それ?強すぎ!! 作:ゼリアサイ8世
ミリタリアが魔法を発動させ、オークとその先にある山々ごと破壊し尽くす。それは、まさに天災が起こったかのようであり、やはりこの女が天災のような馬鹿であると示していた。
俺はそのあまりの光景に衝撃を受けつつ、何とか口を開く。
「お〜お〜お前さ!え!?嘘でしょ!?お前馬鹿なの!?この先にある山達に住んでる人達どうするの!?まさかとは思うけど殺してないよね!?」
オーク
俺がそう聞くと、ミリタリアは特に動じずに答える。
「当たり前でしょ?ちゃんと人がいないところにしたよ。これで巻き添え食らったのは魔物達とかだけ。
ミリタリアはいつも通りのふざけ散らかした様子でそう言うが、正直本当だろうか?また適当なことを言っているのではないか?そんな疑問が溢れ出るが、それをホワイが止めてくれる。
「安心するがよいクリューソス。此奴は確かに馬鹿だが、そういったことに関しては完璧である。此奴の目が魔眼なのは知ってあるか?」
そう問いかけてくるホワイに対して俺は返答を悩んでいた。知ってはいるが、その内容がやや曖昧なものだからだ。とてもじゃないがそれだけで今回の話が解決するとは思えなかった。とはいえホワイの質問は『知ってるか?』だ。ならばイエスと返答はできるだろう。そう結論を出し答えようとしたとき、
「『
ミリタリアがわざわざ改めてそう教えてくれる。一応ミリタリアの魔眼名が長ったらしいせいで正しく覚えているかは不安だったのでやや助かったという感じだ。
「あぁ〜そうだった。『
『
「それも忘れちゃってんの!?まぁいいんだけどさ〜。一回しか教えてないわけだし。
それは知ってるから特に何か反応するわけでもなく、話を聞き続けようとする。
ミリタリアも俺のそれを見て、話を続けようとする。しかしその時、ホワイが突如割り込むようにして喋り出す。
「そしてもう一つが視野が広くなり、このルミナ内の全てを見ることができるということであるな!」
そんな唐突なホワイの割り込みにミリタリアは怒り、ホワイの肩を掴む。
「あんたさ!出しゃばりすぎだから!せっかくの
ホワイの肩、正確には肩を覆う黄金の鎧の部分に力を入れて、握りしめるミリタリア。段々とその力が強くなっていき、鎧が凹みホワイも苦しみ始める。
「よしよし!悪かった悪かった!儂も生徒として参加してやるから許してもらえんか?もう口は挟まんから!」
ホワイが生徒になるという提案が気に入ったのか、ミリタリアはそれを聞くと手を離した。すると俺とホワイ、その両方の前に立つ。
俺がホワイの方をちょっと見てみると、握りしめられて潰れたはずの鎧は既に直っていた。
俺はそれを確認すると直ぐにミリタリアの方へと向き直す。難癖つけられなくないからな。
それはそうと、
「まるで授業再開って感じの雰囲気だしてるけど、今のホワイので大体理由は分かったぞ?様はミリタリアが世界中どこでも見れるから、普通に山に人がいないって分かったっていう話だろ。ちがう?」
俺がそう言うとミリタリアは少し悲しそうな表情を見せる。どうやら俺の口にした内容は当たっていたようだ。
ホワイが先程口にしていた
ミリタリアの魔眼が視野が広い的な話は確かに聞いてはいたがまさか世界全域とは思っていなかったために俺は素直にそのことについて驚いていた。村長を見つけたのもこの眼を使ってのことなのだろうな。
しかし俺は素直に驚いていることを知られるとミリタリアが調子に乗るのは目に見えてるので、それをおくびにも出さないよう気をつける。
ふと思ったが、世界全域ってプライバシー的な話でかんがえるとやばくないか?
「ぐぬぬ、確かにそうなんだけど〜。う〜ん。じゃあさ、クリューは
そう言われ、何を聞くか悩む俺。普通にさっきの魔法の威力が強すぎてそれが気になるんだけど、魔法については一度断られてるからな。つい先程気になったばかりのプライバシー関連についてでも聞いてみるか?
