女性憲兵提督の無人島鎮守府記   作:休日ぐーたら暇人

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二作目です。


22 結末

翌朝………海賊の根拠地

 

 

日が昇り始めた時、能義崎から連絡を受けたパラオ鎮守府憲兵支部から慌てて駆け付けて来た憲兵隊に那智達は拘束した海賊達と救出した人質達を引き渡した。

なお、憲兵隊は独自の戦力を持っており、国外鎮守府の憲兵隊支部には当然の如く戦闘艦船が配備されていた。

 

 

「では、後はお願いするであります」

 

 

「わかりました。能義崎提督によろしくお伝え下さい」

 

手続きを知っているあきつ丸が憲兵隊の指揮官に申し送りを行い、全てを託し終えた。

そこから別れ、疲れ果てている艦娘達を見ながらあきつ丸は歩いていた。

大半の艦娘…主に駆逐艦…は余程疲れているのか、野外にも関わらず仲間達と添い寝し、寝息を発てている。

これを那智、古鷹、神通が毛布を掛けていた。

 

 

「お疲れ様であります。皆さんも休んでほしいであります…木曾殿は?」

 

 

「木曾なら、暁と響を探しに行ったぞ」

 

 

「そうでありますか…では、少し探して来ます」

 

 

「私も同行しよう。念のためにな」

 

 

「ありがとうございます…古鷹殿と神通は終わり次第お休み下さい」

 

 

「「わかりました」」

 

古鷹と神通の返事を聞いたあきつ丸は那智を連れて探し始めた。

 

 

「えーと……お、いたいた、おーい!」

 

暁と響を探していた木曾は湾内の撃破した艦船の一角に居る暁と響を見付け声を掛ける。

しかし、2人は気付いて無いのかそっぽを向いたままだった。

 

 

「おい、暁、響。どうし…」

 

2人の視線の先に居たのは……体のあちこちに被弾し、見るからに重傷を負っている『あの』イ級2隻だった。

 

 

「き、木曾! お願い、このイ級を助けて!」

 

 

「お願いだ、木曾。私からも頼む!」

 

暁と響の切実な訴えに木曾も何とかしたかったが…どう見ても助かりそうになかった。

「……ありがとうな。お前らのお陰だ…感謝するぜ」

 

そう言って木曾はイ級の頭部を撫でてやる。

その言葉と行為に暁と響はこのイ級の状態を把握する。

そして、木曾が離れると暁と響はそれぞれのイ級に寄り添い大声で泣き始めた。

 

 

「………っぅ」

 

 

「木曾殿は優しいでありますね」

 

そう言ってあきつ丸と那智がやって来た。

 

 

「……見てたのかよ」

 

 

「お前と暁、響を探していな。まあ、偶々だ」

 

 

「……人が悪いぜ、那智」

 

 

「まあまあ…それより、あれでよいのでありますか?」

そう言ってあきつ丸は暁達の方を見る。

 

 

「あの状態で今まで保ったのが不思議な事ぐらいだ…何の手の施し様もないぜ」

 

 

「そうでありますか……那智殿、我々が居ても邪魔であります。行きましょう」

 

 

「あぁ……出来れば私も礼を言いたかったが…今や無理みたいだな」

 

 

「自分もです…さあ、戻りましょう…」

 

か、と言おうとした時、暁と響が居る場所が光輝いた。

 

 

 

1週間後………無人島鎮守府

 

 

 

「まあまあ……デカデカと載ってるわね」

 

『憲兵隊新聞』と『海軍提督公報』の2つの新聞を拡げながら能義崎が呟いた。

一面には『パラオ鎮守府中堅提督、逮捕される』と題名がデカデカと書かれていた。

内容はパラオ鎮守府のとある中堅提督が裏で海賊と手を結び、私腹を肥やしていた……との事だった。

 

 

「逮捕後、さっそく裁判を開き、直ぐに捜査終了後の死刑判決が出たとか」

 

秘書艦の那智が記事に目を向けながら呟いた。

 

 

「えぇ…まあ、前々からマークされてた訳だし、今さらな話だし…なんと言っても証拠をバッチリ憲兵隊が抑えていた訳だから、言い逃れも出来ないでしょう」

 

憲兵隊だった訳だから、能義崎はその詳細をよく知っているのだが、ここでは話題にしない事にした。

「それにしても……またウチの人員が増えたわね」

 

那智の手伝いをしている霰、Z1を見ながら呟く。

 

 

「Z…レーベ、本当によかったのか?」

 

 

「はい。ここなら、上手くやっていけそうな気がしたんで」

 

Z1ことレーベレヒト・マース…レーベ…はそのまま無人島鎮守府所属になってしまった。

もともとドイツから単身日本へやって来る途中で海賊に捕まってしまったレーベ。

そして、そのまま無人島鎮守府の一員に収まっていた。

 

 

「まあ、ドイツ艦が仲間になるとは思ってなかったけどね」

 

 

「えへへ…ありがとうございます」

能義崎の言葉にレーベが答えた。

 

 

「それに…鎮守府も賑やかになったしね」

 

そう能義崎が呟いた時、パタパタと外から駆けて来る音と賑やかな話声が聞こえてきた。

 

 

「帰ってきたわよ、司令官!」

 

 

「帰ってきたのです、司令官」

 

 

「ただいま、提督」

 

 

「レディが帰ってきたわよ」

 

雷、電、響、暁がワイワイと入って来た。

その後ろから羽黒と木曾…今回の哨戒隊の旗艦と副旗艦…が続けて入って来た。

 

 

「異常は無かった?」

 

 

「あぁ、無かったぜ。まあ、この賑やかな面々がいたから退屈はしなかったけどな」

 

 

「はい。電ちゃんと雷ちゃんが居て楽しかったです」

 

 

ニコニコと語る羽黒に那智は苦言を言おうとしたが……暁四姉妹の前ではそれを言う気にはならなかった。

 

 

「そう、お疲れ様。後はゆっくりしてね」

 

 

「「「「は〜い」」」」

 

暁四姉妹が返事をして出て行く。

その時、入れ違いにあきつ丸が入って来た。

 

 

「今日も第六駆逐隊は元気克つ賑やかでありますな」

 

 

「えぇ、そうね…ねえ、みんな、電と雷が入って来てよかったと思うんだけど…どう思う?」

 

 

「……いま思えば、あのイ級が電と雷だった事に頷けれる私は大丈夫なのか?」

 

「いや、それは…大丈夫だと思うぞ」

 

 

「那智姉さん、それは私も同じですから」

 

雷と電……この2人はあの海賊の根拠地で瀕死だったイ級だった。

あの時にイ級から浄化され、雷と電になった。

そのまま暁と響にこの鎮守府に引っ張り込まれた。

まあ、本人達は四人姉妹の再会だった為、住処の環境などどうでもよかった様だが…。

 

 

「自分も電殿、雷殿が来て頂き、嬉しいであります。あっ、能義崎殿、横鎮の大束中将から今回の一件の報告書の催促が…」

 

 

「はいはい……まったく、報告書の催促は良いけど、ちょっとは補給を増やしてよ」

 

そう愚痴を溢しながら苦笑混じりに事務仕事をこなすのであった。

 

 

 

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