ー異世界への侵略者ー地球を侵略しにきたエスパー宇宙人、死して異世界へと転生する。超能力?何それ?強すぎ!! 作:ゼリアサイ8世
「
オークの魔石が心臓と同位置にあることが分かり、取り出して破壊した。確実に死体となり動かなくなったことを確認した。その後マサリと会わなくてはと思案し振り返り帰路に着こうとした瞬間だった、その声がしたのは。
その声は今までに聞いたことはなかった。自分の声を録音して聞くと案外思っていた声と違ったとかそういった次元ではない。本当に初めて聞く声だった。
だがそれはおかしい。だってこの場にいる可能性のある人間なんて俺とオークに襲われていた二人の子供、そして俺を追ってくるだろうマサリのみだ。
いや、最初に襲われている時に見たが現場に着いた時にはいなかった子供の可能性もあるか。実は喰われたのではなく、逃げていたのだと。それならばどれだけ楽だったろうか。
まず、先に挙げた内容でないことは確実だ。何故なら喋った内容が『
考えたくはなかったがここまでくると喋ったのはあいつで確実か。
「驚いた。話せたんだな」
帰路に着くためにそいつから振り向いて前に進んでいた俺が再び振り向き様にそう口にする。そうして目に映るのは先ほどまでのオークではなく、大きく見た目が変容していた。
二本足で立っていることは変わらない。特筆するべきは腕だ。それぞれ異なる色を持つ六本の腕、左右それぞれ対の位置になるように三本ずつの腕がある。さらにそれらの腕とはさらに異なる色を持つ胴体と顔。そして何よりも驚くべきは俺が魔石を炙り出す過程でバラバラにしたことはなかったかのように佇んでいたことだ。
そんな怪物が俺の言葉に反応して喋り出す。もしかしたら最初に俺がオークを煽った時にそれに反応して行動したように見えたのも偶然ではなく、本当に理解しての行動だったのかもしれないと俺は思い返す。
「それほどでもねぇぜ。この程度俺様からすれば朝飯超えて晩飯前だぜ」
くだらない、小学生ようなことを口にするオーク?に対して俺は呆気にとられる。だってその言動に対してその巨体はあまりにも不相応だったからだ。
「言葉を介せることができるなら問いたいことがある」
「ん?なんだ言って見ろ。お前すげーかんな、俺様が教えてやんよ」
「何で子供達を殺そうと、、、いや、殺した?」
何故そんなことを聞いたのか自分でも分からない。こんなことを聞く資格など最もないことは分かっている。だが聞かずにはいられなかったのだ。
一般に『魔物』が人間を殺すメリットは一つ。生きるためだ。魔物達の魔石は本来魔力の貯蔵庫であり、これは自然と減っていくものかつ生存に不可欠なものだ。だから本来『魔物』達の行動は決して容易に非難できるものではない。だが俺が気になるのはそこではない。このオークは怯える子供達を醜悪な笑みを浮かべながら食していた。それだけはあってはならないとそう思えたのだ。
そしてオークの返答を待つ。特にオークは悩みも悪びれもしない様子で答える。
「え、美味いから?」
「そうか」
その言葉を聞いた瞬間、俺は全力を持ってこいつを殺すことを決意する。何に怒っているのかと思いながらも固い決意をする。
美味いから殺す。つまり、美味いから殺し喰いたい。これは人類が何万年も前から他の動物にしてきた行為。やはり本来はこのオークの行動を非難していい道理はないのかもしれない。言葉を介せれる生き物に対する行為なのかどうかなどは些細な違いでしかないのかもしれない。それでも殺すのだ。この怪物を。
「テレポート」
そう口にした途端、先ほどまでいた位置から俺は消え、オークの背後、正確には首の後ろにやってくる。
突如消えた俺に戸惑っているうちに首に触れだ俺は再び首を圧し潰そうとする。
「だーめ!」
先にも言った六本の腕は左右にそれぞれ三本となっており、加えて言うとその三本も上中下と言った具合に生えている。つまり、上にある腕は首の位置に先程よりも速く到着させることが可能だ。結果としてオークの腕は俺の元へと即座に向かってくる。
俺は腕に襲われるのを恐れ、背後に飛ぶことで即座に首から離れる。
オークは俺が首に触れてから一秒以内に俺に対処することに成功する。恐らくだがこれには身体的特徴もあるが単純な反射神経も成長していることもあるように感じる。
とにかくテレポートからの『撥』という速攻が通用しないとなると先程みたいに殺すのは容易ではないだろう。
腕を一本ずつ奪っていくにもその一本を奪うのにも他五本の腕を相手しながらしなくてはならない。果てしない労力がかかる上に成功率は低い。