どうしたものか。そんなふうに悩んでいると、隣の席のホワイ君がミリタリア先生に質問する。
ちょっと雰囲気に合わせて、呼び方変えてみたけど寒気が立ったので今後はやめよう。
「ミリタリア先生の年齢は何ですか?」
ホワイは設定にノリノリだな〜。まぁなんか自分の戦いを伝説だとか言ってたし、案外そういった子供っぽいことをするのが好きなのかもしれない。
でもホワイ、、、お前それ聞くか!?こいつに年齢の話はタブーなはずでは!?
ミリタリアの方も設定に沿って大人な対応してくれるかは分からないぞ!?
そんなふうに考えているとミリタリアがついに喋り出す。
「いい質問ですね〜!ホワイ君。その質問の本当の意味は『先生に殺してもらってもいいですか?』だよね!ドMの才能があるよ君。答えは丸だから、こっちにお・い・で!」
普段からは想像もつかないような優しめな口調こそしっかりと先生らしいが、言う内容が先生ではないな。
顔も笑顔っぽいが、どう考えてもキレてるタイプの笑顔だ。貼り付けた笑顔と言ってもいい。
それに気づいたのか、ホワイもすぐにその質問を撤回しようとする。
「いや!大丈夫です先生!答えなくて!」
ホワイがそう言うとミリタリアは残念がりながら話を続けんとする。
「あっそ〜う?じゃあ次の質問に移ろうかな?何かある?」
今度こそ俺の質問と思うものの、痛い目を見て尚黙っていられない男が俺よりも先に口にする。
「先生!彼氏いますか〜!?」
マジでこいつガキか!?さっきから質問の全てが本当に小中学生なんだけど!?少しは黙っていられないのか!?
俺の怒涛の三連疑問はさておき、確かに俺もミリタリアのそういった浮ついた話は気になるな。正直いてもおかしくはない気がする。
性格的にこいつに合う奴はこの世にもはや存在しないだろうけど、見た目だけなら他のどの一級品にも負けない一級品の中の一級品だからな。見た目さえ良ければ良いってタイプの人間ならミリタリアに告る人もありえるだろう。あとはまぁ強さっていう利用価値もあるかもしれない。
ちなみに俺は面食いで、容姿と性格だったら迷わず容姿と答えるタイプだが、性格が合わなすぎても結局愛せなくなると思うのでミリタリアの様な奴はなしだ。あくまで優先順位であり、それのみに依存はしない。
ミリタリアは彼氏がいるのか質問され、やや顔を赤らめる。その後、、、
「そ、そ、そ、そ、そんなの、、い〜、〜るに、決まってるじゃ、、ない!?いや、、
うん、嘘だな。清々しいまでの嘘。
明らかに慌てている。ここまで100%嘘なことも珍しいな。テレパシー使わずしてここまで確信できたのなんて滅多にないことだからな。
でも本当に驚いたな、ミリタリアに彼氏がいないだなんて、、、、、いや、やっぱ妥当だわ。
「先生!絶対嘘ですよね!それ!」
ホワイ!お前は余計なこと言うなって!
それを言われてミリタリアは顔を更に赤らめて反論する。
「ど、どこにそんな証拠があるんですか〜。
「ハッハッハッ!お前さんがモテる!?まぁ容姿だけならば、それこそ女神と言われようと信じれる程ではあるが、性格が致命的に合わんわ!誰もがな!確かに容姿のみでいいという男は言い寄るやもしれんが、そういった男とお前さんは付き合いたくなかろう?」
「相手を選べる程の魅力はないと言うのに!!!」
ついに生徒設定を忘れて完全にいつもの口調で煽り散らかすホワイ。
ミリタリアはそれを言われてさらに顔を赤らめ、ついには、
「えぇ〜!えぇ〜!そうですが!?何か!?悪いことしました!?
