お花をあげましょモモモモモー!
今日は楽しいクリスマス \Hey!/
あ、読者の皆様。あけましてナマステ!
今年もよろしくお願いします。
高評価・感想ありがとうございます。励みになります。
ミレニアムの生徒会長然り、セクシーフォックス然り、俺のことを評価してくれることは内心嬉しいっちゃ嬉しいのだが、過大評価が過ぎると嬉しいを通り越して困惑するのも事実。
ましてや学力試験の結果だけで優秀扱いされているが、学んだ範囲外の分野はからっきしであり、それ以上を期待されても非常に困るのだ。『指数関数』は人に向けていい武器じゃないし、『複素数平面』はジュネーブ条約で禁止されているのは周知の事実だろう。
長々と持論を展開してみたが、何が言いたいのかって言うと、俺は天才秀才とは比べるべくもないド田舎のガキんちょであり、
「──が、──で、ここに代入すると──になる。OK?」
「なるほど、そうやって解くんですね。さすがオウカくん、とても分かりやすいです♪」
「………」
一般通過文官が諸葛孔明相手に勉強教えろとか無理ゲーなんすよ。
阿慈谷部長の下知のままに、浦和さんへ勉強を教えること早数分。形式上は勉強を教えている雰囲気を醸し出しているが、心ん中では『暖簾に腕押し』『糠に釘』等のことわざがグルグルと渦巻く。
教えることが無意味とか、アイリス並みの不出来な土台とか、そういう問題があるわけじゃない。何が俺の手伝いモチベーションを大きく下げているのかっていると、
「この訳、何か
「そっすねー。コレの42ページ見ながら訳せばいいんじゃないっすか」
「あら、冷たいですね。泣いちゃいますよ」
現在進行形で向かい合うように俺と浦和さんは勉強しているのだが、その距離は普通に近い。彼女の整った顔の細部まで観察できるくらいには、近距離と言える。下江さんから死刑宣告を言い渡されるレベルで。
確かに俺の性癖を激しく揺さぶるようなグラマラスなボディをお持ちのようだが、俺はそんなの一切気にすることなく、スマホであれこれと
「──最初から点数取る気がない上に、既に答えが分かっている奴に何教えるんだよ」
「………」
ミライや桐藤さんからの事前情報というチートを持ち要らずとも、彼女の解答や日々の行動と人となりを知れば、コイツ点数獲る気が微塵もないんやなぁってのが薄々と分かって来る。
そんな相手に時間を割くほど俺は善人じゃねぇし、それなら別のことに注力してた方が遥かに有意義。彼女だって知ってる事柄を、同世代の男子に得意顔で教えてもらいたくはなかろう。
俺は彼女と目を合わさないで、身体の側面を彼女に向けながらスマホを適当にいじる。参考書でカモフラージュしているので、傍から見れば勉強を教えているようにも見える。他メンバーのモチベーションを下げたくはないからな。
「別に手を抜くことを悪いとは言わん。俺だって手を抜くときは全力で手を抜くさ。どうしてんなことを……と詰問する気もない。だから互いに勉強してる
「……本気を出せ、とは言わないんですね。どうしてか聞いても?」
「浦和さんは俺の部下でもなけりゃ家臣でもない。そんな相手に強制する権限を俺は持ち合わせちゃいないからな。それに──やる気ない人間にあーだこーだ言ってもしょうがないやん」
彼女のふざけた行動を、もし同郷のスカポンタン共が意図的にやっているのであれば、俺は猛烈に馬鹿共を批判しただろう。そして馬鹿共も反発し、めでたく大惨事世界大戦の始まりってザマよ。
しかし、その能ある鷹は爪を隠す的なサムシングで、成績を低飛行しているのは浦和さん。補習授業部で一緒になっただけの、いわば『赤の他人』に過ぎない関係。
そのような生徒にガミガミ言って変わるとでも?
