女性憲兵提督の無人島鎮守府記   作:休日ぐーたら暇人

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お久し振りです。
約3週間、仕事の関係でドタバタしてしまい、執筆時間もあまり取れず、ここまでずれ込んでしまいました。
なお、今後も仕事の状況によって更新出来ない事がある事をご了承下さい。
出来る限り、活動報告などで事前・事後にお伝えしようと思います。
では、どうぞ。


35 北方環境

その後……占守島鎮守府 提督執務室

 

 

 

「見事にやられちゃったわね」

 

マリアが帰ってきた艦娘達を見ながら言った。

実際、占守島鎮守府の艦娘達は主力隊が全艦大破、長良以下水雷戦隊防止隊は大破・中破半々の判定を受けていた。

 

 

「いえいえ、私達のところは数と支援隊で押しきったギリギリ勝利ですよ」

 

能義崎の言葉は本当だった。

武蔵達と撃ち合っていた主力隊は旗艦那智、青葉、古鷹が大破、木曾は中破、羽黒、那珂が小破。

ただ、叢雲達と戦っていた牽制隊と突入した水雷戦隊は川内と神通が小破した程度ですんでいた。

 

「さて、皆は休んで。夜戦をしたんだから、疲れたでしょう」

 

 

「武蔵、貴女達もよ。もう休みなさい」

 

那智・武蔵達がその指示を聞いて退出した。

 

 

「お互いに実力を見れた様ね」

 

 

「えぇ、でも、私達のところも戦艦が欲しいわね」

 

 

「大丈夫。優しい貴女達の事だから、直ぐに来てくれるわ。それより、貴女達の軽空母艦載機…特に艦戦だけど」

 

 

「零戦52型ね。まあ、今は満足だけど…」

 

 

「そうかもしれないけど…実は開発で余っている紫電改が幾つかあるの。棄てるのも勿体ないし…けど、ウチの分駐所は少数精鋭だから、空母は満杯なのよ」

「能義崎殿、マリア殿の提案を受けては?」

 

横で話を聞いていたあきつ丸が賛意を示す。

 

 

「うーん…まあ、戦力強化になるし、御互いに困る話では無いし…わかった、受けるわ」

 

 

「よかった…さて、細かい事は明日にして、私達も休みましょう」

 

 

「そうね。私達も夜更かしなってしまうわ」

 

 

 

翌日午後1時頃……

 

 

たっぷりと睡眠をとった木曾と第六駆逐隊は占守島分駐所の長良に誘導され、輸送船団へと向かっていた。

 

 

「にしても、やっぱり霧は厄介だな」

 

霧で視界の悪い事にそう呟く木曾。

船団護衛隊は大湊鎮守府から単冠湾泊地経由でやって来る輸送船団と合流すべく向かっているのだが、霧の視界の悪さはその輸送船団を見付ける事すら困難にしていた。

 

 

「そろそろ合流海域なんだけど…あっ、いたいた」

 

霧の中からゆっくりと現れた6隻の輸送船。

その内の1隻から発灯信号が瞬く。

 

 

「『そちらは占守島の部隊なりや?』か…まあ、間違ってはないけどな」

 

信号の意味を読んだ木曾が苦笑しながら言った。

 

 

「向こうは合同部隊であると知らないですからね。さあ、護衛開始です」

 

 

 

先頭を長良、後方を木曾、左右を第六駆逐隊が固めた輸送船団が霧の中を航行する。

6人は電探と音探、己の目に神経を集中し、警戒を続ける。

 

 

『ちなみに長良、こいつに積んであるのは全部、分駐所への補給品か?』

 

 

後方の木曾からの無線通信に長良が答える。

 

 

『いいえ、分駐所と島民への補給品です。それが何か?』

 

 

『いや、分駐所への補給にしては多いな、って思っただけだ』

 

このやり取りを聞いていた暁は自らが護衛する輸送船を見た。

そして……溜め息を吐く。

 

 

(あ〜あ…これぐらいの配給量があれば、鎮守府ももう少しは楽になるのに…)

 

輸送船を見上げてからそう心中で呟き、警戒の為、前を見て横を見た。

そして……一瞬の間が空いて漸く理解した……いつの間にか自分の横に戦艦タ級が居た事に……。

 

 

「……ぴ、ピャャャャ!!」

 

間抜けな暁の悲鳴が響いた。

 

 

 

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