エデン条約2章始まりにアビドス編の話が少し出てくるかと。
高評価・感想ありがとうございます。
前回の存在しないあらすじ。
『それってエッチな本ですよね?』
『うわああああ!? な、なんでっ!?』
下江さんがエッチな本を参考書と称して持参してきた。
……少々語弊があり過ぎるので、経緯を記すことで下江さんの弁護をすることにしよう。
俺が浦和さん──ハナコと友好関係を築いた日の夕暮れ。
白洲さんの勉強に関しての質問に、下江さんが知識を総動員させて答えるという、某アビドスの百合豚もニッコリのほのぼのエピソードの最中に起こった出来事。下江さんが参考書を取り出そうと鞄に手を突っ込んで、出てきたのは『R-18』と記載された
その光景を目にした阿慈谷部長は顔を赤面させ、白洲さんは首を傾げ、ハナコはここぞとばかりに卑猥なワードを披露する。阿鼻叫喚である。
『私の目は誤魔化せませんよ、確実にアレなことをする本でした。それも結構ハードな……トリニティでも、いえ、キヴォトスでもなかなか見ることのできないレベルの内容とお見受けしました』
『い、いや、そのっ……こ、これはほんとに私のじゃなくて、えっと……』
『──はぇー、これがキヴォトスの
『だ、だから私のじゃ──ちょっと待って! いつの間に! か、返して!』
『返して……? やっぱりコハルちゃんの……』
『ちがああああああうっっっ!!』
このあたりで下江さんが本気で知らないと言い張るので、なおも追撃しようと試みるハナコの発言を遮って、この本の所在を勝手に推測してみる。
確かにハナコは頭がいいのかもしれんが、猥談に関しての引き際を心得てないように見受けられる。まぁ、彼女も彼女で打算抜きの交流なんて久方ぶりだろうから、会話の
俺は興味津々のアイリスに
『こういったブツの持ち込みって校則的にアウトだったよな?』
『知らないっ! 私のじゃないぃ!』
『嘘ついてないのは分かったし、下江さんの私物として疑ってるわけじゃねーよ。仮にも正実のエリートがこんな劇物を持ち歩くとか──あー、これもしかして正実の押収物か』
『正義実現委員会であれば校則違反の押収品を持っているのも納得ですね。最近、コハルちゃんは押収品管理の部屋とかに出入りしました?』
『……うん。私、押収品の管理とかしてたから』
となると、その
俺も
『そんなわけで返しにいってらー。ほら、アイリスも熟読せずに下江さんに返しな』
『………』
『あ、もしかしてアイリスちゃんもこういった本に興味があります? 私は読んだことはありませんが、きっと肌と肌が擦れ合い、敏感な部分を摺り合わせて、嬌声が飛び交い理性が飛び去るような……!』
勝手に興奮しているハナコを他所に、アイリスは下江さんに
『──これがハードなの? 穴に棒刺してるだけなのに? 前にオーカがベッドの下に隠してたエロ本の方が物凄くえっちだった』
『『『『“………”』』』』
ナチュラルに俺の尊厳叩き潰すの止めてくれませんかね、このアマ。
♦♦♦
「コハルちゃん、おかえりなさい」
「おかえり、コハル」
「下江さんおっかえりー」
「………」
そんで夜。
正実の押収品管理室から帰って来たであろう下江さんに、俺とハナコは温かい言葉で出迎えた。四六時中勉強だと気が滅入るので、こうやって夜のゆったりとした時間は自由と定められている。無論、個人で勉強するには一向にかまわない。
阿慈谷さんは風呂に行っているので、残りの生徒──要するに謎の編入生・元才女の変態・神話生物・頭薩摩の4人で、ベッドにトランプを広げながら時間を潰していた。3人はベッドの上に座っているが、俺は別室から椅子を持ってきて座っている。さすがに女性が寝るベッドに座るのは、ねぇ?
