ー異世界への侵略者ー地球を侵略しにきたエスパー宇宙人、死して異世界へと転生する。超能力?何それ?強すぎ!!   作:ゼリアサイ8世

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2-17.「初めての経験」

 

 さて、どうしたものだろうか。実のところ、さっきから無言の時間が長すぎて困っている。

 俺は今王女様のお願いに近しい依頼を断ったわけだ。それもかなりの言い草でだ。そのくせ、後になって『助けたい』とかいうきな臭いことまで言ってしまった訳だ。そんな中で王女様と二人で無言、気まずいなんてものじゃない。

 とはいえこんな風な空気を意図して作ったのは俺なので変えるなら当然俺が動かなきゃではある。

 俺は腹をくくり王女様に向けて話しかけ始めた。

 

「あ〜、、えっと王女様。先程までの無礼な態度はお許しいただいたものはいえ、失礼致しました。それと王女様も私といるのはそろそろ不快感を覚えるでしょう。ですからこの場はここで終わりでいかがでしょうか?」

 

 俺の出した結論はこの場から逃げることだった。さっき助けたいとか言ったばっかだけどこればかりは俺悪くないと思う。流石に今すぐ元気出せよ的なことを言って聞かせるのは無理があるし、王女様もさっきの俺の発言があって死ぬことについて暫くは考え直してくれるだろう。別に俺は善人じゃない。ここで考え直し踏みとどまってくれるのなら良し、踏みとどまらなかったのならそれまでの話だ。

 そう思いこの場を解散することを提案した俺だが返ってきた答えは予想外のものだった。

 

「待ってください。まだお話し足りません」

 

 どうやら王女様は俺の提案には乗りたくないようで、そんなことを口にしてくる。だったらもっと積極的に話題を出してくれよと思わなくはないが、俺がさっき王女様の言うことなすことを全否定するようなこと言ったわけだしな。言いたいことも言えないのかもしれない。

 どうしたものだろうかと考えていると王女様は更に口にし始めた。

 

「それと、、口調、、クリューソス様さえ宜しければ先程のままでよろしいでしょうか?、、できれば同年代の方と話す時そのままで」

 

「あぁ〜」

 

 王女様からの頼みに俺はそんな声を漏らす。これで敬語不要って言われるの何度目だよって感じなんだけど。

 まぁ今回に限って言えば王女様が本心から話し合いたいとか言っていたからこそのはずだ。つまりはあまり取り繕ったような言動が嫌ということだろうな。断じて俺の敬語がダメだとかそういった話ではないはずだ。

 それはそうと王女様は今回それを言うとき、かなり恥ずかしそうな様子だったがそんなに気にすることだろうか?まぁその体の事情を考慮してみると同年代、それも異性との関わりなんて殆どなかったのかもしれないし、そう考えると妥当か?

 

「お嫌でしたか?」

 

 俺の『あぁ〜』と漏らした声から俺が何かしら良くないと思っていることを感じ取ったのだろう、王女様はそんなことを口にする。

 俺はそれを慌てて訂正する。

 

「いえ、違っ、、違う。えっとじゃあ王女様は俺がこんな風でも気にしないんだな」

 

 俺の改めての確認に「はい」と返してくれる王女様。しかしこうなると困ったな。逃げると言う選択が失敗した以上対話を試みるべきなんだろうが。

 すぐ殺し云々の話をするより、少しは息抜き挟んだ方がいいよな。王女様が本題にすぐ行ったから雑談的なのほぼ交わしてないし、今すぐガチ目な話をするのは王女様としても疲れるだろう。

 ひとまず王女様を助けたいと言ったことに関して責任持ってそれなりの行動をするべきか。まずは、、そうだな。

 

「王女様って誰かと何かで遊んだことあるか?」

 

 俺がそう言うとうつ伏せ気味だった顔を上げながらも悲しそうに口にする。

 

「いえ、この体ではまともに道具を持つことも人と近づくこともできませんから」

 

 想像通りかつ、苦しいことを言わせてしまったことに申し訳なく思いつつも、俺は口にする。

 

「だと思った。だから王女様でも楽しめるゲームをいくつか知ってるからそれをやらないか?」

 

 そう言うと王女様は余程そういったことに縁がなかったのか楽しげな表情を浮かべてこちらを見てくる。そんな大層なゲームではないが、この様子なら想像以上の反応を見せてもらえるかもしれないな。

 

「それは一体どのような遊びなのでしょうか!」

 