これを解決する方法は三つある。一つは魔術を使用すること。魔術を使っての戦闘は初なので避けていたが上手く使えれば間違いなく最も容易に勝利できるだろう。それにある魔術を使えれば何故復活したのか現状不明なコイツがまた復活するといった可能性も確実に消せる。その上、腕を無理に奪ったりする必要性もない。だが下手をすれば労力は変わらず、むしろ増える可能性もある。成功率は上がる気がするが。
次に二つ目はマサリの到着を待つこと。マサリのみが使える固有の魔法があれば相手の動きを止められる。その隙に先程同様の手順で魔石を破壊することだ。いくら六本の腕があろうと大半の感覚器官がある頭と胴を切り離してしまえば先ほどとそう変わらない時間で殺せるだろう。懸念点は未だに到着しないマサリが今更来るのかということ。マサリの身体能力よりも上の速度かつ、明確に目的地を把握していた俺と到着までの時間差が生じるのは当然としてもあまりにマサリが到着するのが遅い。マサリは現在俺に呆れて放任しているかレーベン家に戻って救援を呼んでいる可能性が高い。あとは道に迷っている可能性もあるか。元冒険者のマサリがそうなる可能性は低いと思うがなくはないだろう。そしていずれにしてもマサリがこの場に到着するのは相当遅くなるだろう。この場合あまり頼りにしすぎるのは悪手となる可能性があるな。
そして最後に三つ目、これは奥の手だが俺には
さてどうしたものか。本当は逃げるのが最も楽な手段だ。マサリにもいざとなったら逃げると散々言っていたはずだ。
だができない。あんなことを言った奴をみすみす見逃すなんて俺にはできない。結局マサリが言ったような状況になっているのは尺ではあるが仕方がない。
それにこれは誰かのためではない。俺が納得できないという気持ちの問題だ。やっぱり俺は俺のためにしか行動できない男なのだ。
様々なパターンを想定する、しかしてその時間は一瞬であり、結論は出た。
「
そう口にした途端俺の右手に焔で作られた剣ができる。焔もとい炎で作られているものの俺自身がその熱を感じることはない。無論、自身以外に対してはその限りではないが。
剣を持った俺は向かい合う形で前にいるオークに向かって進む。
「その剣かっこいい!」
オークは向かってくる俺に対してそう口にしながらも三本の右腕全てを俺に向けて振りかざしてくる。俺はこれを左に回避する。理由は単純、右に回避すると余った三本の左腕で攻撃されるからだ。
回避には成功した。後は焔業剣を振り上げて攻撃するだけ、そう考えていた俺は意表を突かれる。オークは振りかざした右腕達を全て地面に向けて叩きつけた。それにより地盤が大きく崩れ揺れる。だがこれは大した問題ではない。多少俺がバランスを崩すことにはなったがそれだけだ。すぐに修正した。
問題はその三本の腕を支えに、左に避けた俺に向けてオークが寝返るように転がってきたことだ。
つまり今現在俺の上にはとんでもない質量を持った肉塊が背を向けて落ちてこようとしてきている。現在五歳児の身体でこれを受け止めれば確実に死ぬだろう。かといって焔業剣で背を切り裂いて中を貫通するように回避、というのはあまりにリスクが高い。となると、
「ブフゥ」
受け身も取れずにただ転がったオークは汚い声を漏らす。そしてそんなオークの痛みを軽減するかもしれない小さい人間の下敷きはいない。
俺はオークの体で潰される直前にテレポートでオークの体の上に来ていた。
地面に背をつけたまま仰向けとなったオークは俺と向かい合う形になる。
「ガハッッ!」
ここで俺の口から血が溢れる。これは攻撃を喰らったわけではなく俺がテレポートを使いすぎた反動だ。これが俺がオークを発見してすぐにテレポートを使わなかった理由だ。テレポートの反動は距離と回数、それぞれに比例して大きくなる。そしていきなりあの距離のテレポートをすれば、間違いなく一発で血反吐を吐くほどの反動をもらっていただろう。俺は魔物と戦うのはこれが初めてで、魔物戦の勝手など分からない。だから血反吐を吐くというデバフを負った状態での初戦闘は避けたのだ。その結果子供が一人死んでしまったわけだ。やはり俺は自分の身が最優先なクズなのだと改めて思って安心する。
話は戻り、今回俺が血反吐を吐いたのは距離というより使った回数が理由である。そんなに使ってないだろと思うかもしれないが俺はテレポートのみ数ある超能力の中で唯一の苦手分野なんだよ。仕方ないだろ!
