2月から更新が遅くなる可能性あり。まぁ、こっちも再就職しないといけませんからね。
次回でストーリー的には事態は収束するかと。
余談ですが、3章のエデン条約調印式の襲撃に関して、MVPはカイザーPMC理事となります。早く出したいですね。
高評価・感想ありがとうございます。励みになります。
私──
念のために高所から周囲を偵察していたが、
聖園 ミカの率いるアリウスの部隊に奴らの存在を伝えようとしたが、電波妨害の影響なのか、こちらの電子機器そのものが使用を封じられている。
大型トラックから次々と武装に身を包んだ者たちが出てきて、一糸乱れぬ動きで包囲網が形成された。他の地区ですら、ここまで統率された部隊は見たことがない。
体育館を包囲しているアリウスにも、
それは『火力』による圧倒的暴力。
戦車部隊が次々と火を噴き、自走榴弾砲も惜しみなく火雨を降らせる。
「………」
一方的な虐殺、と言い換えても違和感はないだろう。
こちらも応戦はしているが、練度と装備の差、何より奇襲を受けた状態が尾を引いているのか、連中の包囲網を崩すに至ってない。
どうしてこうなった。
そもそも奴らは何なんだ。
突発的な状況で必死に冷静さを取り戻そうと四苦八苦していると、ふと爆破時の光で、戦車に描かれていた校章を読み取ることが出来た。これで、連中がどこの誰かを判別することが可能となる。
「……丸に……十字」
それを校章と呼ぶにはあまりにも簡素な作りだった。
黒い丸に、筆で描いたかのように十字が刻まれた校章。それ以外に、どの学校に属する集団なのかを示す情報はなく、私は思わず眉をひそめた。
僅かばかり熟考した私は、その正体に思い至った。
「……シマヅ、警備保証」
それは、
『シマヅ警備保障会社』
裏で動く者にとって、これほど厄介な名前は中々に存在しないだろう。
アビドス自治区を拠点とした、警備事業を生業とする私設武装組織。所属する連中は元々アビドスを拠点としていた不良集団だけでなく、閉校して無所属だった元SRT特殊学園の生徒も何割か占めており、ただの一企業としては無視できない戦力を有していいと聞く。
新興企業にもかかわらず、所属する連中の練度は非常に高く、装備も充実しており、彼女らと敵対したことのあるアリウスの生徒が手も足も出ずに制圧され、『マダム』が当たり散らしていたのは記憶に新しい。
社長は『便利屋68』を兼業している陸八魔 アルというゲヘナ出身の生徒だったはず。
「いや、待て。シマヅだと?」
確か補習授業部に島津 オウカという男が在籍していたはず。
島津……まさか連中に関係があるのか?
そのように考察を重ねていると、装甲戦闘車両での制圧を止めた連中は、防塁から出てきて掃討戦を始める。
しかも、生徒だけじゃない。
人のような上半身に、四つの腕を持った、悪趣味かつ不気味な自走型の機械も掃討戦に加わる。数だけでは我々が上だったのを、無人ロボットで補っているのだろう。そのロボットの持つ火器も高威力高性能であり、侮る余地すら見当たらない。
「アズサ……!」
これだけの戦力を投入していたことを鑑みるに、スパイとして潜入させていたはずのアズサが裏切ったのは明白。数週間そこらで動員できる規模ではないので、最初からアズサと島津 オウカは繋がっていたと考えるのが妥当。
島津 オウカも大概だ。アリウスとトリニティ、双方を裏切っているはずのアズサの言葉で、ここまで大々的に莫大な戦力を惜しみなく投入した。普通なら、あいつの言うことを信じる要素はない。あいつに差し出せる対価もないことを私は知っているので、あの男の判断は狂っているとしか思えない。
と、警戒もせず考えていたのが大失態だったのだろう。
私の足元に銃弾が飛ぶ。
狙撃された可能性があり、周囲を見渡しながら校舎内に逃げ込むが、どこから狙われたのか定かではない。場所が割れている上に、アリウススクワッドとも連絡が取れないのは非常にまずい。
「──RABBIT2、目標の制圧を」
「分かってるよ!」
「──なっ!?」
そして死角から現れる伏兵。
ウサギの耳を象ったヘルメットを装着し、SRTの校章とシマヅの校章の双方を身につけた彼女ら2名は、私に対して銃器を向ける。私も応戦しようとするが、元SRTかつ数的有利を持つ彼女らを相手取ることは不可能だった。
ましてや狙撃手もどこかで狙っているはず。無様にも後退することしかできない。
「無駄撃ちは控えるように。弾もタダじゃないんですよ」