 期待を膨らませたからか、少しだけ声を大きくしながらそう聞いてくる王女様に俺はすぐさま返答する。

 

「そんなに期待されすぎても困るが、そのゲームのルールを説明するとな、まず特定の名詞を一人が言う。そしてそれを聞いたもう一人は相手が言った名詞の最後の一文字から始まる名詞をまた新たに口にする。その繰り返しを続けてそこまでのタイミングに一度も出てきてない名詞を言えなくなった方が負けだ。ちなみに『ん』で終わる名詞を言ったら負け。『ん』で始まる名詞なんてほぼないからそういうルールになってる」

 

 その説明を聞く王女様の期待の視線が未だ無くならないのでやはりこんな簡単なゲームすらも知らなかったようだ。俺はそのゲームの名前を口にすることにした。

 

「このゲームの名を末尾を取って次の単語を口にすることから『しりとり』という」

 

 別に俺が考えたわけでもないが、教えることに少し誇らしげになりながら俺はそう言った。ちなみに異世界にも『しりとり』というゲーム自体は存在する。なのでマジで誇ることではない。

 

 

 

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 それから王女様としりとりを一回勝ち負けが決まるまでやったが、それなりの時間を使うこととなった。お互いどちらも知っている単語でなくてはならないために俺は前世の知識を活かしきれず、申し訳ないが王女様の方も異世界特有の知識を活かしきれず単語はかなり制限された。にも関わらずかなりの長い間しりとりが続いたのは誉めて然るべきことだろう。と言ってもどちらかといえば王女様の方がすごいのだろうが。一応王女様は箱入り娘よろしく、本当に家から出てないらしいからな。特にここ最近は。本来は知ってる名詞の数も少なくて当然なのだ。

 ちなみに王女様が漢字表記の最後の一文字を取るのか聞かれ、初めてってこういうものだったかと微笑ましく感じたのがしりとりの中で一番楽しかったことだ。

 

 その後は俺が考えているものは何でしょうをイエスノー方式で当てていくゲームをした。えぇまぁ、はい。ランプの魔人が出てくるアレです。

 これはしりとりと違い何回もやった。質問数が少ない方が勝ちというルールでやってみた。意外にも王女様の質問の仕方が上手くて結構いい勝負になったが、流石に俺の方が質問数が少なく当てられることが多かった。

 ちなみに王女様が出してきたお題にちんすこう味のアイスクリームというどこの沖縄アイスだよと言いたくなるものがあったのだが、それを当てられた俺は相当すごいと思うのだがどうだろうか。

 流石に鬼畜すぎないか!?と抗議したところ楽しそうな表情をしていたので、若干腹立つような気もちもあったが、それ以上に嬉しい気持ちの方が大きかった。

 その後はじゃんけんやらを教え、そこから派生した色々な遊びなども教えた。王女様はあっち向いてホイを気に入っていた。顔のみとはいえ体を動かす要素があったのがウケたのだろう。外に出れていないが故だ。

 

 それで今何をやっているのかというと、雑談だった。

 

「クリューソス様はお好きな料理はございますか?」

 

 相変わらず立ったまま向かい合い、そして距離をとっている俺たちの話題はそんなものだった。

 

「割と何でも好きだけどな、、一番っていう意味ならうどんな気がするな」

 

「うどん、ですか」

 

 この世界にもうどんがあることを俺は知っている。何ならガレス達に頼んで作ってもらったことまである。

 

「あまり詳しくはないのですが、そのような料理があることは存じでおります。今度城に招く際はコックに用意させましょう」

 

「いや、あんまりビュッフェ形式にうどんは合わないと思うぞ、麺伸びるし」

 

「でしたら(わたくし)と二人きりで食べましょう。そうすれば伸びませんよ」

 

 二人きりで食事をしようなどと切り出せるとは、王女様の中で友達程度の認識にはなれたのだろうか。これは良い傾向だ。王女様を助けると言って実際にそれをするには仲良くなることは必要不可欠だったからな。

 

 仲良くなったところで最後には裏切るのに。

 

 それはそれとして二人きりとは中々大胆なことを言う王女様だなと俺は思ったのだった。歳のことを考えれば至って健全な台詞であると分かりはするが。

 

「確かに、そうすれば問題はないだろうけどさ。、、、思ったんだが王女様ってどうやって食事してるんだ?普通に食事することはできないだろ?」

 

