みんなの傷になりたいおバカ   作:曇らせ大好きな浪人生

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巨人化能力つけてもいいなぁとか思ったけどさすがに主人公強すぎるので生身の体です


本部奪還作戦

 

 

【ミカサside】

 

私は訓練兵になった。

 

開拓地での2年間を、エレンやアルミンがいたことで私は何とか乗り越えることが出来た。でも、どうしてもセイの顔がよぎり、そしてその度に頭痛と言いようのない孤独感に苛まれた。エレンは家族で、アルミンも家族同然だったから、凍える寒さのような夜も3人で寄り集まって乗り越えることが出来た。草むしりや石拾いだって、一人でいる孤独に耐えるより全然簡単だった。

 

ただ、、なんだろう、この胸に空いた大きな穴は…まるで底なし沼のように、埋めても埋めても満たされることがない。いつしか私は本能的に悟っていたのだろう。この言語化できないセイに対する感情は、エレンやアルミンに感じるものと同質では無いことを、もっともっと胸に溜まるようなドロドロとしたものであることを…

 

 

………

 

 

 

 

 

訓練兵団でセイを見つけた時、あまり変わっていない昔のままの姿にほっとした。むしろ変わってない方が嬉しかったのかもしれない…

 

小さい頃は私たちの中でセイが1番大きかった。でも、2年経っても数cmしか伸びなかったのか、あそこにいる坊主頭のやつくらいの身長だった。少しでも身長を盛りたいのか髪をかきあげてかさ増しし、心なしかちょっぴり背伸びしてるように見える。それでも、今では私の方が背が高く、見栄を張ろうとしてるセイを見てると可愛らしく思えた。

 

何か変わったところがないかじっと見つめていると、セイは私の視線に気づいたのか一瞬こちらを向く。しかしすぐに視線を外し前を向いてしまう…あっ、もう少し顔を拝みたかったのに……

 

私はセイに声をかける機会をついぞ見つけられずにいた。こんなにも近づきたいのに喋ることすら出来ない、そんな現状にモヤモヤした私は、食堂に入ってきたセイを他の誰かに取られないように入口付近で目を光らせていた。

 

1人で入ってきたセイは私を探してるのだろう、キョロキョロ辺りを見回す。そんなに探さなくてもあなたの目の前にいるというのに…もう二度と離さないと言わんばかりの力で、空いてる席に座る。もちろん正面じゃなくて隣だ。ただ2人で話し込む間もなく、エレンとアルミンがやってきて、そして巨人のことが気になる周りのみんなは我先にと声を上げる。私たちの水入らずの時間を邪魔しないで。そう言おうと思ったのに、2年間何も話せなかったという気兼ねが私を躊躇わせたのか結局言うことは出来なかった。

 

エレンやセイに髪が長いと言われ、確かにと思う。この2年間身だしなみには無頓着であったため伸びっぱなしだった。

髪切りを口実に2人きりの時間を作れるのではないか?

そう思って、すぐに口に出す。セイはどこか世話の焼ける妹のように慣れた様子で了承した。セイは顔がいい、とてもいい。だからこの上なくモテるだろう、しかも黒髪は珍しい。慣れた様子、つまり、他の女の子と仲良くなってその子の髪を切ったことがあるかもしれない、私のいない間に。

許せない。私は引き離されて開拓地で辛い生活を送っていたというのに、その女は町でセイとラブラブしてたかもしれない。私は誰よりもセイと距離が近いという自負がある。そんなアイデンティティを奪われるのはこの上なく嫌だった。

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

訓練兵として過ごした3年間色んなことがあった。

あの手この手でセイに近づくために、わざとセイを巻き込んで問題を起こすこともあった。

教官に捕まって、外周を走らされたり、夜なべで倉庫の見回りをさせられたり、色々だ。でも私は全然苦じゃなかった、むしろ嬉しかった。2人きりの時間というものは貴重である。日夜訓練に明け暮れ(対人格闘のように上手く2人きりになれる時もあるが)、集団行動を強いられる。セイと一緒に居れるだけで幸せだったが、やはり2人きりの時とは比べるべくもない。

 

贔屓目なしに見てもセイのポテンシャルは私以上だ。座学だってアルミン並に豊富な知識を持っているし、医学にだって精通していた。社交性だってある。そして何より重力を感じさせない、まるで蝶が舞っているかのような滑らかな動きや、木の上から獲物を狙って高速で動くフクロウのような素早い滑空は、私にも再現すらできなかった。

