【完結】特撮ヒーローのライバル系カイジン、異世界に転生す。   作:ふくつのこころ

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21:甘さとやさしさ

「なーにが、同じ(・・)だ!?セーロンなんか、言ったところで俺には響かねえよ!?」

 

 オーグドロップは地団駄を踏む。

 言葉とは対照的に図星を突かれたことに動揺している。

 オーグドロップが地団駄を踏むたび、オーグドロップのパワーで大地が震え、マジックアイテムによる照明が次々とついていき、住人たちの不満げな声が聞こえてくる。

 

「あれは、違法マジックアイテムユーザーか!?」

 

「隣にいるのは同じドロップ!?」

 

「おい、身内同士の喧嘩なら、他でやってくれ!!リオネルから出ていけ!」

 

 アンデッドアーサーは暗がりでは、ドロップと同じ異形にしか見えない。

 髑髏面でマフラーをはためかせる、忍び装束の異形の超人。

 日が沈み、外を歩いている通行人はほとんどいないほどの時間だが、逆に家から顔を覗かせている住人たちは多い。

 先日のハウンズのメンバー、ファルコンとホワイトフットとともにアシッドトードドロップを倒した時のことを忘れているわけではない。

 ただ、まだ完全(・・)に受け入れられていないのが理由だった。

 

「あんな風に言われても、お前たち(・・・・)は俺とやるのか?ここで手打ちにして組もう。分け前は弾むぞ?ハウンズの連中はもちろんだが、お前ほどの力があれば、憲兵隊や偉そうな魔法使いどもを蹴散らすのも容易いからな」

 

「やるに決まってるだろ?オレはお前のようなタイプが嫌いだからな」

 

 オーグドロップにアンデッドアーサーはデッドカリバーで切り掛かると、オーグドロップは棍棒で受け止める。

 ただ、デッドカリバーを両手で握っているアンデッドアーサーに対し、オーグドロップは片手だけだった。

 

「チッ、交渉(・・)もわからねえのかよぉ!やっぱり、お前はガキだ!!ボディがガラ空きだぜ!!ヒーロー(・・・・)さんよぉ!!」

 

「……ッ!」

 

 オーグドロップがニヤリと口角を上げたかと思うと、アンデッドアーサーのボディに空いた手で棍棒を打ちつける。

 アンデッドアーサーはそれを痩せ我慢で受け止めた後、デッドカリバーの柄でオーグドロップの腕を殴りつけて棍棒を払い落とす。

 地面を地団駄する度、周囲を震わせるほどのパワーを発揮する足を打ちつけないよう、アンデッドアーサーは片足で引っ掛けて転ばした。

 その後、アンデッドアーサーは力任せでオーグドロップを蹴り上げ、空中へと飛ばす。

 空中に飛ばしたオーグドロップの身体に組みつき、アンデッドアーサーの意思を汲み取って魔力を帯びたマフラーがオーグドロップの身体を固定する。

 

「ぐっ、何をした!?俺は弱者だぞ!弱いやつにここまでやるのか!?」

 

 オーグドロップの身体を手早く回転させ、頭を地面の方に向ける。

 頭に血が昇ってきたことでオーグドロップは先ほどとは打って変わり、アンデッドアーサーに媚び始めた。

 アンデッドアーサーはオーグドロップを髑髏面の奥から冷ややかな眼差しを向け、その言葉を無視した。

 

弱い(・・)奴?さっきは強さがどうだとか言っていたのにか?オーグドロップのオーグは鬼だろうが、お笑い種だな」

 

 アンデッドアーサーは冷ややかに切り捨てた後、オーグドロップを地面に叩きつける寸前、アンデッドアーサーはオーグドロップから離れた。

 派手に頭部から落ちたオーグドロップは変身が解除され、男の姿に戻り、ラクリマが男の身体から排出された。

 

『(変身解除してアイテムと分離する必殺技……。オレの能力にそんなものはなかった。つまり、この技は小僧自身の必殺技(のうりょく)ということになるのか)』

 

 アンデッドアーサーは変身解除したことでデッドビートとアーサーの二人に分かれる。

 