その返答はつまり彼氏いない歴=年齢であるということを表していることには多分気づきてないんだろうな。
「なんと!一度すら相手もおらんかったのか!?まぁそれも妥当であるな!残念ながら、お前さんの理想の相手、そんな相手は存在しない。何故ならばお前さんが好きでも、其奴は絶対にお前さんを好かん!」
「断言すんな!」
「人に好かれたければ、己を変えよ!それをせねばいつまでも恋は実らんぞ!」
結構この二人は似たもの同士なので、それをお前が言うか?とは思うが、いってること自体は正しいだろう。
もし、こいつの性格がそれこそ本当にお淑やかとかだったら男達からは引っ張りだこだろうからな。
まぁどのようにしてこんな面倒くさい性格になったのか俺は知らないしな。もしかしたら強すぎてこんな性格になった可能性もあるわけで、それならこうなるのも必然だったとも言えるし。人格評価は良くても人格否定はおいそれと許されるものではないないだろう。
とにもかくにも問題がこいつの性格なのは間違いない。
「こればかりは的を得ていると言えると思うよ、ミリタリア。俺もお前と付き合わない理由選ぶならそれだもの」
「でもさ〜、愛されるために自分を変えてちゃ何のために愛されたかったのかを忘れてるでしょ。
ミリタリアの言いたいことはわかる。その人に愛されたいがために努力する。それ自体は決して悪いことではないだろう。でもその人のために、自分の人間性まで変える必要があるのかどうかだ。
自分が好きになった人の理想に応えるだけの人間になりたくない。そういった気持ちがミリタリアの中にはあるのだろう。以前俺の叔母にあたるチルマーも似たようなことを口にしていたし、女性が特に抱きやすい価値観だったりするのだろうか?、、、いや、その二人が特殊なだけか。
ちなみに全く関係ない話にはなるが俺は先の発言の『あ』が多いのが気になっていた。口にはしないが。
「クリュー、覚えておきなさい!
その宣言はやけに堂々としており、珍しくかっこいいと思うものだった。ここにきて威厳が出てきたと言えよう。
「ふむ、まぁそういうことならば仕方あるまい。儂もお前さんの気持ちもわからんでもない。だが、多少の妥協はせねばならんだろう?」
ホワイはミリタリアに少しは変わるように言う。しかしそれに対しミリタリアは堂々と口にする。
「譲るなんてのは
そう言うと、ホワイは納得したように笑う。
「確かにな!お前さんはその方が良かろう。確たる信念ある者に野暮なことを申していたのは儂だったようだ。すまぬな!」
謝罪するホワイに対し、ミリタリアは怒ることなく許す、、、、と言うわけにはいかず、普通に怒る。
「い〜や普通に全然許さない!」
たまに大人な対応を見せるミリタリアは、今回残念ながらそれを見せれなかったようだ。先生モードはとうに事切れていた。
「さんざん好き勝手言ってくれちゃったけどさ、そう言うホワイはどうなの?まさかとは思うけど
やけにイキイキとした様子のミリタリアにホワイは先程までの表情を崩し、呆れた表情となる。
「なわけなかろう。儂に言い寄る女など山のような数ほどあるわい」
堂々と当然のように宣うホワイ。それが嘘とは俺にはとてもじゃないが思えなかったし、実際元より疑っていない。だってこう、なんか数十、下手すれば数百人は喰らってそうな顔と性格してるし。
「どうせ嘘でしょ!」
「根拠のない断定はあまり良くないそ、ミリタリア。そんな問題だらけのお前さんも儂はどうにかしてやろう」
そう言うとミリタリアは焦った様子になる。
「いやいや!ホワイ!悪いけどあなたはタイプじゃないから!いらない!いらない!超いらない!」
断固拒否といった様子のミリタリア。どうやらミリタリアはホワイ自ら相手になってやるという意図の発言に聞こえたらしい。
それを見てホワイはミリタリアのその様子にまたも呆れた様子であった。
「違うわ馬鹿タレが。お前さんなど儂から願い下げであるわ。せっかくお前さんの相手を見繕ってやろうと考えたのに、これではそれの気もなくなるというものだ」
それを聞いてミリタリアは自身の勘違いに恥じて顔を少し赤らめる。ミリタリアが恥じて思考が乱れている最中、ホワイが小さな声で『貧相であるしな』とか言っていたのを俺は聞き逃さなかった、
ミリタリアにとってはこれを聞かず、というより知らずに済んだのは良かったことだろう。性格だけでなく、体格的にもモテにくいと知るのはあまりに酷である。知らぬが仏というやつだ。
まぁもしその発言をミリタリアに聞かれた場合、間違いなくブチギレられ瀕死になるのはホワイであり、どちらかと言えば知られぬが仏だったとも言えるのかもしれない。
俺がそんなことを考えて数秒耽っていると、ミリタリアは元に戻りホワイに迫るようにして言う。
「待って!分かった、ありがと!
