みんなの傷になりたいおバカ   作:曇らせ大好きな浪人生

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評価くださったかたありがとうございます!辛辣な意見でも参考にしますのでぜひぜひ!


もしかして、、上手くいってる??

迎えた翌日、俺たちは立体機動の適性を測るテストを行った。ここでいい成績を出す者はやはり原作の顔ぶれ…中でもミカサは言うまでもなく飛び抜けて上手かった。俺はって?ミカサほどじゃないがもちろん出来たぞ?装置の故障のせいで原作でも上手くいかなかったエレンは、ここでも上手くいかず、悔しそうな顔をしていた…。装置が故障していることをエレンに伝えてもいいが、こいつは伝えなくても何とかして乗り切るだろう。

 

 

その日の訓練は終わって、みなが宿舎に戻っても俺たち幼なじみ組はエレンの面倒を見ていた。

「…上手くやろうとか考えなくていい。前後のバランスに気をつけて、腰巻と足裏のベルトにゆっくり体重を乗せる…。」

「落ち着いてやればできるよ。僕にだって出来たんだから。」

「エレン、変に力まないことだ。自然でいれば勝手に上体は起き上がってるからな。」

「よしっ…。今度こそ、できる気がする…。上げてくれアルミン!」

俺はここでもエレンがひっくり返って頭を怪我することを知っていたので、いつでも地面と頭の間に足を出せるように密かに準備しておく。足が浮き始めると同時にエレンはすぐバランスを崩して前に倒れる。そっと足を差し出してエレンの頭を受け止めてやると、

「……助かったよ。ありがとな…。」

そう言ってエレンはため息をついて装備を外していくのだった……。

 

 

 

…………

 

 

 

 

飯の時間がやってきた。エレンは心ここに在らずといった感じでぼーっとしていた…それを見かねたミカサは向かいからエレンの脛を蹴って意識を戻す。

「エレン。」

「痛っ!」

「気にしても仕方ないよ。明日できるようになればいいんだから。」

「俺はどうもあの倒れ方はエレンのせいな気がしねぇんだよな。まるで金具の部品がなくなって、力が入らねぇんじゃねぇのかってくらいな…。」

やはり俺は落ち込むエレンが不憫に思えて少し助言をしてやることにした。

「やれることはなんだってやってみようぜ。点検しなくていい部分も1から全部見てみるんだ。なんか壊れてるかもしれねぇぜ?」

「そうか…やってみる…。それにしても、、情けねぇ………こんなんじゃ奴らを根絶やしにすることなんか…」

「…もうそんなこと目指すべきじゃない…。」

「なんだって?」

「兵士を目指すべきじゃないと言っている…何も、命をなげうつことだけが戦うことじゃない。」

「ッ!お前な!俺はあの日、あの光景を見ちまったんだぞ!!そんな理屈で納得できると思うのか!?」

「でも……その覚悟の程は関係ない。…兵士になれるかどうか判断するのはエレンじゃないから。」

昨日のように鐘が鳴りだして、皆が戻り出す。エレンもその中に混ざろうと席を立つが、ミカサは下を向いていて気づかない。

「私は何も、エレンだけ開拓地に戻れと言ってるんじゃない。心配しなくていい。その時は私も、セイとアルミンも一緒に行くから。」

そう言って前を見上げるとそこに居たのはミカサのパンを物欲しそうに見つめているサシャであった。

「えっと、つまり…、それ貰ってもいいってことですか?」

ミカサは顔に出さないがイライラしてるだろうことが見て取れる。かすかだが手を握りしめて握りこぶしを作っている。俺はなだめなきゃなーと思いながらミカサとサシャを見つめる。

ミカサはパンを手に取り、半分に割って、サシャに差し出すかのように手を差し出すが、サシャが食いつく寸前に手を引っこめてパンをかじり出す。俺は真顔でそれをするミカサと固まったサシャを見て腹を抱えて笑ってしまった。

