真の敵は身内にあり。
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005 補習授業部との邂逅
今日は『補習授業部』の面々が邂逅する日。
素性が知れないという理由だけで『補習授業部』のサポート役に任命されたであろう俺は、普通に成績が壊滅的で補習授業部入りを果たしたアイリスを伴い、先生他が集まっているであろう場所を目指す。
そもそも俺がトリニティの裏切り者って疑われるのっておかしくね?
俺が本当にエデン条約をブッ壊したいならもっと上手くやるわ。こちとら200年続く政権を朝廷に返上させた連中の末裔ぞ?
なぁ、ユメパイセン?
『……これ、なんて答えるのが正解なのかなぁ?』
はー、つっかえ。
『ひぃん』
俺のアストラル的立ち位置にある元アビドスの生徒会長の頼りない答えに、俺は一瞬だけ呆れる。しかし、常識的に考えてアビドス生だったパイセンにトリニティ関連の助言を貰おうと画策すること自体が間違いじゃないかと思い直す。
くっそどうでもいい話だが、俺に抱き着いてくる半透明の美少女(感触皆無)は、アビドス砂漠で亡くなってしまった
始まりは、アビドス砂漠に行ったときに憑かれてしまったことに起因する。最初は彼女の名前自体を原作知識持ち勢が口にしなかったので、ただのモブキャラだと思ってたんだけどね。アビドスのキチガイ曰く、彼女はアビドス編のキーパーソンらしい。
俺の家名から察してほしいのだが、ウチは昔にやんちゃ(歪曲表現)し過ぎて多方から恨みを買っている。つまり怨霊悪霊のバーゲンセール状態かつ、俺が無駄に霊感あるせいで幼少期は散々な目に遭った関係上、今さらユメパイセンに憑かれようが無問題。むしろ、因縁の怨念がいないという点に関して言えば、キヴォトスの方が住みやすいまである。憑いてるのも禍々しいオッサンじゃなくて、ナイスバディな美少女。最高かよ。
『そ、そんなに褒められると照れちゃう……』
あと彼女は風呂の時以外は俺に抱き着いてる。
そうしないと迷ってしまうんだとさ。迷ったらどうなるのか試したことはないが、ユメパイセン曰くマジで戻れなくなるらしい。何から戻れなくなるのかは知らんけど。
閑話休題。
俺は目的地の場所へとたどり着いた。
一応はビジネスマナーとして扉をノ
「先生ちわーっす」
「わーっす」
ックするはずがなく、俺はガバッとオープンした。
キチガイに常識求めるとか正気か? 確認せず開けて着替え中だったらどうすんねんと、開けた後に思い至って僅かばかり反省したが。
そこにいたのは──
シャーレの顧問である先生と、
ラリった鳥のグッズを身にまとう美少女と、
ガスマスクをシュコーしている美少女と、
競泳水着で徘徊する美少女と、
↑に死刑宣告を下す美少女がいた。
「……アイリス、どうやら俺たち以上のキチガイ集団がキヴォトスに存在するそうだ。トリニティの風聞の為にも全員退学にした方がいいんじゃないか?」
「世界は広い」
「ここにいるアンタたちも十分馬鹿でしょおおおおおお!!??」
♦♦♦
「えーっと、まずは自己紹介をば。俺ん名前は島津 オウカ、2年生だ。ティーパーティーのホストの
「
「アンタ何を口走ろうとしてるの!?」
先生から促され必要最低限の自己紹介をしたところ、おっとりとした雰囲気の美少女に言葉狩りをされる。それを止めようとするのは、小動物みたいな雰囲気の美少女。さきほど入出した瞬間に俺にツッコミを入れてきた猛者だ。
そんなん【自主規制】と【自主規制】を突き合えばいいんか?とエロ談義に持ち込むことも可能だったが、一応は初対面なので自粛しておく。ユメパイセン赤面してんじゃん。
