女性憲兵提督の無人島鎮守府記   作:休日ぐーたら暇人

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午後に二作目を投稿します。


21 突入

翌日……パラオ鎮守府担当領域内 とある島

 

 

「……あそこが海賊の本拠地ですか〜」

 

 

「まさか、こんな領域内にあったとはな」

 

 

「しかも、装備は重装備であります」

 

 

霰の居た島で那智達と合流後、休息し、日が昇ってから律儀に待っていたイ級を追跡、イ級が止まった島陰から覗くと海賊の本拠地があった。

そして、3人はその本拠地を双眼鏡で偵察していた。

 

 

「いや〜、軍艦にあの本拠地、更にパラオ鎮守府担当領域内…これはますますスクープの匂いぎしますね〜」

 

 

「彼らの武器・弾薬・燃料・食料の事を考えれば後ろ楯がいるのは当然だな」

「まあ、それは能義崎殿と憲兵隊の仕事であります。今はでありますが」

 

イザとなれば艦娘が出ていく……なんて事態ならあきつ丸は憲兵隊所属時代に数回ながら経験している。

 

 

「それは置いておくにして…あの海賊達をどうする?」

 

 

「本来ならば、このまま攻撃を仕掛ければよいのですが…今は担当海域外であります。しかも、証拠がないであります」

 

 

「あっ、あきつ丸さん、あれを見て下さい。タンカーですよ」

 

 

「本当ですな……ん、あれは……!?」

 

あきつ丸の双眼鏡から見えたのはアサルトライフルを突き付けられた乗組員達だった。

暫くして……

 

 

『そのタンカーは昨夜遅くに消息を絶った物ね。ついさっき報告が入ったわ』

 

「やはり…能義崎殿、ここは…」

 

 

『言わなくてもわかってるわ。今夜『制圧作戦』を実施して。責任は私が持つ』

 

 

「わかったのであります。では」

 

そう言ってあきつ丸は通信をきる。

そして、青葉、那智をはじめとした面々に顔を向ける。

 

 

「能義崎殿より許可が出たであります。今夜、我々は海賊の根拠地に夜襲を仕掛けるであります」

 

 

「夜襲ですか…私達の十八番です」

 

 

「久々に暴れさせてもらうぜ」

 

神通と木曾が嬉しそうに言った。

 

 

「ですが、今回は深海棲艦ではなく、人間が動かす兵器であります。慎重克つ注意を払ってほしいであります…では、2300まで待機であります」

 

 

 

2130時

 

 

 

「ん…?」

 

近くの小島で仮眠していたあきつ丸は微かに聞こえた発砲音に目を醒ました。

周りを見ると同じく聞こえたらしい那智、青葉、古鷹、神通、木曾も起きていた。

 

 

「微かだが…発砲音が聞こえたな」

 

 

「どこかの船が襲撃されているのでしょうか?」

 

「それにしても、何かおかしくないか?」

 

那智の言葉に神通が応じ、それに木曾が疑問を呈する。

そこに交代で潮とペアを組み哨戒についていた綾波が飛び込んで来た。

 

 

「大変です、あきつ丸さん! あのイ級2隻が海賊の根拠地に夜襲を開始しました!」

 

それを聞いたあきつ丸は那智の方に顔を向ける。

 

 

「那智殿、やりましょう」

 

 

「わかっている。那智戦隊、出撃するぞ!」

 

那智の音頭に青葉、古鷹、神通、木曾を筆頭に次々と海賊の根拠地に向かって行った。

 

 

「では…我々も行くであります、龍驤殿」

「了解や〜。ウチの艦載機達を久々に暴れさせてもらうで〜!」

 

龍驤と弥生、霰を連れ、あきつ丸も根拠地へと足を向ける。

 

 

 

その頃……海賊の根拠地内のある部屋

 

 

 

「うぅ…なんだろう?」

 

Z1ことレーベレヒト・マースは硬い床に敷かれた布団の上で揺れを感じて起き上がった。

しかも、その揺れは次第に激しく強くなっていた。

 

 

「これは…危ないな。早くここから出ないと…」

 

そう呟いた時、直撃弾が壁に命中し、部屋の一角に大穴をあける。

 

 

「よし、脱出だ!」

 

そう言ってレーベは穴から抜け出した。

 

