ー異世界への侵略者ー地球を侵略しにきたエスパー宇宙人、死して異世界へと転生する。超能力?何それ?強すぎ!! 作:ゼリアサイ8世
「エルス〜、パパでちゅよ〜元気出して」
「イヤッ!おトウサマはおトウサマだもん!」
「そこを何とか頼むよエルス〜」
「イヤッ!」
おトウサマはおトウサマなんだもんもん!それに、
「おカアサマはいつアえるの?もうアえない?」
おカアサマがいなくなってからもうナガいジカンがタってる。よくワからないけど、イツカ?ぐらいタったってさっきキシさん達がイってた。ワタシはおカアサマにアいたい。
もしかしておカアサマにはもうアえないのではそんなことをオモうとコワくてコワくて、
「そんなことは全くないぞぉエルス。それはなぁ、
「アシタってイツ?」
「へ?えーっと、、、あれだうん。もうすぐって意味さ」
「ほんと!」
おカアサマともうすぐアえる。それだけでウレしかった。
「ハヤく!ハヤく!おトウサマ!」
「えと、、それはその、もうすぐとは言ったが、すぐではなくてだな」
「シね!おトウサマ!」
「死っ死ね!?」
おトウサマのヤクタたず。いらないソンザイ。ジャマモノ。
トビラのナるオトがした。ナゼかカオをシタにムけていたおトウサマがマエをムいてコエをダす。するとトビラがヒラいた。これが、ひらけごま!か。
トツゼンキシがヘヤのナカにハイってキた。
「失礼致します!
「何ッ!、、、、迅速に繋げよ。俺が死なぬ内にな」
「承知い、、、?いえ、承知いたしました」
キシはそうイうとキえてった。トビラはとじろごまってイってないけど、シまった。セカイのフシギだ。
なにやらおカアサマのことをハナしていたのはワかった。
「よろこべ、エルス!
おトウサマはキュウにゲンキになってなでなでしてくる。トツゼンゲンキになったのはキモちワルかったけど、なでなではキモちよかったからいいや。
キシがまたハイってキた。また、ひらけごまをイわなかった。そしてトじた。とじろごまもなかった。
キシがオいていったのは、カガミだった。ツクエのウエにカガミがオいてあった。おカアサマがメイドさんにメイク?ってのをやってもらってたときとかにツカってたダイみたいだった。
カガミがトツゼンヒカった。
「うわぁ!」
ワタシはそのトツゼンのヒカリにオドロいた。おトウサマはオドロいてなかった。なんかムカついた。
でもそんなことよりもタイセツなことがあった。カガミのナカにウツってるヒトだ。
「おカアサマ!」
ワタシのコエにおカアサマはハンノウしてくれる。ナンでカガミのナカにいるのかとかはカンガえなかった。どうでもよかった。
「こんにちはサテラ!お父さんを困らせてない?」
「モチロン!ワタシよりおトウサマがダメダメなホウ!」
「へ〜そう」
「決してそんなことはないぞ
「ふふっ、冗談」
おトウサマとおカアサマはワラいあう。ナカがいいみたいで、ワタシもウレしい。
「魔道鏡が繋がったならば、
「えぇ、それまで待っていられるかしら、サテラ」
おカアサマはワタシをバカにするみたいにそうイった。バカにするな!
「ヨユーヨユー、アシタよりハヤくカエってキてくれればダイジョウブ」
「
「ふぇ!!な、な、、、でもダイジョウブなの!!」
おカアサマがイうことにはワタシはタえられる。ホントウにヨユーだ。ウソじゃない。
「なら良いけどね」
「俺も明日だって散々言ったんだけどなぁ。何故こうも結果が変わる」
「ふふっ、包容力の差よパパさん」
おカアサマはワタシがいつもミるのとはナニかがチガうエみをおトウサマにミせていた。ウラヤましい。でもナンかイい。ココロがアタタまる?というヤツ?