「…むっ。セイどうして笑うの。」

「いやー、すまん。ミカサがそんなことをするなんて珍しいと思ってな、ついつい笑っちまった。」

「…いい。久しぶりにセイが笑っているところを見れたから。それよりいつ髪を切ってくれるの?」

「この後切ってやるよ。外の切り株のところに集合な、もちろん風呂入って髪真っ直ぐにしてから来いよー!」

「…わかった。すぐ終わらせて最速で向かおう。」

「えぇぇぇぇぇ!あの、2人って、もうそういう関係なんですか!?」

「いや、違う―」「そう。私とセイは特別な関係。切っても切り離せない。」

俺が否定しようとすると間髪を容れずミカサが肯定する。まるで外堀を埋めて逃げられなくしようとしてるかのようだ。

「あわわわわっ!後で詳しく聞かせてもらいますからねー!」

サシャは慌てて戻って行った……

食堂には俺とミカサの2人だけとなりしばらく無言が続いたが、

「そろそろ戻らねぇと怒られるぞミカサ。」

「………わかった戻ろう。」

残念そうな顔をしていたミカサを置いて俺は先に食堂を出るが、すぐに追いついてきたミカサが俺の腕を持ちそのまま戻っていく…

それをこっそり見ていたものが1人…そう、アルミンだ。アルミンは開拓地にいた2年間でミカサがセイを想う気持ちがとんでもなく重いことに気づいており、2人のことを気にかけていたのである。

「あの2人…これからどうなるんだろう。好き合っているように見えるけど、ミカサとセイのすきのベクトルは違うように感じる…僕がサポートしないと、僕達がミカサのとばっちりに遭いそうだ。」………

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

風呂から上がって俺は約束した場所に向かう。するとそこには濡れた髪を肩まで垂らして、目をつぶっているミカサが既に待っていた。月明かりがさしこんで輝くミカサの黒髪は、まるでかぐや姫のようであった。

「おーいミカサ!遅れちまったすまねぇ…。」

「…待ってない。私も今来たところ。」

「って、まだ髪びしょびしょじゃねぇか。タオル持ってきたから拭いてからな。」

「…うん…。」

俺が背中からミカサの髪を乾かしていると、ミカサは俺に体を預けてもたれかかってくる。俺は昔、妹の髪をこんな風に乾かしてやっていたことを思い出して、まるで世話の焼ける妹のように思って微笑む。するとミカサは、上を向いて俺の顔を見ながら言う。

「…なにか嬉しいことでもあったの?」

「いや、なんでもねえさ。ちょっと懐かしくなっちまってな。」

「…誰にこんなことしたの??」

「!!いや違うぞミカサ、お母さん、えっとハンネスの奥さんだな、によく拭いてもらってたんだ。それをちょっと思い出してな。」

「……セイはこの2年間どうしてたの?」

俺たちは、この空白の2年間を埋めるように、どんなことしてたのか、何があったかを語り始めた…

髪も切り終わって俺はミカサに問う。

「これくらいでどうだ?」

「セイがいいと言うのなら私はこれで良い。」

「おぅ…。………そろそろ戻るか…」

「もう少し……もう少しだけこのまま……。」………

 

俺は思いを馳せていた。

(これから先、訓練兵の間は何もイベントが起きないだろう…。しかし、それではなぁ…俺の発作を操れるようになったりしないかなぁ……そうすりゃ上手くいく作戦があるんだが、)

 

あの後宿舎に戻ると、ベルトルトやライナーに話しかけるエレンの姿があった。エレンも俺が戻ってきたのを見つけると、

「セイ!お前のアドバイスマジで助かった!」

どうやらあの後エレンは項目外のところまでチェックしたらしく、項目外の箇所で金具が壊れていることが判明したそうだ。それでもエレンは明日が不安らしく、男組の中でもとりわけうまかった2人にコツを聞いているらしかった。

「金具が壊れていたなんてなぁ…。そりゃあれもしょうがねぇ。確かに俺もぶら下がるのにコツがいるなんて、到底思えなかったからな。」

「君たち3人は確かシガンシナ区出身だったよね、そしたら巨人の恐ろしさも…知っているはずだ。なのにどうして兵士を目指すの?」

俺はベルトルトに答える。

「俺は……あの時守られただけでなく、守ってくれた人を見殺しにするしか無かった。無力だった…でも、今は違う。訓練兵になる前、俺は必死に鍛えた。もう守られるだけじゃないんだ…俺が守る側になるんだ…ってな。だから俺は調査兵団に入る。壁の中に引きこもってるヤツらを守りたくない訳じゃないが……それでも、俺は人類のために勇気をだして行動するやつを守りたいんだ。」