ミリタリアは妙に焦っているように感じる。ミリタリアの性格的には『別に良いよ!』的な感じですますかと思ったが、そうではないようだ。
それだけホワイの紹介というのは信頼できるということなのだろう。確かにS級冒険者の人脈は凄そうだしな。
「うむ!良かろう!後で其奴を紹介してやる。しかし、まずは任務の達成を報告せねばなるまい?」
そう言えば話し込んでわすれていたが、俺たちは任務中だったのだ。これから村長のところに行って、任務達成を認めてもらわなくてはならない。
「ミリタリア、人民に直接的な被害が出てはいないとはいえ、山をいくつも破壊したのだ。後で王の奴に叱られるだろうが、お前さんが責任を持てよ」
ホワイにそう言われると、どんどんと顔が曇っていくミリタリア。
こいつまさか、人に被害出さなければ何でも許されるとでも思っていたのか?何かしらの言い訳はあると踏んでいたのに。だとしたら間抜けすぎるだろ。
「ちょちょちょ!これは
クソみたいな論理で責任を押し付けようとしてくるミリタリアに俺はしっかりと反論しておく。
「クソみたいな責任転嫁だなお前。今回に限ってはお前がわざわざ高威力な技使ってこうなったんだからお前のせいだろ」
「いやクリューだって、
「それにしたって限度ってものがあるんだよ馬鹿!少なくとも考えなしに山破壊して良いと思ってる時点でダメなんだよ!」
「ひっど〜い!クリューそんなんだから女の子からモテないんだよ!」
「いつ俺がモテないって知ったんだよ?別にまだ生まれてから女の子と関わる機会が少なかっただけだし!」
前世の、、、といっても雪影船銅時代の話だが、その時はそれなりにモテてたしな。少なくともこの女よりはマシだと思う。
「お前さんら、喧嘩は後にせんか!任務の報告が優先だと言っておろうが!」
ホワイがそんな怒声を上げる。冒険者として俺達のこのような状態は納得のいくようなものではなかったのだろう。
まぁホワイもS級冒険者になる上でそれなりに苦労しただろうからな。その苦労の中にはしっかりと任務をこなすことがあったはずだ。そんなホワイからすれば俺たちの態度は舐めていると考えられてもおかしくはない。
俺は確かにこいつとの言い合いを長引かせるのは良くないと思い、行動に移す。
「あぁ、ごめんホワイ。ミリタリア、とりあえずこのことはお前が責任負うとして、魔物の死体を処理したら村長の家行くぞ!」
ミリタリアはまだ何か言いた気であったが、ホワイの叱責を受け、少しは大人しくなった様子であった。そして殺したオーク達の死骸を魔術で焼き払ったりして処理などの諸々をし終わると、ミリタリアは俺とホワイを掴んだ。今日何度も経験した瞬間移動の様な技を使われ、ついさっき見たばかりの村長の家の前に着く。
また、余計な会話が始まる前にと思い俺は即座に行動に移る。村長の家のドアを開け、
「失礼します!」
そう言うと、中にいたのは変わらず村長のソラマとそのおじいちゃんであるダインだった。
彼らは俺を驚いた様子で見てくる。そして、
「あの〜その、、入るときはノックしていただいてもよろしいでしょうか?」
ソラマは申し訳なさそうに俺にそう言ってきた。
しまったな。俺は確かに礼儀がなってないなと思い普通に謝罪しようとするが、それを邪魔しようとしてくる者どもがいる。
「え!?クリュー!?流石にあり得なくない!?勝手に人の家に入るとか神経を疑うよ!?人に道徳がどうだとか言っておいて自分がそれですか!?笑わせないでよウッキッキ!」
「お前さん頭大丈夫か!?場合によってはミリタリアより、、いや、それはないが、お前さんも少し常識というのを学んだ方が良いのではないか!?」
二人の大声が俺の耳に同時に響いてくる。耳が痛くなるのを感じながら、俺はこいつらに反撃する。
「声の音量下げろ!それと同時に喋んな!人の家の前で大騒ぎする奴らに言われたくないんだが!あと、ミリタリア、お前は良い加減笑い方統一しろ!猿かテメェは!」
こいつらと話すといつまでもツッコミ役にされて敵わん。まさか俺がこいつらに常識について言われるとは。まぁ確かに今回は俺が非常識だったからあんまり強くいえないんだが。
俺はその様に一通りキレた後、
「ソラマさん、本当にすみませんでした。謝ってばかりで申し訳ないのですが」
「いえいえ、大丈夫です!それで、オークの方は良くなったということでしょうか?」