 ずっと疑問に思っていたことを話の流れに合わせてそう口にすると、特に暗くなる様子もなく王女様はそれに答えてくれた。

 

(わたくし)の食事には常に魔道具を使用しています。その魔道具は使用者を登録すると(わたくし)自身の形に変化してその人形に食べさせたものが直接私に転移されます。他にもその人形に服を着させることで私は服を着替えたりしているんですよ」

 

 それはまた随分とおあつらえ向きで便利な魔道具があったものだ。いや、本来ならそれほど便利とも言えないか。強いて言えば遠隔での食事が可能といったところぐらいだろう。だが王女様からしてみればこれ以上ないくらい必須な魔道具と言える。

 

「へ〜、そんな面白い魔道具もあるのか」

 

 素直に思ったことをそう口にすると王女様は今度は暗そうな表情になった。特に酷いことは言っていないはずなんだが。

 

(わたくし)ってやっぱ王女という身分があって生きれているんですね。本来ならその魔道具だって私が使えるわけが無いんです」

 

 一応危惧してはいたが、どうやら俺が思っている以上に俺が言ったことが王女様を傷つけてしまっているようだ。これは何としても解消しなくてはいけないだろう。

 そう思い口にし始める。

 

「王女様、俺は王女様に色々考えてもらいたかっただけです。何かを為すためには利用できるものは利用すべきだと俺は考えています。もし王女様が王女としての権力を利用して上手く俺と交渉してきたなら俺はまた別のことを言いました。要は俺が求めたのは王女としての甘えを持つなってことでは無いんです。王女様が本当にしたいことがあるなら、現状の考え方のままではいけないと伝えたかっただけです」

 

 俺はつい諭すような物言いになってしまい、やや敬語を使ってしまう。

 

「その変えるべき考えが王女としての甘えでは無いのですか?」

 

「違いますね。だって王女様が一人で暮らすことなんてどう考えてもできるわけが無い。想像できますか?何も持てない人間が一人で生活していく様が。俺にはできません。だから王女様が王女として生まれたことは失礼ですが不幸中の幸いであり、それを利用できるなら利用すべきでしょう。でも王女様はその身に降りかかった不幸による同情、王女としての身分、それらから深く考えずともお願いが断られた経験がほとんどなかった。だからこそ今回頭ではどこかに問題があると気づいていたはずなのに、どうにかなると考えてしまった。俺が正したかったのはその甘えです」

 

 そう言われてようやく納得いったのか王女様は疑問そうな表情ではなくなった。

 

「だから王女だからとかはあんまり重く考える必要はない、と俺は思うぞ」

 

 俺の考えをそうやって伝えてやると、王女様はすぐにそう考えるのは難しいのか悩んでいる様子だが、これ以上追加で何かを言うのは余計に焦らせるだけだろうから特に言わなくていいだろう。

 

「そうでしょうか」

 

 そう一言だけ言って下を向く王女様。しばらくしてから俺は話題を変えようと思い口にする。

 

「そういえば王女様はそもそも俺の力が王女様の魔法に対して効くかどうか実際には分からないんだったよな?試してみないか?」

 

 雑談をしていく中で知ったことだが王女様の周りを消滅させてしまう力は王女様固有の魔法であると知った。名前は存滅(そんめつ)魔法というらしい。常に発生してしまうらしく魔力の消費は限りなく0なのだとか。

 ちなみに足裏のみ魔法による消滅が起きないらしく、普段寝る時は立っているらしい。初めのうちはとてつもない困難だったが何とか習得したらしい。地味に凄くね?人間慣れればなんとかなるということか?

 

「それは、、はい。でもよろしいのですか?」

 

「試すだけだからな。当然だが殺しはしない」

 

「なるほど、ではお願いしますね」

 

「むしろ俺の方から頼みたいぐらいだ。超能力だけ魔法の法則から外れる可能性があると知れたら大きなことだからな」

「じゃあいくぞ」

 

 俺はそう言って相変わらず距離を保って佇んでいる王女様に向けてサイコキネシスを発動する。今回発動するのは『觸』の方だ。理由は『撥』よりもどれくらいの距離から消滅したかを把握しやすいからだ。

 それに『撥』だと範囲調整の問題で王女様に万が一でも当たる可能性を考慮して出力を弱めにする必要があるが、それだと変化がわかりにくい。『觸』なら魔法の対象外な場合には髪を触るなどすれば絶対に無傷で済む。

 だから『觸』で王女様の付近まで不可視の触手のようなものを伸ばした。

 そして王女様に触れるまであと四十五センチといったところでそこから先の『觸』が消えるのを感じる。

 ということで初めから王女様を俺に殺すことは無理だったということか。偉そうにやらない理由を語っていたくせしてそもそもできないというのはとんだ笑い話だが、王女様の考え方を変えるためには必要だったし仕方ないだろう。

 かくして俺が殺せもしないのに殺さない理由を語った大馬鹿野郎でしたと王女様に報告しようとしたときのことだった。

 

 コンコン!