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

翌日、エレンの再検査で、エレンは金具の破損をキース教官に申し出ることで難なく合格することが出来た。

 

その後も俺たちは着実に訓練をこなしていき、訓練兵計219名は卒業にこぎつけることが出来た。

 

「心臓を捧げよ!」

「「「はっ!」」」

「本日をもって、訓練兵を卒業する諸君らには3つの選択肢がある。」

「壁の強化に務め各町を守る駐屯兵団」

「犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に挑む調査兵団」

「そして、王の下で民を統制、秩序を守る憲兵団」

「無論、憲兵団を希望できるのは先程発表した成績上位10名だけだ!」

 

首席 ミカサ・アッカーマン

2番 ライナー・ブラウン

:

:

:

10番 クリスタ・レンズ

俺は原作の順位が変わることで及ぼされる影響を避けるために立体機動以外の訓練を不真面目に行った。その結果、

キース教官からは

「シガンシナ区出身でアッカーマンらと旧友であるようだ。彼の立体機動術には目を見張るものがあり、信じられないことだがこの年齢でリヴァイと同じ、もしくは上回るほどの速度と機動力を持つ。しかし、彼は一度、操作を誤ったのか木に激突し、アッカーマンに地面に墜落する前に救出されたが、小さくないケガを負っている。彼は私の訓練以外ではやる気が感じられず他の教官からの評価は最低である。彼には社交性があり、仲間同士を繋ぐ橋渡し役になることを期待する。」

(今年の訓練兵は過去に類を見ないほどの豊作だ。上位10名には名を連ねていないが、アルレルトのあの頭の切れ具合は役に立つだろう。セイもアッカーマンと同じく何をやっても求められている以上の完璧で返してくるが私一人の評価ではどうにもならん…。)

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

「憲兵団に入らないなんて、本気なのかエレン!?せっかく上位10人に入ったのに……」

「上位10人に入ってなくとも、セイやアルミンみたいにすげえやつもいるんだ、あんまし誇れたことじゃねえよ。それにこれは決めてたことだ。俺が訓練してたのは内地で暮らすためじゃない…巨人と戦うためなんだからな…。」

「勝てるわけない!お前だって知ってるよな?今まで何万人食われたか……人口の2割以上を失って答えは出たんだ…人類は巨人に勝てない…。」

「それで……、勝てないと思うから諦めるのか?確かに、ここまで人類は敗北してきた…。それは巨人に対して無知だったからだ。巨人に対して物量戦は意味が無い。負けはしたが戦いで得た情報は確実に次の希望に繋がる!俺たちは何十万の犠牲で得た戦術の発達を放棄して、大人しく巨人の餌になるのか!?冗談だろ!俺は巨人を一匹残らず駆逐して、狭い壁の中から出る!それが俺の夢だ!人類は…まだ本当に敗北したわけじゃねぇ!」

言い切るやいなやエレンは飛び出す。

 

 

「エレン、、さっきの夢の話って…」

「あぁ、お前の受け売りだ。壁の内側じゃなくて外へ……」

「…僕は!調査兵団へ入る…!」

「なっ、アルミン本気か!?お前座学はトップなんだからそれを活かせよ!」

「僕は…死んでも足でまといにはならない!」

「…私も調査兵団にする。」

「ッ!お前は首席だろ憲兵団にしろよ!」

「……セイは上位10名に入らなかったから憲兵団には行けない。ならば私はあなた達が入る調査兵団に入ろう。あなた達が駐屯兵団に入るのなら私もそうしよう。…私がいないと、きっと早死にするから。」

「…頼んでねぇだろ、そんなこと…。」

「…もうこれ以上、私は、家族も大事なものも失いたくない」

「ッ」

そう言って空を見上げる。一筋の流れ星が落ちていくのであった…

 