それでも、
「ところで
「あぁ、これ?いいでしょう、サテラが私のために作ってくれたのよ。本当に綺麗。どんな華やかな装飾品よりも価値があるわ。貴方のくれた指輪には敵わないけれど」
「ふっ、そうか。ならば良い。正直それよりもと言われていたら娘への嫉妬で発狂しかねなかったからな。そうなればみっともないし、情け無い。国も俺がいなければ滅びかねんからな」
それでも、
「それは大変、さながら私は国の救世主というわけね。褒賞はいくら?」
「
「知ってるわよ、もう。鴛鴦夫婦でしょう私達」
それでも、
「あまりそれは己らで言うものではないぞ」
フタリだけのセカイはミててツラい。ワタシがそこにいないから。
「そろそろサテラの方にも話を振ってあげないとよ。サテラに好かれたいならまずそこからね。ねぇ、サテラ」
おカアサマはワタシにハナしかけてくれた。フタリのセカイにイれてくれた。
「うん!ありがとうおカアサマ!おトウサマはこのセカイからデてけ〜!!」
「出てけ!?しかも世界から!?」
おトウサマのカオがオモシロくてワラってしまう。二パーともイう。
「あはははは」
「ふふっ」
「はぁ、いいかエルス。エルスは
タノしいタノしいサンニンだけのセカイ。タノしいタノしいカゾクだけのセカイ。タノしいタノしいエホンのようなセカイ。
間も無くそれは終わりを告げる。
ーーーーーー
ワタシはキシサマタチにおネガいして、いつものおハナバタケにツれてきてもらった。おカアサマにもうヒトつカンムリをツクりたかかったから。
おカアサマはそろそろイエにカエってくるらしい。だからワタシはここでマつの。おカアサマとワタシはいつもここでココロをカヨわせるから。
ヒトつカンムリをツクっても、そのトキはコなかった。シカタないからフタつめをツクろうかなともオモったけど、ヤめた。これヒトつだけをしっかりとタイセツにしてもらいたかったから。
「オソいなぁ」
おカアサマをマちにマつ。いよいよフタつめをツクってしまおうかとオモうぐらいにオソかった。キめたのにそれをマモれなくなりそうだった。
そんなトキにコエがこちらにやってキた。キレイなキレイなワタシの、
「サテラ!」
「おカアサマ!」
コエをキき、ワタシはハシる。それをミておカアサマはワタシがナニかをイうよりも先にしゃがんでくれる。ウレしい。ワタシとおカアサマはオナじことをカンガえていた。
「お母サマ!」
ハシる、ハシる、走る。ナニよりもアンシンできるそのウデのナカにムかって。いつもの光ケイだった。ナニもおかしくなんてなかった。
差しダされる両の手をワタシは、ワタシは、私は何ヒトつ損なわれることはないとオモって、そこに向かってトび込まんとする。ダっこしえもらえたら、お母サマにいつものようになでなでしてもらうんだ。
「お母様!」
ちょうどお母様と私の腕の距離を足したぐらいだろうか、それぐらいまで近づく。手に携えていたカンムリは走る中で少し潰れていても私はそれに気づかない。
目の前に映るお母様がツけてるのは私のあげたカンムリではなく、冠だった。それはそれでキ麗だけど、少しだけ嫌だった。
「サテラァ!」
お母様の呼びかけに応えるように笑顔で私は飛び込んだ。
カチッ!
ナニカガハマッタ。
ぐりゃ!
