今章も終わりが見えてきましたが、とりあえず章の最後に超絶弩級の爆弾情報を投下する予定ではあります。主に最終編が全然違うものになるので、その伏線をば。
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2025/2/2 後書を修正しました。
決着はついた。
いや、聖園さん的には認めたくないだろうけど、今回の件にシスターフッドが介入した時点で勝敗は決まったようなもの。ここから挽回するとなると、アリウスを総動員するレベルじゃないと厳しいだろう。ここまで負けに負けた捨て駒に、ベア何某がそれ以上の戦力を貸し与えるとは思えんが。
目前には補習授業部とシスターフッド、そしてシャーレの先生。とマイティーペロロ様。
後ろにはシマヅ警備保障会社と怪奇なロボット群。
対して自身の戦力はほぼ無力化されたアリウスの私兵のみ。
これで逆転しろって方が難しいわな。俺なら前進撤退する。
「……何を見誤ったのかな」
地面にぺたんと座り込んでいる聖園さんが呟く。
見誤ったというか何というか、原作知識持ちっていうチートを携えたキチガイ共が、エデン条約調印式で相手取るであろうアリウス分校の戦力を今の段階で減らしたいが故に、莫大な金と人員を使って、本来は敵兵力をすり潰すために考案された包囲殲滅陣を敷いたから……ですかねぇ。
最初から俺は、聖園さんが率いるであろうアリウス分校の生徒を一人も返すつもりはなかったからな。ベアトリーチェの私兵とやらを、今のうちに減らしたかったし。
あと、できればこっちで捕まえたアリウスの生徒はこっちに欲しい。今回は会長から外見と名前以外は高性能な無人兵器をお借りしたが、中規模~大規模な学校を相手するには人手が足りんことを痛感した。
人材はいくらいても困らんですからね。お前もシマヅにならないか?をアリウスの生徒にもする予定である。
「……ハナコちゃんのことを見くびったから? ……ううん、『浦和 ハナコ』がとんでもない存在だってことは知ってた。でも、いつの間にか無害な存在になってた。変数として計算する必要がないくらいに」
俺もハナコがシスターフッドを動かしてたなんて知らんかったよ。……後で、教えてくれなかった外で待機している原作知識持ちのチート系キチガイ共をチェストするが。
そして、実は内心シスターフッドが介入してきたことに冷や汗はかいていた。だって、もしかしたらシマヅVS聖園さんとアリウスVSシスターフッドの三つ巴が始まる可能性もあったからな。歌住さんから鬼のように届くモモトーク経由の勧誘をブロックしなくて本当に良かった。
シスターフッドも俺たちの私兵には現在進行形で警戒するに留まっている。そこで動いてないマイティーペロロ様も。
「……アズサちゃんが、裏切ったから? ……ううん、アズサちゃんはただの操り人形。裏切ろうと裏切らなかろうと、私の望む結果には何も関係なかった」
アリウス側も白洲さんの離反は考えなかったんだろうか。それとも、自身の教育なら裏切ることはしないだろうという、ベアトリーチェの自信の表れだろうか。いや、でもアレの思考回路をする奴が、自身の私兵を簡単に信用するだろうか?
まぁ、そんな少ない情報に基づく推測は置いといて。
白洲さんの裏切りって、聖園さんの計画的には致命的だったと思うけどなぁ。致命的だったが、元アリウスなのに反骨精神旺盛な彼女の性格から鑑みて、白洲さんの裏切りは予定調和だったと思うけど。
「……ヒフミちゃんはただの普通の子で、コハルちゃんやアイリスちゃんははただのおバカさんでしょ? 変数になるような存在じゃなかったはず」
聖園さん的には阿慈谷さんはノーマークだったのね。割と行動力という観点から見れば、彼女ほど警戒しないといけない人物もいないと思うが。知らんと警戒しようがないか。
下江さんは……あー、正実とのパイプってだけで補習授業部にブチ込まれた圧倒的被害者だもんなぁ。ただ、補習授業部に彼女がいて本当に良かったとは思う。ツッコミ要員と、精神安定剤要員として。
アイリスは……まぁ、想像できんわな。兀突骨が神話生物だったなんて。
「……シャーレの先生を連れてきたこと? ナギちゃんが『裏切り者がいる』ってうるさかったから、ちょうどいいって連絡して。あなたを連れて来た時点で私の負けだった」
“………”