依頼主として当然の疑問を唱えてくるソラマさん。
馬鹿二人と違って話しやすい人だな。まぁ村長なのだからそれも当然か。
「もう安心せい。儂らが全て片付けた。証拠はこれらの魔石だ。それと一応これは言っておくが、おそらくあの集落の形成にあたってのボスがいた。それは近頃稀に発見される変異種オークに当たるものだったと。やけに村の近くに集落があるのも、その近さで襲わないのもあれがいたからであろう」
ホワイが横からオークの頭について村長に報告し始めると、先ほどオークの死骸を処理する過程で回収した魔石の入った袋をテーブルの上へと置く。それを見てやくようやく完全な安堵した表情となるソラマさん。俺は少し早いが依頼を達成しきった気分になる。
そう言えば今この瞬間まで全然話題に触れなかったが、あのオークって何なんだ。ホワイも変異種扱いしてることから、本当に変異種なんだろうけど。同じ様な見た目の変異種が同時期に多数報告されるのも妙だろう。
しかも、ホワイは稀と言ったがそれもおかしい。仮に集落が築かれるなら、変異したオークはそれなりの数に増えるはずなのに、一集落のボスや突然現れる一体としてしか出現しないのはおかしいだろう。変異種と普通種の間で作られた魔物の子供達は普通種しかうまれない?あり得なくはないが、どこかひっかかる。
まぁいずれにせよそれは今聞くことではないだろう。後で聞こう。
「これらの魔石は見せてもらえれば十分です。換金に関してはお三方のご自由に。それで変異種オーク、、それはどの様なものなのでしょう?」
ソラマがホワイにそう聞く。
「現在に至るまでで儂的に共通してあると判断しているのはまず腕が六本である点。通常のオークより一、、いや二回り大きいな。それと腕と胴体が別々の色になっている。腕も1本ごとに色が異なっている場合が多い」
ホワイの語る内容は俺が遭遇した二体の変異種オークからも十分に推察しきれるものであり、特に目新しい情報はなかった。それは残念だが、今以上に厄介なことにはならないと考えればありがたいとも言える。
だがホワイの語る内容には多少納得のいかないものもある。俺が初めて遭遇した一体目は一度死んで蘇るプロセスがあった。だがホワイの口ぶりでは今回二回目に出会った奴同様に初めからあの姿でいることが当然といった雰囲気だ。俺がミリタリアに蘇る可能性を注意した時にホワイが驚いた様子はなかったが。
これについても後で聞くとしよう。
「それがまた来る危険性は?」
「まぁほぼないと言えるな。だが一切警戒しなくて良いという話にもならんだろうな。何回かあれらは大陸中で見つかってはおるが、その地点に統一性はないというのが儂の見解だ」
それを聞いて少しホッとした様子のソラマ。警戒を全くするなというわけではない、という部分よりも可能性としては限りなく低いという部分に対してだろう。
「そう、、ですか。良かった〜!」
ソラマが安堵し、その感動も落ち着いたところで俺は依頼書を出す。これにサインしてもらい、ここで直接報酬をもらうのが、冒険者の仕事だ。初めてのことだけど誰も指摘してこないし間違っていないはず。
依頼書を取り出すと、ソラマは細かい要求を口にせずとも直ぐにサインしてくれた。その後報酬となる硬貨を俺たちに渡してくる。
この世界においてのお金の単位はファイである。一円=一ファイ程度の価値に思ってもらって構わない。硬貨としては日本同様に一、五、十、五十、百、千、五千、一万ファイ
つまり円をファイ、玉を貨にそれぞれ変換すればそのまま日本と同様の感覚で通貨の運用ができるだろう。
一応この世界特有の金貨や銀貨といったものもあるが、それらは高価すぎるため滅多に使われない。今では流通量も相対的に減っていることもあり、そういった理由からも使われる頻度は減っているそうだ。
価値としては銀貨が十万ファイで金貨が百万ファイだな。ちなみにファイはこの世界全域共通効果なため、ルミナという世界の中なら特に換金する必要はない。
そして今回の報酬として受け取ったの四十万ファイだ。だがこの後再び冒険者協会に赴き報酬の内二十%を渡す必要がある。結果として手取りは三十二万ほどになるだろう。これを三人で分けたりすれば一人約十万程か。一応ソラマさん達に渡した魔石を返されたわけだし、それを換金するれば一人当たりの手取りはさらに増えるだろうな。まぁそれは、、、
「よし、ありがとうございます!」
