【完結】特撮ヒーローのライバル系カイジン、異世界に転生す。 作:ふくつのこころ
「麗しいね、エレン君。
私は君ほど麗しいものを知らない」
パラドックスの研究室でエレンはシャークドロップに変貌し、パラドックスの触診を受けていた。
ドロップに変化し、戦ってきた相手の中には不調をきたして命を落とすものがほとんどだった。
「私たちが優位に立つには、私たちが力あるものになればいい」
そう言って、パラドックスはラクリマユーザーに効果のある薬品を手に笑った。
それは、ドロップになることで引き起こされる副作用を緩和するものであり、パラドックスがばら撒くように
才能なき者たちは一度味わえば、二度とやめられない蜜を吸わせる。
パラドックスの
「君たちを才能がないとみなした、馬鹿共は使いもしないくせにラクリマを下に見ている」
サメと人の間、それらの良いところをとったような美しいシャークドロップ・エレン。
エレンの弟、レンはその力を十全に引き出せなかった。
赤い雫のリーダーをさせている、カインには魔法使いの素養どころか、ラクリマユーザーとしての才能もない。
甘い言葉をかけながら、エレンに触れるのはパラドックスにとっては、飼い犬を愛でるのに等しかった。
エレンはシャークドロップに変化し、パラドックスに触れられる心地良さに包まれ、意識が遠のいていくのを感じる。
やがて、エレンはパラドックスに身を委ねるようになった。
「姉ちゃん!ねえちゃん、しっかりしてくれ!ドクター、頼む!やめさせてくれ!」
パラドックスがシャークドロップの顎をなでると、拘束されているレンが変わり果てた
パラドックスは表情を一つも浮かべないまま、レンを見つめる。
エレンが変じたシャークドロップ、その獲物にレンを与えることでエレンの退路を潰す。
そうすることにより、エレンの
「やめろ……、やめてくれ!!姉ちゃん!!」
瞳から光が消えたシャークドロップは、レンに喰らいつく。
研究室にレンの断末魔が響くと、肉片が散る。
その肉片を喰らい尽くす様をパラドックスはニヤニヤ笑いながら眺め、その様子をメモに書き留めた後、バックルをシャークドロップの腰に装着する。
「さて、これから君は私の新しい
これまで、弟や幼いメンバーを見守ることは大変だったろうね?それももう終わりだ』
バックルを装着させられたことにより、バックルからシャークドロップの体内へラクリマの効果を高める成分が溢れ出す。
それは、幸福感を高めるもので「身近で頼りになる大人の異性」であるパラドックスに必要とされることにエレンは喜びを覚えていた。
エレンはパラドックスに密かな想いを抱いていることをパラドックスは知らなかったが、研究室にある機器がシャークドロップから数字を計測し始めると、効果があると満足げに笑みを浮かべる。
「良い子だ。君には私の手足となることに喜びを感じてもらいたい。そうだな、新しい君の名前はアンデッドキラー、と付けてあげようか」
『パラドックスバックル!!』
シャークドロップの腰につけたバックルが起動する。
起動音を確認すると、パラドックスがシャークドロップのバックルについているラクリマを装着する台座にラクリマほどのサイズの
シャークドロップが血の繋がった弟を食い殺した際に付着した血で染まり、奇しくも二人が所属する
『
アンデッドアーサーを思わせる、ロゴが入ったラクリマが装填されると、シャークドロップの身体を電撃が走る。
デッドビートからパラドックスが削った肉片で作ったラクリマが発生させる力により、細胞の変異を無理矢理行うことで激痛が走る。
「ぎぃぃぃ!?いたい、いたいよ、ドクター!!!」
催眠状態にあるシャークドロップがエレンの意識を見せ、苦悶の声を上げる。
そばにいる想い人に助けを求めようと手を伸ばすが、身体は紫電に包み込まれており、手を伸ばすだけで電撃が放たれる。
放たれた電撃はパラドックスの研究設備を破壊し、パラドックスは感情が読めない顔のまま、研究レポートを作成する。
「シャークラクリマを使用している、少女の被験者にパラドックスバックルによる変異を引き起こす。
失敗作の
パラドックスは手元にある、この世界で開発したモバイルパソコンの代用にしているラクリマに入力する。
パラドックスの入力した文字を解読できるのは、同じ世界からやってきたデッドビートのみ。
そして、この研究室に入ってくることは
変化が完全に完了したことにより、デッドビートを彷彿とさせる、忍装束に変化する。
ファイアパターンの模様になっている、マフラーは当然のことながらない。
パラドックスバックルと凶相、禍々しい姿の中に女性的なボディラインの美しさを持っている。
特に特徴的なのは、両足を合わせたような太さの尻尾だ。
怜悧な印象を与える、その美しきシャークドロップ改め、鮫の魔人のようなアンデッドキラーに変わったことでパラドックスは扉を放つ。
「更なる、
ハッピーバースデー、アンデッドキラー」
“ほしのえいゆう再現プロジェクト”と書いた計画書を一瞥し、パラドックスが優しく言葉をかけると、アンデッドキラーは街へ放たれる。
エレンは夢を見ているような甘い気分だった。
パラドックスに愛を受け入れられ、幸せな家庭を築く。
弟のレンや赤い雫に所属している幼少組は幸せに生きている。
最近入ってきた新人のルティも、問題なく生きられる。
全ては最強のサメの魔人、アンデッドキラーとなった自分の力によるもの。
最愛のドクター・パラドックスに授けられた力があれば、大切なものを守るのは容易い。
敵は喰らいつけばいいし、尻尾を巻きつけて叩きつけ、無効化すれば良い。
誰よりも強い、アンデッドキラー。
最愛のパラドックスがくれた、新しい力で勝つ無敵のアンデッドキラー。
魔法使いたちをその牙で肌を裂き、血を啜り、肉を喰らうアンデッドキラー。
ふと、夜の水溜りに映る赤い血化粧をした姿を見る。
周囲にできた、肉片の残骸。
パラドックスバックルから流れ込む、アンデッドアーサーを殺せという信号を受け取る。
“無敵のアンデッドキラー”として、水面に飛び込むように地面に潜り、アンデッドアーサーを狩るために目を光らせる。
「アタシは……、みんなのために……、アンデッドアーサーをころす」