ー異世界への侵略者ー地球を侵略しにきたエスパー宇宙人、死して異世界へと転生する。超能力?何それ?強すぎ!!   作:ゼリアサイ8世

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承「狼煙」

 

 惑星ミューザリアに住むザリア人は超能力の行使を可能とする。例とするならばサイコキネシスや瞬間移動、透視などである。

 

 ーーーーーー

 

 

 ある廃工場に集まった四人の男と三人の女。その七人は全員この星の外からやってきたいわゆる宇宙人であり、そいつらを取り仕切るリーダーが俺だ。

 

「それで、お前達はこの星を侵略(つぶす)のには現状の戦力で十分だと思うか?」

 

 俺が早速本題に入ろうとそう口にすると同時に、他六人の表情が険しくなる。俺はそんな反応に不可解だなと感じつつも話を続ける。

 その後誰も賛否どころか意見を述べることすらないため、この部隊のリーダーとして先陣を切って俺の考えを述べることにする。

 

「まず俺の意見を言うなら十分だと感じている。お前たちがどう感じているかも踏まえて本隊に連絡したい。だから教えてくれ」

 

 先ほど険しくなったのはいきなり自分の意見を言うのが怖かったから。そう考え最初の意見として俺の意見を出したが、未だに続く者は出てこない。俺はいよいよ指名式で順番に聞いていくかと思った時、一人がようやく手を挙げた。非常に助かる。

 

 

「隊長、私はこの星の侵略は不可能だと思います」

 

 どうやらそいつは俺と意見が異なるようだ。別にそれ自体にはなんら文句はない。しかし問題はここからだった。

 

「私も不可能だと・・・」「厳しいと言わざる・・」「やめた方がいいと思います!。」「俺も嫌っす」

 

 この場にいる七人の内五人の意見が俺と異なると主張される。そして俺を除いた残りの一人も意見こそ口にしないもののその立ち振る舞いからしてあちら側の遺憾であることは明白。つまり俺と部下達では大きな判断のズレがあるというわけだ。そして俺はそのことに少なからず驚きを隠せずにいた。

 別にこいつらとはミューザリア星にいたとき、深く関わりがあったわけではない。あくまでこの地球潜伏作戦の仲間というだけの関係。知り合ってから任務の開始まではそう長くはなかったし、始まってからもほぼ交流はなかった。だから仲良しこよしで意見一致といかないのは特に問題ない。むしろリーダーの一存で全てが決まる思考停止部隊にならないのだから、褒めて然るべきことだ。いざという時意見が分かれても困るので一長一短だとは思うが、その点はまぁいい。

 とにかく俺としては意見が分かれるのは特に問題ないし、する気もないが、流石に全員と食い違うなんてショックだ。それに実際まずい。

 意見が割れたのはリーダーとそれ以外というのは、考えうる限り一番最悪の別れ方だ。俺のリーダーとしての威信がまずい。

 そんなふうに考えた俺はこいつらに問うてみる。

 

「まさか全員不可能派とは、、、して、それはなぜだ?」

 

 すると先ほど反対意見の先陣を切った女が再びすぐさまと意見を述べる。マジで助かる。

 

「正直私はこの星に住ませてくれたオーグル家の皆さんを裏切りたくありません。隊長だってわかるでしょう。この星でできた新しい家族の温かさを。先輩聞いてくださいよ、私の弟がこの間私のために誕生日のプレゼントを買ってきてくれたんですよ。お母さんは私が嫁になった時、料理を作れるようにといろんなレシピを教えてくれるんですよ。お父さんは・・・・」

 

 女が急にくだらない思い出話を突如語り出す。それに感化されたとでもいうのか、続け様に皆が一斉に口を開く。

 

「僕の兄は・・・」 「俺の姉ちゃんは・・・」

 

 依然として黙ったままの男を除いた五人の思い出話が急遽始まる。

 

「先輩お願いします。先輩だってこういう思い出がたくさんあるはずです。それがなくなることは辛さが分かるはずです。だから・・・」

 

「「「「「お願いします」」」」」

 

「本隊には侵略は不可能と伝えてください」

 

 彼ら彼女らは俺に頭を下げてそう必死に懇願する。そんな涙ながらの訴えに俺は冷静に問いかける。

 

「つまるとこ、不可能だというのはお前らの潜伏先の家族達に死んで欲しくないという心理的理由なんだな。ならお前らも物理的には侵略可能だと考えているということだ。よし、皆の意見は一致してるみたいだな」

 

 良かった。俺がいつの間にか超絶無能になってたわけではなく、みんな同じ意見だったようだ。そんなふうに安堵していると、その発言に信じられないといった表情を見せる五人。

 どうしたのだろうか?まさか先ほどの戯言が本心だとでも言うのだろうか?