俺は報酬とサインしてもらった紙を受け取ると、その様にお礼を言う。
あとは特に用もないし、長居するのもあれだろう。そう思い俺は立ち上がる。それに続くようにしてホワイとミリタリアも帰る動作をし始めてくれる。流石にその辺の常識はあるようだ。
「あの!魔石!忘れてますよ!」
俺たちがドアへと向かう中、そう教えてくれるソラマさん。
「それ、あげます。依頼料はそれなりに無理して払ってたんでしょ?」
俺はソラマさんに向けてそう言い放つ。他二人もそのことに異論はないようで特に口を挟んでこない。ソラマさんが依頼料を支払うときとの心の不安を、テレパシーで感じ取ったが故の行動であった。一応契約なので依頼料こそしっかりともらいこそするが、それ以外の部分に関してはなるべく融通を効かさてあげたい。そうしてドアの前に立ち出ようとしたとき、声がかかる。
「あの、、、、最後にお名前をお伺いしても?」
ソラマさんがそう尋ねてくる。
あぁ、そういえばまだ名乗ってなかったのか。こいつらが騒がしすぎて忘れてたな。一応依頼書に名前は書いてあるが、殴り書きで読みづらく直接聞いてきたのだろう。まぁそれを差し置いても正式に名乗っていなかったのは無礼だろう。魔石はいらないなんてカッコつける前にするべきことを忘れていたな。
「あぁ〜!すいません!別に構わないというか、むしろ今まで名乗っておらず申し訳ありませんでした」
そう言うと、ソラマさんは安心したような様子になった。まずは許可した俺から名乗ろうとする。
「俺はクリューソス・レーベンです」
俺は簡潔にそう名乗る。それに続くようにして一人目の馬鹿も名乗りを上げる。
「世界一可愛い
「ちなみに
相変わらずの長ったらしさにはもはや安心すら覚えてきたな。聞かれてもないのに余計な情報付け足して。加えて今回は自身の容姿のアピールのためかポーズまで決めていた。うざい。
でも改めて思うんだが、こいつと王様の苗字って共通だし、リオレス大陸、、いや、リオレス王国の方か?それらとも一致するし、どういうことなんだろうか?
まぁこれも後で聞いてみよう。後に聞くことがどんどん増えていることに辟易しつつ、横目に巨漢の男を見やる。ミリタリア以上に長ったらしい紹介をしそうな男もついに名乗りを上げた。
「儂は『不言実行明鏡止水百花「ダメダメ!」
俺は別に止めるつもりがなかったのにいきなり止めさせられた。あの異名だけは絶対に言わせないぞ。あんなの聞くだけ時間の無駄だからな。
「ホワイ〜。良い加減それやめたら。本当に長くて良くないと思うから」
そう言うのはミリタリアである。珍しくまともなことを言っている。
「お前さんにだけは言われたくないんだがな。まぁしかしお前さんらに何度も止められるのも儂としても飽き飽きなのでな。今回はそれ抜きで名乗るのしよう。」
そう口にし、改めてホワイは名乗り出す。
「儂の名はホワイ・ラック。王道十二星騎士の『
驚いたな、マジで短い自己紹介じゃん。できたんだ。そんなふうに考えていると、俺はソラマさんが驚いた様子であることに気づく。
まぁ正直ミリタリアが名乗ったときからそうだったんだけど。
「星騎士の方々でしたか!その、、失礼なかったでしょうか?」
こいつらは強いから、そういった恐れが生じるのは仕方のないことだろう。俺が会ってきた星騎士の中でも特にこいつらは話通じないタイプだしその判断は正しい。
「「
二人の声が重なる。相変わらず待てない奴らだな。
返事が重なったことに対してお互い言いたいことがあるようで、また口喧嘩になりそうな雰囲気を醸し出す。
これ以上長居するのも良くないと思い、俺は二人に対し、
「お前ら!喧嘩するならせめて外に出てやれ!」
そう言ってやると一応納得したのかあいつらは出て行った。
そして最後には俺一人になってしまった。実に好都合だ。
「ソラマさん。今回はありがとうございました」
俺のそんな感謝の言葉に驚くソラマさん。
「それは我々の方ですよ!オーク達を倒してくださりありがとうございます。お二方にもお伝えしといてください」
礼儀正しい人って良いな〜!あいつらみたいに口が悪くないし。俺と同じで。
そんなこんなでそろそろ出ようと思った俺はドアに手をかけると最後に一言。
「さようなら」
そう言い振り返ると、手を振るソラマさんとそのお父さんであるダインが居た。
不思議と嬉しいものがあった。
