あと1.2話くらいはストーリー準拠になるかと。最後は盛大にオーバーキルすると思いますが。
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「邪魔するでー」
「邪魔するなら帰ってー」
「あいよー」
明日は待ちに待った三次試験の当日。
良かチェスト日和。(仮定)
まぁ、このあとトリニティをどっかんどっかん(物理)言わせるセレモニーを盛大に行う予定であり、それに補習授業部の面々の協力が必要との事で、先生の部屋に突撃をしたのだった。
先生の部屋に入るが、俺のお決まりの台詞に、アイリスが条件反射で返す。こんな余計なことは覚えてんのに、俺が教えた勉強は日付跨ぐとすっぽ抜けるんよな。鳥頭でももう少し記憶を保持すると思うぞ。
先生ROOMには補習授業部全員が集まっていた。
彼女らの表情から察するに、白洲さんが何かを暴露している最中に、俺が入室のコントで中断させてしまったようだ。まさか勉強に備えて寝ましょうとか言って、全員が先生の部屋に集合しているとか思わないじゃん? 俺はミライから流れ聞いて知ってたけど。
そんで、彼女の暴露した話ってのは、アリウス関連やろうなぁ。
「おっと、マジで邪魔だったか?」(すっとぼけ)
「アズサちゃんのお話を聞いてたところなんです」
ハナコ曰く、ここにいる全員が、明日の試験会場が正実によって封鎖されており、試験できねーじゃんどーすんだべと頭を悩ませていたところ、白洲さんは「私のせいだ」と告白したそうな。
自身は桐藤さんが探している『トリニティの裏切り者』であり、前はアリウス分校に在籍していたこと。目的はティーパーティーのホストである彼女
俺がいないところで。
俺がいないところで。
大切なことなので2回言いました。
「ふーん」
「……え!? 今さっきアズサが物凄く大変なこと言ったと思うんだけど!? それを聞いての感想が『ふーん』っておかしくない!?」
「だって、オウカくんは知ってたんですよね? アズサちゃんのこと」
俺の反応に不服だった下江さんが喚くが、ハナコの衝撃発言に衝撃を受ける一同。一同って言っても、当人の白洲さんや、状況を理解できてないアイリスは変化がないが。
「これは先生と阿慈谷さんには話したが……、俺が補習授業部でサポート役してる理由って、桐藤さんからの依頼で『トリニティの裏切り者』を探し出すこと、だったからな。白洲さんがアリウス出身ってのは誰にも言ってなかったが」
「それってつまり、ナギサ様はアズサちゃんが裏切り者だと気づいて」
「それはないと思います」
阿慈谷さんの疑問を切り捨てたのはハナコだった。
コイツなんでも知ってんなぁ。
「もしナギサさんが知っているのであれば、アズサちゃんは既に退学、又は拘束されていてもおかしくありませんし、彼女が補習授業部を継続させる意味もなくなります。つまり、オウカくんはアズサちゃんの正体を知っていて、なおかつナギサさんには伝えていないってことですよね?」
「話が早くて助かるわ。んじゃ、白洲さん、話の腰を折って悪かったが、続きをどうぞ」
「……え? あ、あぁ」
いきなり会話の主導権を渡された白洲さんだったが、彼女はすぐに続きを語り始めた。内容は、そう。アリウス分校が誰の協力の下で、何を目的として動いているのかを。
ティーパーティー『パテル派』の首長である聖園さんを『トリニティとアリウスの和解』というエサで協力させ、現ホストを殺害し、その責任の全てを聖園さんにおっ被せる計画。アリウス分校はかつて自身たちを追放したトリニティを心底憎んでおり、アリウスはティーパーティーの全てを消すつもりだと語った。
うん、俺の持っている情報と少々差異あれど、概ねあってるな。
「それって補習授業部とどういう関係があるわけ?」
割とわかりやすい説明だった気がするが、下江さんはどうやら状況を飲み込めてない様子。
隣のアイリスに目をやると、視線の合った神話生物はグッドサインで返してくる。完全に思考することを放棄し、俺に判断をゆだねることを決意した女の目だった。しゃーない、コイツの記憶領域は試験勉強分とペロロ様のことしか入ってないし。
「下江さん、順を追って説明しようか。トリニティは複数の学校が合わさった総合学園であり、アリウス分校ってのは統合を拒否してトリニティ自治区から追放された連中なんよ。ここまではOK?」
「う、うん」
