女性憲兵提督の無人島鎮守府記   作:休日ぐーたら暇人

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遅くなり申し訳ありませんでした。
なお、来週は更新出来ないかもしれません。ご了承下さい。


20 確証得たり

8時間後……

 

 

「スクープ! スクープ!! スクープ!!」

 

 

「青葉さん! 少しは後ろも考えて下さい!」

 

 

「青葉の奴…何時になったら止まるんだよ!?」

 

 

「れ、レディは疲れないのよ!」

 

 

「「………」」

 

未だイ級を追う青葉、止めようとする古鷹、愚痴る木曾、痩せ我慢をする暁、何も言わない響と弥生。

彼女達は休みなくイ級(を追う青葉)を追っていた。

 

 

「古鷹、青葉は何時諦めると思う?」

 

 

「……後ろから主砲でも当てれば止まるかな?」

「おい! ブラックになるな、古鷹!!」

 

 

青葉をよく知る古鷹だからこそ、それくらいやらないと止まらない事を知っている。

故に主砲を向けようとするが、木曾が止める。

 

 

「あぁ、ちきしょう! もうパラオ鎮守府の領域に入ってるしな……どうしろって言うんだよ」

 

 

「とりあえず、休憩はしたいわね…無理だけど」

 

 

「なんだ、暁はお腹が空いたのか?」

 

 

「れ、レディが(グゥ〜〜)………」

 

暁の反論は自身のお腹の虫が表現したので中止された。

 

 

「さて……ん? イ級が進路を変えた…な」

今まで真っ直ぐにしか進んでいなかったイ級2隻が進路を右側に変えた。

イ級の向かう先には小島の群島があった。

 

 

「う〜ん……あれは本命ではありませんね〜。休憩でしょうか?」

 

 

「当たり前です。8時間もぶっ通しで進んでいたんですから」

 

 

「つーか、青葉、お前はイ級の心が読めるのかよ?」

 

そんな会話を交わしつつ、青葉達はイ級を追って群島に向かった。

 

 

 

 

「う〜〜〜〜ん…疲れましたね〜」

 

 

「「「「「それより御腹空いたよ!!」」」」」

 

とりあえず上陸し、砂浜に寝転ぶ青葉達6人。

青葉の言葉に古鷹達が総ツッコミを容赦無しに入れる。

 

 

「古鷹〜、ここは何処だ?」

 

 

「えーと……パラオ鎮守府担当領域、東方小島群の1つである小島…となってます」

 

 

「そうか……あ〜、腹減った〜〜」

 

大の字に寝転びながら木曽が呟く。

それは当然。なにせ、朝食以降なにも口にせず、8時間以上も追跡していたのだから。

 

 

「困りましたね…このまま追跡を続けるのは難しいですし…」

 

 

「いえ! スクープが目の前に有るのに諦めるなんて…」

 

 

「あのな……お前も燃料はからっけつだろう? しかも、休息無しって無理があるぞ」

「……とりあえず、何か食べたい」

 

 

弥生の一言に青葉以外の艦娘は空を見上げる。

その時………

 

 

「……あの、大丈夫ですか?」

 

その声に青葉達は振り向いた。

 

 

 

 

「……それで、この状況でありますか?」

 

 

「……はい」

 

連絡を受け、能義崎が憲兵隊の伝を使って用意したUS-2飛行艇を使い到着したあきつ丸は古鷹の返事を聞き、古鷹の背後の光景に苦笑いを浮かべる。

軍用レーションを空け、空き殻を山と積む、がっつく木曽達が居た。

 

 

「それで霰殿、この物資は?」

この島の主……駆逐艦霰にあきつ丸は問う。

 

 

「島の倉庫にあった物だから大丈夫。他にも燃料、弾薬、鋼鉄、ボーキサイト…一通りの物はあるから」

 

 

「……ちなみに霰殿の提督は?」

 

 

「私の提督? 提督は…ここには居ない。パラオ鎮守府に居る。ここは備蓄倉庫。私は管理人…かな?」

 

 

「備蓄倉庫でありますか…出来ればお名前を伺いたいのでありますが…」

 

 

「名前? 名前は……」

 

 

 

暫くして……

 

 

『なるほど、事情はわかったわ。霰の提督だけど、物資の不正横流しの件で捕まってるから、彼女の命令は解除ね』

 

「では、こちら側に引き込んでも問題は無いでありますね?」

 

一通りの事情を確認し、あきつ丸は能義崎に報告した。

 

 

『えぇ、そっちの物資は私が報告しておくわ。ところで皆の様子は?』

 

 

「鳳翔殿のお弁当を見たとたん、そっちにがっついたので…問題は無いであります」

 

 

『そう…イ級は?』

 

 

「イ級は律儀に此方を待っているであります。まあ、彼等も休息中だと思いますが」

 

 

『……ほんと、今の状況だと敵味方がバラバラね』

 

 

「それは憲兵時代に覚悟づみであります」

 

 

『そうね……そこを一時的に拠点として、そのままイ級の追跡を続けて』

 

 

「わかったのであります。では、また何かあれば連絡するであります」

 

 

 

無人島鎮守府

 

 

「ふう……後は確実な何かがあればね」

 

あきつ丸との通信を終えた能義崎はそう呟いて椅子に凭れかかる。

今回の一件はほぼほぼ自然的な流れで動いている為、越権克つ独走状態だった。

 

 

「きっかけよ…小さくても何かきっかけがあれば…」

 

そのきっかけが見付からず、少しイライラしかけた時、鳳翔が執務小屋へ入って来た。

 

「提督! あの男の子の意識が戻りました!」

 

 

「意識が…話は聞ける?」

 

 

「はい、少しなら」

 

 

「じゃあ、少し話を訊きましょうかね」

 

そう言って能義崎は執務小屋を出て男の子の居る隊舎の一室に向かう。

そこには龍驤と羽黒と話す男の子が居た。

 

 

「あっ、提督。キミ、あのお姉ちゃんがここの提督やで」

 

随分と打ち解けたのか何時もの喋りで提督を紹介する龍驤。

 

 

「この鎮守府の提督よ。早速だけど、ぼく、乗ってたお船の事なんだけど…」

 

 

「ほら、さっきお姉ちゃん達に話してくれた事を話して」

 

「うん! あのね、お船が揺れた時、お母さんとお父さんはシンカイセーカンが襲ってきた、って言ってたけど、船員さんが海賊だ!って言ってたんだ」

 

 

「それは本当なの?」

 

漸く得た証言に内心喜び、興奮しつつ、落ち着いた様子で聞き返した。

 

 

「本当だよ。それに…ほら、これ」

 

そう言って見せたのは子供用の防水カメラだった。

 

 

「これで海賊のお船を撮ったんだ。そしたら、お父さんとお母さんが窓から僕を逃がしたんだ……お父さんとお母さんは大丈夫かな?」

 

 

「大丈夫。無事で居るわ…疲れたでしょう? もう休んでいいわよ」

そう言って能義崎は部屋から出る。

そして、いつの間にか部屋の前に来ていた那智に命じた。

 

 

「那智、鳳翔と羽黒は残留。龍驤を連れて青葉・あきつ丸達と合流して。今回は大事よ」

 

 

「わかった。だが…まさか、海賊とは…」

 

 

「私達の任務は『海を護る事』。深海棲艦であれ、海賊であれ、荒らすなら倒す…それだけよ」

 

 

 

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