「さっき
「ウッキウキしてません」
彼女らは自身の武装を惜しみなく使い、機敏な連携で私を追い詰めてくる。
「くっ……各部隊応答せよ! くそっ……!」
計画は順調だったはずなのに。
あと一手のはずだったのに。
「アズサぁ……! シマヅぅ……!」
私は怨みつらみを込めた悪態をつきながら、追ってくる元SRTをどうにか振り払うのだった。
……追ってきた連中の目的が、私と聖園 ミカが率いるアリウスとの分断だったと後に知り、さらに怨みを強くしたのは言うまでもない。
♦♦♦
「──セイアちゃん? ……あぁ、そっか。君はセイアちゃんの差し金だったんだ」
体育館に響き渡る指令を耳にしたパテル派の首長は、引きつった笑みを浮かべながら納得したように頷く。その目は光を失っており、俺から見れば暴走しているように見えなくもない。
実際にクーデターという暴走をしているのだが。
やっぱキヴォトスって治安悪いなぁ。鹿児島かよ。
「セイアちゃんが死んじゃったから、その復讐って感じ?」
「………」
俺はその問いに視線を一度合わせるだけで答えない。
いそいそと敵中突破ジャージを羽織るのみで、答えるつもりはない。
「ミカさん、一つだけ聞かせてください! セイアちゃんを襲撃したのも、あなたの指示だったんですか!?」
「……あはっ、ハナコもそんな目をするんだね。うん、私の指示だよ。いつも変なことばっかり言って。楽園だのなんだの、難しいことばかり。でもヘイローを破壊しろとは言ってないよ?」
ハナコは厳しめの視線を向けるが、聖園さんの対応に変化はなく。
いや、セイアのことを口にするたびに若干だが震えている。確かに彼女視点なら、セイアをちょっと黙らせるつもりでアリウスを派遣したら、首級を獲ってきたもんだしなぁ。
なまじキヴォトス人が頑丈なだけに、おふざけが死に直結するなんて経験がなかったのだろう。元居た世界だと銃口を向けることは『今からあなたをぶっ殺します』と同義だが、彼女らは引き金が軽すぎて困る。だから、彼女らは口をそろえて言うわけだ。──こんなはずじゃなかった、と。
まぁ、俺たちは命が軽いって言われるんすけどね!
そんな冗談は置いといて。
こちとら『戦』をしてるんだし、問答は控えてもらうとしよう。
「それ以上は当事者に聞いて──」
「アイリス、GO」
「おーけい」
もしかしたら正実がコンニチハしてくることも考慮し、あくまでも短期決戦で俺もキチガイ共も想定して動いているので、アイリスに敵将を
やっと派手に暴れられると元気満々の薩摩の兀突骨は、意気揚々と自陣から翻って、聖園さんの前に立つ。近辺のアリウス生が警戒するように銃を構えるが、一応は俺たちと同じ生体構造をしているはずの馬鹿は、そんなのを気にすることもなく、命じられるまま今回の相手である箱入り娘を見据える。
聖園さんのことは馬鹿に任せるとして、取り巻き共が少し邪魔だなぁと、俺は自身が持つ銃で数を減らそうと試み、補習授業部のメンバーにも援護を依頼しようとした矢先──
ズガァンッッッ!!
と、体育館の天井に穴が開き、上から白い物体が降ってくる。
無論、体育館にいた全ての視線を集めることは避けられない。
その落ちてきた物体とは。
「………」
ペロロ様だった。
もう一度言う。
ペロロ様だった。
「ああああああアズサちゃんんんんんんん!! ペペぺペペ、ペロロ様です! ペロロ様ですよぉ!!」
「そ、そうだなヒフミ。あとキラキラしている……?」
「見たことありませんよアレどこで発表されたタイプのペロロ様なんでしょうか凄いキラキラしていて神々しいです機械のような背中の白と黄金の羽がペロロ様の素晴らしさを引き立ててますグッズ販売はあったんでしょうかSNSやインターネットで常時情報を集めてますが黄金羽根つきペロロ様なんて聞いたことも見たこともありません特別仕様だとしたらいつごろ正式に発売されるんでしょうか既に市場に出回っているのなら是が非でも手に入れなくてはいけませんあぁでも試験ががががががでも特別仕様ペロロ様を放置するわけには私はどうすればばばばばばば」
暴走した気持ち悪いオタクのように暴走し始めたヒフミはさておき、『劇場版ガンダムSEED FREEDOM』に登場したプラウドディフェンダーに酷似したものを背中に装着したマイティーストライクペロロ様は、舞い降りるポーズで全員の思考を停止させたかと思うと、アリウス生に肉弾戦を挑み始めた。ミーティア流した方がいい?