「その話は後程。ここにいる全員は初対面だから、まずは名乗って頂けると嬉しい」
「あら、そうですね。それではあらためまして──私は2年生の
競泳水着に身を包む少女──浦和さんは上品に微笑みを返してくる。とてつもねぇ破壊力だ。
スタイルがスタイルなので豊満な胸に目が行ってしまいそうになるが、それを理性と根性と薩摩魂で何とか乗り越える。……目のやりどころに困るから、個人的には早急に服着て欲しい。
「それで補習授業部のツッコミ役である君は」
「どうして私がツッコミ役になるのよ! ふんっ、アンタに名乗る必要ってある!?」
「了解。じゃあ次はガスマスクのお嬢さん」
「無視するなああああああ!!」
この元気いっぱいのツンデレ風美少女さんの名前は1年生の
十中八九、前者だろう。
「2年、
「こちらこそ」
ガスマスクでシュコーシュコーしている不審人物。自己紹介の時はマスクを外してくれたが、幻想的な雰囲気の美少女だった。律儀に挨拶も返してくれる素直な生徒に見えるが、話によると正義実現委員会にゲリラ戦しかけた超問題児なのだとか。人は見かけによらない、とはよく言ったものである。
俺は最後の生徒に視線を移した。
「
「は、初めまして……2年生の
別用で試験を受けられず補習授業部入りになってしまった、美少女はぎこちない自己紹介をしてくる。
彼女とは初対面である。アビドスんときに『覆面水着団』の『ファウスト』を名乗る人物と、ブラックマーケットを火の海にした記憶はあるが、おそらく他人の空似だろう。まさか別の用事って、例のキチ鳥関連のことだろうか?
さて、事前に部屋に集まっていた生徒の名乗りは自身の脳に刻んだ。
今度は我らが成績不審者が挨拶をする番だ。
「アイリス、ワルフラーン。アイリスでいい。よろしく」
「アイリスちゃんですね。私もハナコで構いませんよ」
「ハナコよろしく」
よっ、と短い自己紹介を述べる。
白洲さん並みの超短い自己紹介であったが、何かを察したのか浦和さんの合の手が入る。俺自身、そんなにコミュニケーション能力が高いわけでもないので、その俺以下のアイリスと補習授業部の面々にどう馴染ませるかが悩みの種だった。先生に丸投げも案としてあったが、どうやら俺の杞憂だったらしい。
俺が孤立化すんのは別に問題ないが、アイリスがハブられるのは何とかしたかったしな。
孫を見守るジジババの心境でアイリスを見守っていると、浦和さんが先生に確認する。
「では、ここに揃っているのが補習授業部のメンバーということですか?」
“そうだね”
その回答に満足したのか、
「放課後にひと気のない教室で、素行の悪い女子高生と先生が集まって……ふふ、始まってしまいそうですね」
浦和さんは爆弾発言をブチかました。
エッチなことですか?(澄んだ目)
「始まる? まぁ、何だってかまわない。ちなみに私は本気を出せば、この教室で1カ月は立てこもれる」
「死にたい……本当に死にたい……」
「え、っと……」
「ばっちこーい」
斜め上の回答をする白洲さん、死を望む下江さん、言葉に詰まる阿慈谷さん、状況をよく分かってないけどヤル気は十分なアホ。
同郷のキチガイ共とは別ベクトルで癖が強すぎるメンバーと言えよう。桐藤さんって裏切り者を炙り出すんじゃなくて、ただ単純に
ほら、その証拠に俺は先生を労っているじゃないか。先生は心なしか表情が引き攣っている。
「先生、いきなり6Pとは中々に性癖ひん曲がってますね」
“そっ!? そんなことしないからね!?”
「島津君も混ざります?」
「浦和さんの提案は中々に魅力的だけど、今回は遠慮しておくよ。俺には
“オウカ!?”