「アーサー!……って、もう終わったのかよ」

 

「すまんね、本当に。……これで、もう商品が壊されないのかと思うと、ホッとするよ」

 

 ファルコンが連れてきた店主は伸びた男の様子を見ると、心底安心したようにアーサーに笑いかけた。

 

「僕は警備隊(ハウンズ)としてやるべきことをやったまでですよ」

 

 アーサーは感謝の言葉を伝えられ、心が温かくなるのを感じた。

 

 その後、男は憲兵隊に引き渡された。

 アンデッドアーサーの姿は髑髏面のカイジンということで住民を怖がらせ、オーグドロップの言葉を受けながらも、オーグドロップを止めるために戦ったことでアンデッドアーサーは住民たちの中で少し認められつつあった。

 

「……よくやったな、アーサー。アシッドトードドロップの撃破、オーグドロップの撃破と順調に任務をこなしつつあるな」

 

 ウィスカーはアーサーの健闘を心から称えた。

 ウィスカーから見たアーサーは見込みがあった。

 同じエーデルワイス一門で魔法を行使でき(・・・・)召喚獣(・・・)と一つになって超人の姿になり、ドロップと有利に戦うことができる。

 魔法も変身もまだ未熟なところがあるものの、これからの成長の可能性を感じられる。

 

「今回はファルコンが店主と女将さんの方を見てくれていたので、気にせずにできたこともあるんです」

 

 ウィスカーが犯人を連行する憲兵の後姿を見送った後、デッドビートを頭に載せたアーサーは頭を横に振る。

 ファルコンは店主と店の修繕を行う手伝いに行っており、終わってからハウンズの本部に戻るとアーサー達に言った。

 本部への帰路に着く最中、ウィスカーはアーサーへと言葉をかけた意味をアーサーは困った様子で考えた。

 

「……ファルコンがお前と気が合うのも、納得だな」

 

「はい?」

 

「いや、こちらの話だ。……しかし、妙な能力を獲得したと聞いている」

 

 ウィスカーはアーサーの言葉にファルコンと組ませて正解だった、と自身の判断が正解だと確信した。

 アーサーもファルコンも似たタイプのお人好しなため、親交を深められるのも納得できる。

 それ以上にウィスカーが気になったのは、アーサーが変身した超人・アンデッドアーサーが必殺技を決めたことでオーグドロップの変身が解除され、ラクリマが排出されたことだった。

 

「オーグドロップを倒したとき、男とラクリマとで分かれた技の事ですか?」

 

「ああ。先生に何かを教わったのか?変身した者を元に戻すだとか」

 

 アーサーの言葉にウィスカーは頷く。

 その後に続いた、ウィスカーの言葉にアーサーは眉尻を下げる。

 思い出してみても、アーサーは魔法をまともに使えるようになった後はひたすらに幼馴染(リリアーヌ)のように属性を掛け合わせ魔法を習得できるように修行を励んでいた記憶しかなかった。

 

「……そういうのは何も。ひたすらに属性の掛け合わせができるようにっていう修行しかやってなかったので」

 

「……なるほどな。なら、先生が伝授したわけではないのか。そうなると、お前が変身したことで得られる能力の一部なのか、お前の素質なのか」

 

 王立警備隊ハウンズはアーサーとデッドビートの“アンデッドアーサー”コンビが入ってくる前からドロップと戦っていたが、倒した後に変身を解除させて人間とラクリマを分離する技を習得できたものは一人もいなかった。

 ファルコン、ホワイトフット、レパードとプロフェッサー・ウィスカーが誇る王立警備隊ハウンズのメンバーの誰も習得することはなかった。

 お人好しのファルコンでさえ、容赦がない一面が見られるというのにどことなく、不殺に拘っているのはファルコン以上のお人好しであることに間違いないだろうとウィスカーはアーサーに対して思った。

 

「我々、ハウンズの仕事は憲兵隊では対処できないような魔法事件を取り締まること。そのために役立てる力だと思うんだが、お前はどう思う?アーサー」

 

 ハウンズの本部に辿り着き、ドアノブに手をかけたウィスカーはアーサーのほうを向いて尋ねた。

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