【完結】特撮ヒーローのライバル系カイジン、異世界に転生す。   作:ふくつのこころ

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デッドビート
カイジン番号001
特撮番組『グレイトマン』に登場するライバル。グレイトマンに匹敵する能力と成長性を持つ。
カイジン態は黒い忍者装束のようなスーツに身を包んだ髑髏面の異形。
首のデッドマフラーを排出口(マフラー)に変化させ、スピード対決に持ち込むほか、カイジン忍法と称した数多の術を扱う。『グレイトマン』のキャラクターデザイナーによれば、モチーフは「抜け忍」で人間態がないカイジン。


00:2人で1人に

 

 少年がソレ(・・)と結びついたのは、死を経験した時だった。

 ソレ(・・)が少年と結びついたのは、少年が死を経験した時だった。

 

 その優しさから勇者の末裔でかつ自分よりも強い幼馴染の少女を庇い、襲ってきた魔物の攻撃を受け止め、重傷を負った彼は生死の境を彷徨った。

 数日もの間、目を覚まさず、その間の少年の両親や幼馴染の少女は気が気でなかったというが、少年はその間はずっと長い夢を見ていた。

 

 ソレ(・・)の名は不撓不屈カイジン・デッドビートといった。

 デッドビートが誕生したのは、彼の創造主(うみのおや)が敵対していたヒーロー・グレイトマンを倒すためだった。

 グレイトマンを倒すため、デッドビートはグレイトマンのすべての能力と無限に成長する力を与えられたが、グレイトマンに敵うことはなく、紆余曲折を経て最後の決闘でグレイトマンに敗れてしまった。

 死後、デッドビートの魂はある“輝き”に導かれるように吸い寄せられた。

 その輝きこそ、そのときに生死の境を彷徨っていたアーサー少年だったのだ。

 

「ここは」

 

 無人の街で髑髏面に忍び装束、さらに首に巻いたマフラーと“抜け忍”を思わせる姿のデッドビートは辺りを見渡す。

 グレイトマンを倒すために生まれ持った能力も髑髏の意匠を持つ愛刀・デッドカリバーも出すことができない。

 そんな無力の自分に不思議とイライラを覚えない自分に驚きつつも、デッドビートは歩き出した。

 正確には、歩いてあたりを見て回ることしか今の自分にはできなかったこともあるが、何もしないよりはましだと思ったのだ。

 デッドビートが生きていた世界では、自動車や電車が走っていたり、高層ビルが立ち並んでいたが、今いる世界には線路のようなものも高層ビルも見当たらず、大きな時計塔や広場があるくらいだった。

 街並みもデッドビートの生きていた世界で見た、ヨーロッパのどこかのように見える。

 

「おい、ここはどこだ」

 

 ようやく、見つけた最初の人間は小さな少年だった。

 広場のベンチに座り、泣きじゃくっていたが、デッドビートにはそんなことは関係ない。

 

「わからないよ。ぼく、リリアーヌちゃんをたすけたんだ。まものがおそってきたから、まもらなくちゃって」

 

「武器もないのにか?それは勇敢とは言えない。お前の行なった行為は愚かという」

 

 お手製らしいドラゴンのぬいぐるみを抱きしめ、顔を上げると髑髏面のデッドビートが見下ろしている。

 自分よりもずっと小さな少年に対する配慮などないため、少年が一瞬恐ろしいものを見るような目で見た後、目を輝かせた。

 

「もしかして、でんせつのあくま?」

 

「お前と言葉を交わしたのは初めてのはずだが?」

 

「どくろのおめん、くろいふく、マフラーときたら、でんせつのあくまなんだ」

 

 少年は泣きじゃくっていたのが嘘のように顔を輝かせ、デッドビートの袖を引っ張る。

 小さく、それでいて少し力を入れるだけで振り払うことができたが、デッドビートには不思議と振り払うことができなかった。

 自分のことが知られているのは気になるところだが、少年に尋ねる。

 

「小僧、お前の名前は?」

 

「アルトリウス。みんなにはアーサーってよばれてるよ。……よわむしアーサー、なんて言われてるけど」

 

「デッドビートという。……お前のような小僧は俺を見れば恐れるはずだが?」

 

 己の姿を見ても怖がらないアーサーをデッドビートは不思議に思った。

 デッドビートは自らの髑髏面を示すと、アーサーは頭を振る。

 

「まだよくわからないもののことをこわがらないよ。なかよくだってなれるかもしれないし」

 

 少年らしい、甘く理想的な言葉にデッドビートは舌打ちをするも、少年は眉尻を下げるだけで嫌悪感は示さなかった。

 

「では、小僧。オレに力を貸せ。俺にはどうしてもやらねばならないことがある。お前も、こんなところにいたくないだろう」

 

「う、うん。リリアーヌちゃんがしんぱいしてるから、あいたい。けど、どうすればいいの?」

 

「簡単だ。俺の能力を使い、お前と一つになる。そうすることで俺は力を取り戻せるはずだ」

 

 デッドビートはグレイトマンの能力を研究し、生み出された存在である。

 自らの存在が安定しなければ、他者と融合して存在を安定させる能力を持っているのもグレイトマンの能力を基にデッドビート自身が編み出したものだ。

 未知のバケモノのそんな悪魔の契約にデッドビートはアーサーが拒絶の意思を見せるのではないかと思っていたところ、アーサーは迷わず手を差し出す。

 

「どうすればいいの?」

 

「話が早くて助かる。叫べ、カイジン転生(てんしょう)と」

 

「わかった」

 

 なんだか、物語に出てくる英雄のエピソードの一つだとアーサーは思った。

 デッドビートはアーサーの手を取り、二人は叫ぶ。

 

『カイジン転生(てんしょう)!!」

 

 その言葉とともに二人の身体は一つになり、空を奔る流星となって空へ向かって昇ったのがアーサーの見た()だった。

 

「気づいたの!?アーサー!」

 

 気がつくと、泣き腫らした母親の顔が目の前にあり、母親はアーサーを優しく抱きしめた。

 息子の体温を感じるように、しっかりと包むこんで。

 医者曰く、アーサーの容態は大変重篤な状態にあり、奇跡的な復活だったという。

 しばらく、家から出ることはないようにと言いつけられたが、アーサーは気になることがあった。

 昔から読んでいる絵本の『ほしのえいゆうとでんせつのあくま』に登場する、『あくま』にそっくりなデッドビートが気がかりだった。

 登場する『えいゆう』と戦い、打ち倒される存在。

 髑髏の面、黒い装束、マフラーの風体は夢に見たデッドビートそっくりだった。

 

 不思議なことに身体能力、魔力共に以前よりも高まっており、よわむしアーサーと詰っていた子供たちは以前より成長したアーサーを見直す者や恐れる者と三者三様だった。

 ただ、一番大きな変化があったとするならば。

 

「……小僧、なんでオレはこんな身体なんだ?」

 

「ごめん、デッドビート。それはわからない」

 

 アーサーと一体化したデッドビート。

しかし、その姿は黒い髑髏の面をしたようなスライムの姿で不満を漏らした。

 なぜ、そのような姿になってしまったのかは二人にはわからなかった。

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