間宮さん帰還の翌日……
「では、行ってくるであります」
「えぇ、気を付けてね」
「はい。では、朗報を待っていて下さいであります」
そう言ってあきつ丸は神通を基幹に潮、浜風、長波を引き連れて出撃していった。
なお、間宮達を護衛している木曾は黒潮、夕立、時雨、綾波を率いている。
「さてと…那智、羽黒。あきつ丸の代行で秘書艦業務を宜しくね」
「あぁ、まだ静養中だが、リハビリついでにやらせてもらおう」
「私も那智姉さんの看護で御迷惑を掛けたので、頑張りますね」
「意気込みはいいわね。まあ、無理はしないでね」
2時間後…………
「えーと、これが補給関連、これが戦闘報告書…これはなんだ?」
「それは…健康診断書みたいね」
「あぁ、なるほどな。提督、報告とその決済は以上だ」
「ありがとう…う〜〜ん…疲れた〜」
とりあえず、今ある執務仕事を終えた能義崎と那智、羽黒。
「……失礼だが提督。執務は毎日しているのか?」
「まあ、事務仕事なんて憲兵隊に居たときにさんざんしてたし、あきつ丸も慣れてたからね。毎日してたわよ」
「提督、お仕事は慣れてますね」
「まあ、慣れないと皆を困らせちゃうからね。さて、事務仕事が終わったら次に移るわよ」
「次の仕事…次はなんだ?」
「畑の世話よ」
「「は、畑の世話…」」
「そう畑の世話よ」
暫くして……鎮守府の畑
「まあ、家庭菜園程度なんだけど」
「こ、これが家庭菜園…程度なのか?」
「わ、私も解んない。姉さん」
草刈りをしながらそんな会話をする3人。
実際、畑は結構広い。家庭菜園なんて物ではなく、田舎の農家がやっている程度の広さがある。
しかも、ご丁寧にも擬装網を掛けて畑の場所を隠蔽していた。
「それと、この近くにはモヤシの育成壕もあるわ。後で育ち具合を見に行くけど」
「「……なんか、本当に自給自足なんだ」」
現状を聞いて姉妹でそんな呟きを呟く那智と羽黒だった。
お昼過ぎ………
「ほな、行ってくるで〜」
「えぇ、行ってらっしゃい」
龍驤を旗艦に鳳翔、青葉、古鷹、初雪、響が周辺海域の哨戒で出撃した。
なお、6人が出撃した為、鎮守府に残っているのは能義崎と那智、羽黒だけだ。
「さて…龍驤達が戻るまでは自由時間ね」
「自由…と言われてもな」
そう呟きながら那智は腕を見る。
本来の彼女なら自由時間は自己鍛練に回すのだが……健康状態は知っての通りだ。
「なら、ちょっと頼める?」
「何をでしょうか?」
「それはね…今晩のおかずの確保ね」
そう言って能義崎は2人に釣り道具を見せた。
暫くして………岸壁
「……なあ、羽黒」
「なんですか、姉さん?」
釣糸を垂らしていた時、那智が羽黒に話し掛けた。
「うむ……この鎮守府が無人島にあって、不便だと思っていたが……案外、そうでもないな」
「……まあ、確かに物資的、余暇的に不便ではあるけど…そうかもね」
「あぁ…羽黒、私達は良い提督の指揮下に入れた様だ。ここなら、思う存分戦えそうだ」
「もう、姉さんったら」
「ん、あっ、羽黒! 竿が曳いているぞ!」
「え、え? あっ!?」
「私が釣り上げる! 羽黒は手伝ってくれ!」
「は、はい!」
……その後、那智と羽黒は20分の格闘の末、大物の鯛を釣り上げたのだった。
暫くして……食堂
「大物の鯛に…小魚が何匹か…小魚はいいとして、鯛は鳳翔さんと相談ね」
那智と羽黒による本日の戦果(釣りの結果)を見て能義崎はそう呟いた。
「ただいま〜、いま帰ったで〜」
そこにタイミング良く龍驤達が帰って来た。
「お帰りなさい、みんな。あら、新しい顔もまじっているの?」
出撃の時は6人居たのに、今は7人になっていた。
「はい。2度目の偵察部隊との交戦後に…さあ、弥生ちゃん、ご挨拶」
「初めまして、弥生です。あっ、気を使わなくていい…です」
鳳翔に促されて弥生が挨拶をする。
「よろしく…新しい子も入ったし…鳳翔さん、大物の鯛がありますけど、どうします?」
「鯛ですか……確かに良い鯛ですね。弥生ちゃんの歓迎も含めて今夜は豪華にしましょう」
「そうね…あっ、那智、お酒は禁止。今は静養・リハビリ中なのよ」
「い、いや、私は未だ一口も飲んでいないぞ」
「大丈夫です。姉さんは私が看ますから」
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