みんなの傷になりたいおバカ   作:曇らせ大好きな浪人生

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重いです


始まり

その日、人類は思い出した。ヤツらに支配されていた恐怖を……籠の中に囚われていた屈辱を……

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

あれから1年が経って845年になった。もう誰も死なせないために俺は猛特訓した。そんな俺に感化されたのかエレンも原作では考えられないほど特訓をし、腕相撲でミカサ相手に両手対片手ならば勝てるまでになったのだ。ちなみに俺はミカサと腕相撲で互角に戦えるほど丈夫な体を持っていたらしい。神様様様だね^^

 

 

 

朝から尋ねてきたエレンたちといつものように薪を集めにあの丘へ向かう。雲ひとつない天気が眠気を誘ったのか、エレンは薪拾いをサボって木の根のところで寝始めやがった。後でかならずしばくからな…

その間に俺たちは薪を集め終わり、日課となっていた組手を始める………

 

 

 

 

 

組手をやろうと言い出したのは俺だった。山小屋であのおっさんたち相手に殺されかけたことで、現状の腕に危機感を覚えた俺は、アッカーマンの血を引くミカサと戦うことで強くなれると思ったのである。

「…いいよ。セイ、組手やろう。勝った方は相手に1個命令できるってのはどう?」

「よっしゃ!早速やろうミカサ!」

「…そんなヤろうなんて………///」

「セイもミカサも待ってくれよ!俺も組手やる!」

格闘とは無縁のところで育ってきた俺は、始めたばかりの頃は当然ミカサに手も足も出ず、(エレンには身体能力のおかげで互角スタートだった)毎日のようにミカサから、

「膝枕して。」

「頭を撫でて。」

「家までおんぶして。」

など男冥利に尽きるお願いばかりでむしろ積極的に負けようとしていたまである。ミカサの幸せそうな顔を見る度に俺は胸が高鳴った。最近ではミカサに食らいつけるようになり、エレンに負けることはなくなった。エレンは誰にも勝てないのですぐへそを曲げていたが、俺やミカサに負けて全員分の薪を背負わされて帰るのが辛かったのか、根性で食らいついてきた。やはりエレンは負けず嫌いである。

 

 

 

 

 

日が傾き始めたので、組手を切り上げそろそろ帰ろうとエレンを起こしに根元まで向かう……

「…エレン、エレン!!起きて」

「ん……?」

「もう帰らないと日が暮れる。」

「………?あれ?ミカサ…お前…髪が伸びてないか…?」

「………そんなに寝ぼけるまで熟睡してたの?私たちが薪を集めている間に。」

「いやっ…なんかすっげー長い夢を見てた気がするんだけど……」

「なんだったか思い出せねぇな…」

「………!!エレン、どうして泣いてるの?」

「……なわけねぇだろ!これは、、、そう、あくびでたまたま涙が出ちゃっただけだ!」

「エレン…お前情けないぞ!薪拾いサボった上に泣いて更には誤魔化すなんて、」

「なっ!泣いてねぇし!」

「…いいからエレン。セイも早く帰ろう?」

俺にはこの状況には見覚えがあった。まさに今日は、超大型巨人が現れてシガンシナ区を壊滅させたその日だった。

「(今日壁が破られる。大勢が死ぬ…立体機動もなく幼い俺がみんなを救う…そんなこと出来ないのはわかってる。でもカルラさんはまだ間に合う。あの人を家から遠ざければ未来は変わるかもしれない。)」