先生の影響力・指揮能力を侮っていたというのであれば、それは大きな間違いだったろう。彼がいるだけで、苦境という盤面を状況次第ではひっくり返させるもん。聖園さんが呼んだってのは初耳だが、彼女の目的を考えると、必ずどこかで先生が立ちふさがったのは容易に想像できる。
彼女の「どうして、なんで」を聞き流していると、彼女の視線は俺を捉えた。最初に俺を『視た』ときのような馬鹿にするようなものではなく、どこか納得するような視点。
「島津 オウカ……うん、そうだね。君がいた。君のことは、ナギちゃんの協力者としてしか警戒してなかった。まさか──トリニティの一派閥に匹敵した戦力を持つ男子生徒だなんて。私の計画を逆手に取られるなんて思わなかった」
「………」
「いやー……ダメだな、私……」
正式には俺名義の会社じゃないんだけどね。諸事情により経営権は現社長のアルさんに渡しているし、どっちかっていうと今はミライの方が関りが強いんじゃないかと。
俺が「トリニティの一派閥と戦したいんやけど来る人おる?」って聞いたら、社員のほぼ全員が「待ってましたぜお館様ぁ!」って参戦を表明してきただけ。なーんか知らんけど、ウチの会社に入社すると血気盛んになるんよなぁ。不思議だ。
「ミカさん、セイアちゃんは……」
「……本当に殺すつもりじゃなかったの。今の私が何を言っても言い訳になるけど……。多分、事故だった。セイアちゃん、元々身体が弱かったし……それに……」
「……セイアちゃんは無事です」
「「「「「……!?」」」」」
聖園さんの独白に対して放ったハナコの衝撃発言に、アイリス以外の全員が驚く。元々死んだことすら知らなかった彼女たちは聖園さんの自白に驚き、ハナコの追撃にさらに驚く形になったわけだ。もうね、何が真実で何が嘘か分からんくなるよね。
襲撃者の特定の為に身を隠していたセイアは、トリニティ外で救護騎士団が護衛の下、命に別状はないと語った。まだ目が覚めていないが、死んではいないと。
目覚めていないというか、別のナニカに目覚めたというか。
俺は目を逸らして噤む。
「……そっか、生きてたんだ……」
彼女は目を伏せて地面を見ている。
表情がどうなっているのか分からない。何を思っているのか、何を考えているのかも、表情が見えないので読み取ることすらできない。
ただ──
「良かったぁ……」
おそらくは安堵しているんだと思う。
俺は無粋なのは承知しているが、軍の指揮権を持っている身として、聖園さんに確認の呼びかけを行った。
「空気を壊すようで悪いが、こちらも
「……うん、降参。私の負けだよ。もう私のことも
「英断、感謝する」
それだけ告げると、俺は無線で自軍に宣言する。
「この戦、我々の勝利である! 兵子らよ、勝鬨を上げよ!」
『『『『『うおおおおおおおっっっ!!!!』』』』』
──こうして、『トリニティの裏切り者』を渦中とした武力衝突は幕を閉じたのだった。
♦♦♦
直後、ハナコは意味ありげに微笑みながら俺に問う。
「セイアちゃんが無事なこと、オウカくんは知ってたんですよね?」
「何を根拠に」
「私がセイアちゃんの無事を言ったとき、表情一つ変えてなかったので♡ ミカさんがセイアちゃんの敵討ちかどうか聞いた時も、何も答えなかったですし。そこで、無事だったセイアちゃんからの依頼で、ミカさんを止めるためにオウカくんが動いているんじゃないかって思いまして」
はぇー、本当に洞察力どうなってんだよ変態才女。
本当にコイツが今回の敵じゃなくてよかったと心底思うよ。
俺は両手を広げて降参のポーズをとる。
「確かにセイアの生存は知ってるよ。つか、今は目ぇ覚めて普通に過ごしてるんじゃないか?」
「あ、無事に目を覚ましたんですね。それは良かったです」
ハナコと聖園さんは安心したように大きく息を吐き──俺が続けて発した超弩級の爆弾発言に、その場にいた全員が思考を停止するのだが。
「……まぁ、聖園さんからの襲撃や桐藤さんの疑心暗鬼で、セイアがゴリラ剣術の信奉者になっちまったから、果たして『無事か?』と聞かれたら、返答に困るっちゃ困るんだが」
「え、ごめん。もう一回言ってくれる?」
思わずガチトーンになった聖園さんに、俺は素直に答える。
「ほら、セイアって未来視持ってんじゃん? 正確には過去・現在・未来を観測する能力らしいけど」
「セイアちゃんが『サンクトゥス派』の首長に座する理由の一つでもありますね」