それなのに、セイは上位10人に入ることはしなかった。

私はセイに聞いたことがある。どうして手を抜くのかと。

セイは決まってこう答える。

「俺の1枠で、1人でも多くの無理やり巨人と戦わせられるやつを減らしたいんだ。俺やエレンは好き好んで調査兵団を志望しているし、もう既に覚悟は決まってる。でもあそこにいるジャンとか普通のやつは違うだろ?調査兵団志望なんて物好きなやつが、未来あるやつの1席を奪うなんて俺には出来ないよ笑」

最初はいつものようにエレンをおちょくるために言ってるのかと思ったが、どうやら本気でセイは彼らを未来あるやつだと思っているようだ。なんでだろう?壁の中に引きこもっているだけでは壁内人類に未来はないというのに、、

 

私は当然のように調査兵団に志願する。エレンには憲兵に行けと言われるが私の意志は硬い。何よりもあなた達を失うことが怖い。憲兵に入ってしまったら私はあなた達を守ることが出来ない。近くにいなければきっと早死にしてしまう。そう思っていた。

 

その日は朝から胸騒ぎがしていた。明日から新しい生活が始まると思ったまさにその時、蒸気を発する超大型巨人の姿が私の目に映った。頭によぎるのはあの5年前の悲劇、血まみれのセイ、巨人に捕まれ涙を流すカルラさん、町の中に佇む壊滅した私たちの家。

 

それから私は自分でも何をしたのかあまり覚えていない。エレンとセイに死なないでとお願いしてから私は後衛部隊に移る。

 

 

 

 

 

どうしてこんなにも撤退を知らせる鐘が遅れているの?

 

 

 

私は内門を見る。そこでは、大きな荷馬車が狭い門を通ろうとしていた。どうやら肥太ったおっさんどもが金に目が眩み住民たちの避難を遅らせているようだ。

そしてそこに猛スピードで迫る奇行種の姿が映る。私は奇行種を冷静に処理して、おっさんどもに尋ねる。

 

仲間が命を散らしながら必死に巨人と戦っている。あなたたちのせいで避難が遅れているの?と

 

この期に及んで彼らはまだ荷物を諦めないようだった。もう私には彼らが同じ人間であるかのようには思えなかった。

殺してやろうと思った。こんなヤツらのために私の仲間が死ぬ必要は無い。

 

「きっと理解してもらえるだろう。1人の尊い命が多くの命を救うことがあることも…」

 

俺はお前の上司と仲がいいんだ!お前一人の進退なんて冗談で決められるぞ…!なんて大口を叩くが、どうやって私がしたことを上司に伝えるのだろう?

 

「死体がどうやって喋るの?」

 

私が言うと、その男はやっと私が本気だということを理解したのか渋々荷台を下げる。

 

町の住民に感謝され敬礼を返すが私の心は既にここにはなかった。

 

私には帰る場所がある。あなた達がいれば私はなんでも出来る。だから………どうか無事でいて、、

私はこの胸騒ぎを無視した

 

 

 

 

 

 

……………

 

 

 

 

撤退の鐘はもう鳴ったはず…どうしてみんな壁に登らないの?

原因を探そうと私は周りを見渡す。本部は巨人どもに占領されていた…

胸騒ぎを抑えるためにもエレンやセイの所在を聞こうと見つけたアルミンのところに向かう。

 

アルミンは私にエレンの戦死を伝える。胸が空くような気がした。でも、どこか他人事のように思ってしまった。決して無くしてはならないものを失ってしまったような気がした。

 

私は自分を鼓舞する。

 

 

「私は……強い……すごく強い!……ので、私なら1人でも、あそこの巨人どもを蹴散らせる。あなた達は腕が立たないばかりか、臆病で腰抜けだ。ここで指を加えたりしてればいい……加えて見てろ。」

 

 

そんな時だ。私の肩にずっと求めていた手が置かれる、セイだ。私はセイが死ぬとは思っていなかったけど一抹の安堵に体の緊張がほぐれる。それが命取りだった。

 

セイは私に行くなと言った。では誰があの巨人を掃討する?私やセイにしかそんな芸当は出来ない。まさかと思うがセイが1人で行くのではないか?そんなことは絶対にさせない!もう誰も私から奪わせはしない!!