 

「よし、早速本隊に連絡を、「ちょ!ちょっと待ってください!」

 

 俺が本隊に連絡しようと通信機を取り出すと、三度(みたび)反対意見の先陣を切った奴が再び俺に話しかけてくる。またお前か。今回は助からないぞ。

 

「私達の話聞いてました?侵略は不可能だって言ってくれって」

 

「無理だ、もしその嘘がバレれば祖星にいる俺の家族含めお前らの家族も死ぬことになるぞ。そうなれば俺は俺を許せない。お前らもだろ?」

 

 その発言に皆が反感を覚えたのが顔に現れるのに気づく。薄々感じてはいたが、本当にそうなってしまっていたのか。

 

「もうそっちの家族よりこっちの家族の方が大切なんだよ!」

 

 今まで一度として口を開かなかった一人の男が満を辞して口を開き、そんな内容を怒鳴り散らかす。

 リーダーに対して反旗を翻すかのような態度は本来許されるものではなく、リーダー本人が罰を下すまでもなく周りの部下たちが取り押さえるのが常識だ。

 だがそれが今回に限ってはない。それは周りもこいつの意見に概ね同意であることを暗に示していた。

 正直さっきまでの様子で本心からこいつらがそう考えてることにはテレパシーが使えずとも想像はついていた。だがどこかでその事実を受け止めたくない部分がありとぼけていたが、こうなるとそうはいかないか。

 まぁ致し方ない。俺はここで止めるわけにはいかないのだから。止めれば、失うのは俺ではないのだから。

 

「自分の産みの親を見捨てるとはな。ならば最後の確認だ。お前らのミューザリアでの家族ごとお前らもここで俺に殺されるか、俺と共にこの植民地たる星で出来た家族を殺すか選べ」

 

「育ての親ってのもあんだよ!!!」

 

 そう俺が選択肢を提示すると同時に口の荒い男は再びそう声を荒げる。そして俺は向かってサイコキネシスを放ってくる。よりにもよってそれか。

 

 そんな男に合わせるようにして他の五人もまた、俺へ向かってサイコキネシスを放ってくる。だが、それよりも早く威力の高いサイコキネシスを六方向に向けて俺は放つ。

 

 1対6の戦いが幕を開けた。

 

 

 ーーーーーー

 

 

 

 

 体感にして八分ほど、それでこの戦いの決着はついた。勝者は一人、つまるとこ俺だった。

 目の前には首を捩じ切られるように二つに分かたれた死体が六つ。飛び散った赤は超えてはいけない一線を意味しているように思えた。

 

 

「クソッ」

 

 

 気分は悪かった。

 

 

 ーーーーーー

 

 俺は先程中断された通信機を通して本隊に連絡するのを再開する。連絡を入れてから少しして通信機から音声が鳴り始めた。

 

『久しぶりに鳴ったと思ったらシルバンスじゃん。どうしたの寂しくなったの?寂しくなったならお姉ちゃんに甘えなさい』

 

 アニメの中でしか聞けないような猫撫で声が通信機越しに聞こえてくる。これが俺の姉さんな訳だが、久しぶりに声が聞けて正直嬉しい。特に今はな。まぁ、調子に乗るから本人には絶対に言わないけど。

 

「ふざけてる場合じゃない、分かってるだろ姉さん。地球侵略についての話だよ。集めておいた地球のデータまとめて送るからよろしく」

 

『もう、恥ずかしがっちゃて。こっちに居た時はお姉ちゃんお姉ちゃんって可愛かったのに。お姉ちゃん悲しいです(泣)。』

 

「そっちでもずいぶん前の話だろ! ったく、もう子供扱いはやめてくれ。、、、じゃあもう切るよ」

 

 俺は姉さんのそういった揶揄いが恥ずかしくなり、すぐに通話を止めようとする。そんな俺の行動に対し通信機から焦ったような声が聞こえてくる。

 

『あっ、待って待って真面目な話』

 

「ん?、、、なんだよ」

 

 割とマジでなんなのだろう?姉さんの真面目な話って言われても想像つかないんだが。もしかしてあっちで結婚の話でもできたか?あるか?あの性格で。いやまぁ顔だけで言えば間違いなくいい方なんだけど、性格も極悪非道というわけではないんだけど、多分疲れるんだよねあの性格。それに、

 まぁそこらへん分かってないで顔だけ求めてる男だったら俺が殺すが。

 

『この任務が終わったら絶対こっちに帰ってきて。お父さんもお母さんも私もそれで解放されるんだから』

 

「あぁ、そうだね」

 

 話の空気が重くなり、それに応じるようにただ相槌を打つような返答になってしまう。

 

『ねぇ、いざとなったら逃げたっていいのよ。私達は最悪死ん「姉さん!」

「それだけは言わないでくれ」

 

 俺はそう懇願する。中途半端な選択肢など与えてもらいたくなかったから、そんな自分のエゴで優しい姉さんを傷つける、拒絶するようなことを口にしてしまう。

 

『ごめんね、そうね。頑張ってくれてるのだもの、そんなこと言っちゃダメよね』

 

「いや、あんまり気にしすぎないでくれ」

 