御立派な羽は使わんのかい、とツッコミを入れる暇は与えず、正気に戻ったアリウス生から迎撃を開始するものの、演武のようにしなやかに激しくも踊るように銃撃の雨を回避し、殴って蹴って頭突きかまして背負い投げして制圧する様は、もはやラリった鳥のダンスパーティーだった。
そんで鳥の動きで確信する。
アレ、中にカネサダ入ってんなぁと。
今回の釣り野伏による包囲殲滅戦に参加するカネサダは、角が生えてないにせよ立場的にはゲヘナの生徒。トリニティの問題に堂々と顔出して介入すれば両校の問題になりかねないし、そういう意図もあってゲヘナ出身の我が社の社員に今回は後方支援に回ってもらっている。
表向きの社長やってる
そんな彼がいかにしてトリニティで暴れてやろうかと考えた結果が、カネサダinペロロ様なのだろう。やってることが銀魂のエリザベスなんよ。
「──ちぇすとー」
「へ──」
そんで空気を読むどころか空気が何なのかを理解できていない補習授業部の暴力担当は、唖然としていた聖園さんの横っ面を渾身の一撃を込めてブン殴る。
掛け声は気の抜けたものだったが、腕を振る速度で空気をパァンと弾かせながら、衝撃波で周囲のアリウス生を巻き込みつつ、体育館側面に聖園さんをめり込ませる。取り巻きは一瞬にして戦闘不能となり、ヘイローすら持たない逸般人に負けるような軍隊がどうやってゲヘナを滅ぼすのかと問い詰めたい。
同時に俺は「ほう……」と思わず感嘆を漏らす。
箱入り娘と侮っていたことは認めるが、まさかアイリスの渾身の一撃で意識を保っているとは。セイアからも彼女と対する時の忠告は再三聞いていたが、そりゃ警告も促すわなと納得する。
「いきなり殴るなんてひどいよ?」
「ごめん。アイリス・ワルフラーン、参る」
あくまでも皮肉を込めた発言だったろうが、アイリスに皮肉なんてものは通じない。名乗りをあげると、じゃあボッコボコにしてもいいよねって自己解釈し、再び敵将に飛び込む。
そこから始まるのはワンサイドゲーム。
確かに聖園さんは他のキヴォトス人と比較して強い。原作知識持ちも言ってたが、どうやら彼女はブルアカでも最強格議論の候補にも名を連ねるくらいの実力者らしい。壁を素手で破壊し、バ火力兵器を受けてもケロっとして、特にそういった訓練や
しかし、本当に申し訳ないが、聖園さんが対しているのは『薩摩の神秘』。それこそ聖園さんと同じように、なんでこんなに頭がおかしいくらい強いのか分からず、邪魔する全てを拳で黙らせてきた神話生物なのだ。そこのマイティーペロロ様ほど洗練された技術は持ってないが、『タイ捨』擬きの自己流格闘術で敵の攻撃を打ち砕く破壊の権化。
聖園さんの顔面パンチがアイリスの顔を捉えるが、殴られた勢いを使って回し蹴りをお見舞いし、着実に聖園さんのHPを削っていく。聖園さんは何度か銃で迎撃しようとするも、アイリスがその暇を与えることはなく。結果的に拳同士の殴り合いとなる。
アイリスも少なからず負傷しているが、そんなもんで止められるような奴じゃない。つか聖園さんの動きからして、同等か格上と戦ったことないんじゃないかと思う。アイリスは実践経験豊富やぞ。なんなら近所のババアの方がアイリスよりも強いし。
「あはは……こんなに押されるとは思ってなかったんだけどな」
聖園さんのぼやきに、アイリスは仏頂面で答える。
「戦いはノリが良い方が勝つ。
薩摩の神話生物の言葉に何かを感じたのか、聖園さんは静かに手元の銃を落したのだった。
「シスターフッド、これまでの慣習に反することでありますが……ティーパーティーの内紛に介入させ──って、これは一体どういう状況ですか!?」
「あ、歌住さん。わっぴー」
「お、オウカさん! わっぴー!」
【簡単な自己紹介】
アイリス・ワルフラーン:キチガイ五人衆の一人。元の世界では近所のババアに勝てなかった敗北者。鹿児島は魔境か?
Q.各話にサブタイトルって必要ですか?
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いる。そっちの方が見やすい。
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いらん。数字だけでOK。