ナニカガネジマガッタ。
あっ
ナニカノコエガモレタ。
途端に視界は真っ赤に染まる。でもそれは一瞬、身体は何に遮られることもなく、ただ突き進む。
「え」
何が起きたのだろう?お母様が消えた。どうして?口から何かが溢れそうになるのを堪えながら、お母様の悪戯について思案する。
ようやく会えると思ったのに、消えてしまうなんて。そしてこんな悪戯を仕掛けてくるなんてお母様は性格が悪い。お前が悪い。
「違う!」
誰に対してか、何故か怒声が溢れ出した。それにより堰き止められていた吐き気は留まることを知らずに溢れ出す。
「オ、オエエェーェェェェーー」
溢れた。溢れたはずなのに目の前にはまたしてもそれが存在しない。両の手のひらで口を抑えようと頑張っても溢れ出たはずなのに、堰き止めきれずに溢れたはずなのに、溢れた矢先それは無かったかのように消滅した。
意味が分からなかった。口を抑えていた両の手を外し、その手のひらに何かついていないかを見る。そして違和感を覚える。何かがおかしいと頭が訴える。そこにはあるべきはずの物が無いと。
そうして気づく。私は今花冠を持っていないことに。思えば走っているときに少しだけ強く握り込みすぎたかもしれない。そんなことを思い出す私だけど、問題はそこじゃない。いくら何でも握り潰すほどに力は込めきってはないはずだし、仮にそうだとしても手のひらに少しぐらいは何かが残るはず。それすらないのは妙だった。
お母様にはまだあげれてないし、私も潰してない、じゃあ誰が何で何故、花冠が無くなったの?お前だと言っている。
私は振り向く。怖いはずなのに、意外とすんなり振り向けた。それはまだ現実を受け止めきれていないからか、あるいはもう受け止めざるおえないと心の底では観念してのものだったのか。それは分からなかった。
何も無かった。血も肉も、何もかも、でも分かった。こんなことをした犯人が誰なのかって。だってすぐ近くの、私の近くの花達が消えていたから。動いて、動いて、消えて、確信する。
あぁ、私がお母様を殺したんだ。
真実は残酷。でもそれ以上に私は私のことを残酷な人間なのだと思った。
ーーーーーー
俺の腕が消滅し、それによって生じた隙を突かれて俺と何かが入れ替わった。そのことに一瞬唖然とする俺の首元に剣が背後から迫らせんとする。
俺は瞬時に判断し、首元にのみ
雷と化した首元の形を変化させることで、頭と胴体を一時的に別々にする。イメージするならデュラハンのような感じだろうか。
そしてそんな風にしてできた頭と胴体の隙間を、一つの剣が通過する。それを確認すると同時に雷を元の形へと戻すと、頭と胴体はすぐにつながる。俺は振り向き様にそこにいるであろう男の顔面に、残っていた左腕で殴りを入れる。
「ぶおっ」
情けない声を出しつつ、それなりの距離を男は吹き飛んでいった。俺はあいつが体勢を整える間に王女様へ近づき声をかけることした。
王女様の顔はかなり暗くなっており、とても見ていられなかった。再び、いや俺に殺しの依頼を頼んだ際以上に自分が死んだ方がいいと考えている様子だった。
どうしてこうなったのか考えるのはそう難しいことでもなんでもない。まず一つ目に俺に王女様を助けるための戦闘という迷惑をかけてしまっていること。自分なんて助ける価値はない、というマイナス思考がよりそれを加速させているだろう。だがこれだけなら俺の王女様との仲がある程度深まっていたことを考えるとここまで大きな絶望感にはならなかったはずだ。
最も大きな理由である二つ目、俺の腕が王女様の能力によって消滅してしまったところを直視してしまったことだ。自分のことを助けたいと言ってくれた人が本当に助けようとしてくれたのに、その人に取り返しのつかない怪我をさせてしまった。しかもそれは自身のの魔法が原因かつ、それが起きたのは目の前だ。ここまで状況が重なれば全てが自分のせいに思えてくるのも仕方ないのだろう。
だからこそ俺がその考えを正してやらねばならない。これをできるのは他ならない俺しかいないであろうから。
「王女様、あれはあのペルティナとかいう奴に巻き込まれたせいです。王女様のせいじゃない」
そう言ってやるが納得がいかないのか、未だ絶望した表情の王女様。
「でも、
「
泣きながらそう言う王女様に今の俺がかけれる言葉はあまり多くない。本当はもっと色々言ってやりたいがそろそろあいつが戻ってくる可能性が高い。