「…エレン、ミカサ。先に帰っててくれ。俺は少し用事があることを思い出したから先にそれを済ませてくる。また後で会おう!」

「…(おかしい。いつもセイはまた会おうなんて言わないはず…)」

ミカサは漠然とした不安を抱えつつも素直にセイに従った……

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

「ズズズ……」

「………」

「………」

「………言うなよ誰にも…俺が泣いてたとか…」

「…言わない。でも…理由もなく涙が出るなんて変。1度おじさんに見てもらうべき。」

「バカ言え!親父に言えるかこんなこと!」

門の近くの通りを歩いていると酔っ払ったハンネスが声をかけてくる。

「おーい、何泣いてんだエレン?」

「っハンネスさん!?」

「ミカサに叱られたのか?」

「は!?なんでオレが泣くんだよ!ーってさけくさ!!」

後ろを見ると駐屯兵団の制服を着たおっさん達が日中にも関わらず酒を飲んでいた。

「そんなに酒飲んで、いざって時に戦えるのかよ!」

「……いざって時ってなんだ?」

「…ギリッ、決まってんだろ!ヤツらが壁を壊して街に入ってきた時だよ!!」

「おいエレン!大声を出すな!頭に響くだろ!?そりゃーヤツらが壁を壊して中に入ってきたら俺達もしっかり仕事するさ。。でもな、そもそもこの100年間でそんなこと一度もないんだぜ?」

「で…でも、そうやって安心してる時がいちばん危ない、って父さんが言ってたんだ!」

「グリシャさんには頭が上がらねぇからなぁ…でもよエレン、俺は外の巨人を見る機会があるが、ヤツらにこの高い壁をどうこうすることなんて、できねぇと思うんだ。。」

「じゃあ、そもそもアイツらと戦う覚悟なんかねぇんだな!?」

「おぅねえな!」

「そんなんなら駐屯兵団なんて名乗るのやめて、壁工事団にしろよ!」

「それも悪くねぇ!でもな、俺らがタダ飯食らいって馬鹿にされてる時がいちばん平和なんだぞ?」

「全くだぜハンネス!壁の外に出ようって言う調査兵団の気が知れねぇよ!!」

「……それじゃまるで俺たちは家畜じゃないか……」

 

 

 

 

 

「…エレン。調査兵団はやめた方がいい。」

「!!ミカサ、お前まで調査兵団をバカにすんのか!?」

「バカにするとかそういう問題じゃ、、、」

「カンカンカンカン!!!!!」

「ミカサっ!調査兵団が帰ってきたんだ!英雄の凱旋だ、いくぞ!」

 

 

 

…………

 

 

 

 

帰ってきた調査兵団の空気は最悪のものであった。帰ってきたのは100人以上いた兵士のうちの20人もいない、しかも重傷者もたくさんだ。。

「ブラウン!!ブラウン!!息子のブラウンが見当たらないんですけど、息子はどこにいるのでしょうか!?」

「……もってこい」

………

「これだけしか取り返せませんでした……!」

「うあああぁぁ!うぁあああぁあぁ!…うぅ…息子は、息子は人類の役に立ったのですよね……息子の死は!人類の反撃の糧になったんですよね!!?」

「……もちろんっ…!…………………いや、我々は、、今回の調査でなんの成果も得ることが出来ませんでした!!!」

「…私が無能なばかりに、、ただいたずらに兵士を死なせるだけで、、ヤツらの正体を突き止めることは出来ませんでした!!!」

 

「ひでぇもんだ、俺らの税金で奴らにエサをやって太らせてるようなもんだなぁ」

エレンは我慢できなくなってその肥え太ったおっさんを蹴ってしまった。

「イテッ、このガキ!!」

「…エレンっ!」

そう言うとミカサはエレンを引き摺って逃げ出す。

 

 

 

………

 

 

 

 

その頃セイはエレンの家に向かっていた。

「(このままだとカルラさんは家の倒壊に巻き込まれてカルライーターに食われてしまう…。そうなる前に何とか家から連れ出さなければ!)」

 

「ごめんください。」

「、、いらっしゃい!あらっ、セイくんじゃないの?エレンとミカサはどうしたの?」

「エレンがミカサを引き摺って調査兵団の凱旋を見に行きました。」

「エレンがねぇ……調査兵団に入りたいなんて言い出したら絶対に止めないとね。」

「セイくんはついて行かなかったのかしら?」

「俺は、、なんか胸騒ぎがして、何か危険なことが起こる、そんな気がしたんです。」

「だから、カルラさん!内地の方向の市場まで買い物に行きませんか?」

「今足りないものは無いから、大丈夫よ?行くにしても、エレンたちを待ってみんなで行きましょう?」

「それじゃ、だめなん」

「おー、セイくんじゃないか。いらっしゃい。ゆっくりしてくといい。これから私は2つ上の町にまで診療に行かなければならないけどね。」

 