「アリウスは『はー、ぜってぇ許さねぇからな覚えとけよ?』って感じで、トリニティのことが大嫌い。トリニティに復讐したいなぁ、とりあえずトリニティの生徒会であるティーパーティー潰そうかって今のところは考えてるの。ついていけてる?」
「だ、大丈夫、だと思う」
「おけおけ。で、アリウスはティーパーティーの『パテル派』の聖園さんに『仲良くしようぜ!』って噓の仲直りを提示してきて、聖園さんはそれに騙されてアリウスの連中と手を組んだんよ。本当はトリニティをめちゃくちゃにするのが目的だけど、そうやって聖園さんを騙して白洲さんをトリニティに潜入させたってこと。これがアリウス視点の流れね」
素直にコクコクと頷く下江さん。
「そんじゃ視点を変えて、桐藤さん側で見てみよう。彼女はなんか知らんけど、誰かが自分の命を狙っていることを知っちゃったわけ。理由も目的も分からないし、しかもトリニティの内部におるやんけって。でも、誰が自分の命を狙っているのか分からん状況なの。なんか頭から煙出てるけど話続けて良き?」
「が、頑張る……」
「桐藤さんは『これゲヘナと結ぶエデン条約を阻止しようとする連中の仕業じゃね?』って判断して、なんかトリニティで怪しそうな奴を『補習授業部』に強制入部させて、『シャーレ』のスペシャルパワーで裏切り者を退学扱いにしたろ!って思ったの。横暴やね。で、今の段階でも誰が裏切り者か分からんし、それならいっそ全員纏めて退学させりゃ良いんじゃね?って桐藤さんは思ってる。白目向いているけど限界か?」
「だいじょぶです……」
「話をまとめると、桐藤さんが自分の命を狙っている奴を退学させるために補習授業部は作られ、彼女の探している裏切り者は──トリニティを憎むアリウス分校からの任務でトリニティに編入した白洲さんってこと。白洲さんは自分さえいなければ、ここに居る全員が退学させられるような数々の妨害を受けることはなかったのにって言ってるわけよ」
「──なっ、なんでアズサがナギサ様を殺さないといけないの!? どうして……」
「それは本人の口から聞いたらいい」
俺が下江さんに懇切丁寧に説明していたのを先生含めた全員が静かに聞いていたが、最後の部分は白洲さんに丸投げする。俺が言ってもいいが、彼女の口から語られるべきと判断したから。
「
「……へ!? アズサの目的はティーパーティーをやっつけることでしょ!? なのに守るってどういうこと!? 話が合わないじゃん!」
白洲さんの回答が矛盾していると言いたげに、言ってること違うやんけと下江さんが俺をキッと睨んで来る。俺は肩をすくめて彼女の話の続きを聞くよう促した。
アリウスの思惑と、白洲さん個人の目的は乖離してるってことや。
言わば彼女は『二重スパイ』。
ホストの殺害を命じられた白洲さんだが、彼女自身の目的は桐藤さんの暗殺阻止。アリウスに虚偽の情報を流し続け、密かにアリウスを裏切ることを画策してた、と。
理由としては、彼女はエデン条約締結には賛同しており、この条約が締結されることによって、第二第三の
だから彼女は頭を下げる。
私を恨んで欲しいと。
この惨状は自身のせいだと。
“それは違うよ”
「……先生?」
そこで待ったをかけるのは我らが先生。
今回の一連の騒動は『信頼』の欠落。
桐藤さんが補習授業部のみんなを信じていれば、聖園さんが桐藤さんを信じていれば──
“もっとお互いが、お互いを深く信じられていたら、こんなことにはならなかった”
「………」
俺は先生の言葉を『甘ったるい理想論』と自身の脳で認識する。政治畑の人間が、そう簡単に信用できるものか。謀った欺いたが日常の彼女らが、無条件に証拠もなく、相手のことを信じるなどあり得ない。それは為政者として当然の思考である。
だからこそ──セイアは「このままではいけない」と意識を改め、俺はそれに賛同したわけだ。脳が反射的に『できるわけがない』と考えた理想論、俺個人は嫌いではないから。
「それだけじゃないですよね?」
「……?」
「『スパイ』の立場であるアズサちゃんは、こんな『補習授業部』という悪い意味で目立つようなところに所属することはリスクでしかないはず。誰にも気づかれないように消えるタイミングがいくらでもあったのに、アズサちゃんはそれをせず、それどころか私たちに打ち明けてくれました。私にはその理由が分かった気がします」
「それは……」
「補習授業部のみんなと一緒にご飯を食べたり、お洗濯をしたり、お掃除をしたり、そしてみんなと目標に向かって努力すること、それが楽しかったからじゃないですか?」