 

「え!?」

 

 俺の背後にあるドアからノック音が聞こえてくる。そしてその後に王女様が驚いた反応を見せる。今までで一番の驚き方かつかなりの声が出ていたため、俺はむしろそっちに驚いてしまう。

 突然の音に王女様は驚いたようだが、この音は一体なんなのだろうか?まぁ普通に考えるなら騎士がそろそろ帰りの時間だから帰れって伝えにきたってところだろう。かれこれ部屋に入ってから体感でも一時間近く経っているし。俺はその考えを特に疑うこともなく王女様に質問する。

 

「開けるぞ?」

 

 俺がそう言うと王女様は未だに驚きつつも、俺の確認はしっかりと聞いていたようで慌てて返事を口にする。

 

「あっ、はい、開けてあげてください」

 

 

 部屋の主人の許可ももらえたところなので俺は目の前にあるドアを開けることにした。

 俺はドアの先には騎士がいるのだろうと、そう考えてドアを開けると予想外の光景が眼前に広がる。

 

 

 

 

 誰もいない

 

 

 

 

 

 そう、誰一人としていないのだ。護衛としているはずの騎士さえも。ドアを開ける際に邪魔になると困るからと端によったのかもしれない。そう思い辺りの廊下を見渡すが、その廊下にさえ人は一人もいなかった。

 ここまで来れば流石に俺は嫌な予感がして、急いで背後を振り返る。そこにはつい先程まで話していてこの場にいるはずだった少女、王女様の姿がなかった。

 

 やられたな

 

 判断ミスだ。扉を開ける前に透視で外の状況を確認しておくべきだった。だが今はそんなことを考えている場合ではない。反省は後だ。

 ひとまず俺は透視を発動してパーティー会場の方を見る。パーティー会場には未だにかなりの量の人達がいる。しかし俺が目当ての人物はその場にいなかった。

 

「一番いて欲しい時に!」

 

 ミリタリアさえいてくれれば魔眼の効果で容易に王女様を発見できるであろうからこれは残念なことだった。大体あいつ護衛の仕事はどうしたとかそこら辺の文句について考えるのも後回しにして俺は思考を加速させる。こうなるとやれることはミリタリアを必死に探すか、それを無視して王女様を直接探すかの二択。

 俺は王女様を探す方を選択した。理由の一つに王女様を攫ったであろう奴がまだそう遠くにいない場合十分透視で探せる可能性があること。そして時間をかければかけるほど透視で探すことが不可能になってしまうこと。透視は障害物を消せるだけで視力そのものの大幅な向上は見込めないからな。探すなら今のうちというわけだ。

 二つに王女様が死ぬ可能性もあること。魔法の性質的に手出しは考えにくいが、そもそも相手はどうやってかこの異常な手際の良さで攫うことまでは成功しているのだ。簡単に安心はできない。

 逆に攫ったということが無駄に命を奪う可能性を低くはしているがこれも絶対とは言い切れない以上は想定してしかるべきこと。

 だからミリタリアを探すのにこれ以上時間をかけるわけにはいかないのだ。ミリタリアが見つかれば良いが、いなければむざむざと王女様を助けるチャンスを捨てることになる。どうせミリタリアが今回の件に気づけばどこにいようと見つけられるのだから、後から俺のことを追ってもらう、あるいは助けられなかった場合事情を話して助けてもらうでも良いはずだ。あいつの視野は世界全域なのだから、それで絶対に見つけられる。

 そうして俺は透視で王城全体を見渡し、その後は王城の外にまで目を向ける。

 

 

 そして、ようやく見つける。空中に浮かんで王城から離れるように動いている人物を。およそ連れ去られたと認識してから五十秒近くでそれを見つけれたので距離は精々(いち)キロと少しだった。かなりの速度で動いているようだが、俺はこれ以上逃すわけにもいかず血を吐くことを覚悟しながらその地点に向けてテレポートした。

 

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