 

周りの班員が言っていた。セイは既にガスが切れかけであると。そんな…と思うも1度ほぐれてしまった私の体は再起動までに数秒を要した。私は全力でガスをふかして追いかけるも、セイはまるで疲れを感じさせない動きで巨人を殺しながらにもかかわらず私との距離を広げて行った。まるで死にに行くかのように。

 

私はセイの背中に自分の背中を重ねてしまった。そう、まるで男ども連れ去られた時の私みたいに、この世界に絶望して、命を軽んじてしまっていた時のように

 

最悪の形で私の胸騒ぎは的中する。空中でセイの動きが止まったのである。セイはガス管を叩いていた。ガス切れだ!

セイの目の前には15mはあろうかという大型の奇行種がいた。腕を振り上げてセイを狙っている

 

ヤメテ!!!!!!!!!!

 

そんな私の願いも届かず無情にもセイは打ち付けられ、血を吐いてぐったりとする。あと3秒あれば届く!待って!私からもう奪わないで!!

 

私の願いは届かず私よりも早く巨人の手が届いてしまう。セイは1度こちらを見ると、かすかに微笑んで目を閉じる。

 

諦めなかった。どれだけ絶望的な状況でも諦めてしまってはダメだ。山小屋でセイに言われた言葉を思い出していた。

 

 

 

 

 

突然、人類の怒りを体現したかのような雄叫びが聞こえた。

 

 

 

 

 

もう一体の変わった15m級奇行種が出現して今にもセイを喰らおうとしていた巨人を殴り飛ばしたのである。

 

 

 

 

 

 

 

この世界は残酷だ…されど、どこか美しかった

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

 

 

セイはと言うと俺の目の前にエレン巨人が現れたことにとても驚いていた。

 

(なぜだ?原作では死に抗おうとするミカサを救いに現れるはずだ。俺がミカサの役割を奪ったからなのか?)

 

俺は胸に突き刺さる痛みと呼吸不全によって強制的に思考の海から戻された。

 

「セイ!!!!」

「…………み…かさ……。ゴフッ、ごめ…ん………しくじっ……ちまっ…た。」

「いいから今は喋らないで!!!」

そういうや否や、ミカサは躊躇うことなく人工呼吸を始める。

 

(…息ができていない!!まずは気管に詰まってる血を吐き出させないと!)

 

そうして、詰まっていた血を吐き出させると、片時も離さなかったマフラー使って患部を固定し、俺の体勢を息がしやすい体勢に変えてからさらに人工呼吸を行う。予断を許さないこの状況下では、いくら俺と言えどミカサとのキスにも一切情欲を抱かなかった。

 

 

何分経っただろうか?いや1分にもみたないかもしれない。呼吸が落ち着いた俺は、無理やり起き上がろうとするが、ミカサは俺が立ち上がろうとするのを妨害する。

「セイ!あなたは重症!だから動いてはダメ!あとは私たちで何とかする!」

「…そんなこと…言って…られねぇよ…。激しくは動け…ねぇが…指示出しくらいなら…今の俺でも…できるからよ…。」

 

そう言って俺は右腕でミカサを押しのけてよろよろと起き上がる。

 

遅れてアルミンとコニーがこっちに向かってきた。

 

「コニー!……すまねぇが俺を本部の中まで連れてってくれ!作戦がある。」

「えぇぇ!!俺には無理だよ!!ってお前どう見ても死にかけじゃねえかそんなやつを俺が運べるかよ!!」

「できる出来ないじゃない…やるしか…ねぇんだよ!ならお前のガスを俺に少しよこせ!そして、アルミン…!お前にはあの巨人を使った決死作戦が思いついてる…違うか?」

「ッ!!……賭けだけどあることにはあるよ。でもそれには、あの巨人の周りの巨人を倒す役が必要なんだ…僕には力がない。巨人を倒すのは君たちになってしまう……」

「そうか…ミカサっ!あとどれくらい…ガスが残ってる?」

「…あと2割はある。でも私は―」

「ならミカサ…アルミンの作戦をやってみないか?勝算はある…戦わなければ勝てないんだ…!」

 

そう言って俺はコニーから少しのガスを貰いミカサとコニーを援護しながら本部へと向かう。ミカサは絶対に俺を戦わせないためなのかいつも以上の力で俺の目に巨人が映る前に全てを削いで行った…

 

 

貰ったガスを使い果たして本部に窓から乗り込む。どうやらミカサもコニーもたった今ガスが切れたようだ。

 