「私は……いや、うん。……そうかもしれない」
キチガイ共から知らんうちに首を現在進行形で狙われている『マダム』の下で過酷な環境下で育ち、スパイとして学校に潜入した白洲さん。何の因果か『補習授業部』に所属することになったが、同属のメンバーと一緒に過ごしていくうちに、生まれて初めて経験した『楽しさ』を手放したくなくなったと元アリウス少女は吐露する。
まだまだみんなと学び、知りたいことがある。みんなが教えてくれた遊園地やお祭り、キラキラ輝くサンゴ礁の海にも一緒に行きたい。全てを虚しいと教えて来られた少女は、光の中を皆と歩きたいと心情を口にした。
「……分かります、その気持ち。何せ……はい、同じように思った人がいたんです」
ハナコも白洲さんの気持ちに同調する。
自分もただ要領が良いだけの存在。そのはずなのに、同学年からは称賛され、幹部格の生徒の策謀に加担され、シスターフッドから勧誘され、行政官から地位を確約される。アリウスの少女と同じように、全方向を欺き、己の本性を曝け出すことが出来ない
ましてや、一生懸命に頑張る白洲さんとは違い、連帯責任で全員退学になることを知るまでは、試験に落ちるつもりであったと。トリニティとアリウスの裏切り者である彼女は、この試験を乗り越えたとしても帰る場所はもうないのに。
「それに……私もアズサちゃんの言葉に気づかされたんです。全てが虚しいとしても、最後まで抵抗を諦める理由はないと。この楽しい補習授業部のみんなとの時間を失いたくないと」
「……うん。それに、オウカも『鍵が導く心のままに』──心が命じたことは、誰にも逆らえないと言ってた。私は補習授業部のみんなと、もっともっと、たくさんのことを学びたい」
「ヒョエッ」
「お、オウカくん、どうしていきなり周囲を警戒するようにキョロキョロしてるんですか?」
んなの三つの黒で構成された魔法の国のネズミに襲撃されないために決まってるだろうが。俺が考えなしに教えたのが10割悪いのは分かってるが、流石にハハッの
白洲さんも不思議そうに首を傾げている。くそっ、悪気ないのが分かってるからこそ、彼女の決意と共に放たれた言葉を否定することができん。できるのはD社だけ。
「桐藤ナギサさんを、アリウスの襲撃から守りましょう。そして全員で試験を合格するのです」
「試験の開始時刻と、アリウスの作戦開始時刻は同じ時間に設定されている。それは──」
不可能じゃないか、と口にしようとした白洲さんは、ハナコの表情を見て口を噤む。
あのハナコが自身が容易に想定できる不可能を、改めて言うはずがないと。それは白洲さんからハナコに対する信頼でもあった。
「まずは私たちから動きましょう。私たちは様々な嘘や策略で弄ばれてきましたが、今度は私たちの方から仕掛ける番です。──何せ、ここには正義実現委員会のメンバーと、ゲリラ戦の達人と、ティーパーティーの偏愛を受ける自称平凡な人と、キヴォトス最高戦力格に匹敵する人と、トリニティのほぼ全てに精通した人がいます」
彼女はにっこりと笑う。
「その上、ちょっとしたマスターキーのような『シャーレ』の先生に──戦闘指揮の専門家であるオウカくんもいますから♪」
引きつった笑みを返す俺。
とりあえず、先生のサポート役しかしてない俺に、その評価を下した理由を知りたいですね。基本的にシッテムの箱を経由して行われる先生の指揮を賛美する生徒が多いが、彼女の前で一度も物騒なことをしたことがない俺にその評価は普通におかしい。
「その組み合わせがあれば──きっと、トリニティくらい半日で転覆させられますよ♪」
「はいっ!?」
ハナコの悪戯っ子のような言葉に、阿慈谷さん含め全員が困惑するのだった。
「そっちの準備状況は?」
『
「りょ。うっわー、めっちゃ緊張するわ」
『やるのは
「分かっとるわ。また連絡する」
『へーい』
「俺も初めてだもんなぁ」
「
【簡単な自己紹介】
アイリス・ワルフラーン:キチガイ五人衆の一人。補習授業部の『暴』担当。
Q.各話にサブタイトルって必要ですか?
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いる。そっちの方が見やすい。
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いらん。数字だけでOK。