♦♦♦
『補習授業部』の目的は『全員が特別学力試験で合格すること』。
これからは通常授業に加え、追加で放課後に勉強会が行われる。自称進学校とかで高校・大学入試に近づくと、いつもの授業にプラスして自習を行うようなもんである。
特別学力試験は計3回あり、どれか一つでも全員が同時合格すれば補習授業は終了する。各々でやるとサボタージュやリタイアする生徒が出てくる可能性があるので、それを防ぐための部の設立とも受け取ることが出来る。……まさか全員まとめてボッシュートするためとは想像しまい。
そのためには全員が一丸となる必要性があるのだが、
「私はエリートなんだから、すぐに合格して補習授業部なんて抜けてやるんだから! だから馴れ馴れしくしないでくれる!?」
「うん、確かに仲良くするために集まってる会じゃない。あくまで互いの利益の為なんだから、親しいふりをする必要もないはず。違う?」
こういったドライな意見も出てくる。まぁ、下江さんや白洲さんの言うことも間違いではないんだが、今回ばかりは個人がどんだけ頑張ったところで意味がない。
加えて、自分はそもそも1年だが3年の問題を受けたせいで入部することになった、次は大丈夫と豪語する下江さん。アホかと喉元まで出かかったが、なんとかそれを飲み込む。はははっ、中々に愉快な子じゃないか。
しかし、彼女たちは自身の置かれている立場がどれほどヤバいのか理解できていない。
普通に考えれば、全員で死に物狂いで勉強することにより、学力試験に受かるってもんだ。和やかな雰囲気を見てる感じ、桐藤さんが提示する『3回』に落ちればどうなるのか、この部の部長に抜擢された阿慈谷さん以外は知らない様子。俺から彼女たちに教えることも可能だが、あくまでも部の責任者は先生であり、話が話だけに『大人』から告げてもらった方がいいと俺は考える。さすがに退学がかかっていれば、全員ガチで頑張ると思われる。
じゃあ、俺の言う『ヤバい』が何なのか。
そんなのは簡単。そこで何考えてるのか分かんない仏頂面の生徒の成績がどんだけ悲惨なのかを皆が知らない点にある。この様子だと、先生も知らん可能性があるな。
建物は土台がちゃんとしていれば、多少不格好でも家を建てることは可能だ。
なら、その土台がない場合は? 土台がないどころか、その土地自体が地震津波が毎秒起こる地域なら? そう、物件を建てる云々の話ではないわけだ。
これが何を意味するのか。
アイリス:0点 結果──不合格
特別学力試験の第一次試験当日。
先生から告げられた結果に、俺以外の全員が唖然となった。
合格点が60点以上で32点を紙一重とほざいた白洲さんも、あんだけ余裕ぶっこいて11点しかとれなかった下江さんも、2点で不合格扱いにはなっているが何やらワケありの浦和さんも、何より採点したであろう先生ですらも、アイリスの点数開示に教室が静まった。
無論、第一次試験前に勉強はした。
勉強は苦手ではあるが、勉強をする意思はあるアイリスは、俺と一緒に放課後の自習に勤しんだ。過労死レベルの先生も暇ではないので、時間を見つけては顔を出してくれた。トリニティに編入して間もない白洲さんに、浦和さんも分かりやすく指導していた。下江さんも余裕そうだった。
これなら大丈夫だろうと部長の阿慈谷さんは思っただろう。
アイリスは勉強した。それは間違いない。
……まさか、『テスト範囲の問題の基礎部分が分からず、小中レベルの勉強から叩き込んでいた』なんて誰もが思わないだろう。基礎中の基礎が出来てないのに、応用クラスの学力試験が分からないのは当たり前だ。
「アイリスちゃんんんんんん!? ぜ、0点ですか!? 何も分からなかったんですか!? これ小テスト並みの簡単な問題ですよ!? 真面目に勉強してましたよね!? お、オウカくん!?」
「すまん、テスト範囲の問題の意味を理解するための勉強しかできんかった」
「そこからですかぁ!?」
放課後どころか家に帰ってからも勉強三昧だったが、ちと間に合わなかった。
阿慈谷さんと下江さんは顔を真っ青にする。
「先生ぇ……助けてくだせぇ……!」
“あは……はは……”
俺は恥も外聞も捨てて先生に土下座するのだった。
【簡単な自己紹介】
アイリス・ワルフラーン:キチガイ五人衆の一人。100点満点のテストで2桁の点数をとったことはない。
Q.各話にサブタイトルって必要ですか?
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いる。そっちの方が見やすい。
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いらん。数字だけでOK。