艦これの他にもオリジナル戦記とか書きたいと思っていますが……まあ、先ずは慣れる事が先だな。
では、どうぞ。
「……ここの何処が鎮守府なの!!?」
私……能義崎歩弥(のぎざきあゆみ)は着任地を見て叫んだ。
砂浜から見えるのはジャングル……しかも、鎮守府とおぼしき建物も何も無い未開発の無人島である。
そして……ここが私の新しい『仕事場』であり『住処』だ。
「うん、これは絶対に左遷ね。何にもしてない私を左遷したに決まってるわ」
「ですが、能義崎殿。能義崎殿は提督でありますよ?」
「あきつ丸、それは左遷の為の理由付けよ。だいたい、憲兵少尉をいきなり少佐よ? 戦死後の2階級特進の前倒しね」
私の秘書艦…と言うより相棒…のあきつ丸の言葉に反論する。
「それなら、3階級特進はおかしいのでは?」
「そんなもんよ。それに大尉で提督にはなれないし…まあ、何でもいいわ。早く準備よ、準備!」
「了解であります。能義崎殿」
敬礼をしながらそう言うとあきつ丸は浜辺に置かれた機材……主に通信機材を手早く上陸用舟艇から降ろしていく。
「はぁ…なんで憲兵の私を提督にするかな…上は…」
そう呟きながら能義崎は空を見上げた。
数年前に突如現れた敵……深海から遣って来たと言われた為、『深海棲艦』と呼ばれた敵により、たちまち人類は海を抑えられ、島国である日本は存亡の窮地に立たされた。
そんな時、日本に突如現れた『艦娘』と『妖精』、そして、その双方を率いる『提督』達によって反撃を開始。少しづつではあるが確実に海域を確保していった。
そして、私…能義崎歩弥はその『提督』達を取り締まる『憲兵隊』に所属していた。
『提督』の中には『ブラック鎮守府』と言われる様に艦娘を酷使する者、あるいは艦娘によって性的欲求を満足させる者、艦娘によって不法的利益を挙げる者等々、後々に不適合とされる事案をおこす者がおり、その取り締まり・逮捕を主任務とするのが『憲兵』だった。
その『憲兵』の一員として提督の取り締まりにあたっていた私に提督への就任を告げる命令書が届き………何故か私は『憲兵』で『提督』になってしまった……。
「能義崎殿、通信機の設置、終わったのであります」
後ろで通信機を調整していたあきつ丸が言った。
「ありがとう。こちら、能義崎。横須賀鎮守府、応答願います」
『こちら、横須賀鎮守府の大束中将。そちらの通信を受信した。無事着任出来て何よりだ』
通信に応えたのは(提督としての)上官である横須賀鎮守府所属の大束義郎(おおつかよしろう)中将だった。
「はい。何事も無く現地に到着しました」
色々と含みながら能義崎が答えた。
『では、着任早々悪いが、さっそく島の周辺海域の哨戒と掃討を実施せよ』
「……はあ?(ちょっと待て。ここは無人島ですよ? 施設も何も無いよ? しかも、あきつ丸しか居ない状況で、出撃!?)」
能義崎のすっとんきょうな声に向こうの大束中将が答えた。
『むう、通信状況が悪いのかな? もう一度言うぞ。鎮守府周辺海域の哨戒と掃討を…』
「待って下さい! 此方にはあきつ丸しか居ない上に施設もありません! そんな中で出撃ですか!?」
『そちらのあきつ丸は実戦経験者と聞いている。まあ、問題は無いだろう。施設については後続の補給で順次整えていく。それまでの辛抱だ。以上、通信を終わる』
「ちょ、大束中将!? ちっ、切られた!!」
そう言って能義崎は受話器を通信機に叩きつけた。
「……これは困った事になったのであります」
「困った…なんて問題じゃあ無いわよ! 絶対に私を殺す気ね。本土に帰ったら真っ先に殺してやるわ!!」
「の、能義崎殿、少し抑えるであります」
「ふん!」
そう言って能義崎はその場にドカリと座る。
その時………
ガサゴソ…ガサゴソ…
近くのジャングルの中から物音がした。
「何者でありますか!!」
物音にあきつ丸はそう言って警戒態勢に入る。
艤装に搭載されている10㎝連装高角砲を展開し、構える。
能義崎も腰のホルスターから9㎜拳銃を抜き、安全装置解除し、初弾を装填、物音の方向に向ける。
ガサゴソ…ガサゴソ…ガサッ!
「あれ? 人が居たっぽい?」
「「…………」」
出て来たのは……白露型駆逐艦四番艦の夕立だった。
次号へ
ご意見ご感想をお待ちしております。