【完結】特撮ヒーローのライバル系カイジン、異世界に転生す。   作:ふくつのこころ

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36:信頼

 アンデッドキラーが繰り出した蹴りはアンデッドアーサーにヒットする。

 同じような姿に変化した、エレンが繰り出した蹴りは王都に来てからアーサーがデッドビートと戦ってきた相手。

 その相手の中では白銀の戦神(ゼノ・アルビオン)に並ぶ実力の持ち主だろう、と推測する。

 アンデッドキラーが左手の人差し指と中指を水平に立てる。

 その動作をした後、アンデッドキラーは右足で地面を踏み締め、地盤を割る。

 割った衝撃で跳ね上がった、その大小様々なサイズに割れた、それらを力いっぱい左回し蹴りで飛ばす。

 

『カイジン忍法まで使えるだと!?』

 

「キヒッ、キヒヒヒ!アタシのドクターがアタシのためにくれたチカラ!アタシがドクターを守ってあげるんだ!

ドクターを殺すようなアンデッドアーサーはアタシが殺してやらなくちゃなあ……?」

 

 デッドビートの驚きにアンデッドキラーはその場で飛び跳ねる。

 跳躍中に膝を曲げてもなお、対空時間は長い。

 踏み割って砕いた地盤をアンデッドアーサーが回避している隙を見つけ、ワンツーとリズミカルな蹴りを身体に叩きつける。

 エレンがアンデッドキラーに変化していることへのショック。

 それは、アンデッドアーサーのボディとなっているアーサーの反応にためらいという形で現れる。

 操縦(・・)をデッドビートが変わろうとするも、アーサーと魂が深く繋がってしまったことで交代も容易ではない。

 

『代われ、小僧!このままだと死ぬぞ!!』

 

『代わったら、デッドビートはエレンを仕留めるだろ!?』

 防戦一方でデッドカリバーさえも形成しようとしない、アンデッドアーサー。

 防戦と言えば聞こえはいいが、アンデッドキラーにされるがままだ。

 スペックは同程度とは言え、魔法を使える分、アンデッドアーサーの方が上だ。

 カイジンとして、積み重ねてきた経験はアンデッドキラー以上だろう。

 そんな様子にデッドビートはアーサーに交代を促すも、アーサーは聞く素振りを見せない。

 

『このままだと死ぬぞ、グレイトマン!』

 

『止めるな、デッドビート!手を出すと、みんなが!!』

 

 クガユウゴ(グレイトマン)もそうだった、とデッドビートは振り返る。

 身近なニンゲンをドクター・パラドックスに人質に取られ、グレイトマンになった姿でされるがままだったのをよく覚えている。

 

 ドクター・パラドックスはお人好しな性格の扱い方(・・)をよく心得ている。

 どうすれば、ヒーローの心理的な弱点をつけるかと工夫を凝らすことをデッドビートもよく知っている。

 

『小僧が編み出した、ラクリマと人間を切り離す技があるだろう!オレにアレを使わせろ!

オレがあのキラーを先達(・・)として、どうにかする!……全く、あの男(パラドックス)に何かされた人間が敵に回るとは思わなかったのか』

 

 デッドビートは自らが口にした言葉に驚いた。

 これでは自分がグレイトマンではないか(・・・・・・・・・・・)、と。

 かのライバルは言葉による対話を求め、デッドビートとも真っ正面から向き合った。

 時には戦うこともあったが、クガユウゴはいつだってデッドビートに共闘を促した。

 

 デッドビートは自嘲する。

 カイジンの言葉は説得力がないという、自らへの皮肉を込めて。

 あのヒーローのように自分がアーサーを鼓舞しているとは、なんたる様だと。

 

『わかった。信じてみるよ、デッドビートのことを。……あと、聞いてもいい?デッドビートって名前は誰がつけてくれたの?』

 

 アーサーはそんなデッドビートの言葉を聞き、すんなりとアーサーは受け入れた。

 ふと浮かんだ疑問をアーサーがデッドビートに尋ねると、彼は困ったように答えた。

 

『オレの好敵手(とも)、オレの世界のヒーローがそう呼んだのさ』

 

 しかし、デッドビートはどこか誇らしげだった。

 

『死してなお脈打つ……なら、デッドビートにしよう!』

 

 馬鹿なのか、聡いのか。

 クガユウゴはこれがピッタリだと笑いながら、カイジンに名を授けた。

 死してなお脈打つ鼓動(殺し切るまで死ねない)などという、性能を表すだけの文字の羅列めいたものに意義を与えたのだ。

 

『それなら、信じたい。デッドビートのことを』

 

 アーサーはデッドビートの言葉に頷き、身体の主導権(そうじゅう)を明け渡す。

 アーサーが委ねたことで、アンデッドアーサーの動きのキレは良くなる。

 アンデッドキラーの蹴りに対しては、アンデッドアーサーの蹴りで返し、威力を相殺する。

 アンデッドアーサーとアンデッドキラーが戦うたび、赤い雫のアジトが崩れていく。

 

 アンデッドアーサーの心の中、アーサーが心を痛めていることにデッドビートは気づいた。

 操縦(・・)を代わってもなお、心を痛めるくらいにはアーサーが優しいことをデッドビートは知っている。

 

「来い、キラーセイバー!!」

 

『キラーセイバー!!』

 

 アンデッドキラーがバックルを二度触ると、刀剣の武器が生成される。

しかも、ご丁寧にバックルが音声で宣言する。   

 アーサーはバックルが喋り出したことに驚きを隠せない。

 生成されたキラーセイバーは髑髏の意匠を持つデッドカリバーに対し、十字の上に交差(クロス)した線が引かれているエンブレムつきである。

 デッドカリバーと刃が触れ合うとき、金属音が響く。

 

 刀剣による鍔迫り合いだけでなく、空いた手足による殴り合いも行う。

 戦闘経験から戦い慣れているデッドビートがアンデッドアーサーの戦いを担当することにより、シャークドロップからパワーアップしたアンデッドキラーとなったことで、技の精度が上がる。

 剣術やカイジン忍法を使うのはもちろん、デッドビートはアンデッドアーサーとなっても、徒手空拳自体は不得意ではないのだ。

 

「ここだ!カイジン忍法、デッドヒートエンド!」

 

 わずかなアンデッドキラーの隙。

 それを狙い、ラクリマと人間を分離する力をデッドカリバーに纏わせ、アンデッドアーサーは燃え上がる必殺剣をアンデッドキラーに叩き込んだ。

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