女性憲兵提督の無人島鎮守府記   作:休日ぐーたら暇人

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とりあえず、お約束通りの二作目です。


24 緩やかな変化

二週間後……無人島鎮守府

 

 

「提督〜、て、い、と、く〜…あれ、提督は?」

 

通信小屋に立ち寄り、幾つかの通知書を持って能義崎の居るであろう執務小屋に入って来た木曾は中に那智しか居ない事に気付き、那智に訊いた。

 

 

「提督か? 提督なら…行方不明だ。私も事務報告で来たのだが…この状態だ」

 

那智も困った様子で言った。

そこにあきつ丸が入って来た。

 

 

「おや、那智殿、木曾殿。おはようございます」

 

 

「あぁ、おはよう…あっ、あきつ丸。提督の居場所を知らないか?」

 

 

「能義崎殿ですか? 能義崎殿なら…この時間は射撃の練習だと…」

「「しゃ、射撃の練習…?」」

 

思わず互いに目を合わす那智と木曾。

 

 

「えぇ、今日のこの時間なら、射撃場で射撃の練習でありましょう」

 

 

「ふ、ふ〜ん、射撃の練習な…じゃあ、ちょっと行って来るか」

 

 

「私は待たせてもらう。今のところ、急を要するに事は無いからな」

 

 

「なら、射撃場は道なりに行けば着くでありますよ」

 

 

「ありがとう、あきつ丸」

 

そう言って木曾は射撃場に足を向けた。

 

 

 

 

「にしても、射撃か……やっぱり、憲兵だよな〜」

 

射撃場に向かう道途中で木曾は呟いた。

木曾が聞いている限り、憲兵である能義崎が軍用携帯スコップの使い手である事は知っている。

では、射撃の腕は…と訊かれると木曾は知らない。

あきつ丸は知っているかも知れないが…ここは見に行った方が早い。

 

 

「そろそろ…だな」

 

道の先から乾いた音が響いてくる。

その音を頼りに音源の方に向かうと、人型標的に向かい9㎜拳銃を的確に撃っている能義崎が居た。

 

 

「あら、木曾。どうしたの?」

 

アイセイフティと耳栓をした能義崎が木曾に気付いて訊いてきた。

 

 

「あ、えーと…上から通知書を届けにな」

 

「そう、ありがとう」

 

アイセイフティと耳栓を外し、プラスチック篭の中に放り込むと鍵つきロッカーの中に仕舞う。

何気無く見たロッカーには篭の他にアサルトライフルも置かれていた。

 

 

「ふむふむ………なるほどね。木曾、戻って幹部メンバーを招集してくれる」

 

通知書を一通り読んだ能義崎が顔を上げ、木曾にそう言った。

 

 

 

 

暫くして……食堂

 

 

「みんな揃ったわね。では、幹部会議を始めます」

 

普段であれば駆逐艦達を含めた艦娘達の食事の場である食堂は会議室になっていた。

なお幹部会議のメンバーは秘書艦あきつ丸、那智、羽黒、青葉、古鷹、鳳翔、龍驤、木曾、神通に能義崎を含めた10人である。

「木曾が持って来た通知書によると、北方方面で深海棲艦に大きな動きがあったそうよ。主に戦艦タ級、空母ヲ級を含む艦隊による威力偵察、水雷戦隊による対潜哨戒の強化等ね」

 

 

「それはつまり、敵が北方方面からの攻勢を意図している…と言う事ですか?」

 

能義崎の読み上げに古鷹が意見を言う。

これに那智が反論する。

 

 

「にしては此方に動きが知られ過ぎている。北方の動きを囮にして、他方面から来るとも考えられる」

 

 

「上層部もその2つの意見で分かれて論戦中よ。とりあえず、各鎮守府に対する注意喚起と警戒・哨戒の強化通知ね」

 

 

「それだけなんか?」

 

龍驤がが訊いてきた。

 

 

「後はね…そうそう、新しく艦娘がこっちに回される様ね。軽巡が2隻」

 

 

「増えるのは良いでありますが、問題は生活スペースであります。まあ、この前拡張されましたから、問題は無いと思いますが」

 

 

「あきつ丸、ちょっと辛辣よ」

 

 

「現状を考えてほしいだけであります。まあ、前々から軽巡の増加は望んでおられたので、よいのでありますが」

 

 

「あぁ〜、あきつ丸は最近の感心が自分に…」

 

その瞬間、何処からともなく軍用携帯スコップが飛んできて、青葉の顔の直ぐ横を飛び、壁に突き刺さる。

 

「……あきつ丸さん、怖いです」

 

被っている軍帽で少し顔を隠しながら青葉を睨むあきつ丸に羽黒がオドオドしながら言った。

 

 

「あきつ丸、やり過ぎ。青葉は口に出しすぎ」

 

 

「あはは……はい」

 

 

「とりあえず、今のところはこれだけよ。じゃあ、解散」

 

と言う事でお開きになった。

 

 

 

その頃…………第六駆逐隊

 

 

 

「「「「…月月火水木金金!」」」なのです!」

 

……無人島周辺の近海哨戒に出ている第六駆逐隊は軍歌『月月火水木金金』を陽気に歌いながら哨戒していた。

そんな陽気な哨戒も響が視線を別の方向に向けた事でお開きになった。

 

 

「どうしたの、響?」

 

「姉さん、あれ」

 

暁の問いに響はそう言って視線の先を指差す。

そこには何故かあちこち損傷しながらも出し得る速度を出して向かってくる艦娘が2人居た。

 

 

「敵に追われているのかしら?」

 

 

「で、でも、敵の姿が見えないのです」

 

 

「潜水艦に決まってるでしょう! 行くわよ!」

 

暁の声に響、雷、電も一斉に最大速で走り始める。

ほぼ目と鼻の距離だった為に直ぐ到着した。

 

 

「姉さん、測音開始するよ」

 

 

「わかったわ。お願い、響」

 

ソナーを使う為に速度を落とし、耳に全神経を集中する響。

そして、ソナーは一発で位置を示した。

 

 

「数は3…現在潜望鏡深度…方向は9時、12時、3時!」

 

 

「電は9時、12時は私、3時は雷よ。掛かれ!」

 

暁の指示に雷と電は頷く担当位置に向かいソナーを使い、爆雷を投下していく。

潜水艦を暁達に任せ、響は潜水艦に追われていた艦娘に接近した。

 

 

 

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