 

 

 

「各自自由射撃! 周囲の海賊船舶と砲台を凪ぎ払え!!」

 

那智の指示に各々の武器を使い、根拠地内の艦艇や砲台に向かって攻撃を開始する。

施設に関しては人質が居る事を考え、攻撃を控えている。

 

 

「いや〜、記者冥利に尽きますね〜」

 

攻撃を行いながらもデジカメのシャッターを押し続ける青葉。

無論、これは証拠保存の為の写真撮影である。

 

 

「青葉さん! そう言って油断しないで下さい。サボ沖の二の舞になりますよ!」

 

 

「神通、右を頼む。俺は左だ!」

 

「はい! みんな、撃ち方はじめ!」

 

 

青葉に対する古鷹のツッコミの横で木曾と神通が率いる戦隊に指示を出しながら砲撃を始める。

既に先行する形のイ級2隻の攻撃で所々炎上している。

そこに那智達を基幹とする艦娘達が突っ込んで来たのだから、その被害は忽ち鰻登りに増えていく。

更にイ級や艦娘達の夜襲が寝耳に水だった為、何の警戒もしていなかった海賊達の対応は後手に回っていた。

そして、漸く応戦出来る様になっていた時には艦艇の大半は大破していた。

だが、まだ無事な物はある訳で……

 

 

「! 木曾はん! 後ろ!」

 

神通戦隊所属の黒潮が木曾の背後にある健在な速射砲を見て叫ぶ。

木曾はその声に振り向くが速射砲の旋回の方が早かった。

そして……速射砲が砲塔ごと爆発した。

 

 

「……な、なんだ??」

 

 

「えーと…そこに居るのは日本海軍の艦娘ですか?」

 

艦艇の陰から出て来た影…艤装を奪い返し、ここまでやって来たレーベレヒト・マースが木曾に訊いてきた。

 

 

「あぁ…誰だ、お前は?」

 

 

「僕はドイツ海軍駆逐艦Z1ことレーベレヒト・マースです。僕も参加します!」

 

発砲煙を吹く主砲を見せながらレーベレヒト・マースが言った。

 

 

「よし、じゃあ、付いて来い!」

木曾の言葉にレーベレヒト・マースは付いていく。

 

 

 

その頃……施設内

 

 

 

「おい! 止ま…」

 

近付いて来たあきつ丸にアサルトライフルを向けた海賊はあきつ丸の取り出した携帯スコップの柄を顔面に受けてひっくり返る。

 

 

「そんな物で止まる方がおかしいであります…さあ、行きましょう」

 

 

「「「………」」」

 

航空支援役の龍驤、護衛役の弥生と霰は唖然としていた。

 

 

「……なにか?」

 

 

「いや〜、あきつ丸はん…結構やるな〜、思てな…」

 

愛想笑いを浮かべながら龍驤が言った。

 

「まあ、提督直伝の戦闘術でありますから…」

 

 

(て、提督って…憲兵やからな……うん…)

 

内心で納得させている龍驤を尻目にあきつ丸はズンズンと前に進んで行く。

その都度、海賊が武器を向けるがあきつ丸が張り倒していく。

 

 

「……ここであります。やあ!!」

 

ある部屋の前で止まり、力を込めて携帯スコップの先端を鍵の部分にぶち当てる。

艦娘の力もあってか簡単に鍵は壊れた。

 

 

「皆さん! 大丈夫でありますか!?」

 

あきつ丸が扉を開けてそう言うと憔悴しきっていた人質達が顔を上げる。

「あなた方を救出に参りました! さあ、出て下さい!」

 

あきつ丸の言葉を聞いて人質達の顔が喜びの表情に変わっていく。

 

 

「それと、誰か責任者は居りませんか? あと、他の人質の居場所は?」

 

 

「他の人質も付近に居る筈だ…ただ、我々は接触しない様にされていたからな」

 

人質の1人が答え、あきつ丸が頷く。

 

 

「龍驤殿、霰殿と弥生殿を連れて人質達の誘導をお願いするであります」

 

 

「了解や。けど、捜索は1人でええんか?」

 

 

「大丈夫であります…憲兵でありますから」

 

そう言ってあきつ丸は携帯スコップを持って走り始めた。

 

 

 

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