 

 

…………

 

 

 

 

「きたぞぉ!調査兵団の主力部隊だぁ!」

そう言って現れたのはエルヴィンを先頭にリヴァイ、ハンジ、ミケなど調査兵団を支える幹部たちだった。

「5年前とは全然違ぇな!調査兵団に、こんな期待する人たちがいる、、」

「みんなの気分が明るくなって来てるんだよ!もう5年も何も無いし!」

「固定砲も改良されてるしな!大型巨人なんて来ないんじゃないか??」

「おい、ハンナもフランツも気ぃ抜きすぎだ。そう言って5年前の悲劇があったんだからな。」

「そうだぞ!何腑抜けたこと言ってんだこのばか夫婦!!」

「そ、そんな///お似合い夫婦だなんて////」

「気が早いよエレン///」

「…エレン…?私とセイもお似合い///?」

「あん?セイとミカサは……しらねぇよ!」

「ハッハッハッ!俺とミカサがお似合い?俺は10位にも入ってねぇんだぞ笑。どっちかつうと―」

「セイは手を抜いていただけ、本当なら私より全然すごい。」

「へぇ〜そうなのかセイ!お前本気出したらすげぇんだな!」

「そんなことねぇさ。あれで全力だよ、ぜ、ん、りょ、く!」

「でも立体機動の時はは人間やめてる動きしてたじゃないか。エレンもそう思わないかい?」

「あぁ、こいつは昔からすげえやつだったよ。何やらせても予想の上をいきやがる。」

そんな会話をしていると、ハンネスたち駐屯兵団の人がやってきた!

「ようお前ら!セイも元気してたか俺ァ寂しかったぞ!」

「ハンネスさん!」「父さん久しぶり!」

「お前ら……昨日卒業したってな?あのガキンチョどもが偉いもんだぁ…」

「ハンネスさんこそ、飲んだくれが部隊長だもんなぁ!」

「こいつぅ…!」

「……………すまなかったな、お前の母さん助けられなくてよ…。」

「ハンネスさんのせいじゃない。俺たちはもう無知じゃない…もうあんな悲しいことは起こさせない!必ず巨人に勝つ。」

(成長したと喜んでいいのか…死ぬなよセイ、エレン…)

 

 

 

「はっ!お前調査兵団にするって!コニー…お前あんだけ憲兵団がいいって―」

「エレンの昨日の演説が効いたみたいね!」

「うるせぇ!俺は、、自分で決めたんだよ…!」

「そう照れんなよ、何もお前だけじゃない。」

「トーマス……お前もまさか―」

エレンが次の言葉を言いかけた時サシャがやってくる…

「あのぅ、皆さん?長官の食料庫からお肉持ってきました…」

そう言ってサシャは服に隠して持ってきた肉の塊を取り出す。俺たちはいっせいに驚きサシャを見る。

「なっ!サシャ…お前独房にぶち込まれたいのか!?ほんとに馬鹿なんだなぁ……」

「馬鹿って怖ぇ…」

「戻してこい!」

「そうだよ、土地が減ってから肉なんてすごく貴重になったんだから、、」

「大丈夫ですよ!土地を奪還すればまた、牛もヒツジも飼えますから!」

「みんな!俺はサシャにのるぞ!俺たちの新しい時代への景気づけだ!」そう言って俺はみんなを励ます。いや、今日襲来してくる超大型巨人の恐怖を感じないためのただの強がりだったのかもしれない……。

「何つったってんだエレン?作業に戻んねぇとバレちまうぞ?」

「お昼はまだ先だよ!」

(あれから5年が経った…人類はようやく尊厳を取り戻しつつある…

ミカサ、セイ、兵長……俺たちは巨人を殺す知恵を手に入れ道具を整備し、ついに人員も揃ってきた。………勝てる!人類の反撃はこれからだ!)

 

 

 

ピシャーーーーーーーーーーン!!

 

 

 

そんな音がした。

 

 

 

 

 

幸せが壊れるのはいつも突然だ…




どのシーンを使うべきか難しいですね……
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