と、ついキレてしまったが冷静にだ。
俺はテレポートの反動はなんとか気合いで堪えつつ、右手に持つ焔業剣をオークに向けて振り下ろす。
その際に『撥』を自身の腕の動きに合わせた方向に力を更に加えることで威力を上げる。オークの肩から腹あたりまでを巨大故に真っ二つに切り裂くことはできないが中身が見えるぐらいには裂くことに成功する。一応炎でできているので切り裂くというより焼き裂くなのかもしれない。
「いったぁぁぁぁぁぁ」
オークにも痛覚はあるのかかなり大きめな声が響く。ここまで無様な悲鳴をあげるのはこのオークの精神が子供っぽいのも恐らくあるが、それだけではない。最初に焔業剣を出した時に『
『魂鑢』の効果に相手が感じる痛みを増やすというものがある。まぁ正確にはこの効果はサブというより副次的効果なためメインは別にある。その効果はもう一つの魔術とセットで説明した方が分かりやすいので今は省略させてもらう。
ただし一つ言うならこれから『魂鑢』でたくさん攻撃することがこいつに勝つ条件だ。
痛みに悶えている間に俺は更に焔業剣を振る。どうしたって巨大なため完全に切り裂けないものの決して浅くはない傷を与える。
このままではまずいと悟ったのかオークは五回目を振ろうとしたときにオークは背を地面につけながらも俺に向けて腕を伸ばしてくる。焔業剣は炎でできているために物理的に受けとめたりすることには使えない。いったん俺は引くこととする。
そしてお互い体勢を整える。
またまた両者は向かい合う形となる。
「ひーひー殺す殺す殺す!殺す!殺す殺す!殺す殺す殺す!殺っす!」
「キレ過ぎだろ。いや、
「あぁ〜!」
程度の低い煽りではあったものの乗っかってくれたようで、さっきとは異なり向こうから今度は仕掛けてくる。テレポートは先の反動の件もあり次使えば即行動不能もあり得るため確実に殺せる場面ではないここではやれない。
となるとここは回避するのではなく、
「
三本の右腕を振りかざしてくるオークに対し俺がそう詠唱した瞬間オークの真ん中の右腕の前に風の盾が現れる。扇風機の中の羽が回り続けてるときみたいなイメージの盾である。その盾に向けて俺は手に持った焔業剣を差し込む。するとみるみるうちに焔業剣は風覆盾の中に溶けていく。
結果として出来上がるのは炎を纏った風の盾。オークの腕は突如とした出現したその盾に避けることが出来ずに腕を突っ込むこととなる。その炎の盾に入っていいった腕は入った部位から順に焼かれ灰になっていく。
そしてそんな盾で守られている俺は現在オークの真ん中の腕に対して盾を配置したことによって、なんの妨害もなかった上と下の右腕だけが前に突き出されていた。そして俺は元々真ん中の腕が突き出されていたであろう位置にいくことで、突き出された上下の腕の間にいることになる。
下のオークの腕に乗り、上のオークの腕を両手で掴む。これは子供の体格ならではのことであり、俺は小回りが効くここ体に初めて感謝するのだった。
俺は炎風の盾に向けて『撥』を発動し、盾を飛ばす。『撥』はちゃんと指向性をイメージできれば手のひらを向けたりしなくとも発動可能であるため、俺は明確にオークの方に向けて飛んでいくようイメージする。
そして飛んでいった先はオークの顔などではなく人間の体格的に考えれば心臓に当たる部位である。
これは先ほどの第一形態的な時に魔石が心臓にあったからだ。一度蘇っているこいつにまだ魔石があるのかどうかすらも怪しいのだがとりあえずやってみたという感じだ。