だからこそ俺は確かに伝えたいことを伝えることにする。
「まず俺は死んでないし、死ぬ気もない。王女様がいくら不幸を呼び込もうが、そのことごとくを俺が側で排除して助けてやる。そしていつの日かそもそも王女様が不幸を呼び込めないようにさせてやる。だから、今は死にたいとかそんなこと考えてるんじゃなくて、自分が何すべきか考えろ!贖罪だろうが許しだろうが全部が全部与えてもられると思うな!それが甘えだって教えたろうが!だから「は〜い終わりー」
背後から響く声に反応して俺は後ろにテレポートする。そいつの頭上へとまわり、下に叩きつけるようにして『撥』を発動する。
視界は揺らぐ。俺とペルティナの位置が入れ替わり、上下が逆転する。
この程度は俺も予測できており、上へ振り向きざまに殴ろうとする。しかし、俺が予測していることを予測していたペルティナは俺の拳が当たる直前、またもや王女様と入れ替わる。
残っていた左腕も消滅する、かに思われたが入れ替わる直前に俺もテレポートで俺も王女様の付近、正確には王女様の魔法の範囲内ではない中での付近に移動していたため、そうはならない。
テレポートは移動後に移動前に加わっていたエネルギーの一切は消滅する。だから相手に不意打ちを当てるためのテレポートでも、直接的な攻撃を食らわすためには助走距離を確保するためにある程度距離を空ける必要がある。
だが今回は元より、王女様の魔法の効果範囲外にいなくてはならないため、自然とテレポート先は元々王女様がいた位置から四十五センチと少し離れた位置となる。つまり王女様が居た位置と入れ替わったペルティナと俺の距離感は理想的だということだ。
一連の攻防を読み切った俺の拳がペルティナの腹に食い込む。今度は声をあげる余裕すら無い程の威力で吹き飛ばした。
俺は背後にいるであろう王女様に一言宣言する。
「勝ちます」
ここからは気が抜けるタイミングはない。だから俺はそれだけを言って王女様を安心させるようにした。
王女様はそれを聞くと走り出していた。背後からの音的に多分そうだと判断した。王女様が自分から逃げてくれるのは俺としてはありがたいことだった。
安心させるように考えていた俺が、それを聞いて逆に安心させられているということに気づきつつも眼前に注意を払う。
男が目の前から歩いてくる。
「さっきのゴミクズって表現がなまぬるかったことは謝るよ。お前は一人の少女を武器として扱ってしまう
俺は怒りを僅かに露わにしながらもそう言う。らしくないと感じつつもそうしてしまった。どの口がと思わなくはないがそうしてしまった。
俺は腹が立っていた。
「ふっ、今の発言、真に教養がないのはどちらだろうか?それと全部俺のせいにしてるけど、お前のせいでもあるんじゃないの?」
「俺なんかよりお前が強ければ全部済んだ話だろう?王女ちゃんを俺が武器として扱うとは考えなかったお前の浅はかさの露呈が彼女を傷つけたんだろう?本当に俺だけのせいかな?」
こいつが言っていること、その全てが間違いではない。確かに俺がそうでなければ王女様をあそこまで傷つけることはなかっただろう。だがこいつの言うことの前提が間違っているのは火を見るより明らかだ。要は詭弁だ。
「責任転嫁にも程があるだろう、誰がきっかけと明確に示せない事例は多々あるが、今回に関してはお前で方がつく」
「だろうね。だから、だけなのか?って聞いたんだけど?」
俺はそれを聞いて苦虫を噛むような気分になる。
「あぁ、はいはい俺も少しは問題があったよ。で、詫びの品はお前を倒すことでいいか?」
俺の覚悟をそうして告げる。だがペルティナはそれさえも嘲笑った。
「倒す?できると思ってるのかい?、、、ククッ、いや〜悪い、少し意地悪な質問をした。お前は王女様を傷つけられて感情的になっているようでなっていない。自分が本当に勝てるだなんて考えてもいない。実力差を正しく認識できているのにそんなことを言う理由を教えろよ?」
その疑問を抱かれること自体は特におかしなことでもないと考えた俺は焦ることもなく、それに返答する。
「それこそお前もわかってんだろ、勝てないと思っている相手に長々と勝負を挑む理由なんて
「確かに、、、そうだね。お前のやりたいことは時間稼ぎだ。だからわざわざこんな会話にも乗るし、自分から不意打ちを仕掛けるような真似もしない」