…「ただいま」

「「おかえりなさい」」

エレンたちがちょうどいいタイミングで帰ってきた。

「セイ、どうしてお前がここにいるんだ?うちに戻ったんじゃなかったのか?」

「セイくんは、悪い予感がするって言ってわざわざうちに来て買い物に行こうって言ってくれたのよ。」

「なんでだ?そんな予感があるなら俺にも言ってくれりゃいいのに…」

「…エレンが…調査兵団に入りたいって。」

「ミ…ミカサっ!!言うなって!」

「エレン!!何を考えているの!?どれだけの調査兵団の人たちが死んでいったかわかってるの!?」

「わ…わかってるよ!!」

「……エレン。どうして外に出たいんだ?」

グリシャは尋ねる

「外の世界がどうなってるのか知らずに一生壁の中で過ごすのは嫌だ!それに…誰も続かなかったら今まで死んでいった人達の命が無駄になる!」

「……そうか、そろそろ船の時間だ私は行ってくるよ。」

「ちょっと…あなた!エレンを説得して!」

「カルラ…人の探究心というものは誰かに言われて抑えられるものでは無いよ。」

「……エレン。帰ったらずっと秘密にしていた地下室を見せてやろう。」

 

 

 

「…エレン、駄目だからね、調査兵団なんてバカなまね―」

「は!?バカだって……?オレには家畜でも平気でいられる人間の方がよっぽどマヌケにみえるね!」

そう言うとエレンは走ってどこかへ行ってしまった。

「…………!!ミカサ、セイ、あの子は危なっかしいから困った時は3人で助け合うのよ。」

「……私エレンを追いかけてくる!」

 

 

「(俺はどうすべきなんだ?カルラさんを外に連れ出すことには失敗した…エレンのことはミカサに任せるとして、何とかカルラさんを救う手だてを見つけなければ……)」

 

ドォ!!!!!!!!

そんな音ともに地面が揺れる。

「(ついに来たか超大型巨人!)」

 

ドゴォォォォン!!!!!!!でかい石が飛んでくる!

「カルラさん危ない!!」

そう言って俺はカルラさんを家から遠ざけるように突き飛ばす。

「……いったい何が…って、セイくん!?足に柱が!!!」

俺はカルラさんを救えたらしい。代わりに、破壊されて折れた家の柱が俺の足に突き刺さっていた………

「痛いかもしれないけど我慢してね!!せーのっ、、、」

何とか足に刺さった柱を抜いたが、大きな穴が空いていて、大量に血が流れ出す……

「(これはまずいな、この足じゃまともに動けない…!)」

「セイくん!私の肩に捕まって!なるべく壁から離れるのよ!」

 

 

………

 

 

 

しばらく歩くがやはり俺のせいで足取りは遅い。そして俺は後ろをふりかえってしまった。カルライーターは遠くにいるもののもう既に俺たちを見据えてしまっていた。

エレンたちが反対側から走ってくる!

「母さん!大丈夫か!?ってセイ!お前その足の怪我はどうしたんだ!」

「これか……ちょっとな、カルラさんを助けようとしてしくじっちまったみたいだ。」

ミカサの顔がみるみるうちに青ざめていく。

「セイっ!ッ、血を失いすぎてる!このままじゃ、、、いや……そんなのいやだ!!!!」

「おい!あっちのでっかい巨人が近づいてきてるぞ!!母さんもセイも早く逃げよう!!」

「……俺はこの足だ。きっと逃げるのに足でまといになる。俺はあいつを引き連れてできるだけ離れるからここで俺を置いてみんなで―」

「そんなこと絶対にダメ!!!」

そういうや否やミカサは俺を抱えて走り出す。しかし、人を担ぐことは、たとえどんなに力があったとしても計り知れない負担となる。みるみるうちに差は縮まっていきもう50mもなくなってしまっていた。

