女性憲兵提督の無人島鎮守府記   作:休日ぐーたら暇人

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では、いよいよ、北方へと舞台を移します。
午後に二作目と他作品を更新予定。


31 占守島分駐所

4日後……占守島分駐所

 

 

先方からの要請の為、航空機移動となった無人島鎮守府の面々。

艤装を含めた航空機で輸送出来る機材を数機のUS-2に分散して全て積み込み、数便に分けて往復して本土の横須賀鎮守府へ送り出した。

その横須賀鎮守府から大湊鎮守府を経由し、占守島へ輸送された。

そして、艦娘29名(+1)、これに提督の能義崎をあわせた30(+1)名が占守島分駐所に到着した。

そして、分駐所の提督執務室では……。

 

 

「無人島鎮守府提督、能義崎です」

 

 

「占守島分駐所提督、マリアです。活躍の方は海軍広報で知っていますよ、能義崎中佐」

「あはは……あれはちょっと…」

 

海軍広報の話を出されて能義崎は苦笑いを浮かべる。

まあ、あれを活躍と言えるかどうかが怪しいが…。

 

 

「それにしてもマリア大佐。なぜ、横鎮所属の私達に指名を?」

 

備え付けのソファーを勧められ、ソファーに腰掛けた能義崎はマリアに訊いた。

 

 

「海軍広報を見たから…と言うだけではもの足りなさそうね」

 

見事なフワフワ白髪を弄りながら答えるマリア提督。

 

 

「16歳で大佐となり、占守島分駐所を預かる方がそれだけで私達を呼ぶ筈がありませんので」

 

 

「ですよね…出生や方針は違えど私と貴女は同じ思いがあると思いましてね」

 

 

「……つまり?」

 

 

「艦娘の事を『兵器』や『物』ではなく、同じく血の通う『人』として見ている……そうではありませんか?」

 

 

「はい、見ています。だから、私は憲兵になった」

 

 

「うふふ、まあ、その事もあって深海棲艦にも情が出てしまうのでしょう?」

 

 

「そ、それは…」

 

まさか、ホッポちゃんの事がこっちにバレてるのか…と思った時、ノックと同時に意外な者が現れた。

 

 

「失礼スルヨ〜。マリア〜、頼マレテタ紅茶ダヨ〜」

 

入って来たのは……尻尾の艤装が特徴的な……戦艦レ級だった。

レ級は両手で御盆を持ち、あの尻尾を器用に使いドアをノックしたのだ。

 

 

「ありがとう、レ級。驚かせてしまいました?」

 

平然と当然の様に話すマリアに能義崎は慌てて答える。

 

 

「え、えぇ! 大丈夫です! はい! 本当に大丈夫です!」

 

 

「マリア、コノ提督ハ大丈夫ナノ?」

 

能義崎を見てレ級がマリアに訊いた。

 

 

「大丈夫、大丈夫。能義崎さん、そちらも深海棲艦が居るのかしら?」

 

マリアの質問に能義崎はお互い様だと思い答えた。

 

 

「はい、北方棲姫…ホッポちゃんが。一月程前の嵐で流れ着いてきたのでそのまま居着きました」

 

「ウチのレ級と似ていますね。レ級は流れ着いてから、自分の足で分駐所に来てしまいましたけど」

 

 

「アー! マリア、酷イ! ソコマデ話サナクテイイジャン!」

 

……どうやら、マリア提督とレ級は仲良しの様だ。

 

 

「さて、今回の要請に関してだけど」

 

 

「あっ、そうですね。それで、何の為に私達が?」

 

 

 

占守島分駐所 隊員食堂

 

 

 

「輸送部隊の護衛と哨戒部隊と支援部隊の編成…でありますか?」

 

 

「えぇ、そうよ」

 

こちらではあきつ丸と叢雲の秘書艦同士の打ち合わせが行われていた。

 

 

「ウチの分駐所は少数精鋭なの。だから、普段なら事足りる事も忽ち足りなくなるわ」

 

 

「それで護衛任務や哨戒任務に慣れた我々が呼ばれた…と言う認識で良いでありますな?」

 

 

「えぇ。1ヶ月程前の北方での異変から今日まで、威力偵察と思われる侵入のみよ。でも、何故か最近、その頻度が増えたのよ」

 

 

「そうでありますか…ちなみにでありますが…」

 

 

「ん、何か…し…ら…!?」

 

いつの間にかあきつ丸のみ膝にちょこんと座っているホッポちゃんを見て叢雲が驚く。

 

 

「北方での異変はこのホッポ殿が居なくなったからでありますか?」

「あ…えっと……まあ、レ級から聞いた話だと、北方棲姫が消えた事もあるみたいね」

 

なんとか自らを落ち着けながら叢雲が答えた。

 

 

「そちらにはレ級が居るでありますか!?」

 

今度はあきつ丸が驚いた。

まあ、当然と言えば当然である。

 

 

「まあ、深海棲艦が居る鎮守府や分駐所なんて、そうそう無いでしょうね…あったら、それはそれで問題有りだけど」

 

 

「確かにそうでありますね…しかし、他の理由とはいったい…?」

 

 

「ウチのレ級は基本的に一匹狼だから、それ以上は解らないわ…まあ、私達がやる事は変わらないけど」

「まあ、慣れない環境に慣れるまでが大変でありますが…頑張るであります」

 

 

「頑張るね…まあ、こっちも頼んだ身だから、そっちの頑張りに期待するしかないわ。それより…問題はウチの提督なのよね」

 

 

「マリア大佐でありますか? 何か問題がある風には見えませんでが?」

 

 

「見た目はね……まあ、それを知った上で私も秘書艦をしてるけど…それにあんた達なら話しても問題なさそうだしね。実は……」

 

 

 

再び分駐所執務室

 

 

 

「マリアはなんでこの分駐所に?」

 

互いに慣れた為、名前で呼ぶ事にした能義崎がソファーに座り猫の様にレ級の頭を膝に乗せ、顎を撫でてやるマリア。

 

 

「異国の故郷と場景や環境が似てるの。それに派閥とかに巻き込まれるのも嫌なの」

 

 

「あぁ、なるほどね」

 

気持ち良いらしいレ級が猫の様に尻尾を振っている……物凄く危なく見える。

 

 

「さて…ウチの面々の紹介がまだね。行きましょうか。レ級、起きなさい」

 

そう言ってマリアはレ級を起こした。

 

 

 

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