午後には二作目を投稿予定。
暫くして……輸送船団
「やはり、航空機は面倒でありますね」
そう呟きながらあきつ丸は10㎝連装高角砲を撃つ。
時限信管で炸裂した砲弾により、敵機が墜ちていく。
だが、未だに多数の敵機が上空を乱舞していく。
「木曾殿、みんな無事でありますか!?」
「あぁ、夕立達も輸送船団も今のところ無事だ」
装備している25㎜機銃を撃ちながら木曾が答える。
実際、夕立、黒潮、時雨は搭載している12.7㎝連装砲で牽制を行っている。
「此方はよろしいでありますね。では、神通殿達は…」
そう呟きながら神通達の方を見る。
「爆雷投下!」
神通の指示で綾波と潮が次々に爆雷を投下する。
海中の爆雷が連続的に炸裂し、水柱が乱立する。
そんな中で、1ヶ所から油と破片が浮き上がる。
「敵潜水艦1隻撃沈しました」
「了解であります。ですが、敵潜水艦は…」
「魚雷複数! 輸送船に向かいます!」
あきつ丸の言葉を遮る様に綾波が魚雷接近を報せる。
あきつ丸が目を向けると自分達が使う酸素魚雷とは違う雷跡を残す空気魚雷が見えた。
そして、その予想進路を見て……素早く判断する。
「黒潮殿、輸送船に回避指示を!」
「了解や!」
黒潮は冷静に輸送船へ回避指示を出す。
しかし、その輸送船は何故か指示に従わず、そのまま真っ直ぐに進もうとする。
「なっ、気でも狂ったのか!?」
思わず叫んだ木曾の言葉の通りと言うべきか……当然の様に船体側面に2つの水柱が上がる。
「ちっ、手空きは救助を!」
「それは無理っぽい!」
あきつ丸の指示に皆を代弁するかの様に夕立が言った。
実際、木曾達は牽制射撃で手一杯だった。
「神通殿達は!?」
「すみません、敵潜水艦対応で一杯です!」
「ちっ!」
……あきつ丸が余りしない舌打ちを2度連続でする程に状況が悪かった。 ふと、上を見上げると艦爆があきつ丸に向かって降下しようとしていた。
「あきつ丸!!」
それに気付いた時雨が声を挙げる。
そして、敵急降下爆撃機が急降下爆撃に入ろうとした瞬間……何処からか現れた戦闘機が銃撃を仕掛け、たちまち爆散した。
「……あれは味方機?」
緑色の塗装に胴体の日の丸…零戦52型だった。
しかも、何処からか現れたのか、その数は増えていく。
「助かった…のか?」
「そう…ぽい?」
「せやな〜、とりあえず一息吐けるな〜」
「何を言っているんだい。先ずは救助作業だよ」
「そうであります。先ずは…」
『こちら、神通! 敵軽空母、並びに重巡を基幹とする艦隊が接近中!』
敵潜水艦を追い回していた神通達から連絡が入った。
「軽空母と重巡…今まで自分達を襲っていたのはこいつらでありますね」
「にしても、タイミングが悪いぜ。軽空母と重巡の艦隊だろう? あっという間に蹂躙されるぜ」
それを聞いてあきつ丸は顎に手を宛てて考える。
だが、それも考える必要はなかった。
『あっ、敵艦隊に急降下爆撃! 敵軽空母・重巡被弾、大破炎上中…雷撃隊がとどめの雷撃を敢行します!』
「敵艦隊の事は心配しなくてもいいようですね。木曾殿、救助作業に入るであります」
「了解だ」
翌々日……護衛終了海域
その後、何事もなく木曾達は受け渡し海域に到着した。
すると、1隻の船が近付いてきた。
「うわ…ちょっとうちら隠れさせてもらうわ」
そう言うと龍驤達はあきつ丸達の陰に隠れる。
「あれがそうでありますね」
「あ〜、面倒臭いな〜」
「まあまあ、司令はんが来れば終わりやさかい、ここは我慢やて、木曾はん」
あきつ丸達の会話をよそにその船は近付いてくる。
そして、甲板には提督と思われる男が立っていた。
「貴様が護衛部隊の指揮艦か?」
「そうであります。なにか?」
「私はラバウル鎮守府所属の服部少将だ。私へ配分される物資と資材の輸送船はどうした?」
「あぁ…その輸送船なら、提督殿の要らぬ指示のお陰で撃沈しました」
「なに!? またか!! それに『要らぬ指示』とはどう言う事だ!?」
「『艦娘の指示には従うな』…と言われた為、船長以下乗組員達は随分困っておりましたね。まあ、負債は提督殿に来ますでしょうが」
「貴様…まさか、物資も資材も沈めたのか!?」
「まあ、一部は回収しましたが…提督殿の一番欲しいのはこれでは?」
そう言って時雨が持っている木箱を指差すあきつ丸。
「それだ! 早く差し出せ!」
「それは……無理でありますね」
「なに!? 貴様、貴様の提督がどう…「なにか?」……はぁ!?」
いつの間にか服部少将の後ろに居た能義崎。
しかも、服部少将の周りは憲兵達が包囲していた。
「御初に御目に掛かります。彼女達の提督、能義崎少佐です。そして、服部少将。あなたを逮捕します」
「貴様! いきなり現れて逮捕だと!? どう言った権限で…「私は憲兵ですから」……憲兵で提督だと!?」
服部少将の言葉に素っ気なく答える能義崎。
「まあ、そんな事は後ででもいいでしょう。服部少将、あなたを『艦娘の強制動員』並びに『違法薬物使用』『権限私有』の疑いで拘束します。まあ、証拠品は時雨が持っていますしね」
ニコニコとしながら言う能義崎に服部少将は苦しい言い訳を始める。
「こ、これは私を嵌める為の罠だ! 誰かが私を貶める…「うるさいは極悪人! 我の悪行はしっかり見とるで!」…お前は龍驤!!?」
……まあ、それも龍驤の声で破綻した。
「我がわてらを騙して違法物資や薬物輸送をさせてたやろう! 薬物は艦娘に使う物やったしな!」
「だ、黙れ! おい、あの龍驤と高波達は脱走者だ! 早く捕まえ…「証言者は逮捕では無く、保護ですね」…貴様!!」
そう言って能義崎に掴み掛かろうとした服部少将を能義崎は軽く投げ飛ばし、甲板に叩き付ける。
「証拠は揃い、証言者も居る。更に本土の業者は昨日、憲兵隊が強制捜査に入りました。それに『公務執行妨害』の現行犯です。階級並びに権限を現時点を以て剥奪します。連れて行きなさい」
甲板で伸びている服部少将を憲兵達が無理矢理立たせ、足を引き摺りながら連行していった。
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