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その後俺たちはミリタリアに頼み瞬間移動させてもらい、冒険者協会まで戻ると依頼書を提出。これで正式に依頼が完了とされるようだ。
そして俺たちは一度解散することとなる。せっかく一緒に依頼をこなしたので晩飯を一緒に食べようとなったのだが、クライア達が俺とミリタリアの料理を用意してる可能性があるためそれを平気だと言うために一度帰ることになったのだ。
しかしミリタリア、こいつはいつまで家にいるのだろうか?まさかずっといるわけじゃないよな。できるなら今日中に出ていって欲しいんだが。
そんなわけで一度帰った俺は諸々の事情を料理担当のメイドさんに伝え、その後クライアとヘットにも直接その旨を伝える。かなり残念そうにしていたが仕方がない。
そして要件を済ませた俺たちは事前にホワイから言われた店に向けて歩み始めていた。
俺はそういえばと思い口にする。
「そういえばミリタリアは以前リオレスって呼ぶなって言ってたけど、そのリオレスって何なんだ?王様も同じミドルネーム持ってるし、リオレスってそもそもこの国と大陸の名前だろ。気になるんだけど」
そう言うとミリタリアはバツの悪そうな顔をしてこちらを見る。それ聞く?って感じの表情だが素直に気になるので質問を撤回したりしはしない。
答えたくないと答えられたのならそれはそれで構わないしな。
「言いたくないってのはあるんだけどね。まぁ少しならいいよ。でも
今日ホワイの魔法を勝手に解説したことを反省しているのかあくまで話すのは自身のことに関するのみだと前置きしてくる。ミリタリアの言っていることをもちろん否定するはずもなく俺は無言で頷く。すると話の続きをミリタリアは口にし始める。
「
なぜ家を追い出されたのかといった疑問がないわけではないがそれはおそらく彼女の闇に触れることになるだろう。そしてミリタリアがそれを望んでいないことは明白だし、これを答えてもらえただけありがたいと考えるべきか。
正直想像よりも重だげな話だったので空気がどんよりとしている。少し辛いが、これは俺が作り出した空気なので我慢するしかない。
「あぁわかったよ。ありがとう」
納得、そう答えてやるとミリタリアは意外なものを見るような目でこちらを見てくる。
「クリューも人を気遣えるんだね」
お前がな。ミリタリアにそんなふうに言われるのは非常に心外だった。
だがまぁ、ミリタリアがわざわざこんな憎まれ口を叩いてきた理由を俺は察している。そしてその提案に俺は乗ることにした。
「俺の方こそお前には驚かされたよ。だって王様の身の上話は勝手にせず王様に聞いてって言ったんだもの。多分ホワイの魔法の件で俺に言われたことを学習したんだろうけどさ、、、俺に生徒になりたいとか言っても知らないって、言ってたやつとは思えないよね。だって俺に教えてもらってる側なんだがら。あぁでもその容姿にはお似合いだよミリタリアちゃん」
俺は先程まで何事もなかったかのようにいつもの口の悪さを発揮する。ミリタリアはその様子に少しばかり顔を綻ばせてから、怒りを露わにする。
「へ〜〜!!そういうこと言っちゃうんだクリュー。
「だからお前は笑い方を……」
そんなふうな会話を続けながら俺達はホワイが待っているであろう店に子供ながらに足並み揃えて向かって行った。ちなみに今さりげなくミリタリアを子供扱いしたのは絶対の秘密だ。
「そういえばお前って転生者だったりするの?」
「え?何で?
「マジ?」
「マジ」
冒険者協会の依頼金、安いか高いか、どちらに感じましたか?ちなみに今回の依頼料は今作においては平均的といった額です。
今回ミリタリアなどの例外がいたために馬車を借り受ける賃金や、道中での食料、その他様々な金がかさむ要因を取り除き、尚且つこの三人という絶対安全の体制で挑んで得たのはこの額です。一般的なパーティーならもう少し人数が増え、一人一人の取り分が減る可能性も鑑みると、割と冒険者はハードな仕事なのです。当然ですが命も賭けてますし。
ミリタリアの転生者じゃない話は本当です。今後パロディっぽいのが出てきてもそれはミリタリアのマジカルさ加減が異常なだけです。伏線では一切ありません。
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