女性憲兵提督の無人島鎮守府記   作:休日ぐーたら暇人

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書いといてなんだか……凄い事に足を突っ込んだ気がする…。


17 発端

1週間後……パラオ鎮守府担当区域内のある海域 通商航路上

 

 

日本海軍の鎮守府展開により比較的安全な海域になりつつあったパラオ鎮守府担当海域のある通商航路を大型客船が航行していた。

客船は『サフラン』号、深海棲艦の出現によって航行制限されていたが、航路の安定化によってサフラン号はパラオに向かって航行していた。

 

 

「化け物がこの付近から消えてよかったですね、船長」

 

 

「うむ……まあ、化け物…と言うには少し引っ掛かるがな」

 

ブリッジに立つ一等航海士と熟練者の船長はそんな会話を交わしている。

 

 

「深海棲艦を化け物と言う表現以外に的確な表現がありますか?」

 

 

「では、なんで『深海棲艦』と呼ばれるのかな? 色々あるが、中には彼らを『昔沈んだ軍艦や船舶の怨念』と言う声もあるぞ」

 

 

「…………」

 

船長のその言葉に一等航海士は黙る。

何故なら、船乗りと言うのは『縁起』を気にする職業であり、人種だからだ。

 

 

「せ、船長! レーダーに異常が!」

 

レーダーを見ていた二等航海士の悲鳴の様な報告が入った。

 

 

「なに!? くっ、近くの鎮守府に…」

 

 

「そ、それが…通信も妨害されて……あっ、レーダーに何かが…えっ?」

 

レーダーには高速で至近距離から近付く物体が映っていた。

 

「船長! あれは…」

 

 

「…バカな! なぜ彼奴らが…」

 

次の瞬間、サフラン号に激しい衝撃がはしった。

 

 

 

 

 

 

攻撃により激しく燃える『サフラン』号。

これを海面から眺める4つの目があった。

 

 

 

 

3日後……無人島鎮守府 通信小屋

 

 

 

「ですから、そんな事を言われても……はあ!? まるで我々が原因だと仰るんですか!? そんな事まで責任なんて取れません!!」

 

通信小屋の中で通信相手に喧嘩腰の発言をする能義崎。

これを通信小屋の外であきつ丸が眺めていた。

 

「……提督はどうしたんだ?」

 

そこに哨戒の為に羽黒らを連れて出撃を伝えに来た那智があきつ丸に問うた。

 

 

「実は……横須賀鎮守府より、3日前の一件で通信が入りまして…20分前からあの状況なのであります」

 

 

「あぁ、サフラン号の一件だな…だが、それと提督と何の関係があるんだ?」

 

 

「パラオ鎮守府司令部曰く『無人島鎮守府の活動で逐われた深海棲艦が担当海域に逃げて来て暴れている』…との事らしいのであります」

 

 

「……確かにそれは言い掛かりだな」

 

 

「はい。しかも、最近パラオ鎮守府は深海棲艦の襲撃で単独行動の客船や貨物船、タンカーが撃沈されているでありますからね」

「それを自分達が原因と言われている訳か…提督でなくても、文句を言いたくなるな」

 

モニターに向かい激しく言い返す能義崎を見ながら那智が言う。

そして、10分後、漸く通信は終わったらしく、溜め息を吐きながら出て来た。

 

 

「もう、逃げた深海棲艦まで対処してたら、太平洋なんて問題を越えるに決まってるでしょう!」

 

 

「抑えて、抑えて…能義崎殿、那智殿達が来ているであります」

 

 

「えぇ、わかってる…状況は以上の通り。警戒は厳重に。気を付けてね」

 

 

「わかった」

 

振らぬ神に祟りなし…では無いが、これ以上、能義崎に迷惑を掛けられないと思った那智はそう返事を返し、出撃した。

暫くして………

 

 

 

「にしても、司令も大変やな〜」

 

 

哨戒中、真ん中に陣取る龍驤が呟いた。

 

 

「どうしたんですか、龍驤さん?」

 

 

「いやな、羽黒はん。言い掛かりにも対応せなあかん司令も大変やな…と思てな」

 

 

「でも、それが提督の仕事ですから」

 

そう言って神通が会話に入ってきた。

 

 

「確かにそうやな…でも、あの時、司令は一言も『艦娘が』とは言わんかった。前々から解とったけど、司令はウチらの事を信頼しとる…そう思うんよ」

 

 

その会話を聞きながら那智は考える。

自分はドロップ組だが、龍驤や神通などは転属組だ。

その転属組……特に龍驤組……から見れば能義崎提督は信頼の置ける提督だそうだ。

なにせ、龍驤達の前の提督は誰彼問わず聞いているから知っている。

また、実際に大破した自分と泣きながら曳航して来た羽黒を何も言わず受け入れ、何も求めなかった。

なにせ、無人島鎮守府ゆえに余裕など少なく、青葉・古鷹の居るなら大破した那智を修理する必要もなかった。

だが、そんな事を気にせず修理と休養を施した事を考えると……。

 

 

「……やめよう。それを考える必要など…ん?」

 

思考を止め、周りを見渡した時、視界の隅に黒い影が写った。

「イ級型駆逐艦発見!」

 

浜風の声が響いた。

 

 

「全艦砲雷戦用意!」

 

そう言いながら敵イ級に視線を向ける……その瞬間、何か解らないが違和感ば過った。

 

 

(……なんだ? 何かが感覚的におかしい)

 

内心、何か解らない疑問に疑問符を浮かべながらイ級を睨み続ける。

そして、砲戦を開始しようとした時……

 

 

「ま、待って下さい!」

 

止めたのは潮だった。

 

 

「どうしたの、潮ちゃん?」

 

 

「あのイ級、私達を見付けても、何もしてきません」

 

羽黒の問いに潮が答える。

確かにイ級はこちらを見たまま、攻撃態勢にも入らず、なにもしてこない。

 

 

「……まあ、確かに彼方さんはやる気は無いみたいやな」

 

 

「では、何かの罠でしょうか?」

 

 

「…………(罠…にしてはイ級が単独? 余りにもおかしな罠だな)」

 

周りがヤイヤイと騒ぐ中、那智はイ級を見続ける。

するとイ級はクルリと反転し、前へ進んで行く。

 

 

「……何がしたかったんや、あのイ級は?」

 

 

「………追うぞ」

 

 

「「「「「え??」」」」」

 

那智の言葉に誰もが驚いた。

 

 

 

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