学校での課題は思っていたより楽だった。
まあ当然か。
戦うのはニケだ。
指揮官がいるとニケが本領発揮できる(らしい)から、
指揮官も必要というだけ。
基本的な戦術とニケに関する知識。
シミュレーションによる戦闘訓練。
残念ながらゲームでの知識は役に立たなかったが、
学内でも上から数えた方が早い程度の順位で卒業できた。
簡単だったとはいえカリキュラムの消化に2年はかかってしまったが。
まだエイブが捕えられていないことを願う。
卒業してすぐ指揮官として初めての任務をこなすことになった。
部隊は量産型のソルジャーモデル3体。
任務内容は調査。
アーク付近の地上にラプチャーの群れや、何か有益な物が無いか探すというもの。
すでにアークではパーフェクトが食べられているので、
缶詰でも持ち替えればロイヤルに高く売れる。
俺は地上でスカベンジャーの真似事をしつつ辺りを散策する。
エイブは……見当たらないな。
よく考えなくても当たり前だ。
地上は広い。
閉じられたアークであってもふらっと出かけて特定の誰かと会うのは困難なのだ。
考えが甘すぎたな。
考え事をしながらフラフラしているとラプチャーに遭遇した。
幸い、小型の雑魚だ。
俺は瓦礫にハイドしつつ撃退するように指示。
撃破後は一旦帰還した。
1時間程度しか地上にいなかったのだが、欲張っても仕方ない。
俺の目的はエイブに会うこと。
無理してニケが死んでしまっては申し訳ない。
一旦帰還した俺は缶詰とコアダストを提出した。
生きて帰ってきただけでも偉いね的なことを言われた。
適当に愛想笑いをして作戦報告証書を受け取った。
コアダストは兎も角、缶詰は高く評価されたようだ。
それなりのクレジットを手に入れた。
そして俺はある人物に面会する為に公園を訪れた。
NIKKEの人気キャラクター男性部門トップ候補。
オスワルドさんだ。
例のドロシーとのやり取りが原因なのか、
彼は既に中央政府から抜けているようだ。
士官学校で教えられた組織図に彼の名は無かった。
原作の知識から考えて、彼はきっとここに来るのではないか。
そう考えた俺は翌日の早朝に勝利の女神像へ行き、近くのベンチで彼が来るのを待った。
1時間、2時間と過ぎても彼は来ない。
毎日のように訪れていると思ったが……、
これは数日キャンプする覚悟が必要かもな……。
そう思い一旦帰ろうかとした時、目つきの鋭い男性が現れた。
時刻はすでに20時。
すでに(人工の)空は暗くなっている。
そんな中で彼はタオルを手に像を掃除し始めた。
それを見て確信する。
彼だ。
俺は懐からハンカチを取り出し、水飲み場で湿らせて彼の掃除を手伝った。
彼は俺を一瞥するも、声をかけることなくそのまま掃除を続けた。
俺もそれに倣った。
1時間ほど掃除をしてようやく彼は手を止めた。
隅々まで掃除したので時間がかかった。
これ毎日やってるの?
流石にびっくり。
「初めましてオスワルドさん。
指揮官のハンソンと申します」
「初めまして。
政府との仲介はできませんよ?」
「……ははは、
大丈夫です。要件は別です」
「そうですか」
オスワルドさんは、そう言ってベンチを一瞥した。
座って話そうとういうことだろう。
俺はベンチに移動した。
彼もそれについてきた。
座ると同時に俺は口を開いた。
先程のやり取りで率直に要件を話した方が良いと判断したのだ。
「私は第二世代フェアリーテイルモデルの開発者であるエイブの友人です」
「……っ」
「アークへ移る前に彼女と連絡を取りました。
これから大きな仕事をしてくる、と言ってました」
「……」
「私は、彼女は死んでいないと思っています。
あれほど優秀な技術者が簡単に死ぬとは思えない。
寝ずに仕事する為にニケになるような奇人です」
「そうですか」
「彼女がいそうな場所に心当たりはありませんか?
指揮官になって、やっと地上に出れることができるようになったんです。
手遅れになる前に彼女を見つけたい」
「……」
語った内容は嘘だが、エイブを見つけたい気持ちに嘘はない。
俺の思いを理解してくれたのか、見つかる保証はないことを前提に話してくれた。
彼女が生きているのなら彼女の所属していた研究所の跡地へ行くだろうとのこと。
その付近を探せば居るのではないか、という訳だ。
その座標は前回出た地上とはアークから見て正反対の方角だった。
やみくもに探さないで良かった。
俺はオスワルドさんに礼を言って、その場を後にした。
主人公の名前はクリスタル地帯で死んでた指揮官さんから拝借しました。