俺の考えていることをペラペラと言い当てて満足した表情を浮かべるが、その後さらにペルティナは嘲笑うように口にする。
「『勝ちます』だったっけ。まるっきりの嘘で王女様を騙したわけだ。お前も策士だね〜。酷いとは思わないのかな?」
「酷かろうがそれが王女様の救いになるならどうでもいいことだ」
目的のためなら過程は重視しすぎないのが俺の考えの根底にはあるからな。
「な〜るほ〜どね。でも、そもそも俺がお前に聞きたかったのはそういう意味じゃないんだよ」
「あ?」
俺はこいつの言っていることの意味がわからず、そう声をこぼす。そしてその意味をペルティナが告げる。
「お前が何故王女様をそうまでして助けようとするのかだよ」
ペルティナにそう問われ、俺は何故ここまで必死になっているのかを改めて考える。仲が良くなったからか?いや、俺の中では仲そのものはそこまで深くもないし、俺の価値観的には助ける必要は感じない。
守らなければ後から王様に責められるだろうから?いや、ミリタリアが事態を防げなかった時点でただことではないと王様もわかってくれる筈だ。その上で許さない可能性もあるが、今この場で戦うリスクをそれが上回るとは思えない。
初め王女様が死にたいと言ったのが気に食わなかったのは王女様が死ぬことを幸福だと考えていたからだ。俺が地球での大量虐殺を僅かにでも正当とみなしてしまう危険性を見出してしまったからだ。俺の殺しで救われた人もいるはずだと。
ならば今助けようとするのもそれか?いや、王女様は俺が腕を失って再び心が折れかけてはいたが、俺の策略通り考えが変わったとはいかずとも前を向きつつあった。ならばもう俺の気に食わない存在ではないではないか。そうだ助ける理由なんてない。俺はそんな善人ではないし、善人であってはならない。
ならば何故なのか?改めて自身に問う。その答えは自然と降って湧いた。その答えもまた自然と口にしていた。
「助けたいと言った。これで満足か?」
俺は堂々とそう答え、それにペルティナは笑みを浮かべる。俺はまた直ぐ様に口を開く。ペルティナを、今度は俺が嘲笑うように口にする。
「ところでさ俺もお前に疑問があるんだ。何でもっと逃げに専念しないのかってな」
俺がそう言うと怪訝そうな表情でこちらを見つめてくるペルティナ。
「それはお前が邪魔してくるからだろうに」
「お前は俺より強くて俺程度の妨害は元よりないものとして扱えた筈だ。口封じのために殺そうとしてると言うならそもそもフードを自ら脱いだのもおかしい」
「戦いの邪魔だったんじゃない?」
「その程度の邪魔で俺に勝てなくなると考えているのか?」
俺がそう問いてやるとペルティナは驚いたような表情を見せてから、少ししてニヤける。俺の考え方に納得したのだろう。
「結局俺が逃げなかった理由は?」
「単純な答えだ。最初俺はお前が戦闘狂の可能性を考えた。だが俺が思うにお前は戦闘狂ではあるがその前にやるべきことを持ってこれる人間だ。生粋の戦闘狂なら王女様を使うだなんて発想はあっても、面白くないし使わないだろうしな。だからお前が何の目的もなしに今この場で戦うとは考えられない」
「つまり?」
「何らかの目的があってお前はわざわざ俺と戦っているということだ」
「ならその目的とは?」
「撒き餌に獲物がかかるまでの時間稼ぎ」
そこまで言ったところでようやく目を細めて俺を見つめてくるペルティナ。いよいよ本格的に脅威と認められたのかもしれないな。
「そこまで分かるとはね。どうやって気づいたとかは聞かないよ。興味ないから」
呆れたようにそういうペルティナだったがどこか楽しげだった。俺はここで提案する。
「お互いの目的が時間稼ぎなんだ。下手すればやってくるのを求めているのも同じ人物なんじゃないのか?まぁ俺は特定の人物とは思っていないけどな」
俺としては援軍、あるいはそいつ一人でペルティナを倒せる戦力が来てもらいたいところだ。それに対してペルティナは特定の人物が来て欲しいと思っている可能性が高いように感じる。あるいは特定の分類に属するだな。つまりは俺の方が求めている人物のくくりの方が範囲が広いということだ。
そしてお互いが時間稼ぎが目的ならば戦う理由はないように思えるし、実際ない。しかし、ペルティナがそれで終わるはずもない。なぜならこいつは、
