「来たか」
BlaBlaで連絡したらすぐに出てきた。
あれから負傷はしていないようだ。
一安心。
「ああ。
彼女は?」
「そこの生命維持装置の中にいる」
エイブが指さした先に棺桶のようなものがあった。
あれが例の棺か。
覗き込むと、確かにシンデレラが入っていた。
100年後とは違い、負傷している箇所が残っている。
全身ボロボロだ。
よく生きていた。
……しかしなんという恰好だ。
ゲームやってた時から思ってたが、これを作ったエイブってもしかして変態じゃないか?
まあいい。
その説は俺の胸にしまっておこう。
「ガンマ、運んでもらえるか?」
「かしこまりました」
戦力的に彼女が運ぶのが最善だろう。
エイブでは時間がかかりすぎる。
「すまない、そこの武装も一緒に運んでもらえるか?
彼女を起こす為に必要なんだ」
「はい、大丈夫ですよ」
あれは、ガラスの靴か。
忘れてた。
そのまま開けると死んでしまうんだったな。
「道中はそこの2人が守ってくれる。
ミシリスの精鋭だ」
「初めましてエイブさん。
アイオーン部隊のエセルドレーダよ」
「アルアジフだ」
「これからは一緒にミシリスで働くことになるわ。
よろしくね」
「ああ、よろしく頼む」
3人は握手を交わした。
さて、挨拶も済んだし移動するか。
「では戻ろう。
さっきも話題にあがったが、火を放つ人型ラプチャーの存在が確認されている。
空を飛んでいる姿も見た。
護送中に遭遇したくはない。
急ごう」
「人型ラプチャー!
……そうか。
分かった、急ごう」
レッドシューズの生みの親としては思うこともあるだろう。
贖罪……という訳ではないが、
是非ともシンデレラを治療して人類に貢献して欲しい。
「それじゃあ先導するわ」
エセルドレーダが歩き始めた。
行きとは違うルートのようだ。
ラプチャーの残骸にはラプチャーが寄ってくるという説がある。
ラプチャーを撃退した場所は避けていくのだろう。
「研究員と聞いておったが、ニケだったのだな。
しかもミシリスの量産型」
「ああ、だが戦闘は期待しないでくれ。
睡眠を取るのが億劫だったからニケになっただけで、
戦闘経験は無いんだ」
「なんと!?
そんな理由でニケになったのか。
よく思考転換しないな。
マッドサイエンシストというやつか」
「アル、失礼よ」
「そうなのか?
すまない、誉め言葉のつもりだったんだが」
「構わない。
事実だからな」
和気あいあいと談笑している。
俺は口を挟まない。
何でそれを知っている?的なことを言ってしまうかもしれないからだ。
エイブは頭いいから特に気を付けなきゃ。
「……指揮官」
黙っているとガンマが耳打ちしてきた。
距離が近いぞ。
びっくりするじゃないか。
「どうした?」
「最初私に嘘をつきましたね?
どうしてですか?」
「……」
ああ、最初はエイブのことを中央政府が探している要人だと伝えたんだったな。
あの時は上手く説明できる自信がなかったし、焦ってもいた。
だから適当なことを言って納得してもらったのだが……。
「すまなかった。
情報元を決して漏らさないという約束の元、彼女のことを教えてもらったんだ。
だからあの時は君に適切な説明ができなかった。
それに、彼女の作ったニケの実力は本物だが、彼女自身は普通の量産型だ。
ラプチャーに殺されてしまっては大変なことになる。
ゆえに焦っていたんだ」
「……そうなんですね。
分かりました。
でも次からは教えてください。
私はあなたの専属となりました。
これからは一蓮托生なんですから」
「そうなのか?」
「はい、社長から言われました」
ミシリスCEOってそんなことできるんだ。
俺一応中央政府所属の指揮官なのに。
凄いな。
「分かった。
次からは必ず相談するよ。
これからもよろしくな」
「はい」
索敵能力の高いガンマが専属になってくれるのは助かる。
正直もう隠し事はほぼ無いし。
残りの知識は大抵が100年後のものだ。
「止まってください」
「どうした?
ラプチャーか?」
先導していたエセルドレーダが立ち止まった。
ロケットランチャーを前方に向けて構えている。
しかし、俺には何も見えない。
「微弱ですが振動を感じます。
これは……っ!!
地面に大型の熱源反応あり!
後ろに跳んでっ!」
エセルドレーダが俺を抱えて大きく後ろに跳び上がる。
エイブはアルアジフが抱えてくれたようだ。
棺を担いでいるガンマも同じく後ろへ跳んだ。
地下に反応?
俺は嫌な予感がした。
もしかして迎撃戦で電車と並んで面倒な例の奴か?
すると、俺でも分かるくらい地面が大きく揺れだした。
ゴゴゴゴゴゴゴという音と共に、地面からドリルが顔を出した。
間違いない。
グレイブディガーに似ている。
だが、キャタピラが付いている。
ゲームの奴の旧型か?
何で急に。
地下鉄の路線の上でも歩いてしまっていたのか?
これは、ヤバいかもしれん。