……ところで、この4人で『ババ抜き』を何度かプレイしているのだが、現在進行形で負け越しているのは俺である。白洲さんとハナコが尋常じゃないくらい強い。
これがキチガイ共となら視線や身体の動き、普段の癖、性格等を考慮して拮抗状態に持ち込める。しかし、今回は普段から関わり合いのない上に表情があまり動かない白洲さん、穏やかに微笑みながらフェイクを織り込んで思考を乱してくるハナコ、普段から何考えんのか分らん仏頂面のアイリスとの対戦。ただでさえ『ババ抜き』が弱い俺が、悲しいまでに蹂躙されているのだ。
くっ、またジョーカー引いちまった。やっぱつれぇわ。
「どうして変態男が女子部屋に……!?」
「変態男とは失礼な。名前忘れたか? もう一回自己紹介した方が良き?」
「名前忘れる程馬鹿じゃないわよ! だ、だって! アンタ、あ、あれよりエッチな本を持ってんで──どうして静かに涙流してるの!?」
そりゃキヴォトスに転移した際に、秘蔵のコレクションたる俺の
前に両親には俺のことを覚えてほしいと思ったが、前言撤回。俺の存在が元の世界でも抹消されてないかな。俺が行方不明扱いになってたら、俺の秘蔵本がオカンに見つかってしまう。誉が浜で死ぬ。
「私が呼んだんですよ。寝るときは別々な部屋ですし、オウカくんも補習授業部の大切な仲間です。こうやって交流を深めるのも大事だと思いませんか?」
「? コハルはオウカと仲良くしたくないのか?」
「そ、そういうわけじゃ……!」
常識的に考えて、女子部屋に男が混じるのは普通にアウトだと思うので、この場合は下江さんの感性が正しいはず。しかしながら、ここに居るのは変態美少女と無知美少女と神話生物しかいないのだ。男がいて何が悪い?的な三者からの反応に言葉を詰まらせる下江さん。
「わかったわよ……で、でもっ! みんなに変なことしたらブッ飛ばすわよ!」
「いくら
下江さんの文句にジト目で返す俺。
彼女の危惧は当たり前なんだろうけど。
「ち・な・み・に、コハルちゃんに聞きたいんですが……」
なんて英国紳士ムーヴを醸し出す俺を知ってか知らずか、いたずらっ子のように可愛らしく微笑むハナコは、下江さんを挑発するように遊びだす。
「お互いの了承があれば、こういうことをしても大丈夫ですよね♪」
ベッドから降りたハナコはわざわざ俺の背後に回り、全体重を俺に任せて思いっきり抱きつ──どうして世界は平和にならないのだろう?(賢者タイム)
今まで同世代の女の子(除・神話生物)から抱き着かれたことのない万年童貞スケベ野郎たる俺が宇宙猫になり、目の前の情報量のせいで脳がショートしてしまった下江さん。
一方の白洲さんは、
「ハナコはオウカと仲が凄くいいんだな」
「お友達なので当然です♪」
「……私もオウカに抱き着けば仲良くなれるのかな?」
おい馬鹿やめろ俺を(精神的に)殺す気か。ここで白洲さんにも抱き着かれようもんなら、そこにいる正実の自称エリートと同じ道を辿る羽目になる。
つかアイリスも「おー」とか手をパチパチしてんじゃねぇよ助けろ。
「──お風呂先にいただ……これどういう状況ですか!?」
ここで現れたのは我らが
ペロロ様とかいうキチ鳥を信仰して布教する敬虔な信者たる彼女は、風呂から女子部屋に帰ってきて、その惨状に思わず部屋の扉を開ける姿勢でツッコミを入れてくる。俺でも同じ立場であれば同じ発言をするだろう。
彼女の登場に我に返ったと思われるハナコはパッと離れ、俺は正気に戻った。
「おっす、おかえりー」
「あ、はい。……ハナコちゃんと仲いいんですね」
「はい、
俺が知っている異性の友達の距離感じゃねぇ気がするんだが、一度ちゃんと常識のすり合わせを行うべきだろうか? 女友達感覚で毎回抱き着かれようものなら、俺のメンタルが持たない。加えて、万が一これを「ハナコハめちゃ尊い」とぼやいていた百合豚に見つかった日には、マジで
すると、阿慈谷部長はジト目で俺とハナコを見てくる。
「……私の方が先にオウカくんと知り合ったのに」
「どうしたの、ヒフミ。扉を開けっぱなしだと危ないぞ?」
白洲さんからの忠告で我に返った阿慈谷さんが部屋に入室する。
