夕立 艦娘
所属 横須賀鎮守府 南方方面分遣隊(元佐世保鎮守府)
無人島で出会った艦娘。
元は佐世保鎮守府所属であったが、所属提督が憲兵に逮捕された為、能義崎が預かる形で無人島鎮守府所属となる。
あきつ丸ほどとはいかないものの、実戦経験があり、鎮守府の貴重な戦力である。
3日後………無人島
「やっと来てくれたでありますね」
「えぇ…一時はどうなると思ったけどね」
補給航路哨戒を続けていたいた能義崎達に昨日の夜、『必要機材と物資、艦娘1人を派遣する』と連絡があった。
そして、その連絡通り、機材・物資を積載した輸送船と駆逐艦と思われる艦娘が遣って来た。
「今日の晩御飯はご馳走ぽい?」
「夕立、それは早急だと思われるであります」
「そうね…ほら、新しい仲間が来たわよ」
能義崎の言葉通り、輸送船に同行していた艦娘が此方に遣って来た。
「陽炎型駆逐艦の黒潮や。よろしゅうな、司令はん」
「ここの提督の能義崎歩弥よ。まあ、何も無いし、新米だけどよろしくね」
「あはは…ほんまに聞いた通りの無人島やな…あっ、司令はんに会いたいって妖精はんがおるんやけど?」
「私に?」
そう言った時、黒潮の右肩に2人の妖精が登って来た。
「「御久シブリデス、能義崎少佐」」
「あなた達は…呉鎮守府の一件で助けた工厰長妖精とドック長妖精!」
とある一件で呉鎮守府所属の提督を捕縛した時、この2人とその下で働いていた妖精達は疲労困憊の状況だった。
何故なら、捕縛した提督の罪状が『ブラック稼働』……つまり、ブラック鎮守府に化していたからだ。
そんな状況だからこそ、捨て艦が当たり前の上、妖精達の扱いも酷かった。
そこで能義崎は自分が出来る範囲で妖精達に休養を取らせ、新たな配置先も探し出してあげた。
まあ、この時、何かの手助けになればと元提督の備蓄物資・資材から妖精達が幾らかちょろまかしたのも黙認したのだが…。
「2人共、あっちはいいの?」
「我々モ手持チブサタデシタカラネ」
「ソレニ、提督ノ事ヲ話シタラ快ク転属届ケヲ出シテクレマシタ」
「そうですか…でも、見ての通りの状況ですし…それにドックも工厰もありませんよ?」
「ソレハ我々ニ任セテ下サイ」
「餅ハ餅屋デス。ソンナ物ハ造ッテミセマスヨ」
「じゃあ、お任せいたします。さて、今日は出撃を止めて、鎮守府整備に掛かりましょう」
「「「了解や〜」ぽい」であります」
3人の返事を聞いて能義崎はさっそく作業に掛かった。
2時間後………
「ふぇ〜〜、穴堀ってキツいねんな〜」
スコップを地面に突き刺し、疲れた様子で黒潮が嘆いた。
「そうでありますか?」
その横で慣れた手付きでスコップで穴を掘るあきつ丸。なお、2人はイザと言うときの避難場所である防空壕を掘っていた。
「それにしても、寝床が擬装網を張ったテントって凄いな〜」
「陸軍では当たり前みたいなものでありますから」
「う〜ん、早よう宿舎建てなあかんな〜」
「それは言えているのであります…さあ、掘り進めるでありますよ」
「はいな〜」
……こうして2人は防空壕を掘り進めていく。
その頃………
「うわ……」
「妖精の力は聞いていたけど……凄いわね」
工厰長妖精・ドック長妖精が率いてきた妖精達が忽ち司令部とドック、宿舎を造っていく。と言っても司令部と宿舎は木材の小屋であるが…。
「ところで、ドックは何処にあるっぽい?」
「ドックハコノ近クニアル岩壁ノ洞窟内部ヲ整備シマス。マア、出撃口モ兼ネテマスガネ」
「地上施設はジャングル、出撃口やドックは岩壁の洞窟…正に離島の秘密基地ね。まあ、敵に存在バレると危ないし、当然と言えば当然ね」
自然を利用した鎮守府整備である。
「今日中に何処まで整備出来ますか?」
「宿舎トドックハ今日中ニ完成スル。司令部ト工厰ハ…明後日ニハ稼働出来ルナ」
「明後日か…まあ、ドックは早急に必要ですし、妥当な判断ね」
そもそも施設も何も整っていない状況だったのだから、これだけでも随分と改善している。
「施設整備はこれでいいとして…次は戦力ね。あきつ丸と夕立、今回加わった黒潮の3隻だと余りにも手不足よね」
幾ら後方地域とは言え、空白地帯を埋めるなら3隻では全く手が足りない。
「まあ、それは後で考えましょう…それより、鎮守府整備優先、優先」
ここは割り切って鎮守府整備に専念する事にした。
そして……3日後、施設の整備が終わり、鎮守府が本格的に稼働を始めた。
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