【完結】特撮ヒーローのライバル系カイジン、異世界に転生す。 作:ふくつのこころ
「イヴ姐、コイツとどんな関係?」
「まぁ、関係って言う関係もないけど、あたしが体術教わってるところにいた出来の悪いのかなぁ」
裏からレイニーマートの店内に二人と一匹をエヴァーレインは招いた。
そこには、すでに「注文済」と書かれた箱がいくつか置いている。
その箱をエレンに示しながら、エヴァーレインはアーサーとの出会いを語った。
「あたし、アンタはてっきり、あの幼馴染ちゃんと一緒にいるものだと思ってたよ。
……もしかして、フラれた?」
「いや、なんでそうなるんだ」
エヴァーレインは底意地の悪い言葉と声色でアーサーに言葉を投げかけた後、思ってもいないのにご愁傷様ですと手を合わせた。
相変わらずの性格の悪さにため息をつきつつ、エレンが箱を持つのを見た後にアーサーも続いた。
「……で、アンタはなんで
エヴァーレインは小声で
「……先生のツテでちょっと」
「……なるほどねえ」
アーサーの言葉にエヴァーレインは何かを察したようだった。
「まぁ、頑張んなさい。フラれたけど」
「余計なお世話だ」
アーサーの肩を叩きながら、エヴァーレインは同情したような様子を見せる。
人となりをよく知らなければ、取り繕うことが上手い彼女は接客業に向いているのだろう。
「ほら、行くよ!」
エレンに一喝され、アーサーとデッドビートはアジトへと戻っていく。
エヴァーレインは二人と一匹の姿が見えなくなるまで、ニヤニヤ笑いながら手を振っていた。
次に出会った時は散々ネタにするつもりでいるだろう、そんな気がしてならなかった。
アジトに戻り、食糧庫に案内されたアーサーはエレンに指示された通りに食料を納めていく。
ナマモノは冷蔵室に入れるようにと言われたが、そのような機能はドクター・パラドックスによる発案と製作だという。
「慈悲ってわけでもなさそうだけどね」
「使うのか?」
「まぁ、使えるものならね?」
アーサーが食糧庫の奥にある、冷蔵室に入ると、食料にとって快適な温度になっているとエレンに聞いた。
そんな部屋を癇癪を起こした印象しかない、
自分の研究に関わるものならまだしも、誰かのために何かをしようという気概を感じられるような人種には見えなかったからだ。
『気まぐれにためになることだってするんだ、ドクターは』
アーサーの疑問を汲み取るように、デッドビートはフォローを入れた。
さらっと言っていたものの、やはり産みの親である以上、そうしたくなってしまうものだろうとアーサーは思った。
アーサーは両親とは険悪ではないが、喧嘩をした時だって悪く言われれば、フォローだって入れる。
デッドビートにとっても、そうした存在なのかもしれない。
その日の食事当番はエレンが指導しつつ、アーサーや他のメンバーが行った。
ハウンズでウィスカーが料理したものやエーデルワイスが修行時代に作ってくれたものと違うような感覚がしたのは、自分たちで作ったからだろうとアーサーは考える。
少し大雑把な味付けなのだって、子供たちが作ったのであれば、仕方がない。
アーサーと同年代くらいの少年少女から廊下を駆けていた幼い少年たちが所属する、赤い雫はドクター以外に本当に大人はいなかった。
それから、数日、数ヶ月が経った。
赤い雫としての活動は他の魔法犯罪シンジケート組織という名目のグループと抗争することがあった。
「まぁ、相性があるからね。なんでも」
アーサーの教育係のような立ち位置におさまったエレンはシャークラクリマを眺め、苦笑いした。
レンはシャークラクリマと相性が良いが、エレンはそれ以上にシャークラクリマと相性が良かった。
エレンはシャークラクリマの力を引き出し、他のドロップ達に対し、我流の尻尾と鮫肌を使った体術で立ち回ることができる。
鮫の歯の生え替わりを応用した技で歯を入れ歯のように抜いた後、両手に持って武器がわりにする技を見せたこともある。
「しっかし、ドクターがこうもルティにラクリマくれないとはなあ。嫌われちゃった?」
「いらないから良いよ」
「な訳にも行かねえだろ……」
きっぱりとラクリマを
スライムがいるだけで魔法使いと渡り合えるようにはエレンには見えなかった。
アジト内にある食堂でエレンが振る舞ってくれたフルーツジュースを飲みつつ、エレンはアーサーの頭に軽く手刀を落とす。
デッドビートはアーサーの母親以外でまともな女性はエレンだけだろうな、と驚愕した。
不良少女ではあるが、面倒見が良く、果肉がわずかに残って食感が楽しめるフルーツジュースを作れるのはすごいとアーサーが感じているのをデッドビートは読み取った。
「エレン姉、ドクターが呼んでるよ!」
「わかった、バリー!今いく!……じゃ、皿洗い頼んだからな!ルティ!」
年少組の一人、利発そうなバリーに呼ばれたエレンはアーサーらに手を振って、バリーについて行った。
エレンはそれ以降、しばらく戻ってくることがなく、代わりにこんな噂が流れ始めた。
「女みたいなサカナのバケモノに襲われた!」