1週間後……無人島鎮守府
「ふむふむ……まあ、今のところ、ウチの担当範囲で被害はないわね」
輸送船団護衛任務の報告書と輸送船通過状況報告書を交互に見ながら能義崎が呟いた。
実際、やって来る深海棲艦の潜水艦や水雷戦隊などは護衛部隊か哨戒部隊が潰している為、被害は皆無だった。
「このまま平穏無事ならいいけど……向こうも頭を使い始めたから油断出来ないわね」
此方としては余り手の内を晒している訳ではないが、敵も戦力を強化していっている事は戦闘報告書を見るだけでも明らかだ。
「だからと言って、戦力強化は暫く控えて欲しいであります」
「舞風と響のお姉ちゃんが入って来たからでしょう? そんなに余裕無いかしら?」
「隊舎の余裕が無くなりつつあるであります」
「はいはい、わかりましたよ。工厰長とドック長に頼んで隊舎拡張をお願いしたみるわ。建造はその後ね」
「わかっていただければ、それでよしであります」
「最初からわかってるわよ。でも、暁は大丈夫なの?」
能義崎の問いにあきつ丸が答えようとした時、その本人が入って来た。
「司令官、青葉さんの報告書、渡しに来たわよ」
「また、青葉は…そう、ありがとう。よく此処まで来れたわね」
そう言いながら暁の頭をナデナデする能義崎。
「っぅ…、あ、頭をナデナデなんてしないでよ! 子供じゃないんだから!」
「レディはね、人の厚意を素直に受け取るものよ。暁」
「うぅ…ま、まだ、やることがあるから、失礼するわ!」
少しトゲのある言い方だが、そう言って暁は慌てて執務小屋から出て行った。
「能義崎殿は暁殿の扱いが上手いでありますな」
「そう? 子供の時なら誰でもやる事だから、普通だけど?」
「うーむ…自分の頭が固いのでありましょうか?」
「まあ、それは置いといて…部隊整理ね。今の戦力は?」
「駆逐艦が舞風殿、暁殿を入れて駆逐艦が12隻、軽巡洋艦2隻、重巡洋艦4隻、軽空母2隻、そして、自分を入れて21隻であります」
「うーん…バランスよく振り分けたいけど……軽巡洋艦2隻と駆逐艦も2隻欲しいわね」
「能義崎殿」
ジト目で睨むあきつ丸に能義崎は苦笑いを浮かべる。
「わかってる、わかってる……でも、補給線確保…シーレーン防衛主体なら駆逐艦と軽巡洋艦は必須よ。特に駆逐艦は数多く必要ね。後は軽巡洋艦と軽空母をあわせていけば大丈夫よ……戦艦が団体で来なければ、だけど」
「戦艦や正規空母なんて持ったら、この鎮守府は間違いなくパンクするであります」
「まあ、今の鎮守府なら確実にパンクね。まあ、そっちはのんびりと待つけど」
そう言いながら能義崎は暇そうに鉛筆をクルクルと回す。
「まあ、大きな作戦でも発令されない限り、大きな変化はおきないでしょうし。それにこんな無人島鎮守府の戦力を護衛・哨戒以外で宛にしてる訳でも無さそうだし…まあ、何時も通りにやらせてもらうわ」
「確かにそれが妥当な話でありますね」
「そうね…さてと、工厰長妖精とドック長妖精に隊舎拡張をお願いしてくるわ」
「わかりましたであります」
「その後は……どうしようかな〜? やっぱり、建造しちゃおうかしら?」
「能義崎殿、おふざけは止めて欲しいであります」
「はいはい…とりあえず、お願いしに行ってくるわ。哨戒と護衛に出てる部隊が帰ってきたら報せてね」
「能義崎殿も寄り道は無さらない様にお願いします」
「わかってる。じゃあ、留守をお願いね」
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