「トップがギクシャクし、派閥間でも政治闘争やってる今のトリニティじゃマズいって思ったらしく、俺の過去──要するに『俺の知識』を覗き見た彼女は、何をトチ狂ったのか『示現流』ってゴリラ剣術に可能性を見出して、今じゃ奇声をあげながら木刀を振り回してるんよ」
「詳しく聞いても何一つ分かんない……」
普通なら聖園さんの反応が正しいんよ。
シスターフッドのトップやってる歌住さんですら「ミカさんの襲撃で、セイアさんは錯乱状態になっているんでしょうか……?」と困惑する始末。それは救護騎士団の団長さんも思ったらしく、検診して全くもって正常だったから余計に混乱してたって
そして聖園さんのようにオロオロするもう一人、白洲さん。
襲撃犯その人だし。
「わ、私のせい? 彼女には何もしてないが……」
「セイアちゃんを襲うように命じたから、おかしくなっちゃったのかな!?」
「さぁ……?」
誰が一番悪いのかって話をするのなら、一番に来るのはティーパーティーのトップ層なのだが、次点を選ぶとなると自分の顔が思い浮かぶんだよなぁ。
勝手に記憶を漁られたので被害者を装うことも可能ではあるが、他のキチガイ共にも是非を問うた場合、まず間違いなく『オウカが全面的に悪い』の結論に行きつくのが目に見えている。どっかのテイルズの主人公が如く、俺は悪くねぇ!って叫びたい。
内心で自身に言い訳を並べていると、そういえば重要なことを思い出す。
俺は
『……もしもし。どうやらうまくいったようだね』
『お、オウカさん! ほ、本当に生きていらっしゃったんですね! 良かった……本当に良かったぁ……!』
電話に出たのはセイアだったが、横から桐藤さんの声が聞こえる。
一応は安全なところにとの事で、セイアがいるところに昏睡状態の桐藤さんも運んだんだよね。運んでくれたのはウチの会社のゲヘナ出身の生徒だが、ビジュアルで門前払いはされなかったとは聞いてた。
彼女も目を覚ましていたようだ。
後日詳細は話すつもりだが、まずは大事なことを伝えなければ。
「聖園さんの無力化に成功。アリウスの手勢も抑えた。状況が状況だから詳細は後日報告するが、とりあえず『裏切り者』とやらに怯える必要はなくなったわけだ」
『……やっぱりミカさんが』
電話の向こうにいる桐藤さんはショックを受けているが無視する。
それ以上にショックを受ける可能性があることを伝えるために。
「そんでいきなり言われても困るから事前に報告しようと思ったんだが」
『なにかね?』
「今回、聖園さんの襲撃計画を金と兵力でゴリ押ししたわけだが──現段階で戦費がざっと13億2700万くらいになりそうなんよ」
『ゑ?』
「確かセイアが約束してくれたよな? 俺たちの戦費、トリニティが負うと」
『ま、まま、待ってください! え!? じゅうさっ、せ、セイアさんんん!? 私はそれを聞かされてませんが!? よさっ、予算が……ほ、本当に!?』
「ちなみにだけど、下限がそれって話で、ウチの馬鹿共が『トリニティが全額負担してくれる!』ってバ火力兵器をバカスカ使ったらしいから、もうちょい増えるかもしれん。詳細は請求書送るから、一括でヨロ」
俺はそこまで伝えて、電話を切った。
おそらくトリニティ外の某所で、ティーパーティーのトップ層による大乱闘スマッシュシスターズが行われていることだろう。俺には関係のないことだが。
電話を終えた俺は、顔を真っ青にしている聖園さんに微笑む。
真っ青どころか、汗もダラダラだし、焦点もあってない。大丈夫か?(他人事)
「じゅうさ、え……え?」
「聖園さんにも聖園さんなりの葛藤があっただろうし、アリウスの謀略に巻き込まれたって観点では同情の余地があると思う。でも──やらかした責任は、いくら『子供』だからって、なかったことにはできんよね」
「………」
「聖園さんも『好きにして』って言ったし、遠慮なく好きにさせてもらおう」
「………」
「
「………」
聖園さんが泡を吹いて倒れるのに、そう時間はかからなかった。
後に、俺は別の意味でトリニティの上位陣から『鬼島津』の異名で畏れられることになる。
解せぬ。
【簡単な自己紹介】
マイティーペロロ様:カネサダが入っている隠れ蓑。後で飛んで逃げた。ヒフミは追った。
Q.各話にサブタイトルって必要ですか?
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いる。そっちの方が見やすい。
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いらん。数字だけでOK。