推測だが、白洲さんの『危ない』は外を警戒しての言葉だろう。彼女の行動、やってることが特殊部隊のソレなんよなぁ。逆に怪しさ満点で本当にスパイする気があるのか疑問だが、最近は彼女らしさとして脳が勝手に処理している。
慣れって本当に怖いよね。
以降、寝坊して今日の朝にシャワーを浴びられなかった阿慈谷さんに対し、白洲さんが「ヒフミは部長として頑張っているのだから、もし明日も寝坊しそうなら身体を洗ってあげる」というアビドスのキチガイ歓喜の話題となり、それならプールでみんなで全裸で水浴びしたいですね……というハナコのブッ飛んだ発想をねじ込んで来る。案の定、下江さんが赤面しながら止め、アイリスはハナコの案になぜか乗り気。
俺には関係のない話だし、逆に関係あったらヤベェ話でもある。ひっそりと椅子ごと部屋の隅に避難する。
「というかプールでは普通に水着を着ること! あんただって昨日はちゃんと着てたじゃん!」
「──それはどうでしょうか?」
「……へ?」
「あれは、本当に
俺は買い出しで知らん出来事だが、ハナコは昨日のプール掃除は水着姿だったと下江さんは語った。しかし、最近の下着のデザインは凄いらしく、彼女が本当に昨日着てたのは本当に水着だったのか?もしかしたらそういうデザインの下着だったんじゃないのか?何ならボディペイントかも……?
仮にあれが下着だったとして、それが『真実』と誰が証明できるのでしょうか?と、アホみたいな悪魔の証明を問う。悪魔も困るわ、んなの。
「証明できない真実ほど無意味なものはない……そう思いませんか?」
「な、何言ってるのか分かんない……結局どういうこと!?」
「……あの水着可愛かったですよね、というお話です♡」
結局は下江さんをからかいたいだけのハナコは、はぐらかすように話を締める。
百合園さんといい、ハナコといい、トリニティでは悪魔の証明が流行っているのだろうか。普通に嫌なんだが、んな学校。
それにしても『証明できないもの』を無価値と考える人が多すぎじゃね? ハナコの話を借りるのであれば──俺は『ボディペイント』説を大いに推す。証明できるできないの問題じゃねぇ。『かもしれない』というゼロじゃない可能性に、俺たち馬鹿な男は
「なるほど、5つ目のあれか」
「5つ目……? えっと、アズサちゃん、何のお話ですか……?」
阿慈谷さんの問いに、白洲さんはキヴォトスに古くから伝わる『七つの古則』、その5番目だったはずと口にする。百合園さんが前に俺に問うたアレだと思われるが……楽園の証明と水着の証明を同じくくりで話しても良いのかは疑問に残る。古則さんも陰で泣いとるで。
「アズサちゃん、どこでそれを……。その話を知っているのは……」
部長と下江さんは知らなかったらしいが、変態才女は知っている様子。
「もしかしてセイアちゃんに会ったことがあるんですか……!?」
「……分からない、この話はただ、どこかで聞いたことがあるだけで……」
雑談程度に百合園さんから聞いた内容、もしかしてティーパーティーのトップレベルの情報とか含まれてるん? 思わず俺も「セクシーフォックスが言ってたやつかぁ」と反応しそうになったが、沈黙が正解だったらしい。
今日の夢でも百合園さんと会う予定だから、詳しく聞いてみるか。一般トリニティ生に機密情報バラすなと釘も刺しとかなきゃ。
夢ん中で話すことを整理していると、ちょうどハナコから「もう遅いので寝た方が良さそうですね」と解散の旨を告げられる。
賛同した俺はそそくさと女子部屋から自身の
【簡単な自己紹介】
アイリス・ワルフラーン:キチガイ五人衆の一人。元の世界での主人公のベッドの下のエロ本の存在は、主人公の母親から場所を教えてもらった。。
Q.各話にサブタイトルって必要ですか?
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いる。そっちの方が見やすい。
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いらん。数字だけでOK。