先に着いていたジャンたちに状況を聞くと、どうやら補給班のやつが中に侵入してきた巨人に怖気付いたのが原因で補給が滞っているらしかった。

 

「今、外にいる巨人は、人間を目標とせずただ巨人に襲いかかる奇行種だ!本部に群がっていた巨人どもは今そいつに釘付けになっている!ならば……今がチャンスではないか?俺には…中にいる3.4m級の巨人どもを一網打尽にする策がある。みな着いてきて欲しい!」

 

「ほんとにこの作戦で大丈夫なのかい?」

「マルコ、確かにこの作戦は俺たちを囮に使う…もちろん怖いかもしれねぇ…だがこれが一番確実なんだ!俺は誰も死なせねぇ!」

 

俺たちは銃を構え滑車を使って下にある補給施設の様子を慎重に確認する。討伐組から準備が出来た合図を貰うと俺は真下の地面に向かって小石を投げる。音につられた巨人共は俺たちの方に向かってゆっくりと歩み寄ってくる。

 

……まだだ…まだ引きつけろ…………「今だ!撃てぇぇぇ!!」

 

目をやられた巨人共は項ががら空きだ。上から降ってきた討伐組が項を刈り取るが、甘かったやつが2体いた。片方はミカサが控えていたので

俺は滑車から無理やり飛び出してコニーの前にいる方の巨人を狙う。

 

ザシュッ

 

それは俺のブレードから出た音ではなく、もう一度上に登っていたアニから出た音だった

 

俺はそのままの勢いで地面に落ちる前に、既に片方を倒しきって接近していたミカサに抱きとめられる。

 

「助かった…。ミカサ、ありがとな。」

「あなたは自分が重症だということを忘れている。私がそばにいないと直ぐに死んでしまう。だから私はもう離れない。」

「ミカサ……」

 

また夫婦漫才が始まったのかとみんなには思われたが、本部を取り返した今においては、これでちょうど良かった。ジャンは怪我したら俺にもやってくれんのかなぁと血涙を流していたが。

 

ガスを補給できた俺たちは一斉に脱出する。

 

エレン巨人は最後にトーマスを食った奇行種を殺し、力尽きる

 

項から出てきたのは、なんと死んだと思われていたエレンだった!(知ってるよ)

ミカサはエレンに駆け寄って心臓の音を確認する

 

ドクンッドクンッドクンッドクンッ

 

規則正しい心臓の音を確認しミカサは喜びのあまり泣き叫ぶ。

 

アルミンを庇って失われた片腕も、巨人に食われた片足も生え揃っていたいたのだった…………

 

 

 




まだトロスト区編終わらなさそう……



キャラ資料少しだけ

主人公 セイ

15歳(卒業)時点で162cm。訓練兵期間にコニーよりも少しだけ伸びたことが嬉しいらしい(なお差は4cm)
リヴァイのような体格だが、目はぱっちりとしており常に元気そうに見える。足にミサンガをつけており、いつもは見えないが、風呂上がり宿舎では見えていた模様。1度それをミカサに見られ欲しいとねだられたが、なぜかこれはダメだと断っていた。ミサンガにかけた願いは内緒らしい。
情に厚く活発な性格をしており誰とも仲が良い。転生してきた時と比べて考え方がだいぶ変化しており、おちゃらけた感じはほとんど抜けたようだ。ただ、曇らせについては密かに機会を伺っている模様。



原作と違いのあるキャラ

ミカサ

身長の低いセイを甘やかしたいと思っている。セイと家族であるエレンとでは好きという点で同じではあるがエレンに対しては原作同様家族愛、セイに対しては独占欲のような重い感情を向けている。今作のミカサは小さい頃に子供の作り方をお父さんから聞いたそうだ。果たしてセイはどうなるのだろうか…

エレン

セイのことを尊敬しており、何かと頼る。背が低いことをからかって半ギレしたセイにボコボコにされたせいで身長のことでからかうのはやめたが、それでもよく口喧嘩するほど仲がいい。


マーレ組

ミカサ同様とんでもない身体能力を持つセイを警戒している。なんでも対人格闘ではアニをのしたらしい。
「なんか、こう、視界から消えるのがとんでもなくうまいんだよあいつは。それでいて、狙いが分かりにくい上に鋭い。あいつとは戦いたくないね。」これを聞いたセイはお前もおれの身長をからかうのかと涙目になっていたそう……


ちょくちょく出していきたいと思います。
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