本日も午後には二作目を投稿します。
その日の夜……食堂
「あ〜、疲れた〜」
「あはは…1日中、哨戒やったからね〜」
哨戒任務を終えた木曾と龍驤が本当に疲れた表情で食堂に入って来た。
すると食堂の一角が妙に賑やかだった。
「なんだ、チビ達か…どうしたんだ?」
賑やかな輪の中心が第六駆逐隊の面々だった為に何の躊躇いもなく第六駆逐隊に声をかける木曾。
「あ、木曾さんなのです」
「お疲れ様、木曾さん」
「お疲れ様。この子と一緒に食事を食べていたんだ」
「下の子を世話するのはレディにとっては当たり前なんだから」
暁の何時もの言葉は頭を撫でて対応しつつ、第六駆逐隊の真ん中で鳳翔さんの夕食を食べる少女を見る。
木曾とて解る…頭から足まで白い少女…深海棲艦であると。
しかし、この第六駆逐隊と鳳翔の夕食、そして、周りがもの珍しそうに眺めている事から、最低限、提督である能義崎は知っている事を示している。
「それで、この子の名前は何なんや?」
横から龍驤が聞いてくる。
「ホッポセーキ」
一生懸命に鳳翔さんの美味しい夕食を食べていた白い少女……北方棲姫が答えた。
「なんや〜、喋れるんか。木曾はん、わてらも食べよか」
「ん、あ、あぁ、そうだな。鳳翔さ〜ん、俺達にも夕食〜」
「はいはい。ちょっと待っていてね」
その頃……執務小屋
「提督! あれ…いや、ホッポセーキはいったいなんだ!?」
あきつ丸から報告を聞いていた所に那智が飛び込んで来た。
「あぁ、やっぱり…その事なら、ちょうど報告を受けたところよ。あきつ丸」
「はい。最近の軍の資料を調べたところ、『新種』の欄に登録されていたであります」
そう言ってあきつ丸は報告書を挟んだバインダーを那智に渡した。
「名称は『北方棲姫』。アリューシャン方面などの北方方面に存在が確認されたので、その名称になったそうですが…写真はそのボヤけた物しか無いであります」
戦闘の合間に偶然に撮られた物らしく、その姿はボヤけ過ぎていて、漸く身長が解る程度だった。
しかし、ついさっき実物を見た那智にとってこのボヤけた写真でもよかった。
「提督、これでハッキリした。それで、あの少女をどうするつもりだ?」
「どうするって…当分は私達が預かろうかなっと…」
「あ、預かろうって……まあ、提督はそう言うお方だからな」
「ふふふ、それに那智、貴女もよ。北方棲姫なんて…」
「ちゃ、ちゃんとした名前が有るかなら…それに…」
「雷、電の一件でありますな。それなら自分もであります」
「決まりね。それに北方方面の動きも解決するかも知れないわね」
「……どうゆう事だ?」
「あくまで推測だけど…北方方面の動きは北方棲姫…ホッポちゃんを捜しての事だったなら……なんてね」
「「……………」」
「なんで、黙っちゃうの?」
「いや、さすが提督…と思ってな」
「突発的な思考であります」
「まあ、とりあえず、ホッポちゃんの話はおしまい! 解散!」
……とりあえず、対応が決定したので解散とあいなった。
夜11時頃……隊舎内
「まあまあ……早速仲良くなったみたいね」
あきつ丸と共に消灯後の見回りをしていた能義崎は第六駆逐隊の部屋で寝息をたてているホッポちゃんと第六駆逐隊、そして、木曾と龍驤が一緒に輪になって寝ていた。
「本当に…まあ、木曾殿や龍驤殿は世話好きでありますからね」
「えぇ、そうね…でも、このままだと風邪をひいてしまうわね」
何も被らずにスヤスヤと寝ている7人を見て能義崎とあきつ丸は出来る限り静かに毛布を被せてあげた。
「さて…もう少し見回りを続けましょう」
「そうでありますね」
そうして2人は見回りを続けるべく静かに部屋から出た。
翌朝……執務小屋
「さて、神通、今日は川内と那珂を連れて担当範囲の案内をお願い。同行は…そうね、黒潮、舞風、レーベで」
「わかりました。では、言ってきます」
そう言うと神通は執務小屋から出ていった。
「……気のせいか? 少し微笑んでいた様に見えたが…」
「昨夜も遅くまで姉妹と話していた様であります…離れ離れになっていた姉妹が再会出来たのが余程嬉しかったのでありましょう」
「……まあ、仕方無いか。ホッポちゃんの事も解決しているし、後は祥鳳・瑞鳳の事か」
「ホッポの事がなんだって?」
那智の言葉に偶々ホッポを肩車した木曾が龍驤、第六駆逐隊の面々と共に入ってきた。
「いや…それは終わっているからな。それより、なんだ?」
「いや、ホッポが提督のところで遊びたいって」
「あぁ、そう言う事、なら、いいわよ。ただ、執務の邪魔に成らないようにね」
「まあ、そうなるでありますね」
「本当に大丈夫だろうか?」
そんな事を言いつつ、口は密かに笑っていた那智だった。
暫くして……
「た、大変です! 提督!!」
そう叫んで羽黒が執務小屋に入って来た。
その時、執務小屋では執務をする能義崎、それを助けるあきつ丸、それを手伝う那智、そして、遊びながら手伝う木曾、龍驤、第六駆逐隊、ホッポが居た。
「どうした、羽黒? まさか、敵が…」
「え、あ、違うの、姉さん。提督、祥鳳さん、瑞鳳さんが目を覚ましました!」
「そう、じゃあ、さっそく行くわよ」
隊舎内病室
ドックで修理を終えた祥鳳・瑞鳳が収容されていた病室。
そこには鳳翔が2人にお粥を奨めていた。
「鳳翔さん、お話は大丈夫?」
「短時間なら大丈夫ですよ」
「そう、ありがとう…私がこの鎮守府の提督、能義崎中佐よ」
能義崎の自己紹介を聞いた祥鳳・瑞鳳はお辞儀をするだけで何も言わない。
「祥鳳さんと瑞鳳さんでいいわね? なんであの海域にいたのか聞かせてもらえるかしら?」
この質問にもまるで貝の様に口を閉ざしている為、答えてくれない。
「……じゃあ、質問を変えましょう。なんで艦載機が互いに艦攻の矢1本しか無かったの? 戦闘で損耗したの?」
「「…………」」
……またも沈黙を貫く2人。
「……まさかとは思うけど、黙っている理由は脱走してるから?」
ここまで黙る理由はそれぐらいしかない…憲兵の勘が告げていた。
そして、それを示すかの様に2人の顔は青くなっていた。
「……そう、無理に事情を話してもらう必要はないわ。話せる様になってから話して。龍驤、手空きの子を使って空母隊舎の一室を片付けてくれる?」
「了解や、提督」
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