一方俺の腕が掴んでいるオークの上右腕に対してはこうだ。
「『魂鑢』」
そう口にしながら発動することで無詠唱で使うよりも威力のある魂鑢を発動する。魂鑢は
「『魂鑢』『魂鑢』『魂鑢』」
何度も何度も何度も、執拗なまでに『魂鑢』を発動する。そうして発動することでオークにいくのは痛みだけで直接的な傷はない。
オークは俺の飛ばした炎の盾に意識を取られ、『魂鑢』の連続発動には対処できない。俺は『撥』の使用で少ない時間に大量に発動することには慣れている。結果として、僅かな時間で想像を絶する量の『魂鑢』を浴びせることに成功する。
さて仕上げだ。
オークは飛んでくる炎の盾を回避する。すると余裕ができたのか、灰と化した真ん中の右腕を除く二本の右腕をこれでもかと振り続け、俺を払い落とす。
だがもう仕上げは終わっている。
オークは俺へ向けて攻撃を仕掛けようと走りだそうとする。だが
こいつが俺を振り落とそうと必死な間に俺はある一つの魔術を詠唱した。その魔術の名は、
『
この魔術の効果は木を生やすこと。多くの魔術がある中で一見地味に感じるこの魔術に俺は最初価値を感じていなかった。
木を生やしたところで戦闘に役立つだろうか?障害物てして使うにしては魔力の消費が大きく、炎に弱いなどの弱点も明確である。突然木が生えてカタパルトの様に使って攻撃するというふうに使うには速度がない。ニョキニョキといった具合に生えるのではそのように扱うのは難しい。一回の発動に魔力を大量に込めれば不可能ではないかもしれないが投じたものに対してメリットが少なすぎる。
だが俺は今日の無詠唱での練習中に思い出したのだ。そして気づいた。自分は攻め守りといった単純なことしか考えていなかった。攻めそのものではなく攻めに行くまでの過程に組み込めないか?それを考えるのが必要だったのだ。
俺はオークが俺を振り払うことに必死になっている間オークの足元を注視した。そして魔術において最も重要なイメージを明確にして『植芽』を発動する。オークの体という障害物があってなあ地面から木が生えている姿を。
俺が思い出したのは前世でスマホをいじっている時に見た画像。自転車を飲み込んで尚成長し続けていた樹木。自然というのは少しの邪魔があったところで変わらず成長し続けるのだと当時は感動したものだ。
つまり俺が今回やったのはオークの足を飲み込んで尚成長する樹木である。
とはいえ完全詠唱ではなく詠唱破棄であること。障害物ありきであるということから対象をオークの体全体ではなく足にのみ対象を絞らざるおえなかったが決して嘆くことはない。
だって拘束さえできれば俺の勝ちなのだがら。
「八百万に芽吹いた魂達よ、汝らの行き先を定め問う。自由を騙る裁定者。規律に護られた愚者。いずれの行き先を決めんとす。差し出されさしは自由と規律、
オークの五体、いや八体が決して届かない距離で俺はその詠唱を開始した。そして残りは魔術名を唱えるだけ。拘束に気づいたオークが木の足枷から逃れようと必死な中、突如として俺はテレポートを発動しデジャヴを感じる首の後ろへとまわる。そして掌を首に当てる部分まで同じである。
違いはここから。
オークの第一形態よりも良くなった反射神経は俺が首に触れたことを瞬時に察知、一秒以内に手が回る。だが異世界追放系よろしくの
「『
それを唱えた瞬間オークの体はまるで命など初めからなく、ただの人形が動いていたと錯覚させられるほどあまりにも醜く倒れる。それは突然電源が切れたロボットのようだった。
聖級