「わかってるんだろう?俺も結局は戦闘狂であるってさ。なら答えは一つだ」
そう言いながら剣を俺に向けて構えてくるペルティナ。俺はそれに応えるように構えを取る。剣などはないので所謂ファイティングポーズに近い。
「さぁ始めようか!俺が仕掛けるからお前がかわせ!」
そう高らかに目の前の男は言い放った。
ーーーーーー
「さぁ始めようか!俺が仕掛けるからお前がかわせ!」
俺はそう口にした瞬間、地を踏み駆け出す。目の前の男はまだガキなのに魔術に加え、魔法も使ってくる。まだまだ隠している力もあるだろうし、身体能力も俺に近いときた。はっきり言って興味が尽きない。
俺は再び辺りの民家を切り刻む。俺たちの戦いに気づいた民衆はさっきからうろちょろと離れていくのを俺は見ていた。目障りではあったが、一応
切り刻む俺のことを止めもせずに傍観に徹しているあの男は何かしら狙いがあるのだろう。とはいえ、考えがあったとしても俺の戦い方を変えるわけにはいかない。俺は自身の魔力を事前に込めた小粒の石達を瓶から取り出し、空中に向かってぶん投げる。
俺の魔法は指定した対象同士の位置を入れ替えさせられ
この条件が整っていれば、生物無生物問わずに俺は入れ替えさせられる。
だから空中に投げ出した小粒の石達にも俺の魔力を込めていたってわけ。
そんなこんなで小粒の石とそこらへんの瓦礫の位置を入れ替える。あのガキの頭上に大量の瓦礫が落ちていく。どんな作戦を用意しているのか期待しながら、攻撃の準備を整える。
空中に入れ替えた瓦礫があいつの周囲に落ちる、はずだった。瓦礫はあいつの頭上三メートルほどで突如として逸れるようにまるでその空間に物体が存在することを許さないと言った様子であった。
そして俺は気づく。あいつの周囲三メートルに一切の瓦礫が存在しないこと。つまりあいつを中心にしてドーム上に物体が入ることを拒んでいるのだと気づく。
俺はガキに向かって走り出す。自身もそこに入ろうとすれば弾かれるのだろうかと。だが意外にも中には簡単に入れた。しかし俺へ向かって『撥』とか言っていた時同様の力が僅かにだが進行方向の逆にかかっていることに気づく。
なるほど、そういうことか。このドーム上の不可侵領域について考えがよぎったところで、クリューソスという男は口にした。
「
どうやらこの技の名前は『
しかし俺からしてみればこんな力の抵抗あってないようなものだ。俺はほとんど影響を受けることもなく、最高速度で剣を振るう。
それを易々と目視で捉えて回避するガキ。しゃがみ込むように回避したガキに俺は剣を振り下ろす。だがしゃがみ込みながらも地面に踏み込んでいたガキは俺に頭突きのような形で近づいてきている。俺はそのガキをガキ自身の技によって周囲に散らばってしまっている瓦礫と入れ替える。
入れ替えた瞬間にガキの周囲にある瓦礫は弾かれるように動き始める。しかしその速度自体は根底となる『撥』の出力が弱まっていることもあり、そこまでのものではない。俺はそこを突き、男を入れ替えさせた先のすぐ近くにある、まだ弾かれきってない瓦礫と俺を入れ替える。完全な死角、決まるはずだったが男はまるで
俺はすぐさまに男と俺の位置を入れ替える。そして振り向きざまに攻撃する、かに見せかけて再び俺と男の位置を入れ替える。
入れ替えに対応しようとすればするほどこの単純な仕掛けに引っ掛かり、あらぬ方向に攻撃をしてしまうはずなのだがこの男は何とそれにすら初見で対応して回避してみせる。完全に不意を突くつもりだった俺の斬撃をかわす。
まさに見事と言う他ないだろう。だがもうお前はこれで詰みだ。
俺はその後入れ替えることもなく、再び剣を振るう。その斬撃は同時に九つの斬撃を発生させる。発生する斬撃は縦に三つ、横に三つの格子状に発生しイメージとしてはマルバツゲームのあれだ。マルバツゲームの場合は本数が少し違うがそこは想像で補え。
この技は
九つの斬撃は元々の剣による斬撃を真ん中の縦の一本として広がる。子供の小さな体格故にこそ囲まれるように起こるこの斬撃を逃れるのは難しい。
しかしそれで終わる男ではなかった。
ガキは何度か使ってみせていた瞬間移動により俺からかなりの距離を取った位置にいた。この男の瞬間移動は俺の位置の入れ替えよりも応用が効く完全なる瞬間移動なことは今までの戦いからわかっている。