彼女には彼女の考えがあり動いており、その真意を俺は知らん。表面上の薄っぺらい説得で曲がるとは思わん上に、そもそも俺が躍起になって変える意味すら見いだせない。俺の仕事は先生のサポートと、トリニティの裏切り者を探すこと(ガン無視予定)だ。
それに、彼女の悩みを解決するのは先生の仕事や。
先生がなんとかしてくれる。(先生の負担増加)(問題放置)(丸投げ)
「んなわけで、他の勉強の迷惑にならない程度によろしく。何か悩みがあるのなら、早めに先生に相談した方がええで」(鬼畜の所業)
「………」
はぇー、カイザーコーポレーションが新しいモデルの武器を製造するらしいやんけ。デザインがめっちゃ好み。こっちに少し斡旋してくれないかな……っと、試作品流してくれるんか。さっすがプレジデントさん、太っ腹。いやー、カイザーコーポレーションと俺たちは
お次はこの試作品を『子ウサギ公園』の面々に性能をテストしてもらって……報酬はこんな感じでどーよ。返信早っ。こんな即OKしてくれるとは……焼肉食べ放題の無料優待券ってスゲー。彼女らがテストして無問題なら、これを
……ん? 調月さんから……えっと、またミレニアムに行かんとアカンの? いやいや、もう俺の意見なんざ参考にならんやろ……でも断りにくいからなぁ。あ、
「一つ、質問してもいいですか?」
「何?」
俺は彼女に顔を向けることはしない。
「自分の生まれ育った環境・選ぶことが出来ない血筋のせいで、望まぬ当主としての責任を負うことに、オウカくんは逃げ出したいと思ったことはありませんか?」
俺は今日初めて
聞き捨てならねぇ発言を耳にしたからだ。
「……どこでそれを」
「すみません、私が無理を言って、アイリスちゃんから聞いてしまいました。最初に言っておきますが、アイリスちゃんは悪くないです。責めるなら私を」
「ちっ、あん馬鹿が」
普段の浦和さんであれば最後の言葉に含みを持たせそうだが、今回は終始真剣な声色で俺に問う。
俺は舌打ちをしながらアイリスを詰る言葉を口にするが、心の中では怒りの感情は微塵もない。どちらかというと『面倒事増やされたわ』と嘆きが強い。アイリスに口止めしなかったのは俺自身だし、アイツの説明じゃ普通の人間は何言ってんのかさっぱりだろうし、つかアイツの説明でここまで理解した浦和さんの理解力に舌を巻く。
それはそれとして、セクシーフォックスといい、俺の個人情報が物凄い勢いで流出している現状はいかがなものかと思うのだが。
「で、質問の答えだっけ? あの馬鹿が何を言いふらしたのか知らんが、それは既に
「……そうでしたか。確かに他人には言いたくないことですよね。オウカくんの気持ちも考えずに、不躾な質問をしてしまいすみませんでした」
すると浦和さんは謝罪の言葉を述べてあっさりと引き下がる。
逆に拍子抜けしたのが俺。
彼女の意図が分からん。じゃあ、あの意味ありげな視線の目的って俺ん家の相続問題を知りたいってコト? いやいやいや、ますます分らんがな。ここの人たちには知らんのも無理はないけど、ウチって特殊なんよ。こんなの何の参考にもならんし、聞いたところで宇宙猫になるだけで徒労に終わるだけやぞ?