 自分で傷つけたくせして、そのフォローをする自分に嫌気が差す。

 

『えぇ、そうね。ありがとう。でもこれだけは言わせて。そっちこそあんまり気にし過ぎちゃダメだよ。あなたは優しいからきっと地球の人たちのこと』

 

「大丈夫だよ。今さっき仲間だって殺した。躊躇なくね」

 

 姉さんの話は想像以上に真面目で、想像にもつかないことだった。姉さんは今の俺の発言を聞き、驚いたような声を出す。俺はその話題にこれ以上触れたくなくて、姉さんにそう言い放つと一方的に通話を切った。

 久しぶりの身内との会話は祖星での生活を思い返させ、懐かしい気持ちが湧き上がり、嬉しく、楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なに逃げてんだよ

 

 

 

 

 

 ーーーーーー

 

 

 どこか沈んだ気持ちで雪影家に帰りつく。自室に向けて歩こうとするが瑠璃花がそうはさせてくれない。

 

「どこ行ってたの?」

 

 部活にも塾にも入っていない兄の帰りがいつもより三時間も遅いのが気になったのか。普段ならわざわざ聞かないようなことを聞いてくる瑠璃花。

 

「別にそんな気にすることじゃない。友達と寄り道して帰ってきた。それだけ」

 

「嘘、兄さんの友達みんなに聞いたけど、誰一人知らないって言ってた」

 

「なんでお前が俺のダチを全員知ってんだよ」

 

「そ、、そ、それはいま関係ないでしょ!良いから教えてよ!兄さんの友達とは偶然会っただけだから!」

 

 それが嘘なことをテレパシーを使える俺は勿論分かってる。テレパシーは相手と通話ができること意外にも相手の考えをある程度読み取れる力がある。といっても言ったことの真偽やそのときの感情程度だし、同じくテレパシーを使える人間には使っても読み取れない。だから今日殺したあいつら相手にはテレパシーを使えず、目や耳で判断するしかなかったわけだが。まぁ要は完璧に相手の心を読めるわけではない訳だ。

 

 さて、話を戻すと瑠璃花は俗にいうヤンデレチックなところがある。といっても瑠璃花は俺を愛してるとかそういうわけではないと思う。その優れた容姿から這い寄ってくる男がゴミすぎて、そいつらを俺が撃退して瑠璃花の人付き合いがかなり減ってしまったが故に家族との時間が増えた。それの弊害がこういった形で現れてるだけだ。

 単なる親愛がこんな状態にまで歪んでしまっている。こうなってしまった責任をいつかは取らないといけないんだろうな。本来は。

 

「偶然会っただけの奴らだけが俺の友達なわけないだろ」

 

 瑠璃花の不安を解消させようとそう言う。そんなので瑠璃花は納得しないというのは分かりきっているのに。

 

「安心しろ。お前は俺にとっていつまでも大切な妹だ」

 

 そうして俺は卑怯にもそう言い放って、自室に戻って行く。その顔は多分とんでもなく歪んだ笑みだったんだろうなと、ただそう思った。

 

 ーーーーーー

 

 部屋に入るのと同時に笑いがこぼれる。

 

「何が大切な妹だよ。その妹が死ぬかもしれない作戦を後押ししてるくせに」

 

 自身の心のうちにある矛盾を処理しきれずにその表情からは怒りとも悲しみともあるいは笑みとも取れなかった。

 

 そして疲れきった俺は空音が作ってくれた晩飯を食い、風呂に入り、早くに寝た。定希はその夜いつも通り帰ってくることはなかった。

 

 その日はもう瑠璃花とは話せなかった。

 

 

 

 ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーー

 

 

 

 バーン!   バーン!   バーン!     バーン!

 バーン!          バーン!

 バーン!    バーン! バーン!     バーン!

 バーン!          バーン!

 

 

 何かが壊れ崩れ爆発したかのような大きな音が鳴る。そのあまりの大きさに目が覚めると、俺の横には巨漢の男が立っていた。

 その男は角が生えていて明らかにただの人間ではなかった。そして何よりも特筆するべきはその巨大な右腕だ。腕だけで体と同じくらいの大きさを持つその男の正体を俺は知っていた。

 

巨腕(きょわん)』のガルゼス・バレッド

 ミューザリアにて最強と謳われる三人の兵士に与えられる称号『戒滅執(かいめつしゅう)』のうちの一人がこの場にいた。

 それはつまり...

 

「侵略が始まったんですか?」

 

 震えた声で口にする。普段なら戒滅執の方と話すという栄光に震えているからだろうが、今回ばかりは違った。震えているのが自分にとっていつの間にか大切になっていた()(ぞく)(・・)(だち)が死ぬか。

 

 そんな資格もない男が、今更そんなことを考え始めた時、そんなことを深く考える間もなく答えは発せられた。

 

「既に始まり、地球の七割は占領し終えた。残るは日本とイギリス、南アメリカの国々のみだ」

 

 戦いの狼煙(のろし)は知らぬ間に上がっていた。

 

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