男は先程までのこの場所とは異なる瓦礫の溜まり場に立っていた。幾つもの瓦礫が積もっており、普通に考えれば俺が入れ替えることが可能な物体が多く、悪手と言える。
驚くのはそこだけじゃない。先程までは自身の周囲にある瓦礫全てを弾く技を使っていたが、今はそれもなさそうだ。当然何かを企んでいるんだろうが、俺はそれに乗ることにした。面白そうであるのと同時に舐めているのかとも考えたからだ。
「馬鹿が!」
そう言いながらガキの足元の瓦礫と俺の位置を入れ替える。入れ替える瓦礫はガキから完全な死角の背後、ではなく僅かに視界に映る可能性があるガキから見ての左側のものにする。何故そこなのか?ガキは俺が死角に現れると予想した上でパンチを繰り出すだろう。となれば当然残っている左手でそれをするのだろうが、背後に勢いつげて殴ろうとすれば体全体を上から見て時計回りのような形で振りかぶるのが最も効率的だ。
だからこそ左側。そして死角に飛ばないのはあいつがそれを読んでくると考えているからだ。
相手の実力を信頼するが故の最善ではなく、次善を選ぶ選択。それはうまく決まったはずだったのだ。
「は?」
俺が位置を入れ替えてやってきたのはガキがいた位置から大幅に距離を取っていた箇所だった。対象の選択は間違っていなかったし、変な妨害を受けた感覚もない。ならばどうして自分は今こんなとこに立っているのか。
俺はその謎の答えを求めるように、急いであのガキが先程までいた位置を見ようとする。結果として先程まであのガキがいた箇所には既に誰一人いなかった。いや、それどころか男の周囲にあった瓦礫ごと全てがなくなっていた。
またあの『
俺は消えたあの男に警戒を払いつつもさらに思考を深めていく。
あの男がやったことは全方位への念力、それは間違いないはずなのだ。おそらく俺が位置の入れ替えを行うタイミングを予想して全ての瓦礫を吹き飛ばすことで、俺が入れ替えの対象を選択したタイミングと実際にその瓦礫がある箇所が異なった。これでしかこの状況は説明できないように感じる。
だがそれは妙だ。俺が今まで見てきたあの男の念力ではどう考えても
どんな理屈か知ったもんじゃないがあいつは周囲全てを吹き飛ばすことで俺が入れ替えの対象にとった瓦礫がどれにしろ確実に近づかれないようにしたわけだ。
そして今周囲にあいつはいない。この場合どこかで俺に攻撃を仕掛けようと機を見ていると考えるのが普通だ。とりあえずあのガキが今俺の周囲五十メートル以内にはいないのが分かる。俺の魔法の性質で対象を選ぶ際に周囲五十メートル内の存在はだいたいだが分かる。その中にあいつは確実にいない。
奇襲を仕掛けるなら瞬間移動を使うほかないだろう。俺はあいつが逃げた可能性も僅かに思案するが何となくだが違うと感じていた。
そして俺がいよいよ本格的に探し回ろうと動き始めようとしたとき、突如として体に力が加えられる。これは『撥』とかいうやつだな。
俺はそう考えるとすぐさま横に飛び、地面の石畳を破壊して小粒の石達を作り、一つ取る。その石に魔力を込めると、『撥』が飛んできた方角の上空へと全力でぶん投げる。
俺はその石がかなり遠くに行ったところで、それとの位置を入れ替える。単純に身体能力では無理な速度での移動だけにあのガキには予想できないはずなのに、またもやこいつは俺の予想を裏切ってくる。
「
そう言いながら手を差しでくるクリューソスというガキが自身の目の前にいた。俺の視界に映るのは男だがガキらしく小さい手のひら。そしてそこから形成されつつある魔術だった。
このガキが口にした『焼焔」という魔術は確か火炎魔術の聖級だったはずだ。この男の魔術は先程から目を見張る威力がある以上、これを食らうわけにはいかなかった。俺はそれを回避するよう、目の前の男と自身の位置を入れ替える。
瞬間、俺の視界が大幅に揺れる。
位置替えによる視界の揺らぎではない、もっと純粋な眩暈が突如として発生した。この感覚はまさか、、
そう考えてあたりを見渡すとそこは今までに一度として見た覚えのない森の中だった。正確に言えば森なのに木々が乱暴に壊されまくっており、平野のように捉えられなくもなかったが。
「ぐあっ!!」
血反吐を吐く。気持ちが悪かった。
俺はここで見事にしてやられたことに気づいた。