つか責任から逃げるって、俺そんな無責任男として認識されたんか。逃げてどうにかなる立場じゃ──
「……あぁ、そういうこと」
そこまで脳内で考え、途中で彼女の質問の『目的』に当たりをつける俺。ミライから『ハナコちゃんは普通の生活にあこがれてる女の子だね。ティーパーティーやシスターフッドとも繋がりがあるけど』という事前情報、桐藤さんからの『彼女はかつて才女だった』という言葉、わざとらしい成績の低さ、俺への質問を気にする素振り。
なるほど、周囲からの期待に耐えきれなくなったか。故に道化を演じているわけね。
だから同じような経験をしているように
正直言って、人選を大いに間違っているとしか思えんが。
そうなると彼女を見る目は自然と変わり、彼女が犯してる
「……えーと、どこから説明すりゃいいんだろう?」
「オウカくん?」
「質問に答える前に断っておくけど、俺は浦和さんの言動が正しいかどうかわからん。確かに、やりたくないのに才覚だけ見て勝手に期待されて、勝手に押し付けられるってのは、押し付けられた側としては相当の苦痛だってことは容易に想像できる」
俺は言葉を選びながら絞り出す。
彼女は簡単に言えば『普通の学園生活を送りたいだけの天才』なのだろう。彼女の能力を陰謀
「某SF小説の言葉を引用しよう。かつて自由惑星同盟において、不敗の魔術師と称される提督は言った。『政治とは下水処理場と同じである。 なくては困るが、自分から近付きたいとは思わない』と」
「言い得て妙ですね。権力という魅力的な特典を提示されましたが、私にはその『処理施設の管理人』は荷が重いと思ったんです。そこで働くのにふさわしい
「自ら進んで──かどうかは知らんが、
ここまでが彼女が求めているであろう意見。
ここからは──キチガイがキチガイたる所以のトンデモ思考回路のお披露目だ。
「で、アイリスがゲロった話に戻るが──
浦和さんが意図して言ったわけじゃないのは分かってるから気にしてないけどね、と早口でフォローする。百合園さんが『俺への発言が地雷除去に等しい』とぼやいたのも頷ける。
彼女の質問って、下手すると俺の能力への疑心と受け取られかねないからなぁ。そうなるとウチの一族の面子の話も入ってきて、あら大変。だから率先して過去の話はしたくないんよ。本当に、ほんっとうに面倒だから。
「責任を負うって話だけじゃない。俺が背負ってたのは期待やら忠義だけじゃねぇ。今まで俺たちの為に散っていった者たち、俺たちに後を託してくれた祖先一同の無念も背負ってんの。そこに生まれた者として、逃げるって選択肢は最初から存在しないわけ」
「………」
「一族の為に生き、一族の為に死ぬ。それこそ誉であり、俺が成すべき責務。そこに寂しいだの悲しいだの悲観的な感情は介在しないし、それが
結局のところ、最終的な着地点はそこなんよなぁ。
どれだけ時代が変わろうとも、思想観念が変わろうとも、俺ん家は最先端を率先的に取り込む考えがあるが、根本的なところは数百年変わらない時代遅れの一族。でも変わろうとは思わないのだから、俺たちが『頭がおかしい』と称される。
ほら、浦和さんも引いてるやん。
ウチの実家のキチガイ具合は、このキヴォトスでも異質なようです。
「……と、まぁ、これが浦和さんの聞いた質問の答え。狭い島国で数百年も互いに殺し合うことしかしてこなかった一族の末裔の『当主』を任されるはずだった男の思考回路。反応に困るやろ?」
「……同じ境遇にいた仲間だと、少しでも決めつけてしまった自分が恥ずかしいです。オウカくんの考えを馬鹿にする意図は全くなかったんです、本当にすみませんでした」
「謝る必要はないぜ。逆にこれを想定しろって無理な話だと思うけどなぁ。かく言う俺も自由の身になったせいで、こっからどうするのか絶賛迷走中」
少し重くなった互いの空気を変えるために、俺は話を締めようとする。
「だから、さっきも話した通り、何か悩みがあるってんなら先生に相談した方がいい。俺のキチガイストーリーより遥かに有意義なアドバイスやら話やら聞けると思うからさ」
そうして俺はスマホに視線を落そうとしたとき、浦和さんから呼び止められた。
「オウカくん、最後に一つお願いを言ってもいいですか?」
「言うだけならタダぞ」
「私と、お友達になってくれませんか?」
「………」
最初は赤面しながら恥ずかしそうにする彼女が何を言っているのか分からなかったが、単語の意味を理解し、文章全体の意味を理解した俺は、腑抜けた声色で返すのだった。
「……この流れで(頭のおかしい)俺と?」
【簡単な自己紹介】
Q.各話にサブタイトルって必要ですか?
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いる。そっちの方が見やすい。
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いらん。数字だけでOK。