【完結】特撮ヒーローのライバル系カイジン、異世界に転生す。 作:ふくつのこころ
ホワイトフットは水面に潜り込むようにして、地面へと潜り込んだシャークドロップ。
どこから、次の攻撃が来るのか想像がつかない。
そう、
ホワイトフットは耳を澄ませる。
周囲に特に注意を払い、大きな耳で細かい音をも見逃さない。
通常のうさぎとしての能力は変貌したことにより、さらに高まっている。
それは跳躍力と同様に聴覚も強化されており、地面に潜った
ホワイトフットの大きな耳は風の音、周囲の人々の音、鳥の鳴き声を捉え、さらに砂粒が舞い上がる音を捉えた。
さらに意識を集中すると、地中を進む
(……いるな、確実に。ホワイトフットが探していることを示してやろうか)
「どこだ!?ホワイトフットはお前を探している!すぐに出てきたほうが身のためだぞ」
ホワイトフットは地団駄を踏む。
リズミカルに、それでいて
「ホワイトフットは何やってるんだ?あれじゃあ、自分がどこにいるのか知らせているだけじゃ」
「そのように見えるだろうな。……だが、あえて、そう
「……したら?」
アーサーが訝しげな表情をデッドビートへと向けると、デッドビートはある予想に行きついた。
デッドビートの言葉にまだまだアーサーは疑問が張れないが、デッドビートの気づいたホワイトフットの狙いにハッとすると、ホワイトフットはニヤリと笑って振り返った。
シャークドロップは背ビレで感知しつつ、静かに静かにホワイトフットの背中を目指して地面を
ホワイトフットが狙われていることに気づいた声が上がったとたん、ホワイトフットはシャークドロップを迎撃に向かっていく。
「無駄だ!先にシャークバイトがお前に食らいつくぞ、“血染めの白うさぎ”!!」
「なら、
地面から飛び上がったシャークドロップは口を開き、ホワイトフットに食らいつこうとする。
それにカウンターとなるように、ホワイトフットは真正面から
風を切るような音とともに拳はシャークドロップへと直撃し、大きく吹っ飛ばされる。
吹っ飛ばされるのと同時にシャークドロップは地面へと落下するも、クリティカルヒットしたことで気絶してしまい、シャークドロップは意識を失ってしまった。
「アーサー、スライム。早くそいつを拘束しろ」
「わ、わかった!土のティターン、水のエリアス!泥の力で拘束しろ」
アーサーが魔法を詠唱すると、水の魔力と土の魔力の属性重ね掛けは成功し、シャークドロップの四肢を拘束した。
水と土は相性が良かったようで、泥によって簡易な手錠ができたらしい。
それをホワイトフットが息を吹きかけると、手首と足首の泥はしっかりと固まった。
これで意識を失っているシャークドロップを拘束できたが、問題はどうやって運ぶかだ。
アーサーとデッドビートの変身した姿、アンデッドアーサーでラクリマを輩出していない以上、シャークドロップの肌の表面の
「上手くいったなら何よりだ。……おい、そいつを載せるように担架も泥で作れないか?」
「手錠と足かせが上手くいったから、できるとは思うけど……」
変貌したことで回復力も上がっているのか、ホワイトフットがシャークドロップとの戦いで負った怪我は回復している。
それでも、怪我が回復しても、シャークドロップに触れることはホワイトフットは避けたいようで、凶相を歪ませて不満げな表情を見せながらも、アーサーに魔法の重ね掛けで直接触れないための担架づくりを強請った。
アーサーが魔法を使えることはウィスカーからファルコン、ホワイトフットの方にはすでに共有されており、特に難易度の高い属性重ね掛けもできると思われているのかもしれない。
アーサーはこれまで、属性の重ね掛けで魔法を暴発させることはできても、上手くいったことがなかった。
そういう面を踏まえると、まぐれでもうまくいったのは正直嬉しかった。
王立警備隊ハウンズに入り、まだまだ日も浅いが、アーサーとしても、少しでも仲間たちの役に立ちたかったのだ。
同性の友人になれそうなファルコン、少し口は悪いものの、ホワイトフットも悪い
「なら、頼んだぞ。ホワイトフットはすでに憂鬱なんだから」
ホワイトフットは作り終わるまでこの場から動くようなことはしないと主張するように、ぺたりと座り込んだ。
凶悪な顔をしている、うさぎがぺたりと座り込む様子はギャップがあるが、担架を作るまでその顔を自分に向けるのはプレッシャーがかかるとアーサーは内心苦笑いした。
「ご苦労だったな、アーサー。ホワイトフット。マジックアイテムの効果を打ち消す、憲兵隊でも使ってる専用のマジックアイテムでシャークドロップのラクリマの力を打ち消すのに成功した」
「そんな便利なものがあるんですか?」
あの後、アーサーたちととホワイトフットはハウンズの本部に戻った。
変わらないホワイトフットの超跳躍力による移動でグロッキーになったアーサーとデッドビートがハウンズ本部内のソファでぐったりしている様子にウィスカーは小さく笑った。
ウィスカーはブレイクと呼んでいる、と言ったマジックアイテムを見せてシャークドロップの変貌に使われている魔力を無効化したことを伝えると、アーサーは初耳身だったため、目を丸くした。
「ただし、排出することができないんだけどな」
帰ってきたファルコンはアーサーの座っているソファの席の背もたれに頬杖を突き、溜め息をついた。
「まあ、そういうな。……ラクリマユーザーの名前はレン。赤い雫の下っ端のようだな」
「赤い雫、ってもしかして」
「ああ、俺たちがあの店を張ったときに来た奴らだよ」
シャークドロップにラクリマの力を使って変貌し、暴れていたのは魔法犯罪シンジケート・赤い雫の下っ端構成員だった。
しかも、年若い少年でファルコンとアーサーよりも年下だったことで、ウィスカーの言葉はどこか沈んでいるように感じられた。
「下っ端ってことなら、大したことも知らされていないんじゃないか?」
元・悪のカイジンとしての
「ところがそうでもないらしい。赤い雫には、下っ端も参加する集まりがあるんだと」
「ボス、それが嘘じゃないって証拠はあるのかよ?」
デッドビートとファルコンの言葉にウィスカーは自らの杖を示した。
「これでも、私は魔法使いでね。魔法の才能も何も持たないような子供に自白させることなど、訳はない。詳しいことは薬だろうが、魔法だろうが。使える手を使って吐かせる。私たち、王立警備隊ハウンズは王都リオネルを守ることを使命としている」
壁に貼られた、ハウンズのロゴを示し、ウィスカーは静かに告げる。
「赤い雫に潜入する計画を今から練る会議を行う。この首都の平和を乱す