「ミカサ!俺を置いて「イヤッ!!」行け!!このままだとみんなあいつに食われちまう!」

カルラさんが覚悟を決めたような目をする。

「ッ、私があの巨人を引きつけるわ!私は怪我もしてないしきっと逃げ切れる!そうしたらみんなで生き残れるわ!」

「ダメだ、かあさん!!そんなの危なすぎる!!」

その時である。ハンネスが立体機動を身につけてやってきたのは。今にもその巨人に向かって行こうとした時、

「ハンネスさん!待って!戦ってはダメ!」

「……!?」

「セイが怪我をしているの!歩けないほど傷は深いわ!セイを運べるのはハンネスさん、あなたしか居ないのよ!」

「見くびってもらっちゃ困るぜカルラ!!俺はこの巨人をぶっ殺してきっちり全員助ける!そうして初めて俺の恩返しは―」

「ハンネスさん!お願い!!」

「…………!!」

「(ここで今俺が巨人を殺せたら全員が助かる。でも俺がやられたら?セイを見殺しになんてできるはずもねぇ、、疲れて捕まってみんな食われちまう。)」

「(でも俺はここで恩返しをッ―)」

ハンネスは見てしまった。巨人の恐ろしいニヤケ面を。目の前の餌を見てニタニタ笑ってるように見えた。

手が震え出した。無理だった。

「ッ!カルラ!絶対死ぬんじゃねえぞ!!絶対に生き延びろよ!」

「お…おいっ!?ハンネスさん!?母さんが、母さんを囮にするのか!!?」

「エレン!ミカサ!セイ!絶対に生き延びるのよ…!!」

「母さん!母さん!!!!!」

ハンネスは俺ミカサエレン3人を抱えて走って逃げる。カルラは逃げようとして裏路地に入るが道が悪く倒れていた柱に引っかかってしまう。もう巨人は手を伸ばしていた。

「あっ……行かないでッ」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

巨人は無慈悲だった。ミカサは寸前で目を逸らしたが、エレンはカルラが生きたまま食われるところを見てしまった…………………

 

 

 

 

 

エレンはハンネスを殴る。

「なんで母さんを見殺しにしたんだ!!!ふざけんじゃねぇよ!!!!」

「お前の母さんを、助けられなかったのは、お前に力がなかったからだ………」

「ギリッ」パシッ

「俺が、巨人に立ち向かわなかったのは、俺に勇気がなかったからだ……」

「すまない………すまない…………!!!」

「エレン!!全ては俺のせいだ…俺が怪我なんかしたからカルラさんは、、、、お前の気が晴れるなら俺をいくらでも殴ってくれ……………」

「…………」

あぁまたこれか……………

 

 

 

 

 

 

「(もうあの家には二度と帰れない。どうして、ロクでもない口喧嘩しか出来なかったんだ……!もう母さんは居ない…どこにも…居ない!どうしてこんな目にあう………人間が弱いから?弱いやつは泣きわめくしかないのか!?)」

「駆逐してやる!!」

「………!」

「この世から、一匹残らず、駆逐してやる!!!」

 

 

 

 

 

 

 

エレンとミカサ、アルミンは開拓地に飛ばされることになった。唯一の救いは3人とも同じ場所であったことである。俺は大怪我をしているのもありハンネスに引き取られ、正式な養子となった。ミカサは最後まで「私からこれ以上奪わないで!!」とセイと離れることに抵抗していたが、無駄だった。

もう、セイの感情はぐっちゃぐちゃになっていた。自分のせいで、目の前で、お世話になったカルラさんが食われた。ミカサが、俺に対する感情を発露した。俺はもう何に喜んで、何に悲しんでいいのかが分からなくなっていた……。

俺は決心する。

訓練兵となる2年後までにミカサよりも、誰よりも強くなって、みんなを守り抜くことを、この場で誓うのであった。

 

 

 

 




次からは訓練兵時代の話に移ります
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